【3/23】2009年17号のジャンプ感想(1)


こち亀

 部長は本当にくだらない人だな(´・ω・`)

 歌舞伎が高級だとか、落語が庶民だとか一体何を言っているのか……。以前の「ピカソは誰でも知ってるからダメ、フェルメールは知らないからOK」みたいな話だよな……。そもそも歌舞伎なんてのは元々庶民の娯楽なんだけど。ラストで両さんを舞台に投げ込むに至ってはもはやキチガイである。本当に部長は落ちるところまで落ちた。もう常識人の跡形もないよ、この人……。

「今回は日本の伝統歌舞伎を取り上げました。感想を待っています。<治>」

 これ、ちょっと真面目に書くと、「日本の伝統」はまあ良いにしても、「日本の美」だとか「歌舞伎は高級」だとかは歌舞伎の側からしても迷惑な話じゃないですかねえ。まあ、僕は歌舞伎の関係者じゃないので、外部の人間がこういうこと言うのもおこがましいんですが。

 というのも、アートの価値ってのは"受け取り手において"発生するものだと僕は思うのです。だから、アートを特定の概念に当てはめて固定化してしまうのはアートの硬直化に繋がるんじゃないかと。1000円で一幕気軽に見れる自由席があるということは、歌舞伎の側からしても「庶民的な娯楽」としての歌舞伎の側面を残したいということかもしれないのに、それを「桟敷は通で、一幕見席はパンピー」だと言ってしまえば、歌舞伎はそういうイメージで固定化されてしまいます。でも、実際は別に通人が一幕見席で見てもいいし、パンピーが桟敷でイヤホンガイドを聞きながら見物してもいい。そもそも舞台を見て内容を理解しなければいけない必要もないのです。歌舞伎はただ「そこにあるだけ」であり、後は僕たちがそれを「どう受け止めるのか」という問題ですから。

 たとえばパンクロックで言うならば、既存のロックミュージックに対するアンチとしての意味があったパンクロックも、アンチというスタイルが固定化されることにより、「硬直化したロックを破壊する」という「硬直」が生じる非常に皮肉な結果になったわけですが、歌舞伎についても、外部から歌舞伎のイメージを固定化することは歌舞伎本来の自由さを奪うことになりかねないと思うのですよ。なので、今週のこち亀は歌舞伎を称揚しているつもりで、実際は貶めてるんじゃないかなあ、というのが素直な感想。「歌舞伎は高級だ!」と言ってしまえば庶民には楽しめないわけです。でも、なんで歌舞伎に外連(けれん)があるかって、そりゃ庶民を楽しませるためなんですよ。

 極端で分かりやすい話にしないと子供ウケが得られないというのは分かるけど、秋本先生にはもうちょっと頑張って欲しいものです。今週の話では歌舞伎の良さが全然読者に伝わらず、むしろ「自分たちには縁のないものなんだな」としか感じられなかったと思うので。これじゃーまさに「パンクって難しい!(※)」って話ですよ!

※詳しくは拙著「完全パンクマニュアル」で。金がないならサイトでもおk。


ワンピース

 なんですか!? この100点満点の少年漫画は!

 ワンピースで「泣いた」とか、あんまりそういう感覚を覚えたことはなかったんですが、いやー、今回のはすげーなー。「落涙」とかいうレベルではないけど、いやでも、これはすげーよ。ルフィがウルフに噛み付いたところでグッと来たよ。まったく立派な少年漫画だぜ。

 なんと言いますか、今回の友情描写は「一方的な押し付け感」がなかったのが良かったです。ボンちゃんがルフィを救おうとするのは、それは立派な友情ではありますが、しかし、ボンちゃんからルフィへの一方通行ですよね。それが次にボンちゃんのピンチをルフィが救ったことにより、友情が相互に通いあったような感覚を受けたのです。やっぱ少年漫画の友情ってのは、悲壮的なものでも感傷的なものでもなく、強者が互いのために全力を尽くしてこそだよなーって感じ。ナイス友情描写!


 ***

 今週のワンピースは彼らが不死身であることを考えるとドラマとして成立しないのに、それを忘れさせるくらいの描写力があったと思うのですよ。あと、ボンちゃんとウルフのバトルで、ボンちゃんが善戦しながらも多勢に無勢でやられていく描写がすごく緊張感あって良かったです。ゾンビ映画みてーだった。僕、漫画の技術的なことは良く分かんねーけど、P55のバトル描写とか漫画家志望者は参考にした方がいいんじゃねーの? これ、すごいリズム感だよ。


ナルト

自来也「お前のことを信じてる」
綱手「お前のことを信じてる」
カエル夫妻「お前のことを信じてる」

ナルト「皆、勝手すぎるってばよ!!」

四代目「オレもお前のことを信じてる( ^ω^)」

「信じてる」の言葉と共に、皆から解決困難な命題を突きつけられ、己の限界に行き当たり、苦悩し、重圧に苦しみ抜いた挙句、ついには九尾の言葉のままに全てを破壊しようとしたナルト。「皆、勝手すぎるってばよ!」と父に叫んだナルトの気持ちも当然のものと言えるでしょう。しかし、そこにさらに父から加えられるプレッシャー。

「オレもお前のことを信じてる( ^ω^)」


 …………ナルトはすごく可哀想だと思いました。今まで散々ナルトの態度がムカつくとか言っててごめんね。ナルトは悪くないよ。ナルトは可哀想な子なんだよ……。ナルトにはとにかく幸せになって欲しい気持ちで一杯です……。


トリコ

 序盤のザイパーさんによる必死の上司ヨイショが素晴らしい。スタージュンさまが強いことはガッツリ伝わったよ! そして、そのスタージュンさまは絶賛空気イス中!

スタージュン「おかしい……。オブサウルスを手に入れてからの方が、明らかに辛い……」

 しかし、空気イス自動モードがないってことは、移動中のスタージュンさまはその場猛ダッシュしてたってことでFAなのかなー。海を泳いでた時は一体どうやってたんだろう。

 閑話休題。「生身じゃまず勝ち目はない」というココの評価がすごくいいですね。やっぱり毒は強いんだなあ。マゼラン署長と同じで、生身ならパンチ喰らうだけでも勝てちゃうでしょうしね。今週はこの台詞と歯のところで、四天王の個々の得意分野が明確になった感があって良い感じでした。トリコは腕力で歯を受け止め、サニーは論理能力で跳ね返すんだね。ちなみにアレって人間で例えるなら、梅干の種を噛み砕こうとしたら砕けなかったばかりか、謎の力で歯が押し戻されたみたいな感覚だったんだろうか。マンモスびびってんじゃねーかな。

 あと、ギドさんの死相の正体はザイパーさんじゃないかと思いました。ギドさんが負けたらザイパーさんが間髪入れずに襲いそうじゃね? 少なくとも止め刺すくらいはしそう。

ギド「クッ、ロボを通じて毒を送り込まれた。動けない。助けてくれ……」
ザイパー「ほほう、先ほどの礼に今度はオレが助けてやろう」
ギド「ギャー!」

 みたいな。

トリコ 3 (3) (ジャンプコミックス)
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おすすめ平均
starsいやぁ、おもしろくないわけではないんだ…
stars頑張ってほしい
starsやや失速気味?
stars前の巻からのつなぎと、最後の「引き」が秀逸
stars非常に面白かったです

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