【5/28】編集者から才能がないと言われる謂れはない

      2020/05/30

朝:ハムエッグのサンドイッチ
昼:チキンカレー
夜:ラーメン

・真・女神転生4FINALを購入してしまった。

・昨日書いた通りの理由で、「まあFINALはもういっかな」と思っていたが、コメントをもらったのと、少し調べてみたら、仲魔の習得スキルに得手不得手が設定されているとのことで、女神転生シリーズが仲魔の没個性化にどのような対策で取り組んでいるのか、という点に興味が湧いたので買ってしまった。

・しかし、真・女神4の「数多の悪魔をガンガン合体させてバンバン使い捨てていく(スタメンを交替させていく)」という流れに疲労感を感じていたのも実際あるので、ここはプレイスタイルの方でなんとか対処したいところだ。ガンガン合体させてバンバン使い捨てるのはメガテンの伝統ではあるのだが、真4はそのスパンが早すぎて……。

・例えば、一体は同じ悪魔を最後まで使い続ける……とか。これは今までリリムでよくやってたんだよな。真3の終盤だとリリムはほとんどパスばっかりしてて、「実質3人パーティーじゃん!」ってなってたけど。

・真面目に仕事をしていると突然こんなフレーズにぶつかったりする。

・しかも父母仏ってことはまさに金剛牝豚がファックしている最中ではないか!

・中学生の頃に辞典を調べてたら、なんかエロいフレーズが目に入って、ずっとそれを読みふけってしまうみたいな、そういう感覚ですね……。

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・ちょっと真面目な話。こちらでアドバイスを行った。内容を簡単に言うと、出版社に持ち込みをしたら編集者から「才能がない」と言われて、漫画を描くことが怖くなった、という話。

・こういうのにアドバイスをするのは非常に難しい。というのは、私のアドバイス(以下に載せる)が正しくても、それを受け入れられる段階かどうかが分からないからだ……。今は受け入れられなくても、数年後になって「あ、そういうことか!」と分かるようなこともある。現段階で傷付いているなら、私のある意味一足飛びのアドバイスは、逆に投稿者を傷付けてしまう可能性もある。

・というわけで、少し考えた結果、「 参考にできそうだったらして下さい 」という一文を添えることにした。以下がその全文である。


以下に書くことは人によっては採用が難しいと思うので、参考にできそうだったらして下さい。

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まず大前提として「自分で描いた作品は自分で収益化する」のが基本だと考えるようにします。電子書籍でもクラウドファンディングでも同人誌でもなんでもいいんですが、お客様から直接に対価をもらう。これは決して簡単ではありませんが、現代では可能だし、今後はよりそうなっていくべきだと私は思います。

それで、プロとしてやっていくのであれば、かけた時間分のリターン(収益)が得られるように企画とクオリティを練り上げます。もしくはかける時間を減らして経費削減します(プロは手を抜くことも考えねばなりません)。
趣味でやっていくのであれば、自分が満足できるだけのリターンでOKです。ここで言うリターンは収益に限らず、フォロワーが増えるとか嬉しいコメントが付くとか友達ができるとかも含みます。

この考え方が当たり前になれば、質問者さんの悩みは解決すると思います。
出版社がリジェクトするのは「収益化できない」というあくまでビジネス上の判断によるものです(「才能がない」というのがどういう文脈か分かりませんが、その編集者の方は作品を作ることと作品でビジネスをすることを混同しているのではないかと感じます)。

なので、あなたが「いや、これは収益化できる」と考えるなら、自分で収益化すれば良いし、「趣味だから収益化できなくていい」なら、それだけの話です。「出版社がカネをくれたらラッキー」くらいの感覚でいると良いと思います。

大切なのは、プロとしてやっていくのであれば「この作品は収益化できる!」という確信。趣味でやっていくのであれば「いや、描きたいから描くんだし」という気持ちではないでしょうか。


最後に一点補足を。

プロとしてやっていくなら、かけたコストに見合ったリターンを……と書きましたが、一発目からとか初年度からリターンを出す必要はありません。最初から十分な収益化を考えると動けなくなると思います。
事業は何事も最初は投資のターンなので、「上手くいかなかったけど、やり方が分かった」とか「技術が上がった」とか「フォロワーが増えた」とかでもOKです。
収益化できない期間をどこまで許容するかは、各人の経済的体力(貯金)によります。

・ジャンプの新連載『タイムパラドクス・ゴーストライター』の一話を読んだ時も思ったのだが(支援者限定記事だが、読める方は当時の感想を参照していただきたい)、こういう問題は考え方を変えるだけで解決するし、その考え方が広まっていないことが問題であると感じている。

・以下、かなり「究極的な」話をする。ここで言う「究極的」とは、様々な問題(「しかし、この観点からはこう言える」「こういうこともできる」など)を切り捨てて、極限まで物事を単純化し、原理原則的な話をする、という意味だ。そのことをよくよく念頭において読んで欲しい。

・まず編集者は「良い作品」をジャッジすることはできない。個人としてはもちろん評して良いのだが、職業として「これは良い作品である」と判定することはできない。彼らに可能なジャッジは「これは収益化できる(可能性がある)作品である」であり、ここをまず混同してはいけない。彼らが「良い作品だ」と言う時は「これは収益化できる(可能性がある)」という意味だ。

・というのは、「良い作品」というのは究極的には個々人の感性にしか依存しない。例えば、ある作品があって、その作品が二人の男女を結びつけて、その作品に強く影響を受けて二人が結婚したとする。この二人にとって、その作品は「良い作品」に違いなく、その作品が市場で全く売れなかった(収益化できなかった)としても、二人にとって「良い作品」であることに変わりはない。どんな編集者にだってそれは否定できない。

・スポーティングソルトの話をしてるわけじゃないぞ!

・だから、われわれが編集者に作品を見せる時に、「これは良い作品ですよ」という姿勢で見せることがまず間違っているのだ。「これは収益化できる作品ですよ」というスタンスで見せるべきだ。

・といっても、これは商業主義を重視すべきという意味ではない。われわれは本質的には「良い作品」を作るべきだ。誰にとって良い作品か。まず第一には自分にとって良い作品でなければならない。良い作品が作れるなら究極的にはそれで良い。良い作品がカネに変わるならそれは幸運なことだが、カネは別で作っても良いからだ。

・だから、まずは自分の作品に対して、良い作品であると自負を持つ。次はその作品が「収益化できるし、良い作品」なのか、「収益化はできないが、良い作品」なのかを考える。私は後者を決して否定しない。作品を作りたいと思う気持ち、そうしてできあがった作品、その作品を愛する作者の気持ちは、売れようが売れまいが、資本主義経済とは何の関係もなく尊いものである。

・後者であれば、編集者が「いや、これは良い作品ですよ(収益化できる可能性がありますよ)」と言ってくれれば、それはそれでラッキー。前者であれば「収益化できるか」という点でコミュニケーションが可能になる。「収益化の可能性」を前提に修正や提案ができる。それでも最終的に編集者がリジェクトしたなら、向こうは「収益化できない」と考えたということだ。一方、こちらは「できる」と考えている。それならやることは唯一つ。シンプルだ。自分で収益化するのだ。

・このように、編集者の反応により悩む必要は本来何一つない。

・『タイムパラドクス・ゴーストライター』に「星を掴む」という表現が出てきたが、あれが問題を端的に表している。「星を掴む」必要など一切ないのだ。現代の漫画家はそんなあやふやなものを追いかけていてはいけない。もっと地に足の着いた考え方をすべきである。そして現代はそれができる。漫画版『勇者のクズ』という素晴らしい先行事例も存在する。後はどれだけ自分の作品を信じきれるかだ。

・もう一点、別角度から話をしよう。出版社はリスクを負って博打を打っている。連載をさせる、単行本を刷る。それらは全て博打であり、手元の金をベットして大当たりを掴もうとしている。一方で、従来、作家には博打の元手が不要であった。ノーリスク (少なくとも金銭的には) で馬券を買うような、そういう職業であった。

・だが、現代では作家は自分で収益化ができる。これは言い換えれば、博打にベットする立場になるということだ。制作費や印刷費などに数百万を投じて、それを上回る収益を確保するべく動く。言うまでもなく、これはリスキーな立場である。そして、そういう立場になった時に、あなたはきっと真剣に考えるだろう。「この作品は売れる(収益化できる)のか」ということを……。

・それを真剣に考えた時に、あなたは出版社と同じ思考・立場で話ができるようになる。編集者は目上の立場でもなんでもない。あなたのビジネス上の「オプション」である。あなたは彼らを活用しても良いし、しなくても良い。ゆえに「才能がない」などと言われる謂れは一切ないし、というかビジネスの話をしてるのにあなたは突然何を言い出したの?という感じになる。

・上記の論を見れば、私が作家を甘やかしているわけではないと分かるだろう。むしろ逆だ。修羅の道へと誘っている。だが、この道は極めて厳しいが、精神的にはむしろ安定するはずだ。そもそもが独立独歩であり、誰かに頼ったり、チャンスをもらったりするものではないからだ。

・悩まなくて良い事は悩むべきではない。この「基本的な考え方」を覚えておくだけで、悩みごとが解決する人が一定数いるのではないかと思って、今回、長文を書いた。これは究極的な話であるので、実際には様々な留保が付きまとうが、それらは「基本的な考え方」とは関係がないので省いた。出版社への持ち込みを止めろとか、絶対に自分でマネタイズしろとか言ってるわけでもない。この考え方を頭に入れた上で出版社との関係を作れば、無用な悩みを抱く必要はなくなるだろう。

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<今後の活動予定>


5/31 定例会 (@マンガ技術研究会
6/17 初めての人歓迎会&今月のニュースと新連載を振り返る会(@マンガ技術研究会

※毎週金曜夜(6/7までお休み):ダンゲロス・ボードゲーム会(in東中野ディアシュピール)

お布施の窓口:https://www.pixiv.net/fanbox/creator/1149979
(FANBOXに月額課金すると、その溜まったお金でかがみ家が豪華客船でクルーズします)

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