【2/27】底辺焼肉2017

   

朝:ドーナツ
昼:ベーコンとおくらのしょうゆバタースパゲティ
夜:焼いた肉、酒

・肉……肉……焼いた肉……今日は焼いた肉をたらふく食らうのだ……。

・順を追って説明しよう。数日前、フェイスブックにこのような情報が流れてきた。

 これを見た瞬間、私の中で熱い血潮が蘇ってきたのだ。

・特に重要なのがこの一行である。

※ セール対象メニュー以外を頼む人は自腹でお願いします。

 世の中には妙に安いメニューを出す店がいくつかある。例えば30円から食える立ち食い焼肉、例えば一貫10円の寿司。無論、これらは客寄せパンダである。異様に安いこれらのメニューで耳目を集めて、もっと単価の高いメニューを頼んでもらうことで利益を出すシステムだ。それは客も分かっているから、そこそこの価格のメニューも頼んで、結局まあそれなりの料金を支払っておうちに帰る。そういう文化である。

・だが、敢えて言おう、「我慢ならぬ」と。

・い、一貫10円の寿司なんだぜ……。それを20貫食って200円払って家に帰りてえよ……。30円の焼肉を10人前食って300円払って家に帰りてえんだよ……。

・いや、分かっている。私がいかに邪悪な発言をしているか……自覚している……。だ、だがよォ~~。みんな心の底では思ってンだろ……。「セール品だけを食って驚くほど安く上げて家に帰りてえ」って。お、おれたちはよぉ~~、いつからそんなお上品な人間になっちまったンだ。回転寿司に入って腹が膨れるまでガリを食い続けた、あの頃のことを思い出すべきなんじゃあねえのかよォォ~~。店の都合とか大人の配慮とか、知ったこっちゃねえンだよォォ~~。

・そうして、志を同じくする十二人の底辺どもが新宿安安へと集ったのである。

・さらに私に至っては、直前までボルダリングをして極限まで腹を空かせていた。2000円使ってボルダリングして腹を空かせてからセール品の肉を食い尽くそうだなんて、考えうる限り最悪の客と言える。

 仁義なき戦いが幕を開けた!!!!

・本当に徹底してセール品のみを注文し続ける十二人の底辺たち。といっても、この十二人の中には年収一千万クラスの人間も含まれている。年収や社会的ステイタスではない。われわれの人間性が底辺なのだ!

・4人テーブル3つを占拠し、セール品を喰らい続ける底辺ども。幹事により粗末な空き缶が用意され、セール品以外のものを頼んだ輩は、ここに自腹の金を入れるというシステムである。だが、誰も金を入れたりはしない。タブレットの注文履歴には見事にセール品の六種類しか並んでいない。現場は「誰が最初に挫けてセール品以外を注文するか」というチキンレースじみた様相を呈し始めた。

「あっちのテーブルでは、もはや履歴しか見てないらしいぜ」
「なるほど、履歴からしか注文しないって作戦か。他のメニューを見る余地がなければ……」
「ああ、目移りする恐れはないってことだ」
「考えたな」

 などというよく分からない会話も交わされ始める。だが、そんな時、私のテーブルにて事件が起こった!!!

店員「ビーフステーキ2人前でーす」
底辺ども「!!!!!!!!!!」

 騒然となる底辺卓! 直ちに魔女狩りが始まった!!!

底辺A「おい、誰だ! ビフテキなんて頼みやがったのは!」
底辺B「店員が間違ったんじゃあないのか!?」
底辺C「各テーブル! 注文履歴を調べろ!!」
底辺D「ば、ばかな……! 注文履歴に……確かにビフテキが!!」
底辺E「き、貴様ァ~ッ!!」
底辺F「おい、そこのテーブルの四人、責任持ってこの空き缶に金を入れろっ!」
底辺G「く、くそったれ! 払うしかないのか!!」
底辺H「い、嫌だ! 俺は絶対に払わないぞ! な、なあ? 俺は食わないから払わなくていいだろ!?」

 まさかの誤操作! 見苦しく争い合う底辺ども! ちなみに底辺Hは私だ。

・悲しいトラブルこそあったものの、脱落者を出すことなく、チキンレースは進んでいく。「ごはん食べたい」「キャベツ食いたい」そんな言葉も漏れ始めるが、実際に注文しようとする者は誰もいない。同調圧力である!

・結果として、我がテーブルの注文履歴に燦然と輝く「ハイボール31円 個数18」の文字。卓上の牛タン用レモン汁をハイボールに注いで飲む底辺まで現れ始める!

・安安は網交換が有料(54円)なのだが、我がテーブルが網交換を行うや否や、周りから非難めいた陰口が飛び交う!

「あいつら……網交換しやがったぜ……」
「さっきビフテキ食ったからタガが外れちまったんだ」
「ケッ、きれいな網しやがって」
「文化的な食事しやがって」

 エッ、みんなまさか網交換すらせず最後まで食べる気なの……。エッ、それは私の底辺度をもってしても結構驚愕なんだけど。もはや人間性どころか文化レベルまでが低い。

 ウワッ、ひどい……。本当にみんな網交換しなかったんだ……ひどすぎる……。

・ハイボールは一人平均4.25杯も飲んでいる。肉は一人6.25人前ずつ食っている。それで一人頭1400円。こ、これだ……これがやりたかったんだ……ヒャッホーイ!!!

・酒を51杯飲んで1500円って本当に凄まじいな。

・しかし、誤注文のビフテキと我が卓の網交換以外、本当にみんな一品たりともセール対象外の品を注文しなかったんだな……。清々しい底辺さだ。こうなると、操作ミスで頼んでしまったビフテキが悔やまれる……。

・なお、参加予定だったが仕事の都合で来れなかった嫁にこの話をしたら、「あー、行かなくてよかったー」と心底からコメントされた。ケッ、お上品ぶりやがって。

・ところでボルダリング効果はやっぱりスッゲーな。私は肉をたらふく食った。他の面々の1.5倍くらい食った。酒もガブガブ飲んだ。それでも特に苦しくなったりしないし、常時ハイテンションで気分も高揚しまくってた。これがテストステロンってやつか。あの時の私は本当に野蛮人だった。

・完璧に酔っ払ったまま、東京ネームタンクへ。マンガ新連載研究会の宣伝活動の一環として、ごとう先生と『腹ペコのマリー』について対談を行った。

 さっそく動画をアップしているので、聴いてみてね!

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