【2/14】心霊ビデオの世界

   

・「うわあああ~、もう休みが終わる~~」「俺は今日一日何をしてたんだ~」「ちゃんと心ゆくまで休めば良かったのにダラダラしてしまった~~」

・そんな後悔に震える日もあるけれど、昨日の日曜はバッチリと休日を謳歌したぞ! 見てくれよ、この華麗なる休日消化スケジュールを。

4時:起床
4時~8時:ゲーム
8時~9時:朝食
9時~11時:部屋の掃除、こたつ布団の洗濯、筋トレ
11時~14時:ジョギング→家族で外食→ウォーキング
14時~18時:VRでライブ映像視聴→ホラー視聴
18時~20時:風呂→夕食
20時~21時:ゲーム
21時~24時:ホラー視聴

 しっかりゲームもしたし、ホラー系は映画1本、ビデオも3本見た。VRでの動画視聴も試みた。懸念であった部屋の掃除も行えてスッキリしたし、天気がいいから外でジョギングや運動もした。家族とも外食などで楽しく過ごした(今日は育児フリーデーだったので娘の面倒自体は妻が見てた)。どうだ、完璧ではなかろうか。

・さて、今日は心霊ビデオ系の話を主にしたいのだが、先にいくつか細かいことを書いておく。

・VRでの動画視聴はやってみた結果、結構疲れることが分かった。『心霊盂蘭盆11』を見てたのだが、Oculas Quest2は目に完全にフィットしてないと視界がボヤけるため、それによる疲労が地味に蓄積してしまう。一方で、ライブ映像などはVRだと臨場感があり、とても楽しめるので、VRは短いライブ映像を楽しむのが特に向いているように感じた。お金払うからVR向けのライブ映像を公式で出して欲しいものだ。

・あと、日曜21時のみんなでホラーを見る会で、『事故物件 怖い間取り』を見た。

 実に評価が難しい出来。難しいというか、これはダメじゃないかなあ。全体的にコメディタッチに進んでいって、最終的な解決もコメディ色が強い。とはいえ、必ずしも怖くなければいけないわけではないので、コメディ強めのホラーが狙いならそれはそれでいいんだけど、最後の最後に非常に後味の悪い展開があって、あれが完全に蛇足。あの蛇足のせいで「これはどういう気持ちで見ればいい映画なんだ??」となってしまう。「怖いこともあったけど、解決したし、彼女もできたし、良かったね」で終わるならそれはそれで良いんだけど、なんで後味悪くしちゃったのかな。

・まあでも筋書きがさっぱり意味不明な『犬鳴村』よりはマシだったか……。

・で、本題。最近、エンタメ~テレが見れるようになったので、心霊ビデオ系の作品を録画しては片っ端から見ている。で、アマゾンのプライムビデオにも心霊ビデオ系作品がたくさん見放題で入ったのでこちらも見ている。

・まず私のこれらの作品を見る時の姿勢から表明しておくと、基本的には「ホラー大喜利」だと思って見ている。視聴者に「怖い」という感情を起こすために、どういう状況、背景、展開、映像を用意してくるか。そこにかける制作側の知恵の結集を楽しんでいるのだ。心霊ビデオ系の作品は基本的に「短い怖い映像」を連続して流すので、制作側の知恵をたくさん見ることができる。

・それで、色々な作品を見ていると、私には以下のような傾向があることが分かってきた。

「つまらない」と感じる → 霊の姿がいつの間にか映り込んでる系の投稿映像。投稿主も気付いていない。

「やや面白い」と感じる → 投稿主も撮影中に霊の姿に気付いて、慌てる、驚く、逃げるなどのリアクションが発生する。

「面白い」と感じる → 上記に加えて調査パートが入り、怪奇現象の謎に迫ったり、文脈が語られる。

・断っておくと、これはあくまで「私が何を面白いと感じるか」という話であって、この手の作品を作る上での正解とかそういう話ではない。「いつの間にか霊が映り込んでる」系の作品を私はつまらないと思うが、しかし、リアリティという点ではこれが一番強いわけで(実際の心霊ビデオはこのようなものになるだろう)、こういうストイックな作品が好きな人もおそらく一定数いるはずだ。

・私の傾向を考察するに、「謎」と「感情」が重要になっていると思われる。怪奇現象の文脈が語られ、なぜそうなったのかが明らかになる、その謎が解かれる過程を私は楽しんでいる。後は撮影者の反応、つまり感情だ。怪奇現象に直面した時の撮影者の感情の変化を楽しんでいる。どちらかと言えば「謎」の方が「感情」よりも重要だが、とはいえ、「謎」にまで踏み込んでいる作品は「感情」をほぼ間違いなく描いている。「不思議だなあ」という疑問を持つにも感情が必要だからだ。

・以上がざっくりとした総論であるが、ここからは私が見た作品でオススメのものを挙げていこう。いかんせん、つまみ食い的な見方なので、シリーズすべてを見終わっての感想などではないことに注意して欲しい。

『心霊盂蘭盆10 よもつへぐい』

 心霊盂蘭盆シリーズは4作品ほど見ているが、どれも面白い。複数の心霊ビデオから構成されるのだが、それらのビデオの元となっている怪異は一つで、観察者(被害者)が異なるために複数のエピソードが生まれる、という作りになっている。上記の『10』であれば「山の怪異」がベースであり、「山に入ってみた人」「キノコ狩りに来た人」「キノコ狩りから帰ってしばらく経った後の人」「山を再訪した人」それぞれが直面した心霊ビデオで構成されている。これらの短編を通して、山には明らかに何かがあることが察せられるのだが、そのルール性などが明確になることはなく、じんわりとした不穏さと、掴みどころのない山への恐怖だけを感じさせる。SCPで言えば「財団に収容される前の、オブジェクトが人の噂になっている段階」であり、その噂が映像の形で集められている感じである。また、このシリーズでは動画で被害に遭っている人がたいてい行方不明になっており、ガチでヤバイ感じが出るので、その辺りも個人的に好感が持てる。

『呪われた心霊動画 XXX_NEO 06』

 XXXはどれも面白いというわけではないのだが、このNEO06はめちゃくちゃ面白い。『●●山』と、実質的なその続編である『夢を継ぐ』が白眉である。『●●山』の面白さは言語化しにくいのだが、この手の心霊投稿ビデオの出演者としては明らかにそぐわないダウジング山師が撮影人物であること、そして、証言をしてくれる現地住民のDQNなキャラ立ちがポイントであろう。この手のビデオでは、リアリティを出すためにちょっとした茶番が入っていたりするのだが、その茶番の一環として、DQN現地住民が細かなDQN的振る舞いをしながら、山の怪異を「いかにも田舎のDQNの間で伝わってそうな」体で語っていく下りが面白くてしょうがない。これは決して馬鹿にしているわけではなくて、そのリアリティがありそうで無さそうな、リアリティを演出しているのに同時にどこか胡散臭くなっているあの感覚が本当に最高で、そして怪異がおそらくUFO絡みなことも相まって、全体を通してメチャクチャな胡散臭さが漲っている。こんなに胡散臭い話ないよってくらい胡散臭い。そして続編である『夢を継ぐ』で、この山の怪異がまた別の形で他の投稿者たちにも災いをもたらしている、という作りは盂蘭盆にも共通する楽しさがある。

『呪いの黙示録 第一章』

 メインコンテンツであろう『ヌルデ』は寺内康太郎さんのいつもの芸風で安定して楽しめるのだが、本作の白眉は『新居』という短編であろう。これには頭を殴られるような衝撃を受けた。ネタバレをせずにこの作品を語れないので書いてしまうのだが、この『新居』の映像は本当に何の変哲もない、完全に普通の、家族が新居の内見に来ているだけの古ぼけた映像なのだ。本当に全く何の変哲もない。ないのだが、ナレーターが「この映像にはいるはずのない人物が一人映っている!」と断言するだけで、この映像が心霊ビデオになってしまうのである! 普通に内見してる家族の一人を「いや、こんな人は家族にいません」と言い張るだけで心霊ビデオにすることができる。これは凄まじい発見である。コペルニクス的転回。天才の仕事だ。

『Not Found外伝 いま、霊に会いにゆきます』

 信じがたい程によくできた傑作。リンク先で無料かつ合法で見れるのでぜひ見て欲しい。心霊ビデオを一本作らなければいけなくなり困ったディレクターたちが、「自分は霊です」とメールを送ってきてくれたおっさんを取材して、無理矢理に一本でっち上げようとする作品。「もっと白目を剥いて!」などのおっさんに対する演技指導や、おっさんの「いや、俺は普段そんなことしないから」みたいな反感、ディレクターとおっさんのサシ飲みでの仲直りなどが描かれる。……と、ここまでならNot Foundや監死カメラではおなじみの心霊ビデオの茶番的パロディ作品という感じなのだが、ここからガチのホラー展開になっていく。「えっ、ここまでギャグ寄りで進めてきて、ここからガチホラーに舵切り直すの無理じゃない?」と思うだろうが、本当にここからガチになるのがすごいのだ。本作では「普段は話が分かる気さくな人が豹変する」という恐怖類型が、三重のレイヤーで進行している。おっさんの過去の豹変、ディレクターの豹変、そして、作品全体を通じた豹変だ。その豹変のタイミングで、これまでばかみたいな感じで緊張感なく進めてきた茶番取材が、実際は「ずっと霊に関わっていた」「ずっと呪われていた」のだと気付かされる。危機感を抱かないまま呪いがいつの間にか侵食している。また本作では明確に言及されていない恐怖ポイントがあるのだが、物語のターニングポイント直前で、おっさんがディレクターの家に遊びに行きたいと申し出る下りがある。ディレクターはそれを断るのだが、もし家に招き入れていたら、被害に遭ったのは杉本ADではなくディレクターの家族であっただろうことを考えると、見終わった後で背筋がゾクリとなる。前半は心霊ビデオのメタ的コメディとして面白く、後半はそれまでの茶番がそっくりそのまま恐怖に置き換わる。恐ろしくよくできた作品であり、「霊による呪い」の新しい切り口を提示した作品と言えるだろう。

・ひとまず以上である。ホラーというのは個々人の好みの差が非常に激しいジャンルなので、私が上に挙げた作品が誰にでも受け入れられるとは限らないが、よかったら参考にしてみて欲しい。また面白い作品があったら後日レビューしていこうと思う。

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・いくつか宣伝。

 毎週書いてるけど、今週もジャンプの感想を書いたよ。

・あと、電子書籍出しました!

 ボドゲ制作に興味のある方はぜひ!

・育児エッセイ漫画の新刊も出たよ!

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<今後の活動予定>

2/17 初めての人歓迎会&今月のニュースと新連載を振り返る会(@マンガ技術研究会
2/28 定例会 (@マンガ技術研究会
8/23-9/1 豪華客船

※毎週金曜夜:ダンゲロス・ボードゲーム会(in東中野ディアシュピール)
↑休止中です

お布施の窓口:https://www.pixiv.net/fanbox/creator/1149979
(FANBOXに月額課金すると、その溜まったお金でかがみ家が豪華客船でクルーズします。いつか……いつか、その時が来たら……きっとします……)

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