【9/4-5】ルーブルNo.9とかライトオフとかバビル2世とか

   

【9/4】

朝:塩レモンスパゲティ
昼:カレー
夜:肉

・夕方まで作業をしてから、おうちを出る予定だったが、昨日のディセントのプレイログを書いてたら案外時間が掛かってしまい、これだけでタイムオーバーとなってしまった。

・夕方から六本木へ。

2016-09-04 16.33.34

 黒鈴さんが幹事で、みんなで森アーツセンターギャラリーに「ルーブルNo.9」を見に行ったよ。ちなみにメンバーは越後屋さん、No.5、リンドウさん、ゆとりのタジ君、四海鏡さん、es、ravenさん、黒鈴さん。

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 そもそもどういう催しだかよく分からんと思うのだけど、フランスのルーブル美術館が漫画を第9の芸術と謳って、フランスと日本の漫画家数名に「ルーブル」を題材とした漫画を依頼し、その原稿などを展示した。それを日本でも、ということらしい。

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 荒木飛呂彦先生も招待作家の一人で、「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」はこの企画のための作品。

・さて、全体的な感想で言うと一つ一つの漫画はよく分からない。いかんせん「ルーヴル大喜利」だし、全ページ掲載されてるわけでもないから話の筋も追いにくい。が、それだけではなくてフランスの漫画(バンド・デシネ)はよく分からない……。コマ割り一つとっても、単に洗練されてないのか、文化の違いなのかすらよく分からない。

・今回展示されていたバンド・デシネはどれもアート寄りで、まずあらすじを読んでもよく分からないし、実際に展示されている漫画を読んだらあらすじと全然違ってたりする。明らかにエンターテイメント向けではないのだろう(展示されていた作品の中では荒木先生がやっぱり一番エンタメを意識してた)。しかし、エンタメ的な面白さはともかくとして、アートとして面白いのかどうかも(全部を読めないこともあって)イマイチ判断がつかない。

・フランス映画ってみんなアートアートしてるイメージなんですけど、さらに漫画までアートアートしてるだなんてフランスにはエンターテイメントが存在しないのではないかとすら疑ってしまう。

・あと単純にすごい疑問なのが、バンド・デシネの方で吹き出しがない漫画があって、吹き出しはないのにセリフはある(吹き出しは別に掲示されている)。あれは一体どういうことなんだろう。吹き出しは後でベタベタ上から貼る感じなのかな。

・エンキ・ビラルさんの展示は、あれが漫画の範疇に入るのかどうか個人的には疑問である。精妙なイラストにカードゲームのフレーバーテキストが念入りに付いたみたいな……。

・渋谷へ移動し、みんなでシュラスコ。気心の知れたメンツで酒飲んで肉食うのは非常に楽しかった……。No.5も全然変わんねーなー。あいつの「作品を面白そうに紹介する能力」は相変わらず異様に高くて(我々の共有基礎知識が皆同じだからかもしれないが)、undertaleとマジすか学園を勧められたので、さっそく明日トライしてみようと思わされる力があった。
 
 
【9/5】

朝:小さいラーメン
昼:ロコモコ
夜:イタリアン

・今日は一日オフ。早速undertaleをやってみたよ。今のところあんまり面白くはない。

・「敵を倒す必要はない」ゲームなんだけど、倒さないと経験値が全く増えない。でも、システム上「倒さなくていい」と言われると、なんだか倒してはいけないような気がしてしまう。経験値が増えずレベルが上がらないからどんどんキツくなっていくんだけど、でも倒すのはなんだか怖い……。

・隠しパラメータ―のカルマが増えるんじゃないか、という恐怖に駆られる。

・「敵は殺していいんだぜ」という前提で成り立っている従来のRPGは、ある意味「安心して殺せる」ゲームなんだな……。「殺さなくても進めるんだぜ」と言われると、途端に「殺してはいけない」という感覚が生まれてくる……。

・現状唯一殺しちゃったのが保護者のおばさんなんだけど、罪悪感しかない。

・でもPOSTALなんかも「別に殺さなくてもいい」ゲームのはずなのに、あれやってる時は、「レジの行列が面倒だから全員殺そう」とかナチュラルに考えてしまうんだよな……いや、そう考えるように誘導されてるんだけど。

・まあそのへんは別に面白さとは関係しないところなんだけど、なんだろうな、なんか、こう、射幸心が煽られないというか、ムキになれないというか。うまく言えないな……。

・単にゼルダ的なパズルがあんまり好きじゃないのかもしれない。

・あと映画見に行きました。「ライト/オフ」ってやつ。

 Youtubeの短編映画が元になった作品。ちなみに原題は「Lights Out」。それが邦題ではライトオフになるの、なんか興味深い気がする。

・あっ! light outって「さっさと出て行く」って意味なのか。なんとなくライトが消える意味だと思い込んでた……。

・ちなみにlight offは「着火する」という意味らしい。マジかよ。全然着火するイメージのない単語の組み合わせなのに。なんでlightがoffで着火になるんだ??? 英語難しいな。

・あれっ? turn the light offなら「明かりを消す」なのか。put the light outも「明かりを消す」。ヤッベ、わけ分っかんね。

・以下ネタバレ。

・「電気が消えた時にだけ見えるクリーチャー」ってよく考えたら不思議な存在だよなあ。つまり、「電気は消えるけど、そことは別にある程度光源があって、電気が消えたけど目の前は見える」状況でのみ視認可能なクリーチャーってことだよね。だって真っ暗だったらなーんも見えないわけだから。

・で、本作ではこの奇妙なクリーチャーに理屈を与えて(ギリギリ)実在の存在に落とし込んでいる。ここは良かった。本来は特殊な皮膚病の女の子で、陽の光が嫌いで、光を当てる実験をした時に姿が消えた、と。「謎のヘンテコルールに沿って生きてる、よくわからないフワフワした悪霊的存在」を理屈付けすることで、「肌身で感じられる存在」にまで落とし込んだのが良かった。ヘンテコルールにバックボーンが与えられることでクリーチャーの存在がパッキリしたと言いますか、「あ、なるほど」というカタルシスがあった。ホラーには謎解き要素も大事だからな。

・が、その一方でこの評価が真逆に跳ね返りもする。「なるほど、謎クリーチャーのダイアナさんは特殊な病気を患ってて頭がイカレ気味とはいえ、それでも確固として実在する物理的存在なのね」と納得した直後に、「いえ実はダイアナは大昔に死んでいて、謎のマインドハック能力でヒロインのお母ちゃんの脳みそに影響を与えていて、お母ちゃんの妄想の中で実在化してるんです」という回答が明かされて、再びフワフワした存在に戻ってしまった。最終的解決もこのフワフワ設定に基づいた解決法であり、「理屈は通ってるがフワフワしてるな」という印象が拭えない。

・しかし、これは難しいところで、フワフワした悪霊的存在でないとしたら、ダイアナさんはキチガイじみてはいても「肉体を持った可哀想な病気の女性」になってしまってシンプルなホラーではなくなるんだよな。悲哀要素が強くなってしまう。実際中盤までは「お母ちゃんとは仲良くやってるんだし、子供たちもダイアナさんと友達になってあげればいいのでは?」「特殊な病気を患ってるからって逃げたり叫んだり失礼なのでは?」とすら思ってしまった。観客からそういう気持ちを排除するためには必要な設定という気もする。

・その点だけやや微妙だったものの、全体的には良質なホラーであり、洋ホラーにありがちな「突然出てきて驚かせる」も総じて高レベルで行われていた。

・おうちに帰ってから重篤ソルティストと一緒に中野の島忠ホームズへ。それなりのお値段のソファを買ってみた。

・いま使ってるローソファは昨年の六月に買った1万円程の子で、安いし、まあ一年持てばよかろう、という気持ちだったのだが、背もたれ部分はあっさり三ヶ月ほどで壊れ(?)てしまい、もたれ掛かると背もたれも一緒に後ろに反り返ってしまう。これはこれで地味に便利な場面もなきにしもあらずなのだが(テレビとかは非常にだらけた姿勢で見ることができる)やっぱり背もたれにしっかりと寄りかかりたい時もあって、まあそういうわけで購入へと踏み切った。10月以降におうちに来るお客様は、ちょっと良いソファで歓待できることでしょう。

・あと、『バビル2世』を電子書籍で購入した。eBookJapanで買った。本当はKindleで買いたかったのだけど(どこの電子書籍サイトで購入したのか分からなくなりそうなので)、待てども一向にKindleに入らないし(私は間が悪いことで有名なのでたぶん一ヶ月以内に入るだろう)、市場的に考えてもamazon一人勝ち状態は明らかに良くないので、そういったうんぬんの合わせ技一本で購入に踏み切った。

・というのは、今は少しだけ時間に余裕があるのと、先日、成田先生から勧められて読んだ「読者ハ読ムナ(笑)」に、「オリジナリティは『自分が好きな作品の好きな要素から生まれる』」といったことが書かれていたので、ちょっと見つめ直したい気持ちに駆られたのだ。

 
・自分が好きな作品……となると、『地獄甲子園』かもしれないし、『ハンターハンター』かもしれないし、『テニスの王子様』かもしれないのだが、自分が一番やりたいものに近いのはやはり『バビル2世』ではないか、と。

・で、久しぶりに読むと本当にすごい漫画で頭がクラクラする。まだ2巻までなんだけど、敵ボスであるヨミさまの損切り能力がすごくて、ヨミさまが本当に偉大で、本当に素晴らしい。あの人は自分が努力して積み重ねてきたものを、大きなリスクを避けるために当然のように捨てられるんだ。「えっ! もうその施設廃棄するんですか……」みたいな。でも人材(部下)は決して無駄に捨てない。部下たちがヨミさまに全幅の信頼を置いていることがビシビシと伝わってくる。

・2巻までの面白いところをまとめると、まずは徹底した情報戦。ヨミさまもバビル2世もまずは情報を貪欲に集める。集めた上で相手が一番嫌がる行動をする。特にバビル2世の動きがえげつない。バビル2世は何と言ってもポッと出なので、失うものは(唐突に与えられた)遺産と自分の命しかないのだが、ヨミさまの方はこれまで仲間と苦楽を共にしながら培ってきた施設なり人脈なり作戦なりの有形無形の財産がたくさんあって、それをバビル2世が容赦なく破壊していくんだよな……。

・なので、ヨミさま陣営が愕然としたり慌てたりする描写が多い。「支部と連絡が付きません!」→「まさかバビル2世では……」→「うわあ、本当にバビル2世のしわざだ!」→「滅茶苦茶だ。ひどすぎる……」みたいな。

・一巻の序盤の時点で既に「バビル2世が歩いて近付くだけでヨミさまの部下が泣いて命乞いする」とかだからな……。

・「敵が慌ててる描写」が好きなのかもなあ。

・バビル2世にはキャラクターのバックボーンとか決意表明とかほとんどない。ヨミさまが何のために世界征服したいのかも分からないし(ヨミさまが征服した後の世界はきっと平和な理想郷だと思う)、バビル2世がなぜそれを止めたいのかも分からない。なのでバビル2世の方にはキャラクター的な魅力をあまり感じないが、とにかくその徹底したえげつなさから言い知れぬオーラのようなものを放っている。魅力ではなく、「とにかくヤベえ」という圧倒的存在感だけがある。

・一方でヨミさまの方は、培ってきたものをバリバリ破壊されて苦悩しながらも、不屈の精神力で戦い続けてて本当に尊敬できる。でもこれが敵味方逆だったら、別にそんなにグッと来ないんだろうな。

・本来ふんぞり返ってるポジションの人が、思わぬ大打撃に慌てたり苦悩しながらも、必死に頑張る姿が好きなのかもしれない。

・主人公は基本的に(どの作品においても概ね)持たざる者なので、「これまで培ってきた地位や財力を失う」ということが基本的にない。「失える」のは敵キャラの特権なのかもなあ。

・ただ、ヨミさまは失うだけじゃないんだ。ヨミさまは失ってもなお踏ん張って戦えるんだ。だってあの人は本当に優秀だから。

・あの人は素の能力が優秀すぎるので、これまで培ってきたものも全て本人の実力と努力の結果であろうと想像できるし、あれだけの大打撃を受けて培ってきたものを失いながらも、それでも実力と努力でリカバリしていこうとする。その精神力もまた優秀さに裏付けされるんだよな。これだけ優秀できっと山程努力してここまで積み重ねてきたんだ、それが崩されたってヨミさまは本当に優秀だから、心折れることなく常に最善手を打って頑張れるんだ、みたいな。

・まあそんなヨミさまでも最後は心が折れるんですけどね……ウウッ(涙)

・圧倒的に優秀な人が死力を尽くすも敗北する話が好きなのかもしれない。

・いや、違うな。私はたぶん「優秀な人が努力する話」が好きなんだ。戦争ドキュメンタリーとかもナチスが努力して訳の分からない謎兵器とか作ってるのすげえ好きだもん。

・「まだ2巻までしか読んでないからちょっと触れるだけにしよう」と思ったのに、ヨミさまのことを考えるだけで胸が熱くなってしまい、思わずこんなに分量を書いてしまった。これが「好き」ということなんだろう。間違いない。

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