【10/22】2015年47号のジャンプ感想(読切『Q.E.D.』掲載号)


 最初に宣伝を。ダンゲロスシリーズの最新刊が出ました、というか、自分で出しました!

ダンゲロス1969
ダンゲロス1969
posted with amazlet at 15.10.22
(2015-10-12)
売り上げランキング: 298

 講談社が出してくれなかったのでKindle出版です。なので紙では出ません。電子オンリーです。Kindleはスマホでも読める。なお、なんで講談社が出してくれなかったのか、とかは、LIGのインタビューで語ってますので、興味があればー。ちなみに現在の売上冊数は200冊弱なので、あと450冊売れれば講談社で出すより稼げたことになる……。

 *

 宣伝おわり。というわけで今回のジャンプ感想。ツイッター版はこちらから。


暗殺教室

レギュラーキャラの、それも片想い系のキャラの中からカップル成立が出てきたら、「ああ、そろそろ終わりなんだな」って思いますね(という感慨しか抱かなかった)。

烏丸さんからしてみれば、イリーナさんはただでさえ危なっかしいのが情が深くなってさらに危なっかしくなったし、ほっといたら死にそうだし、結婚したらそのへんは解決できるし、結婚相手としては決して悪くないしで、なんていうか、その結論はすごい分かる。理解できる。

烏丸さんの強い恋愛感情を理解できる、じゃなくて、そうするのが一番妥当で悪くない選択肢なので、その選択を選んだ気持ちがすごく分かる。理解できる。

イリーナさんがゴリラみたいな人だったら、またちょっと違ってくるんだよね。それだと烏丸さんは自分の人生を犠牲にしても迷える女性を救う自己犠牲的なニュアンスになるんだけど、なにせ美しいからな。「まあいっか」ってなる。すごい分かる。


ハイキュー

今週めちゃくちゃ良かったです! 田中先輩の股間に日向くんがゲロ吐いた時以来の面白さだった。

後輩の吐いたゲロを股間で受け止める先輩ってすごくイイですよね(ステルスマーケティング)。

怪傑教師列伝ダンゲロス
(2015-09-27)
売り上げランキング: 2,495

閑話休題。天童くんのゲス顔がメチャクチャ気持ち良かったです。相手を凹ませて屈辱に悶える姿を見て快感を覚えたいからバレーやってます、というストレートな欲望があって、それが叶った瞬間のゲス顔。たまりませんな。菅原さんの屈辱に悶える姿もたまりませんな。

いや、決して性的な意味ではなくてですね。無論、仮に彼らが女子高生であれば性的な意味でも素晴らしいんですが、そうではなくてですね。対人戦ゲームって実際、相手を凹ませて楽しませたい、って要素デカイと思うんですよね。

こないだフットサルやってて、「かがみさんはプレイヤーとしてはウンコだが、フェイントを喰らって『うわあぁぁああ』と声を上げて混乱する姿など、リアクションは満点だった」と褒められた(?)んですが、要はそういうことだと思うんですよ!!! 

相手の悔しがる顔が見たいんですよ!!! 格ゲーとかでも中段、下段、めくりをバリバリ仕掛けて相手は必死にガードするんだけどついに混乱して、「うわあああ、もう訳わかんないよおお」ってなってボコボコにするとキモチイイじゃないですか! まあよくされるんですけど! 

なので天童くんの気持ちもよく分かるし、菅原さんの凹み顔は満点だし、天童くんの気持ち良さがバッチリ伝わってきて、今週のハイキューはすっごい楽しかったです。

「スポーツの気持ち良さ」「スポーツの楽しさ」は爽やかな方向で描かれることが多いと思うんだけど、こういう、ある種後ろめたい愉しみといいますか、相手を凹ませて悶絶する顔を見るのが気持ちいい、という点でスポーツの楽しさを描いたのはなかなか珍しいのでは。

悪役とかでは普通にいると思うんだけど、天童くん別に悪役じゃないし、正々堂々とゲームをしている立派なスポーツマンのスポーツの楽しみ方として、「相手が凹んで悶絶している姿を見るのが気持ちいい」を描いたのがスゴイ。

しかし、今回のハイキューは色々考えさせられるな。漫画の楽しさとは何か、と言いますか。一つには爽快感だと思うんだけど、今回のは爽快感とは違うんだよな。誰かが気持ち良くなっているのが、読者に伝わって気持ち良いと言いますか。セックスかよ。

「天童くんの特殊な愉しみが描かれた」「その愉しみが満たされた」ということかな。つまり、キャラクターの表面的ではない、奥深い個性が描かれて、その個性が十全に発揮された、ということか? 要は「すごくキャラが立った」ってことなのかなぁ。

あとまあやっぱり、「相手の凹んでる顔見るの楽しいよね!」「相手を凹ませるの楽しいよね!!」っていうのを、堂々と描いた突き抜け感かなあ。この作品は絶対にその姿勢を否定しないという信頼感もある。妙な倫理観で現に存在するその愉悦を否定したりはしない。


ソーマ

これ、とりあえず現行の十傑がいる今は良いとして、模倣しか学んで来なかった次の世代はどうやって創作する側(十傑側)になるんだろうか。……まあ実際、模倣しかさせなくても才能があれば勝手に創作はすると思うんだけど。

しかし、十傑の人たちがなんで薊さんに従ってるのかと思ったけど、少なくとも一席の人にとっては、周りの人たちがヘマして足を引っ張らなくなるなら歓迎かもしれんね。

でもオリジナルレシピって料理人の独自武器みたいなもんなんじゃないかと思うんだけど、創作したレシピを片っ端から共有される状況は十傑的にもどうなんだろうな。グルメ共産主義か。

学園から離脱し、独立採算制を貫いている極星寮をどうやって粛清するんだろう。独立採算制ということは、敷地内に施設を構えているので土地代を学校側に支払ってるんだろうか。単に値上げをするのかな…地上げするのかな…。地上げ料理人との対決とか、字面は面白いな…。


アカデミア

あー。先週の掲示板の感想で、「意外と議論が成立しないのは、轟くんみたいにパッと否定できない正論をサッと言ってくる相手」みたいなのがあったけど、あれが本当に問題点だったのか…。轟くんの作戦案が妥当すぎて全然そんなことまで考えが及ばなかったよ。

八百万さん、登場初期は轟くんと同じ格のキャラだったんだけど(その時の印象が強すぎて、まだ僕の中ではあまり変わらないくらいの格はあった)、本人はあんなに自信喪失してたんだな…。瞳術使いに対してスタングレネードを作り出すみたいなのが本来の戦い方なのか。

既存の物品や兵器であれば、相手の特徴を見抜き次第、何でも対抗できるアイテムを作り出せるって、めちゃくちゃ強いような気がするな。ステイン相手でもフルメタルアーマーとか作って着込めば切り傷は負わないのではなかろうか。いや、着込んでる余裕がないだろうけど…。


銀魂

作劇上の都合とはいえ、河上彦斎がモデルの河上万斉が、銀さんたちから突撃指南を受けている構図は残念なものがあるな…。いやまあ、こういうのにうんたら言ってたらキリがないんですけど、じゃあ河上万斉の銀魂におけるキャラの特徴ってなんなんだよ、って思わなくもない。

河上彦斎のイメージで、河上万斉もフラッと行って人を斬って帰ってくる感じだと思ってたから、敵の弾幕の中を突進して切り捨てるのはまさに彼の役柄だと思ってたんだよね。そこがなくなった以上、河上万斉はどういうキャラなんだろうか。


すじピン

やっぱりひらりちゃんの立ち位置すごいな。下手したら邪魔になりそうなのを、自然な感じで収めているというか。主人公とヒロインを擬似カップル、疑似恋愛関係と見立てると、そこに第三者の女の子がポンといるわけでしょう。普通なら邪魔だよな…。

しかし、そういうクリエイター視点から見ての「巧みさ」を置いとくと、あんまり書くことがないなー。「楽しい部活」のシミュレーション漫画としては粗がなく、読んでてほっこりし、読み味も良いのだけど、語るべきことはあまりない…。

どうなんすかね。面白いには面白いんだけど、人に勧めづらいというか、話題に乗せにくい面白さというか。もうちょっと世相を騒がせる強い要素がなんかあってもいいんじゃないかという気がするけど、天下のジャンプで票が取れてるんなら小細工は要らんのかな。

いつ食べても美味しい近所の和風あっさり醤油ラーメン屋という感じで、自分一人が食べてほっこりする分には申し分なくても、人に魅力を説明する上で分かりやすい推しどころがないと言いますか。

でもジャンプに掲載している=超過密都市に店を出してる、みたいなもんだから、人口ががっつりいる場所なら一人一人がラーメン食べてほっこりして帰るだけでも店は十分稼げるだろうし、なんのかんの口コミで客も増えそうな気もするんだよな。


ものの歩

同級生とまともに会話できない特性、ちゃんと残ってたんだな…。作劇上の都合とはいえ、こないだはゲロ吐いてる人が「対局で負けた」ことを理解する察しの良さを見せていたので、その辺もなあなあになっていくのかと思っていた…。

後半の「プロ目指す奴なんて全員天才で努力家」とか「努力が下手糞、要領悪いと上にいけない」とかはソリッドで良かったんですけど、中盤の「あいつ手抜きしてた」「まあ俺も本気じゃなかったけどな」は脱力しちゃうし、ちょっとベストブルーめいている。

まずもって「勝負」という形式でやってるのに、わざと負けて場を収めるとか、コミュニケーションの手段にしているのにガックリ来る。読んでる方としては常に全力で勝負して欲しい。接待ゴルフかよ。

でもって、ベストブルーがそうなんだけど、その競技のことがよく分かっていないから、それにまつわる他のニュアンスが上手く伝わらないんだよな。ベストブルーは隣のレーンで泳いでるやつがどれだけ主人公に影響を及ぼすのか全く理解できない。

なので、「将棋で手を抜く」というのが実際にどういう事なのか理解できない。5分考えるべき場面で1分しか考えないとか、複数の選択肢のうちから二番目にベストな手を選ぶとか、そういうことなの? 何となくは分かるけど、実感をもって伝わらない。

というわけで、接待ゴルフならぬ接待将棋と、「手加減って何してんの?」というよく分からんさのWパンチで緊張感が失われてグダっており、後半の緊張感を考えると実にもったいない中だるみだと思うのです。


斉木楠雄

楠雄くん、何気に同類(能力者)には能力バレ100%じゃないか? 


ブラクロ

アスタさますぐまわるぅー。まわれば解決すると思ってるぅー。

地面から突如飛び出した氷柱に腹を打たれても刺さりさえしなかった鋼鉄の皮膚を持つアスタさまの体を貫通するだなんて、なんというこうげきりょくなんだ! 

爆乱焔の何が強いのか全く分からんあたり実にブラクロである。スト2で言えば波動拳くらいのイメージでしかない。これがヒットしたからといって誰一人倒せる気がしない。ここで敵ネームドを脱落させられないにしても、もうちょっと強そうなエフェクトにしてあげればいいのに。

ネームド魔法騎士団の連中が一斉に戻ってきた展開はちょっとアツかったです。こいつら、ちゃんと有事には協力できるんだな。魔法律協会よりはだいぶマシだ。

ネームド団員が戻ってきたことで不利を悟って敵が退いたわけですが、アスタさまが止めなければ、やることやった彼らはおうちに帰ってて同じ結果になってたんだよな。敵の撤退を阻止した時点でアスタさまは冷静とは言い難いのでは。

フエさんを狙った目的が彼の命にあるのか、彼の細胞(とか腕とか)にあるのか分からんけど、前者ならアスタさまじゃなくてフエさんを連れ帰るべきだよな…。

ただ、研究目的か操作目的か分からんけどアスタさまを浚ったこと自体は大正解だと思う。これまでの魔法をメインとした戦術理論を根底から覆せるかもしれない能力持ちなわけで。アスタさまの秘密を解明して魔道具の形で普及させることができれば各国のパワーバランスが崩れるぜ。


サモナー

悪魔相手に睡眠のバステ投げつけてるの見るとメガテニストの血が騒ぎますね…。しかし、バステ魔法を使って、「もっと正々堂々と戦え」と言われるのはちょっとブラクロめいた不条理さを感じる…。脳筋をデブッファーで倒すとかゲームの醍醐味じゃないですか!(ゲーム脳) 


ニセコイ

「だってキムチですよ?」「キムチのこと忘れたんですか…?」 皆はそう言う。だが、僕は信じているんだ。今の古味先生は昔のキムチしてた古味先生ではない。この難しい展開にもきっと読者の納得のいくアンサーを用意してくれるって。キムチなんかじゃないって。さあ、読むぞ。

「傲慢ですね、寒気がします」 ほら! 古味先生もちゃんと分かってるんだよ!! 

うん……まあ。妥当な展開なんじゃないかな。恋愛関係とか結婚とかとは別に児童虐待めいた状況があるのは確かで、そちらを友人として解決したいという気持ちは全然理解できる。

残る問題は社会的な問題(そうは言っても母は母で親としての社会的な立場と力がある)と、旦那さんがひたすら可哀想なので、そこをどう上手く解決できるか、ということか。特に旦那さんだよな…。来賓の前で大恥をかかされるぞ。

十代女子高生と結婚できるおっさんは確かに羨ましいは羨ましいのだけど、何度も繰り返してきた通り、配偶者の健康状況ってその後の結婚生活を考えるにマジで軽視できないファクターだからな…。相手が病弱だと遊びにも行けないし家事負担も介護負担も生まれる。

40代バツイチのおっさんならその辺のことはリアルに肌で感じてると思うし、それでもなお病弱なマリーを配偶者に選んだというのは、背後にどういう事情があるのか分からんけど、かなりの覚悟だと思う。それをこんな形で、来賓の前で恥かかされたら実際堪らんよな。

いやホント、ずっと親しくしてきて関係性を育んだ相手なら、相手が病気に倒れてもそれも受け入れられると思うけど、最初から病弱で関係性を育むことすら難しい相手を一生の伴侶にするとか、マジで自己犠牲レベルの覚悟いるよ。

なので旦那さんの側にも相当に特殊な事情が背後にあると思うんだよな。…あると信じたい。それとマリーの健康に関する明かされていない秘密がうまいこと絡み合って、旦那さんに大恥をかかせない形で上手く着地してくれることを祈ってる…。


トリガー

ええっ…影浦隊には、17歳女子がおこたでウトウトしているような空間がデフォルトで与えられてるの…。どの隊よりも圧倒的に羨ましい。

「さてはチカ子に惚れたか?」「……そんなんじゃないよ」 ウソつくなwwwwwww 

先週の「訓練だと当てれてランク戦だと当てれない」問題に疑問を呈している人がいたけど、あの違和感がちゃんと今週のアンサーになってんだな。

レッドバレットがシールド貫通性能なのもなるほどなー。この手のバステ能力って「クリーンヒットできるんならバステ与えてないでそれで殺せよ」ってなりかねないんだけど、防御貫通とかの他にない特性が付与されてるなら納得できる。

アフトクラトルは要するに貴族制か。ハイレインさんは何となく悪いイメージがなかったから、止むに止まれぬ事情が背後にあってのヒュース置き去りかと思ったけど、なんか普通に腹黒い人だな。いや、実権を取らざるをえない止むに止まれぬ事情があるのかもだけど。

そして、そんな政争や計略とは全く無関係に、戦力が落ちることを加味しても、なお粛清対象にされたエネドラさんはどんだけトラブルメーカーだったのだ。


Q.E.D.

ん…ううん? なんだかよく分からないぞ。なんだこれ。話がここから展開するのかと思ったら、しないまま終わって変人主人公の紹介だけで終わってしまったというか…。起承転結の承で終わってしまったような印象の漫画だ。


こち亀

前半、有栖川巡査の「恋愛感情を抱かれたくない」という思いと振る舞いがガチすぎて、同じ男として見ていて辛さがある…。秋本先生、ちびっ子たちにはこういう描写は少し早いのでは…。


ベストブルー

ここに至ってもまだ「要するに全員が全力で速く泳げばいいんだよね?」としか思えない…。ダメだ、この漫画はダメだ。力を貸してくださいとか、各人が1.5秒差付けるとか、水神を倒すとか、どんなにドラマを描こうとしても全部「要するに速く泳げば…」にしかならない。

「能書きはいいんだよ、とにかく全員速く泳げよ」 この一言の前に全てのドラマ性が否定されるおそろしい漫画、ベストブルー。


カガミガミ

駆け足展開すぎて楽しめないぞう。様々なきもちが「話が急激に進んでいくなあ」の感想に全て上書きされる。


★宣伝:拙著『ダンゲロス1969』発売中。みんなの感想をまとめたよ。

ダンゲロス1969
ダンゲロス1969
posted with amazlet at 15.10.22
(2015-10-12)
売り上げランキング: 298

【過去ログ】

【カテゴリー】

TOPアドレス
当サイトのTOPアドレスは
http://dansyaku.cagami.net/
です。
管理人:かがみ
パンクロッカーで作家。忙しくてもジャンプは読むよ。許斐剛先生を尊敬してます。

好きな漫画:テニスの王子様
好きな映画:テニスの王子様
好きなアニメ:テニスの王子様
【僕の本】

kaiketu_mini.jpg

[NEW!]
ダンゲロス1969
HP / amazon


kaiketu_mini.jpg

怪傑教師列伝ダンゲロス
amazon


bakadark_mini.jpg

戦慄怪奇学園ダンゲロス
amazon


bakadark_mini.jpg

ダンゲロス・ベースボール
amazon


bakadark_mini.jpg

「バカダークファンタジー」としての聖書入門
HP / amazon


jingi_mini.jpg

かわいい☆キリスト教のほん
HP / amazon


jingi_mini.jpg

作ってあげたいコンドームごはん
(amazon


jingi_mini.jpg

仁義なきキリスト教史
HP / amazon



飛行迷宮学園ダンゲロス
HP / amazon



新装版完全パンクマニュアル
HP / amazon



戦闘破壊学園ダンゲロス
HP / amazon



もしリアルパンクロッカーが
仏門に入ったら
HP / amazon



完全教祖マニュアル
HP / amazon



よいこの君主論
HP / amazon



テニスの王子様
[全国大会編]
爆笑・恐怖・激闘
完全記録

HP / 販売サイト



完全恋愛必勝マニュアル
HP / amazon



完全HIPHOPマニュアル
HP/amazon



完全覇道マニュアル
HP/amazon




完全パンクマニュアル
HP/amazon

amazonならびに全国書店にてひっそりと販売中。
【最新のエントリ】


誰でもどこでもLINK FREE!