【11/18】2015年51号のジャンプ感想(『バディストライク』新連載&『カガミガミ』打ち切り号)


 ツイッター版はこちら(オススメ)から。


バディストライク

「キャッチャーなんて球を受ける壁」くらいにしか思ってないのは僕たち読者も同じなので(無論リードとかあることは知ってるけど、技術でストライクの球がボールになるとかは知らない)、キャッチャーでどれだけ変わるのか、というところには知的好奇心を惹かれますね。

しかし、ノーコンの扱いがよく分からないなー。最初から基本的にノーコンで、丁寧に投げようと意識すると更にノーコンになる。人でなく物が相手でもノーコンは変わらない。この前提でキャッチャーが変わることで何が改善されるのか? 

とりあえず後逸することがないから暴投になりにくいことは分かった。ノーコンは仕方ないとして、それでもたまにストライクゾーンは通るから、それで勝負していくみたいな? でも、最後になんでど真ん中投げれたのかはよく分からないな…。

「キャッチャーを気遣わず全力で投げればストライクが取れるのでは?→最初からノーコンだったっぽいし、気兼ねせずに投げれる空き缶にも当たらない」「目を離さなければストライクが取れるのでは?→空き缶に当たらない」。なぜストライクが取れたのか。

キャッチャーに取る気がある、という、やる気とか精神力の問題なのかな。「声もかけずにオロオロ」という問題点を指摘していたので、要くんは適切に声をかけてピッチャーのメンタルコントロールできるのが強みなの? 

これでノーコン問題をもう解決したことにするのか、それとも今回はたまたまストライク取れただけで次からしっかりその点を直していくのかで評価が変わりそう。今回で解決したことにするのは、僕はまだぜんぜん納得できてないので、ないなーって感じ。

(追記:ツイッターでのやり取りにより今回の流れが理解できました。主人公は空き缶に対して最初は命中させており(ボールを投げる描写がないから空き缶を投げて破壊した描写かと思ってた)、どうやら「相手が空き缶で」「目を離さなければ」ボールを狙ったところに投げる事はできる模様。ただし、さらに制球を意識して丁寧に投げると空き缶にも当たらなくなる(二投目以降)。「それを投げれば誰かが怪我をし」はおそらく悪球+豪速球でキャッチャーが捕れなくて怪我をさせたということで(普通はデッドボールによるバッターの怪我を考えるので混乱した)、死神くんがとにかく捕れるなら制球に気を遣わなくて良く(結果、悪球が抑えられ)、豪速球も問題なく投げれるのでストライクが取れた、ということかと。分かりづらすぎる!)

バディストライクはベリーバッドではないと思うんだけど、一話から「なぜ問題が解決されたのか」分かりにくいこの感じは不吉なものを覚える。

結局、コントロールしようと思わず思い切り投げればちゃんと制球できる、でいいんだよね。空き缶のくだりが分かりづらすぎるなあ…。一話でこの分かりにくさだと、連載が進むにつれどうなることやらという不安を覚える…。


暗殺教室

第二射の決行まで不穏分子を抑えることも計画に入っているなら、情報も制限した方が良かったのでは。生徒たちはもとより、殺せんせーの力を悪用しようとする勢力とか絶対目を付けるだろうし、世論誘導よりもそっちへの対策を優先した方が良かったのでは。

殺せんせーの力を手に入れて軍事利用しようと考えたテロ国家が、たとえばバリア発生ビルの一つを戦闘機で強襲…とかの展開が一番やばいと思う。9.11テロよろしく大質量で突っ込んでこられたらどうしようもなかろう。


アカデミア

うーーむ、今回の試験編はおおむねプロヒーローの格落ちになってしまった感が。生徒たちに一杯食わされ過ぎで、実戦だとこんなので大丈夫なのか的な不安がある…。物語の必然上、生徒側が知恵を駆使して、先生側は持てる力をただ使ってるだけの印象が強いのもネック。


ソーマ

「退学覚悟で外の連中に逆らってみるかい?」 いや、退学になるのはバットとか持ち出してる外の連中では…。もうなんか全然分かんないな。なんだこれ。何をやってるんだ。

あー、ゲバ棒(やりたかった感じは何となく分かった) 

1960年代とかの、何となくああいう空気(というか、ああいうネタ?)がやりたくて、そこから逆算してのこれなのか。相変わらず色々わからんままだけど、まあ良いかなってなった。やりたいことが分かるだけでも、「全然意味分からん」感は大分薄れるもんですね…。


トリコ

企画ページのまとめがありがたい…。しけし、ここまでしてもらってなお、なんとか理解できた(?)というだけで面白いと認識できない。学術書を読んでて、書かれている内容を理解するので精一杯になり批判的読書ができない、あの感覚に近い。


斉木楠雄

作家に必要なのは何よりも芯の強さですね…。今週の斉木楠雄は極めてデフォルメされたお話だけれども、もっと小さなレベルで似たようなことはごまんと起こってそうである。

ギャグマンガ日和だと、編集の至極もっともなアドバイスを持ち込みに来た新人が一切聞かないというネタもあるので、まあどっちもどっちな現実なのでしょうが。


すじピン

八巻先輩の衣装が道着っぽいのもあって蹴りを避けるシーンが格闘漫画に見えたり、土井垣先輩が新手のスタンド使い(スタンドがリオ先輩)に見えたりした!


ブラクロ

ディス&アスタさまだ! 久しぶりのディス&アスタさまだ!!! 今回は2ページにも渡る流れるようなディスで、貴族には貴族の、平民には平民のディスがあることを示してくれましたね! 

しかしあの酔っ払いはアスタさまが貴族だったり、下手したら王族だったりしたらどうする気だったんだ。レオとか問答無用で焼き殺すぞ。

酔っ払いが出てきてからのディス&アスタさま展開は、あまり面白さはなかったけれど、それでも暴牛メンバーの日常風景を描いてキャラが深まってたので、トータルで見ればそんなに悪くないというか、あんまりディス&アスタさまがげんなりする感じになってないですね。

やっぱりディス&アスタさまの問題点は意図の透けて見える安直なカタルシス展開というだけでなく、そのために活躍の焦点がアスタさまに集中して、他の脇キャラ達がいてもいなくてもいい、アスタさまを称えるだけの装置と化してしまう点にあったのではなかろうか。

なので、同時に他のキャラもしっかりと描かれた今回などは、安直な展開だなとは感じるものの(都合良くディスラー絡んできすぎだろう)、まあまあスルーできる感じになっている。

今回の酔っ払いディスラーは作劇の都合上、無から突然に生まれてきた存在なのだけど(唐突に出てきて必要なディスを必要なだけ並べる彼からは何らのバックボーンも読み取ることはできない)、以前のブラクロはネームドすら無から生まれてきてたからな…。電気ビリビリ先輩とか。

てか、魔法力が全てと認識され筋力が軽視されている世界で、体が小さいから相手を舐める、ってよく分かんねえな。

そういえば田畠先生がシスターへの恋心とかゴードンさんとかをまだ覚えてたのにびっくりしました。ゴードンさんとか、キン肉マンの「翌週になったら全く別キャラ」みたいな感じで暴牛の中に存在が溶けてなくなったのだと思ってた。そして、グレイは僕が思い出せない…。


ものの歩

「ちょっとだけ…楽しいと思ったのに。あそこでセーブしておくべきだったよ」それっぽいこと言ってるけど何言ってんのか全然わかんない台詞だ! なにセーブって。「ここまで楽しかったから、じゃあ帰るね。ここまでのことを思い出として取っておくよ」ってこと?? 

盛り上がってきた気持ちを抑える(セーブ)という意味のセーブなの?? 

今週はすごく塩を感じるな…。論理的なあやしさもそうだけど(それはこの後考えよう)、テーマ性が非常に塩っぽい。塩と類似したテーマをうまく扱えていない感じがさらに塩味を加速させている。

足りない要素は「昔楽しく遊んでいたゲームが、振り向いてもらうための道具になっていた」その過渡期における描写ですね。そこが描かれていないから全体としてちぐはぐな印象になっている。

十歩くんには「振り向いてもらうための理由」がないんだよな。「振り向いてもらう」ことに固執した結果が、現在の「ゲームを楽しめない」状況なのだけど、なぜ「振り向いてもらう」情動に駆られたのかが描かれていない。何を求めて、既に持っていたものを失ったのか。

なんとなく始めたらファンサービスに腐心するようになり初心を忘れて楽しめなくなった、くらいの意味なら理解はできる。

「十歩くんはゲーム大好きな少年。いつも友達と勝ち負け気にせず楽しくゲームしてるぞ。けど、ある日なんとなく実況動画配信したら全然見てもらえなかった。コメントの欲しい十歩くんはスーパープレイを配信し始めた! どんどんコメントが付くようになった!」 

「けど、コメントが増えるとクソみたいなディスも増えてきた! ファンサービスのために作ってる自分のキャラも辛いし、スーパープレイしすぎて周りの人も楽しく自分と遊んでくれなくなった。ゲームしてもつまんない…」 

「でも信歩くんは勝ち負けや効率プレイよりも楽しいプレイをしていて、そんな彼の姿を見てると初心を思い出したぜ! 大好きだぜ!」 まとめるとこんな感じ? 

クソコメの意図がよく分からないな…。クソコメのせいで嫌になってきたのか、信者もアンチも揃って嫌になってきたのか。これはたぶん後者なんだけど、すると、信者コメが喜びから苦痛に変わったタイミングとかがよく分からない。

一応論理的には繋がってるのかな…。一つ一つの要素の連関とか意味合いがあやふやで、効果的に機能していない、リアリティを感じられないのが積もり積もって塩っぽさが出てる? 

今週の垂れ歩とかも全然リアリティ感じられないよな。ダイアグラムで低い点付いててもそのキャラを愛して全国レベルで渡り合ってる格ゲープレイヤーなんていくらでもいるだろ。なんで今さら信歩くんの垂れ歩に感銘を覚えてるんだ。

(追記:これもツイッターでのやり取りにより理解できました。十歩くんは幼少期は勝ち負けにこだわらず弱キャラを使ってキャッキャとゲームを楽しんでいた。しかし、<一日20時間ゲームをするようなゲームキチガイだったために弱キャラも化け物みたいに強くなり、弱キャラで無双する十歩くんに嫌気が差して(この部分は推測)>友達が遊んでくれなくなった。十歩くんは構ってもらえないのが寂しくてゲーム動画配信に進出。ゲームキチガイなのでスーパープレイを連発して信者とアンチが付くも(=相手にしてくれた)、それは彼の求めていた「一緒に遊んでくれる友達」ではなかったのでなんか寂しかった。信歩くんは昔の自分を思い起こさせる楽しそうなプレイングだったので、かつての自分を思い出して感極まった)

↑理解はできたけど、話自体にはやっぱり無理があるような気がする。十歩くんにもう少し対人コミュニケーション能力があれば、「スーパープレイヤー」と「ゲームの巧い友達」は両立出来たと思うし、格ゲーの世界には弱キャラで一線級のプレイヤーと渡り合う実力者も普通にいるし(十歩くんは彼らと出会った時には今回みたいに感極まってなかったのか?)、十歩くんは「一緒に遊んでくれる友達」に「自分と同等の実力」を求めてしまってるのが辛い。「自分より下手くそでも負け続けでも楽しく一緒に遊んでくれる友達」でも良ければ何の問題もなく得られただろうに。

なんにせよ友達ができなかったのは人格的問題だよな…。強すぎて「十歩倒す同盟」ができた時に、普通は彼らと友達になれるだろう…。

あと多分そんな意図はないんだろうけど、十歩編は他を下げて将棋を上げてる感じがするのがなんかイヤさありますね…。そんな意図はないんだろうけど、「将棋は格ゲーよりも優れたコンテンツ」というメッセージを読み込んでしまう。

コメントへの反応もなー。「ネット上での反応は真の友人に比べれば価値の低いものです」的なメッセージを感じてしまう。

いかんせん将棋というコンテンツが歴史的に偉大すぎるせいで、「新参文化を見下している」ニュアンスが出やすいんだよな。ゲームなりネットなり引き合いに出すなら、かなり相手に配慮して立てながらやらないと尊大で花持ちならない印象が出てしまう。

たぶん作者にそんな意図はないんだろうけど、現状既にかなり鼻持ちならない。「へえ、将棋さまはおえらいんですねえ」「枯れないコンテンツだし、自己実現もおできになられる」みたいな気持ちになる。

ところで、実況プレイの生配信文化はよく知らないんですけど、対戦相手に対して「死ね」とか本当に言うんですか。ホントだとしたら民度低すぎじゃないですか。

(追記:結構そんなもんらしい)


こち亀

適切な助言をしたのに叱られて追い返され、なのにその尻拭いを強制され奴隷労働に従事させられるとか、ひどい話なんだけど会社とかではこれの業務版が普通にありそうだな…。


サモナー

体力クソのてんどんギャグとか凄く良かったです! いろんな手段を講じても体力がなければ何もかもままならぬ…。


トリガー

二宮さんすごいな…。この人、何やっても面白いと思っていたけど、まさか頭を下げても面白いとは…。

でも、木虎さんのこういう態度、普通に苦手だなあ。自他共に厳しいという事だろうしツンデレの一種かとも思うけど、職場の女上司とかにこういうこと言われたら心折れそうになるよ。

二宮さんが自発的に頭を下げて教えを乞うのはいいとしても、それを引き合いに出して自分に頭を下げることを強要するような態度とかどうかと思うし、それに応じて頭を下げることにも、なんというか茶番臭のようなものを感じてしまう。

頭を下げて教えを乞うって自発的にするから良いのであって、人に強要したり、言われてするようなもんじゃねえよなあ、と思ったり。

おお、設置系トリガー。また、おそろしく地味な新兵器が出てきたな…。いや、設置系好きですけども。遅速弾もいわば設置系のようなものだし、オサムくんには似合いなのではないでしょうか。しかし、葦原先生、なかなかのゲーム脳…。

スパイダーって触れたら爆発とかするんだっけ? これ、ボーダー内の模擬戦では良くてもネイバーがデカブツを繰り出してきた時にはどうやって使うんだろう(木虎さんどうしてたんだっけ?)。あと、一般人の避難とかの邪魔になりそうだな…。


ニセコイ

いや…あの…。変な伝統に縛られててクソだぜ、というのは読者みんなの気持ちであって、にも関わらず伝統に固執する独自の価値観を持つ母ちゃんが相手で、その相手の価値観をどう突き崩すのか、という話だったのに、母ちゃんも「私もクソだと思ってました」って。

読者がみんな「そんなの固執せんでええがな」と思ってる中で、あえて「絶対に固執するキャラ」を出したのに、そのキャラが「やっぱ固執せんでええわ」と言い出したら、なんだよそれ、ってなる感じ。

じゃあ何なんだよこの話は。親子で半日くらいしっかり話して解決しろよ。

楽「特に結婚とかしないけど結婚は止めに来たぜ!」マリー「絶対に逃げるという強い気持ちはないがとりあえず逃げ出すぜ」婚約者「結婚する気はないけど成り行き上することになり、グダグダになったからもう帰るぜ」母「伝統に縛られて生きていくはずだったけどまあもういいや」

なんか…すごい茶番臭しますね…。

あと、「病気なんです」ってなんなんだよ、それは楽も読者も当然知ってることだろ…。特に命にも関わらないし、なんでこんな事を今まで引っ張ってきたんだ…。

自分磨きの中に体調管理も含めようぜ。

価値観の違う相手の別の正義に対して、どう突破し、解決するのか。社会的にはどうするのか、マリーの病気の秘密が点と点を結ぶ線となるのか…?など、色々と考えてきましたが、分かったことは、ニセコイに過大な期待をしてはいけないということですね…。


ベストブルー

仲間の声援とか昔とは違う今の環境とか…………要は速く泳いだんですね。 


カガミガミ

なんというか…ここまでよく持ったな、という感じの作品でした。ヤンデレ自傷くんを除いて全く華がなかった。

特に主人公の設定が厳しかったと思います。クセのない真面目なよいこで、まるで面白みが無い。クセのない真面目なだけの子が幼い頃より言い聞かせられてきた使命を持ってるんだけど、社会と触れ合う中でその使命の意味を実感する…という「やりたい事」は分かるんですが。

いかんせん、ずーっと「面白みの無いよいこ」だからなあ。キャラ付のために変な曲者設定を加えられた主人公も痛々しいのでどうかと思いますが、ここまでクセがないのもなぁ。

トーナメント編とかもですが、大体やりたいことは分かるのに、そこでそれを描く必然性も分かるのに、ずっと面白くない、というすごく不思議な漫画でした。なんなんだろうな、これ。


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