【アオシマ書店】レビュー『雨月物語』

   

『鈴木先生』武富健治最新作は漫画訳『雨月物語』ホラーなのに妙に笑えてしまう

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 武富先生の『雨月物語』のレビュー書きました。明らかに面白いんだけど、なんとも面白さが表現しづらい。一つにはやっぱり「古典を読んでいる」感に由来する面白さがあって、それは現代人では表現し得ない古典ならではのレトリックや論理展開で、「あー、昔の本読んでるな」という気持ちになって楽しい。でもこれ、そのまま書くといやらしいんだよな。事実として「おれはあたまがよくなったぞ」の喜びはやっぱりあるんだけどさあ。あと『雨月物語』自体の筋立てが(現代的感覚でないとは言え)普通に秀逸なんだよね。
 
 で、もう一つはやっぱり武富先生の絵とリズムで、「惨殺半島 赤目村」なんかも、前半は特に怖いことは何も起こってないのに武富先生の絵で描かれてるだけで何か怖い。「まともな人が異形化する」表現が本作でも頻出するんだけど、その変わりようとかの表現力が強いんですね。あとリズム。おそらくこれが漫画太郎感を出してると思うんだけど、とかく言語化できない。面白いのに、何が面白いのか説明できない。

 すげえレビュワー殺しの作品なんだけど、これはもっと多くの人に読まれてもらいたいなあという思いで頑張って書いてみました。

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