【8/7-8】漫画家への企業案件のススメ

   

【8/7】

朝:ナポリタンスパゲティ
昼:米、純豆腐チゲ
夜:カレー

・今日はマンガ新連載研究会のヒアリングが4件もあった。

・マンガ新連載研究会はコンテンツがいろいろと増えてきて、やれることもどんどん増えてきている。一方で入会者もバラエティに富んでおり、「漫画家」「漫画家志望」「広告漫画家」「編集者」「サラリーマン(漫画は趣味)」「漫画家とのリレーションシップを望む他業種の人」など様々である。

・さらに漫画家志望だけ取っても、「連載目前」の人もいれば、「まだ描き始めたばかり」の人もいて、さらに「描き始めたばかり」の人も「いま20歳で描き始めたばかり」の人もいれば「60歳で仕事が終わったので描き始めた」という人もいる。

・なので、どういう人なのかをこちらが把握した上で、当会のコンテンツを人に応じて勧める必要があり、新規入会者ごとに1時間くらい話をしているのである。こういうサービスをやってるサロン、たぶん他にないんじゃないかなあ。

・例えばヒアリングで「漫画で食っていきたい」という強い気持ちを持っている人で、まだ成果が出せていない人には、

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ミニ講座「おまえらはまだコネのなんたるかを知らない」講師:坂場有妃子先生

 この辺のコンテンツを勧めている。上は企業案件(進研ゼミのように、企業から依頼されて描くタイプの漫画)を受ける時の営業・交渉・契約などに関するもので、下は異業種交流会などで知り合った人からいかにして(漫画の)仕事を貰うかというもので、どちらも基本的には企業案件に関するものである。

・ふつうの人にとっては漫画家とはジャンプやマガジンなどでオリジナル作品を連載するものだと認識されていると思うが、実際は企業案件も盛んで、「分かりにくいものを漫画でサクッと説明したい」という需要は実はたくさんあるのだ。そういう仕事はジャンプやマガジンなどの「花形」的な漫画の仕事から比べると日陰めいて思われるだろうが、漫画家として生きていくことを考えるなら、企業案件は今後もっともっと重視されていくべきものだ。実際、私は入会者には「企業案件も一度経験しておくと良い」と強く勧めている。

・幾つかの理由があるのだが、まずジャンプやマガジンなどでの「花形」的な漫画の仕事は、これはイチかゼロかの世界であり、結果が出せなければ(連載、もしくは読切に漕ぎ着けなければ)カネにならない。なので、担当や編集会議でボツになって「頑張ったけどダメ」という結果を繰り返している人には、まず「自分の漫画技術がカネに変わる」という体験をして欲しいのがある。イチかゼロの世界だと、イチにならなければ自己の全てが否定されている気持ちになると思うが、そうではなくて、実際は既に社会に受容される能力があること、出版社で上手くいかないのは「自分がダメダメダメのクソ虫」だからではなく、「クライアントの需要に合致できていない」のだと意識を変容できるようになる。

・次に、「いざとなれば企業案件で食える」という認識を持っておいて欲しいのがある。プロ作家の世界は、これはもう、おそらくどこの大手出版社であっても不条理がまかり通っている。訳の分からん理由で出版停止になったり、連載が突然立ち消えたりする。そういう時に商業出版でしか仕事をしたことのない作家は必要以上のショックを受けかねない。だが、「俺の漫画は他でいくらでもカネを作れる」という認識があれば、こういう状況にもある程度心の余裕を持って対処することができる。

・あなたの担当さんがどれほど心優しく気さくで、あなたと心理的紐帯で結ばれていようと、会社組織というものは上の方のよく分からん決断で理不尽な結果を作家に押し付けてくるものなので、とにかく油断は禁物である(そういう場合、担当さんはあなたと一緒に義憤に駆られ、あなたに心の底から謝罪してくれるが、しかし決定は覆らないのだ)。無論、信頼なくして仕事はできないので、ある程度の信頼はしつつも、他の可能性は常に模索すべきだし、保険はいくつもかけておくべきだ。

・ジャンプなど集英社の専属契約はそういう意味ではあまりよろしくない……。作家が自分で仕事を取ってきて、自分のスキルをカネに変える経験を積めなくなり、作家のサバイバル能力をだいぶ奪ってしまう。

・とはいえ、誤解のないように言っておくと、「そういう意味では」よろしくないだけで、集英社の専属契約は一定の契約金を支払うことにより、作家がオリジナル漫画執筆に集中できる環境を作ろうとしているので、これはこれで道理の適った一つの手法ではある(個人的にはリターンよりもリスクの方がでかいと思うが)。集英社の専属契約は業界全体で見れば非常に良心的な部類だ。

・話を戻そう。というわけで、そういうステージにいる新規会員には企業案件を勧めて、それに役立つコンテンツをオススメしている。「俺は俺の考える面白いストーリーを作品にしたいんだ!」という方や、「漫画はあくまで趣味、お金は本業で稼げるからいらない」という方には、また別のコンテンツを勧めている。ヒアリングを受けた人は「なんでこのオッサンは私のことを根掘り葉掘り聞いてくるの!?」と思うかもしれないが、実はこういうことをやっているのです……。

・ちなみに企業案件に関しては、マンガ新連載研究会の9/1の定例研究会において、トレンドプロ(企業案件専門で、企業と作家の仲介会社)の方にお願いして、以下の内容で1時間のミニ講義をお願いする予定である。

「はじめての企業案件」

講師:井田峻平

商業誌などでのオリジナル作品発表以外にも、漫画家にはお金を稼ぐためのいろいろな選択肢があります。
その中でも企業からの依頼を受けて広告漫画などを描く「企業案件」は、漫画家の選択肢としてどんどん重要性を増していっています。
これはすなわち、企業が漫画の力を認識し始めたということでもあります。

企業案件には「相手の要望を受け取り、需要を満たし、顧客を満足させる」という面があります。
しかし、それは、オリジナル漫画であっても同じことです(あなたはまず担当編集を満足させなければなりません)。
また、企業案件は「分かりやすく伝える」ことが重視されるため、アングルや構図の工夫が求められ、説明シーンなどでの技術力アップにも繋がります。
オリジナル作品で行き詰まっている方も、企業案件を通して見えてくるものがあるかもしれません。

今回は企業案件の仲介会社である「トレンドプロ」の井田さんにご登壇頂き、「はじめての企業案件」というテーマで、トレンドプロにて作家として登録し、実際に仕事をするまでの流れなどをご紹介頂きます。
企業案件という選択肢を身近に感じて頂き、漫画家にはいろいろな選択肢があることを実感して貰うのが目的です。

<予定内容>

・トレンドプロで仕事を貰うまで(ヒアリング→トライアル→ポートフォリオ提出など)
・絵のタッチを書き分けられる作家は有利
・企業とのやり取りはどうなるの?
・これからは企業だけでなく個人もお仕事の対象に?
・酒場で知り合ったオッサンから仕事を貰う方法

<企業が漫画化したいものの例>

・サービス説明
・マニュアル
・新入社員に対して「これ読んどいて」マンガ
・「これやっちゃダメだよ」的な注意喚起マンガ
・企業理念(社員向け/対外的向け)
・就活生・転職者向け情報

 というわけで、「興味がある方はぜひ入会してね」というCMであった。まあ、実際、漫画に関しては、色んなステージの色んな人の欲求にある程度まで応えられる組織になってきたと思うので、とりあえず様子見気分で入ってみても良いのではないだろうか。

 → ご入会はこちらから!
 
 
【8/8】

昼:チーズタッカルビ定食(@とんちゃんプラス)
夜:サンドイッチ

・妻がなんかよくわからない定型句をたまに発するので、元ネタを聞いてみたら「りょうくんグルメ」というツイッタラーの話だった。

 この最後の「全国の**好き、**を愛する者たち、**を憎む者たち、全ての**関係者に伝われ」が定型句らしい。

・上手いブランディングだなあ、と思ったが、それはまあちょっと置いておいて、この画像にガツンと心を惹かれた私は……

 実際食べに行ってしまった……。画像から受けた印象通りの満足感があったので、このツイートに関して言えば、りょうくんグルメの情報伝達能力は高いと言える。

・今日は動画収録と打ち合わせが二件。最近はほぼ組織内・組織間調整だけで毎日が終わってしまっており、クリエイティブなことになかなか着手できないのだが、妻をアシスタントに雇ったことにより、それにも改善の兆しが見え始めている。

 これは決して、狂気により妻を使役してこのようなことをさせているわけではなくて、このノベルゲーム制作ソフト(ティラノビルダー)の操作法に習熟するため、妻に習作を依頼したのである。

・妻が習作を通して、ティラノビルダーの操作法を覚えたら、そこから本ちゃんのボードゲーム版『ダンジョン&ダンゲロス』アプリの制作に入ってもらう予定だ。

↑こないだテストプレイしてたコレね。実際はボードゲームとアプリを連動して遊ぶ形を目指している(ボード上でコマを動かすと、アプリの方でストーリーが進行する)。アプリと連動することにより、物理的制約に縛られず、ストーリーなどを無限に拡張することができるのだ。

・妻のアシスタントがなければ、今週もクリエイティブなことに手を回せず、目の前の調整やコミュニケーションだけで日々が終了するところであった。感謝してる……!

・というわけで、妻によるほのぼのラブラブノベルゲームも近日完成予定なので、今のうちにファンボックスに課金して備えておこう! そろそろカナダ土産の抽選もやるよ!! 支援者限定記事「妻から見たカナダ」も読めるぞ。

 *

・今週金曜は毎週恒例のダンゲロス会が東中野であるよ!

・そして、22日には高田馬場にて、初心者歓迎のはじめてのダンゲロスナイト!

・また、26日には秋葉原のイエローサブマリンで体験会に参加予定だ!(まだ詳細が来てないので私にも分からないが、たぶん13時位からだろう)

・そして……!

『ダンゲロス1969』一巻のKindle版がセール中! 250ptバックで実質46%割引だ! まあ、第一巻に関しては物理書籍で買うことをオススメしますけどね! だって、帯の抽選券を送ったら岩波文子カードが全員プレゼントなのだもの。

 確か、応募期限が8月末までなので忘れずにゲットしてね!

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<今後の活動予定>

8月19日 コミティア
8月22日 はじめてのダンゲロスナイト
8月26日 イエローサブマリン・ゲーム体験会
9月1日 マンガ新連載研究会定例会

※毎週金曜夜:ダンゲロス・ボードゲーム会(in東中野ディアシュピール)

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