【11/19】レビュー「愛+少女」


 前回のレビュー「東京エロガンス」に続き、同じく、すぎ恵美子先生の「愛+少女」レビューです。
 

 東京エロガンスでは"ぱんつが濡れる男は良い男だ"という自説に基づき、男の目の前でいきなりぱんつを脱ぎながら告白するクレイジーな女子高生が主人公でしたが、本作「愛+少女」の主人公は違います。すぎ恵美子先生も「本作は『生と死』という重めのテーマを扱っています」といっているように、今回の主人公は重い十字架を背負った悲しい女の子なのです。

 そう、主人公の東条蒼子(16)は、心臓の先天性疾患により17歳までしか生きられない運命なのです……。


 でも、2ページ目からFします。

 ミッション系のお嬢様学校に入学しながらも、ナンパで知り合った男と礼拝堂でFしている蒼子。いや、しかし、彼女は余生一年。きっとこれも己の運命を思いつめた結果なのです。ほら、その証拠に彼女は懺悔を始めたではありませんか。


「告白します、神様…………今日も濡れませんでした


 東京エロガンスと何も変わりませんでした。流石はすぎ恵美子先生です。

 しかし、そんな彼女の淫行は担任の上田先生に見つかってしまいます。蒼子は口止めのため、上田先生のアレを自主的に咥えようとしますが……

「せっかくだが、俺は――濡れてもいない女相手じゃ勃たないよっ

 と、断られてしまうのです。おまけに蒼子がバージンであることまで見抜かれてしまい(先生が股間に手を入れて調べた)、蒼子は屈辱的な気持ちになります。

 そんな蒼子の話を聞き、彼女を慰める親友のももちゃん。そう、彼女は自分の過酷な運命に疲れているのです。ここは親友が常識的な慰めの言葉をかけてあげないと……


「ってゆーかァ、まだ本気で男の人好きになったことないでしょ蒼子ちゃん。本当の本気で恋愛したら、自分から脚開いて繋がりたいって思うもの


 親友も何も変わりませんでした。というか、すぎ恵美子先生は「ミッション系のお嬢様学校」は、こんなやつらばかりが通ってる学校だと思ってるんでしょうか。例え本当だとしても、僕たちの夢を壊さないで欲しい。

 で、まあ、その後、レイプされそうになった蒼子を上田先生が助けたりして(少女漫画によくある展開)、蒼子は上田先生が好きになります。その時の彼女のモノローグがこれ。

「告白します、神様。その瞬間、あたしの蕾は生まれて初めて、溢れるくらいに濡れました――

 やはり"濡れるかどうか"でしか男を判断できないようです。東京エロガンスと変わりません。神様も「今日は濡れた」とか「今日は濡れない」とか、そんなことばかり告白されてどうしろというのでしょうか。

 上田先生を好きになった蒼子は「SEXしたい」「SEXしたい」と直球で言い寄ります。授業アンケートの「今後の要望」欄にも「先生とSEXがしたいよ」と書くほどのクレイジーを見せ付けます。

 しかし、彼女の姉は心臓病を心配し「恋愛感情は心臓への負担が大きいから上田先生は諦めなさい」と忠告します。そんな姉に反発し、部屋で一人泣き崩れる蒼子。彼女の手には上田先生から借りた腕時計がありました。蒼子はその腕時計をそっと……




 股間に押し付けはじめるのです。こんな女には何一つ物を貸したくない。


「神様、あたしの蕾は濡れています。開くその瞬間を待って、切ないくらいに濡れてます――」


 そして、また神様への告白です。切なくなるのは、腕時計が愛液まみれで返ってきた時の上田先生だと思う。


 蒼子の「SEXしたい攻撃」はまだまだ続きます。上田先生を社会科資料室で待ち伏せて――



 秘技「ノーパン告白」。ぱんつを下ろして告白した東京エロガンスとやっぱり同じです。健康だろうが、余命一年だろうが、すぎ恵美子先生の描く女子高生はみんなパンツを下ろして告白するのです。上田先生の顔も青ざめていますね。

 ですが、蒼子を生徒として大切に思う上田先生は、決して彼女とSEXしようとはしません。すると、蒼子は……


 「だったらいーよっ。あたしが勝手に動いて、勝手にイクから…………っ!!」


 上田先生も「ばかなことはやめなさいっ」と言ってますが、まったくその通りだと思います。馬鹿なことはやめて下さい。

 で、それからまた色々あって、上田先生には妹を追い詰め事故死させてしまった悲しい過去があったと聞かされます。そんな話を聞いた蒼子は、通りすがりの教会に立ち寄り「先生と妹さんのために祈りたい」と言い出すのです。クレイジーな女の子だと思っていましたが、クレイジーはクレイジーなりに少しは良いところもあるんですね。




 クレイジーはクレイジーでした!

 僕が先生なら「妹さんのために祈りたい」と言いつつ、いきなり全裸になる女はたぶん殴ります。妹の魂をなんだと思ってるんでしょうか。ていうか、こんなことをされて妹さんが喜ぶと思っているのでしょうか。なんだか、彼女の余命が後一年なのは、彼女が罰当たりだからじゃないかとだんだん思えてきました。

 その後、上田先生は蒼子が余命一年であることを知り、ついに彼女とのSEXに踏み切るのですが……



 これはSEXシーンじゃなく、サスペンスシーンだと思う。


総評:すぎ恵美子先生は冒頭で「今回の作品は『生と死』という、ちょっと重めのテーマを扱っております。といってあまり肩に力を入れずに、共感して読んでもらえるよう目指してますです」と仰ってますが、これに共感するのはなかなか難しいと思いました。



 



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