【マンガ新連載研究会】『Dr.STONE』を読む【石になってもしばらく意識があるという発明】

   

 マンガ新連載研究会出張ラジオ、「Dr.STONEを読む」動画をアップしました。

・キャラ立てわずか2ページの妙(4:25)
・ごとう「会話なんて噛み合ってなくていい」(5:40)
・説得力のある「好きになれる女の子」(7:45)
・主人公の「ナメるなー!!」(9:52)
・石になっても「しばらく意識がある」という発明(11:00)
・ごとう「これだけキャラ立てると逆に悪目立ちする可能性も」(12:57)
・架神「吉田沙保里が生き返って仲間になったら嬉しくないですか?」(15:55)
・ヒロインからの「段階的ごほうび」の不在問題(16:34)
・「全人類のための行動」は読者が共感しにくい(20:02)
・構造のまとめ(21:40)

・この作品は凄くレベルが高い。おそらく稲垣先生は計算でこの話を書いている。そして、計算で書ける作品としては、この辺りがおそらく最高水準だと思います。

・何と言っても大事なのが主人公キャラのキャラ立て。これは速ければ速い程よく、短ければ短いほど良い。本作は実に1ページ。最初の1ページで大樹くんのキャラを立てて(さらに「主人公キャラの目的」も設定し)、次の1ページで先空くんのキャラを立て、次の2ページで二人の関係性を描いてさらにキャラを強化。わずか4ページで「主人公のキャラ立て」が終了。スゴイ。

・後ね、アメリカ大統領ね。ウン十億人の生活を握っていて、多大なる使命感を持っているであろう大統領が為す術もなく意識消失していく中で、「ナメるなー!!」と耐え抜く主人公ね! お前の恋心すごいな、大統領の使命感より上かよ。そして「ナメるなー!!」って誰に言ってるんだよ、でも大樹くんなら確かに言いそう。

・「冬に目覚めりゃ即ゲームオーバー」のクレバーさも良かったですね。個人的には『デンデラ』を思い出した。冬の姥捨て山に姥捨てられたババアが、気力で一冬を生き延びて春を迎えて、他の姥捨てられババアと共に村を作り、戦闘集団を結束して熊と死闘を繰り広げるファイティングババア作品の傑作ですね。いやまあ思い出しただけで本作とは何の関係もないんですけど。

・技術論に話を戻すと、漫画の第一話に必要な「主要キャラのキャラ立て」「作品の方向性(主人公たちの目標)」が高水準で達成されている。相当にレベル高いです。しかし、その上で若干の不安要素も残ってはいて、その辺は動画の中でごとう先生が言及しています。

・あと、ごとう先生の着眼点として面白かったのが「石になってもしばらく意識があるという発明」。確かにその「発明」がなければこの作劇はできなかった。「石になったら意識とかないじゃん。だって石なんだから」って普通に思っちゃうけど、そこを一歩踏み越えて「しばらくある」という設定にしたことで、今回の話が成立してるんですね。その一歩がスゴイ、と。

・そんなこんなを色々25分ほど話してる動画です。というわけで見てねー。

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