新書『リアル人生ゲーム完全攻略本』発売です

   

「ええっと……これは……」
「これは……じゃないよキミィイ!! キミの運営している『人生』がクソゲーだって、プレイヤーから苦情が殺到してるんだよ!!」
上司がヒステリックに叫ぶ中、俺はこっそりとモニターの電源をオフにした。なぜって、まさにいま、俺も運営に寄せられた苦情の一覧に目を通していたからだ。プレイヤーどもから俺たち運営への苦情は毎日山のように届いている。

 大規模MMORPG『人生』を運営する神(YHVH・ゲームディレクター)。だが、プレイヤー(人間)からの苦情(嘆きや祈り)は日々絶えず、ついに上司(ブラフマー)が苦情の束と共に乗り込んでくる!

「お言葉ですが、部長」
俺は唾を吐き捨てたい気持ちをグッと押さえて、上司に抗弁した。
「四十六億年前にも企画会議でプレゼンした通り、本作のウリは高い自由度です。ゲームの勝利条件を探るところから既にゲームは始まってまして……」
「だからそれがダメなんだってば! キミィ、見なさいよ、この苦情の山を! とにかく、ゴールは分かりやすく、ハッキリ! ゲーム製作の基礎だよ、基礎! 分かってる!?」

「ゲームはとにかく分かりやすく!」という上司の方針により、嫌々ながらも説明書を書かされることになった神。『人生』というゲームの最終目的が、そして、ゲームシステムの詳細が、サービス開始から25万年経った今、ついに明かされるーー!

 だが、人類の反応は!

「有り体に言えば、『説明書』に書かれた内容はあまりに素朴すぎて、現代の複雑化した社会システムには十分に適用できないためだ。まるで使えない。『クソゲーを作りやがった上にクソ使えない説明書を寄越してきやがった。おまけに告知方法もクソだった』と言わざるをえない。仮にこの文書が五万年前に配布されていれば、われわれ人類にとって大いなる指針となり得たかもしれないが、今や、その力はない」

 まさかの総スカン! 揃って頭を抱える神と上司!

 ……俺は『攻略本』を手にしたまま、ぷるぷると震えていた。「まるで使えない」「五万年遅い」など言いたい放題だ。せっかく説明書を作ってやったのに、なんて奴らだ。

 そして、現代情勢に合わせて勝手に「攻略本」を作り始める人類! デリバティブ! 信用創造! シンギュラリティ! 「おれ、こんなシステム作ってないよ~~!」 嘆く神! しらんがな! プレイヤーの創造力がゲームディレクターを凌駕していく!? 

 圧倒的ゲーム脳による人生ゲーム化実用書、『リアル人生ゲーム完全攻略本』本日発売です!!!

※本作は架神恭介、至道流星による共著作品です。哲学的要素の強い「説明書」パートを架神が、ビジネス的要素の強い「攻略本」パートを至道が執筆しています。
 
 
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第13回トークメーカー座談会『共著を出そう!』

 なお、本書発売を記念し、共著に関する座談会が10/4の22時より上記リンク先にて行われます。こちらもぜひ御覧下さい。

 

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