【12/15】2016年2号のジャンプ感想(読切『殺し屋ドミノ』掲載号)


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ソーマ

うーーーーん……。表面的には「最も安直でつまらない結論」なんですが、一応、テーマ的にはちゃんと成り立ってますね…。

今回、八百長おじさんトリオが八百長できなかったのは、一応、単に美味すぎたから、ではなくて、薊政権の思想が正しいと思っていたけど、薊政権とは異なるメソッドで生み出された料理も美味くって、「あれっ、薊思想ってそこまで押すもんじゃなくね?」ってなったってことですね。

なので極端に言えば、八百長の相手を鞍替えしたみたいな話ではありますね。料理の味を通して思想をぶつけあっており、思想感化力においてソーマくんは薊政権および叡山先輩に勝利した、と。

さらに極端な話をすると、ソーマくんが「これは薊政権とは異なるメソッドにおいて生まれたレシピですよ」と経緯を説明しなかったら、八百長おじさんトリオは「旨いは旨かったけど、まあ八百長の約束だからね」ってやって、ソーマくん負けてたと思う。

そういう意味では、今回の八百長破りは、ある意味、正面突破であり、少なくとも理屈上はそんなに悪くはない。「結局、旨い飯を食わせたら八百長を反故にしたんでしょう」というだけの話ではない…と思う。

けどまあ、あんまり面白くはないよね…。「ああ、うん」みたいな。たぶん突破する力が足りないんだと思う。ウチの掲示板に「この料理美味いでしょう? どうです、このレシピと引き換えに俺の頼みを聞いちゃくれませんかね…?」と叡山先輩と交渉するって予想がありまして。

今週、叡山先輩が必死に種明かしを求めてたから、「オッ、ひょっとして本当にその方向か?」って期待したんですが、それはなかったですね。それで叡山先輩の商売人気質を揺さぶって八百長を反故にさせれば、ソーマくんの底意地の悪さや強かさが目立って、爽快感があったと思う。

たぶん今回のは正解がいい子ちゃん過ぎたせいであんまり面白くないんだと思うなあ。理解はできるけど気持ち良さがない。あと、そもそも、そんくらいの事(薊思想が万事正解とは限らない)は子供に指摘されるまでもなく考慮に入れた上で八百長に臨めよおっさんども、という気もする。

従来の遠月思想と、薊新体制の思想と、両方のメリット・デメリットを比較した上で、薊思想をよりベターと考えて改革に踏み切ったのではなく、薊思想こそがベスト!唯一無二!と思って改革に加担してるんだったら、おっさんども、大人のくせにナイーブすぎるだろう。

あとまあ、少なくとも表面的に、「旨い飯作ったらなんか八百長クズに勝った」という読者のつまらない方の予想とほぼ似通ってたのが良くないですね。このつまらない予想を裏切って欲しいわけでして。実際ちゃんと裏切ってはいるんだけど、演出が地味すぎてそう受け取れないと思う。

今回は「八百長クズ」という本来勝ち目の無い勝負だったのに、なんか物凄い裏ワザとか用意せずとも、メシを作って、ちょっと経緯を説明して思想を揺さぶったら勝てちゃったから、ハードルに対しての、乗り越え方のインパクトが低すぎたのも原因かもしれない。

しかし、どうなんでしょうね。今回、この展開が巻頭カラーだし、なんか皆の力で勝った的なニュアンスあるし、文化祭辺りから結構ずっと微妙だと思うのに順位は高いしで、意外と主要読者層的にはこういうので全然オッケーなんですかね。皮肉ではなく、最近そういうのすごく思う。

料理もあんまりインパクトなかったですね…。餃子も、まあ旨そうだけど、食ってみなきゃ分からない感じの「旨そう」だし。ケチャップで豚トロとチーズのクドさが解消されるというのは、「そうなのか」とは思うけど、全然想像できないし、グルタミン酸の話をされても当然想像できない。

「こういう理由であれは旨くない」が凄く納得できるのに、「実はこういう理由だから旨いんです」の方の納得感が薄いのも問題か。カオマンガイに関しては「まあカオマンガイだよね」くらいにしか思わない。いや、カオマンガイはふつうに美味しいよね…。


アカデミア

こうたくん、小さなプロヒーローかと思ったら、ただのクソガキだった…。先週のあの威圧感溢れる引きのせいで、てっきりフェイタンみたいなキャラだと思い込んでいた…。

峰田くんは特定状況において100%確実にそういう行為に及ぶので、このままでも逆に扱いが簡単かもしれないですね…。いやでも待てよ。峰田くん、路上でうら若き女性が気絶してたら必ず挿入するのか。やっぱり人格面をイチから正すべきなのでは…。


ブラクロ

「この子……何て強さだい――…!!」 そりゃまあ怪力で人を吹っ飛ばす光景を見たのは、この婆さんも生まれて初めてだろうからなあ。プロレスとか見たらおったまげると思う。

「知るかよバァカ」 この状況でこの悪人ムーブができるのは、メガネおじさん、なかなか悪人として腹が据わってるな…。ちょっとウヴォーギンを感じた。まあ、ウヴォーさんの場合は仲間の居場所を問われての「くたばれ。バカが」なので、ちょっと違うんだけど。

現れた敵の新手が、強力な味方ネームドの先制攻撃の一撃を交わすのはベタでもグッドな展開なのに、魔法名が「ベトベトサラマンダー」なのは…やっぱり締まらないな! 


相撲

「えー、まだその問題、掘り返すのー?」と思ったら、大関さんも読者と同じ人気でホッとしたり。でも、しつこい気もするけど、こんくらいするべきって気持ちも同時にありますね。世のスポーツ漫画はクソ先輩やクソ不良が仲間になると同時に自動的に許される流れが多すぎるからなあ。

「道士郎でござる」は、主人公に感化されて仲間になろうとした不良を、結構延々と道士郎が邪険にし続けていた気がする。1巻か2巻くらい邪険にし続けてた気がする。


すじピン

「あの組を応援してるのってきっと俺だけだろうなー」 こないだ競技ダンス見てみたので、これは何となく分かるぜ! 全体は一気に見れないから、「よし、しばらくこのペアを見よう」と思って見るんですよね。「今このペア見てるの俺だけだろうな」って感じかな。

普通のことを普通にできて喜んでるのを見るのは、普通に楽しいですね…。なんというか、この漫画に対する評価と似通ってくるというか。「至って普通!! 極めて普通だ!!!」 まあ、普通がジャンプに載ってることが異常なんですけどね。さすが主人公、作品の顔だぜ。


暗殺教室

ふえええ、傭兵さんたちがヤムチャ化してるよぉぉ。地の利があると言われても全然納得できないぜ。そのくらい子どもたちが強くなってるということなんだろうけど、まだ全然納得できないぜ。ちょっと傭兵さんたちの格を上げすぎましたね…。

ていうか、傭兵さんたち銃持ってるんだけど、これ、今どういう状況なんだろう。傭兵さんが適当にぱらぱら撃つだけで盲撃ちでも子供たち死ぬ可能性あるよね。ホウジョウさんも謎のスーパー頭突き仕掛けただけだし(撃てばそこにいた子どもたち一掃できたのに)

これがどれほどリスクのある行為で、子供たちがどれくらい死の危険を押してこれをやっているのかがイマイチ分からない。殺せんせーと馴れ合いファッション暗殺を続けているうちに、子供たちが命の危険に麻痺しただけでなく、松井先生まで麻痺したのではないかと心配になるな…。


殺し屋ドミノ

面白かったです。「悪人だけど身内には優しい」がまずジャンプテンプレから外れてたんですけど、そこから一度「愛してるはずの娘を殺そうとする」に流れて、ここでアイタタタと思ったんですね。まーた、作劇の都合で、面白い設定をテンプレに戻しちゃうアレかよ、と。

が、そこからもう一度ひっくり返してくれたことで、パパと英ちゃんの関係性が腑に落ちましたね。商売のために拉致した子供を、無駄に虐待とかする必要は確かにないもんな。見せかけでも愛情とモノを与えてやった方が効率的に事は進むだろうし、悪人のムーブに納得できる。

ドミノの技は「リアリティが感じられない」と「漫画的にハッタリが効いている」の、非常に微妙なラインですねw 個人的にはギリギリ後者。ところでドミノの順位が低いのはなんでなんだろう。

あと地味にボディーガードの殺し屋たちが良かったです。順位が上がるごとに主人公の脅威を正確に認識している辺りとか。ていうか、こいつら、要人警護任務にバズーカ使うなよww 「よし、要人警護ならこいつの出番だ」「バズーカ!??」 ギャグマンガじゃねえか。

すげえどうでもいいことですが、おそらくテレビも見れない(外の世界があることを知ると自分の境遇に疑問を持つから)英ちゃんが、200m先の標的に拳銃を当てることが難しいのを知ってるのはスゴイなと思いました。子供の頃は拳銃で狙撃とか当然できるもんだと思ってたよ。

拳銃が接近戦用の武器だと知ったのは、下手したら大学入ってからじゃねえかな…。拳銃の性能を過大視したのは、小学生の頃に読んだ「リトルコップ」のせいか、それとも「シティーハンター」か…。


トリガー

うひょおおお、面白いいいい。ネームドを配置してのタワーディフェンスとか、ゲーム脳がズキズキ刺激されるうぅうぅぅ。屋上からのスナイパー狙撃と、地上からのガンナー中距離援護とか、得も言われぬ楽しさがある。言語化できない。とにかくゲーム脳が刺激される。

ゲーム脳的に特に素晴らしいのが、近距離職を経由したユニットが狙撃班にいたことで、敵の電撃戦からの近接戦闘に対応できているところですね…。荒船さんとか転職してるからレベルは低いけど、対応可能な状況が広がってるんですよ。めちゃくちゃ興奮する。

おそらく僕は子供の頃に好きなだけゲームをすることが許されなかったので、代わりにゲームの攻略本を熟読したり、ゲームのノベライズを読んだり、ゲームブックをすることで埋めていたため、こういう描写に興奮するようになったと思うので、共感が得られるかどうかは分からない。

漫画や小説で「ゲームっぽいこと」をしてるの大好きなんですよ…。ダイの大冒険はあんまりゲームっぽさがなくてイマイチでした。トリガーは本当にゲームっぽい。格ゲーっぽさもあり、FPSっぽさもあり、RTSっぽさすらある…。葦原先生、絶対ゲーム脳だろ。間違いない。

※なお、ゲーム脳という言葉は意図的に誤用してます。ご了承下さい。


サモナー

とても良かったです。ネビロスさん初登場回もそうなんですが、左門くんがクズであることが強調されると非常に読みやすい。召喚以外なんの取り柄もない必ず地獄に堕ちるクズだと思うと色々許される。

こうしてみると序盤、特に一話が微妙だったのは、このクズである左門くんが一応てっしーを助けたりして、「クズのくせにヒーローぶってる」感があったのが良くなかったのではないか。クズがクズをしてるのは気持ちの良さがある。クズが微かにでも良い子ぶると読者との乖離が生まれる。

「僕にそんな正論が通じると思ってんのか…?」「通じるとは思っていなかった。通じると信じたかっただけである」 この流れ、すっげー好き。


ものの歩

「一昨日から連絡ないけど大丈夫?」「オレ何か言ったっけ、ごめん!」 このダメ人間表現うまいな…。池沢先生、変なところでセンスあるよな…。

さっきのLINEのやり取りも付き合い始めのカップル感あるし、「掃除しちゃった」とか「今日は泊まっていきなよ」「あの竜胆ってヤツんとこ!?」とか、去り際に涙目で「僕のことを忘れないでね(意訳)」とか、分かります…分かりますよ、池沢先生…。ホモですね?


バディストライク

なんだろう、そんなに悪くないのに全然面白くない。何が悪いのか分からないんだけど、一つにはレギュラー奪取の方法が単純すぎることか。シカマキさんが軽々しくレギュラーの座を賭けるところとか、有力な控えになるかもしれない一年を雑用させようとするところとか。

そういう微妙なリアリティの欠如が積み重なって、この戦い(というかミニゲーム)自体の意義が重要に感じられなくなると言いますか。なんかすごい軽い気持ちでやってるから、なんかどうでもいい戦いなんだろう、で目が滑ってしまうと言いましょうか。


こち亀

呼び出される→ムカつくからノータイムで攻撃する、の流れが往年の両津勘吉でした…。懐かしい。

今週の話は「仁義なき戦い」を見てるかのようなところがありましたね。ゴロツキの中で才覚のあるやつが商売を始めて、周りのゴロツキたちの世話をしてやってるうちに親分に祭り上げられ、それが最後はふんぞり返って上納金を集め始めたり、女を手に入れたりする、この感じ。

このまま続いていったら、子分ネコの間で勢力争いが起きたり、子分のナンバーツーが裏切って「親父ィ、引退せえや!」と迫ってきたりする。

「肉球で打つのがすごい…両さん以外考えられない」もすごいですね! 「両さんならネコになったとしても肉球でスマホくらい操るだろう」という認識が、町内会の人々の間に自然と存在してるんですよ。すごい話だ。

あと、ネコなのに人間としての認識を持ち、人間と似た行動が取れる、というのは今週の話における両さんだけの特性のはずなのに、普通に犬がチェーンを振り回しながら現れる無軌道っぷりもすごい。今週の秋本先生はノリノリだな!


ニセコイ

これだけ「千棘と付き合うのも楽しいんですよ」ということを強調している一話なのに、読み終わった後の感想が、「よし、小野寺さんと付きあおうな?」しかない。

千棘はトゲトゲしてアレなところもあるけど、一緒にいて楽しい時間も実際あるんですよ、と言われても、それなら一緒にいると安定していつも楽しい小野寺さんでいいじゃん、となる。ていうか、「時々優しい」ってDV夫みたいだしな…。惑わされてはイカン気さえする。


ブリーチ

ミラクルさん、どんなにでっかくなっても、逆撫受けたらスッ転び続けるんじゃね?


トリコ

感想を述べることもできないレベルで理解が追いつかない…。もうダメだ。ちゃんと読んでる人たちを尊敬する域に達している。読解の努力すらできないという意味では現状スポソルより甚だしいのではなかろうか。


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