【9/22】2014年43号のジャンプ感想(新連載『Sporting Salt』&読切『本当にはなかったし別に怖くもない話』掲載号)


【宣伝コーナー】既に各所で話題になっていますが(ありがたいことです)、僕の新刊『作ってあげたいコンドームごはん』が発売となりました。Kindleで250円。iphoneやAndroidでもKindleアプリをインストールすれば読めますので、どうぞ皆さんよろしくお願いします。撮影と材料費で1万円かかってるから60部は売れて欲しい。いま半分くらい。

作ってあげたいコンドームごはん
(2014-09-17)
売り上げランキング: 278


スポーティングソルト

 ああ…………うん。

 いや、説得力が、ないですね……。小学生の徒競走なんて特に技術もヘッタクレもなくてほぼ天性オンリーな世界だろうから、今まで走ることさえままならなかった子が走れるようになったら、いきなり勝てるようになる……のも不思議では…………えっ、なるの??? ホントに!??

 どうもなあ。そういうもんなのかもしれんけど。なんかなあ。三角点が凝ってたらまともな運動すら難しくなって、それがポンと叩くだけでほぐれてきれいに走れるようになるの?? んあー、ううんー。ダメだ! やっぱり説得力がない。絵柄はとてもかわいいと思うんですけどねー。ストンと腑に落ちないお話といいますか。なんだろ。主人公を魔法使いみたいなもんだと思って読めばいいのかな。「そもそもプロのスポーツドクターを学校が雇えよ」とか思っちゃうぜ。


ヒーローアカデミア

 お茶子さんの背中を必死にさする飯田くんのキャラ立ちがすごい! 初対面での悪印象はもう完全に吹っ飛んだ! むしろこの漫画で一番好感持てるキャラになってしまった! すごい!!

 そして爆豪くんの安易な闇堕ち展開を防いだのと、オールマイトも教育の場においてはリカバリーガールに説教されてしまう立場であること、リカバリーガールの限界が見えたことで、いよいよ軽々に使えなくなったデクくんの切り札と、色んな展開がありつつも、心情面も気持よくまとめて、ここまでに一区切りを付けて…………うん、実に巧い展開だったと思います。デクくんも当初はうじうじ系主人公だったのに、えらい気持ちのよい性格になっちゃってまあ。堀越先生はもう動物園やバルジの頃の堀越先生ではないなー。男子三日会わざれば、だ。


ワンピース

 面白かった! 冒頭、動物処理に奔走する海軍の描写がまず良かったです! そうだよなー、混乱状況では色んな問題が発生するわけで。この辺をちょろりと描かれるだけでもパニック描写に深みが増しますね。「動物に構ってる場合か」と思わなくもないけど、まあ暴れられても危険だしなあ。

 そしてドフラさんの株価∨字回復……!!! 前回はとにかくショッパいばかりだったドフラさんだけれど、「天竜人やめた後に受けたひどい扱い」で恨みの念を増大させ、「天竜人からも襲われたけど跳ね返したよ」「天竜人のヤバイ秘密を握っているよ」「あと一歩で世界を取れるところまで近付いたよ」などで、株価がグイグイ上昇! ……そうだよ、僕たちはこのくらいの格をドフラさんには期待してたんだ! 良かったあ。

 コラソンさんのキャラも意外だった……。これまでの流れからしてなんか優しい感じの人かと思ったら、むしろ一番ヤバイ感じのキャラなのか。いや、ここまでの流れがそうだからこそ、キャラをここでこう捻るのはある意味王道か……。しかし一読した時点ではともかく意外でした。

 子供嫌いは「昔のショックな事件」絡みの何かなんかな。「子供は泣いて逃げ出す」ってのは、コラソンさんが事あるごとにぶっ叩いてたからだろうか。となると、むしろこれは子供をファミリーから遠ざけるために乱暴に振舞っていたのでは…………いやでもローとか死んでもおかしくないような仕打ちを受けてるんだよな。実は可愛がろうとしてたけどドジだから思い切り殴ったり窓から放り投げてしまったり…………いやそれは単に乱暴とか子供嫌いとかの方がマシなくらい嫌だな。そんな殺人的ドジいやだよ。


ハイファイ

 んー、一話よりは全然面白い。コンドルもそうだったけど、一話目のレベルが何故か飛び抜けて低いのはなんなんだろう。

 一話、二話通して言うと、今回、会話の中でアビリティラベルの出自や管理組織に触れるなど、「設定を冒頭でまとめて地の文で説明しない」が出来てるんですよね。情報開示の手順としても悪くない。主人公はなおもうじうじしてるけど、クソ人間という描写がないだけでも読後感もずっとマシになってる。後藤先生、このくらいは作れる人なんだよなあ。それでなぜ一話がアレなのか。


暗殺教室

 あ、ついに死神さんのしょぼさが公式になった。まあね。これまでの記述的にそろそろ明言しなきゃいけなくなってくるよね。となると、彼は死神に憧れた死神ワナビーで本物の死神は別にいる展開かもしれませんね。大本命と思われていた殺せんせー=死神の目がまた出てくるのかも。


トリコ

 こんなに戦力差付いちゃうならネオはもっと早くエア取りに来るべきだったのでは!


ハイキュー

 レツ先生……! レツ先生だ……!! あ、でも、この4コマは面白くないぞ。しかし、これはレツ先生のギャグセンスうんぬんじゃなくて、最強ジャンプが子供にフォーカス当ててるから大人には分からないセンスになってるんだろうな。今週のジャンプには最強ジャンプからの出張で、サスケのスピンオフ漫画の読切も載ってたけど、あれも全然面白くないしな……。

「あの二口が後輩に手を焼いている」
「ざまあ!」

 本編はこの1コマで爆笑したので大満足です。こういう1コマがあるだけで熱血スポ根の暑苦しい雰囲気がぐっと中和される。とても読みやすい。いいまんがだなーハイキュー。


ソーマ

 堂島さん、なに。突然出てきて何をしてるのこの人は。そしてこのポージングはなに。「周到なる追跡(パーフェクト・トレース)」そして美作くんあなたも何を突然言い出したの……。


 美作くんのコピー料理に対しアドリブという回答を示したのは、普通に「おおっ!」と思ったので、それすら読んでた美作くんの流れは美しかったです。たしかになあ。「おおっ!」とは思ったけど、それで勝てるんなら毎回アドリブしてりゃいいんだもんな。


斉木楠雄

 こ、これが一番人気エピソードキャラの力なのか……。1ページごとに面白く、オチで心温まり、斉木楠雄連載史上でも最高によく出来た一話だったと思います。作中屈指のツンデレキャラである楠雄くんが人のことをツンデレ呼ばわりしてるのも地味に面白い……。

 しかし、娘が旦那と仲良くしていたら怒り狂うとか理不尽極まりない話である。世の中には娘夫婦の不仲に気を揉んでいるお父さんお母さんが無数にいるだろうにね。


手塚賞赤塚賞大募集

 井上先生と岸本先生のアドバイスがとてもタメになる気がします。そうだよなー、どうやって面白い漫画を描くか、とか以前に、どうやって描き「始め」るか、その第一歩が大変でみんな踏み出せないんだよな。僕も夕方くらいまで「書くぞ―書くぞ―」と思いながらだらだらしてしまう。


ブリーチ

 あ、ウーン……。

 ユーハバッハ陛下の謎パワーが強すぎて零番隊の攻撃が当たらないんならともかく、ふつうの騎士団の能力でも「当たらない、ナンデ!?」とか戸惑っちゃう連中なのか、零番隊って。それだと普通にグレミィあたりにも苦戦しそうだ。零番隊が超絶的な連中という印象は今回のでスッカリ薄れちゃったけど、でも逆に、このWのニャンゾルさんが、零番隊レベルの隠し球だったりする可能性もあるか。名前もちょっとニャルラトテップ入ってるし、ありそうな気はする。


銀魂

 夜兎の強さにウソがないのが良かったです。銀さんたちが飛び降りて逃げを図ったのも「正しいな」と思ったし、そこから奇襲をかけても一撃入れただけで終わるのも納得だし、近藤さん土方さんが活躍して一撃入れてもまだ動いて脅威であり続ける辺りも納得。名無しのモブでもこんくらい強いのが夜兎だよね。いつのまにやら見えないところで銀さんたちが優勢に回ってたのは若干不思議でしたが、まあ許容範囲内。夜兎の格はちゃんと保たれてる。来週以降も保たれるといいなぁ……。


ヨアケモノ

 これ、兄が戦って死んだのに最後まで一人隠れてたとか、市村くんは士道不覚悟で切腹ではなかろうか。土方さんとか絶対許さないタイプの汚点だと思うんだけど。

 そして、今回の任務の最重要ポイントである古高と岡田以蔵の分断はなぜか相手側が勝手にやってくれたので、これは陽動に残り全勢力を回して後詰を誤った本隊に問題があるような気が……。いや、本隊がみんな陽動に動いたと知ったから古高さんはここで分かれたんかな。それならまあ仕方ないけど。いやそれでも、刃朗くんは後詰に待機させておくべきだったのでは……。

 さて、三寸切り込めば人は死ぬ、とはシグルイの名言ですが、岡田以蔵さんはあの一撃で死んだのでしょうか。なんか全然平気で立ってそうだけど。刃朗くんって敵の顔を斬りつけるけど敵が死なないって展開多くないっすかね。一見するとハードな戦闘描写なのに、それで敵が毎回倒れないからハードになってないっていう。刃朗くんの最後のセリフはそれできちんと一撃で岡田さんを屠っていれば決まってるんだけどねえ。実際倒せてないんじゃ、任務優先しようとした市村くんの意志を踏みにじっただけに思えてしまう。


本当にはなかったし別に怖くもない話

 えっ、面白いな……。こないだの融合くんもなかなか良かったし、この人の最初の頃の作品はすごいクソ漫画だった気がするんだけど、どんどん上手くなっていってる気がするー。でも暴力による退魔はいま僕が真剣に考えてるからちょっと被ってかなしー。


こち亀

 こんな旅行記事を書いたら幼稚園の先生にアサイラムに連れ込まれるのではないかと思いながら読んでたら本当にオチがそれだった。こち亀では久しぶりにキチンと落ちたオチである。

 しかし、子供の宿題に旅行記を課すとか、保護者的にハードな話だよなあ。子供の面倒を見れないから幼稚園に預けるわけで。劇中でも人出が足りないから縁戚のおじさんである両さんを頼ってるしね。しかし、こういう外部からの圧力でもなければ家族旅行とかしない家庭もありそうだし、こういう無茶も、イイっちゃイイんだろうか。

 あと、通天閣の近くは本当に危険なので、戦車だのイージス艦だの出てきても「オーバーだなあ」とは思うけど、それほど現実味がないとは思えなかったりするぜ……。


三ツ首コンドル

 スーさんのダメージ描写が思った以上にガチだ。敵がビジュアル的には全然強そうに見えないけど、初めてマシマロが焦っていることで、なんのかんのちゃんと強そうに見えたりもして、なんか一話の評価が低すぎたせいか、「石山先生、漫画巧いのでは?」と思い始めてきている。いやいやいや。


★宣伝:ツイッターでは「キチガイ」とか「マジキチ」とか「架神だから仕方ない」など多数の評価を頂いております。

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