【8/4】2014年36号のジャンプ感想(読切『デビリーマン』掲載号)


コスプレポスター

 頑なにアイドルグラビアを載せようとしないジャンプが、コスプレという免罪符を使ったとはいえアイドルグラビアを掲載したのは、大昔の安達祐実グラビア以来ではなかろうか。

 コスプレとして見ると一番レベルが高いのは近藤さんかなー。程よいリアルさを感じるオッサン顔である。


ブリーチ

 久保先生ノリノリだなー、楽しそうだなー、読んでるこっちも楽しくなるよ。ブリーチが常にこんなテンションならジャンプの満足度もずっと高くなるんだけど。ギャグとアクションの配分とテンポが非常に巧み。こんなに面白いなら展開遅くても毎回のんびり戦っててくれても全然構わないんだけど。ところで、今回一番目立っているオカマっぽい虚の人だけどうにも思い出せません。マツゲの人が倒したみたいだけど、誰だったっけ……。

 そして、日番谷さんはいつの間にゾンビーになっていたのか。この人、ブレないなぁ。たまに発奮したような描写が入るけれど、あんまり活躍しないうちに、いつもなんとなくこんな目に遭っている。


ワンピース

 一方、ブリーチと似て非なる感じがまさに今週のワンピースか。ちょこちょこ描かれる小ネタはどれも確かにちょっと面白くてクスッとなるのだけど(「耳栓」「立入禁止」「困ってるババア」など)、でも、「ちょっと面白いだけ」なんだですよね。今週のブリーチみたいなキレッキレなギャグではない。寒いって程でもないし確かにちょっと面白いんだけど、キレがないから全体がなんかのっぺりとしている。その上で、ピーカもまだ倒してない、フランキーの方もスープレックスハンマーで勝負が決まったわけではないと、十分な一撃が入ったはずなのに敵が倒れず物語が進展しない。部分部分はちょっと面白いんだけど、全体としてみると動きがない。だらだらとしている。そんな感じであんまり読後感がよろしくないです。


ヨアケモノ

 土方さん……局中法度に背いたら死罪っすよ……山南敬助だって腹切ったんすよ……局中法度ってそんな「結果論でオーケー」なモンじゃないと思うんですが……。

 先週の「山の木を切りまくりました」描写が、ただの「主人公はなんだかすごい描写」ではなく、能力覚醒を下敷きとした描写だと知ってやや唐突感は薄れましたが、その能力覚醒に関する流れがまたどうもチグハグというか、いまいち飲み込み辛いものでした……。

 野武士だか野盗だかを12人斬った主人公が薪割り一つで苦戦している描写にまず「???」となったのだけど、その薪割り行為を繰り返した末に「腕力以外の力で薪を斬った」に繋がる流れがよく分からない。同じ行為を繰り返せば万に通じるみたいな、ハンターで言うところの感謝の正拳突き的な描写かなあとも思うんですが、それにしてはやや説得力が足りないか。

 たとえば、この前フリとして「達人へ至る何よりの早道は反復練習である」「徹底した同じ動作の繰り返しが求道者の肉体を根本から作り変える」みたいなハッタリ説明を挟んだ上でのこれであれば、七日七晩の集中的薪割り行為が主人公を次の次元へ導いた、という流れも分かるんですが、そういうのがないと「蓄積された経験値と言っても薪割りでしょう?」ってなっちゃう。これで薪割りの達人になったというなら話は分かるけど、沖田に伍する剣士になったと言われてもそれは理解できない。沖田相手の戦いも、主人公の体力がスゴイのか、「腕力以外の力で斬る」技術がスゴイのか、何がスゴくて渡り合えるようになったのかよく分からない。結局、何が変わったのか。

 あと、入隊試験が相変わらず死人が出そうなモノなのもやっぱり理解できないです。「真剣だったら死んでた」って、身体から血が噴き出るくらい木刀で袈裟斬りにされたら死なないまでも相当の深手なんじゃないの。どうでもいいけど、るろうに剣心の実写映画を先日見てきてですね。鉄の塊で思い切り相手の頭をブチ殴りまくる剣心を見て、「こいつ逆刃刀持ってるからって後は何やってもいいと思ってねえか」などと思ったりしました。不殺とか言ってあれも結構人死んでると思う。

 そういえば小太刀二刀流の設定はどこ行ったんだろう。


デビリーマン

 あっ、こりゃ巧みな作品。そして担当はまた井坂さんか。井坂さん、噂で聞いた話ではどうもかなり有能な編集さんらしいですね。コンドルは一体どうしちゃったのか。

 で、本編ですけど、まず初期設定ね。悪魔が営業で契約する人間を探しているというネタ。まずココが面白い。とはいえ、こういったおもしろネタは結構誰でも出せるんですよ。なので、まあこれは閃けたとしましょう。で、次はその悪魔が誰と契約するか、ですね。これは意外性のある人物でなければならない。7歳の幼児というセレクトは見事。「幼児なのに凶悪」「幼児なのに恐喝」という意外性で、平くんのキャラクター性も分かりやすくデフォルメして描けている。

 次に、「悪魔の能力=これまでに犯した過ちを知る」の能力設定。読者が「犯罪捜査に使えるな」などと考えたところで、即座に「つまりは脅しの能力」と平くんの悪寄りの思考を見せて、読者の思考の上を行き、平くんのキャラクター性を明確にしている。

 で、幾つかの恐喝行為を繰り返す。「悪魔が営業」というネタを思いついた時点でここまでは書けるかもしれない。問題はここからどうやって話を膨らませるか。主人公が「凶悪」という設定で、それまでも恐喝行為を繰り返すアンチヒーローだったから、そのキャラ設定のまま少年漫画的な展開で話を膨らませる方法が僕は思いつかなかった。アンサーは別の能力者の犯罪行為との対決展開。そう書いちゃうと王道なんだけど、いかんせん主人公がアンチヒーローだったから、そんな王道展開でいけるとは思わなかった……。この流れは巧みでしたね。

 その後の対決シーンは、「確定申告シートが複数枚あることが先に示されず分かりにくい(=1枚しかない場合は、マドカがミスった時点で主人公が送金不可能→奴隷行きになる)」「マンションの隠し金庫にお金を貯めていることをなぜ主人公は知りえたのか」など、少々気になる点はあるものの概ね巧い流れかと。平くんの正体が天使だったのは、驚きのオチというよりはアンチヒーロー路線を蹴るための仕掛けのような感じがしてちょっと残念だったかな。

 細かい事を言うと色々あって、社内不倫という「絶対悪」ではなくプライベートに属する事柄を「懲らしめる」必要があるのか、とか、アイドルってそんな顔だけでできるもんじゃないだろうから、偽マドカさんも容姿と立場を手に入れただけで、後の活動やファンサービスなどは全部彼女自身の努力の賜物なのだから、同じ努力をしていても容姿だけでここまで立ち位置が変わってしまう社会に対する問題を感じてしまったりとか、そもそもアイドルってそんな稼げないだろうとか、年収の半分が虚空に消えていったらどっかの機関が調べ出すんじゃないかと思ったりとか、まあ色々あるんですけど、総じて良い作品だったと思いますよ。


ナルト

 もー、ナルトはこういうところが本当にダメダメ。ウェット! 実にウェット! 今週の話はさー、「お前は必ず火影になれ」、この一言でいいじゃあないですか。前後のウダウダダラダラはいらんですよ。この一言で後のオビトの心情うんぬんは全部読者に想像させればいいじゃないですかー。サスケが戦ってるのにナルトはウダウダダラダラお喋りしてるから緊張感もクソもないし、忍が死に際に過去を振り返ったり感情を吐露したりしているのも実にダサい。これまでもオビトの心情描写なんかは延々やってきてるんだから。「まだ語ることあったんかお前!」みたいな気持ちになる。もういいじゃないですか。「お前は必ず火影になれ」、この一言で、後は読者がこれまでのオビトを振り返って、この言葉に込めた意味を噛みしめればいいんじゃないですか。それをだらだら、だらだらやるからダサい。胃もたれする。ウェットすぎてオエーッてなる。

 というわけで、僕個人としてはナルトのこういう描写が大変気に食わないのですが、一方で漫画、特に大衆少年雑誌であるジャンプは、「お前は必ず火影になれ」の一言でこれまでの文脈を総括できるような、そんな読者ばかりを相手にしているわけでもないんですねー。現にツイッターをちょろっと見たら「オビトに痺れた」みたいなのもあって、このくらいウダウダダラダラ、ウェットに湿っぽくやるくらいで、ひょっとしたらちょうどいいのかもしれません。だとしても僕はこういうのは絶対やりたくないけれど。


相撲

 石高中堅の真田くんがメガネ取ったら急にそれっぽいカッコイイキャラになるマジックな。

 それにしても石高主将さんはどんどん良いキャラになっていく……。今回で石高とダチ高の精神性は根底では一緒だよ、という描写がされたわけですが、今のところ石高側の方が好感度高いかなー。なんだかんだ言って、石高側の方にこれまで頑張ってきた積み重ねを感じるから、石高の主将さんの励ましとか決意とかの方がグッと来るものがある。ダチ高の方は、ここまでは潮くんに引っ張ってもらっただけだからね。もちろんこちらはこちらで「今から飛び立つ気概」があるのだけれど。どちらも良いけど、過去の重みがある分、石高側の描写の方が読んでて気持ち良かったかな。主将さんは本当に良いキャラに育った。


黒子

 ウーン……、藤巻先生、ちょっとハードル上げすぎたか。絶体絶命の状況作りまでは凄かったけれど、そこからの逆転劇の始まりたる今週はやや説得力不足か。黒子くんのパスが通ったのも(そりゃ黒子くんはスゴイんだろうけど)、伊月さんがインターセプトできたのも(木吉さんの伏線はあったけど)、どちらも「あ、そんなことで攻略出来ちゃうの」感がどうしても……。いやまあ難しいよなあ。これから後2ゴール決めなきゃいけないわけで、あと2回もスゴイことをしなきゃいけないわけだから、そりゃ今回はこんなもんにするしかないような……。ま、次回に期待か。


ヒーローアカデミア

 なーんか、ずいぶん乱暴な展開になっちゃったな。「トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し除籍処分」って、いや、あの、見込みの有無を判別するための入学試験だったんじゃないですか……。見込みがあると見て入学させたんだから、後は見込みのあるやつを一人前にしようぜ、学校なんだからさー。


こち亀

 191巻が1.5倍に増量……? 何でそんなことをするんだ? それに商業的などんなメリットがあるんだ? 分からない。さっぱり分からない。

 本編の方も同じくらい意味が分からなかったです。このなんちゃって女子野球漫画は何が面白くて誰が喜んで読むものなんでしょうか、何のためにジャンプに乗っているんでしょうか。何もかも分からない。これはもはや手抜き仕事ですらなく、秋本先生にとってジャンプに漫画を載せるという行為が、朝起きて顔を洗うようなものになってしまったということなのではないか。

「久しぶりの纏の野球編です」(目次コメントより)

 ……えっ!? これ、前もやってたの……。


三ツ首コンドル

 マルボロさん、剣を奪われたらその時点で職務放棄するんだな……。武器を奪われながらもダッシュで追いかけていったサルサさんの闘志……やはりサルサさんは並ではない……。

 破片をバチバチしながら弾き返す描写が分かりづらいとか、足場が崩れてからのマシマロの落ちる描写が分かりづらいとか、滑車の原理はともかく木箱が落ちてくるのは目に見えてるんだからわざわざ潰されに行くなよ(注)とか、公開処刑まで目撃していながら今まで腕のアイテムに気付かなかったのかとか、ミスリルスチームガントレットの何がスゴイのかと思ったら普通の剣の斬撃を受け止めただけとか(普通のガントレットでも止めれます)、スーの質問に全て答えてくれる親切なキリンジさんとか、相変わらず王族の言い分が正論で反論の余地があまりないとか、いろいろとあるんですけど、今まで集めてきたアイテムをちゃんと使ってる辺りが、クッ、地味に好感が持ててしまう……。悔しい(ビクンビクン


注:ここの滑車の原理の流れを考えてみたので一応書いときます。やや自信がないので理系の人フォローして下さい。

<A>
1、フックを通し、木箱に括りつけたロープ持ってスーが飛び降りる。木箱の合計重量がスーの体重以下なら持ち上がる(摩擦は考えないものとする)。
2、木箱に付けたロープ(フックを通さない)を引っ張り、穴から前へと木箱を出す
3、木箱x2(合計してスーの体重以下)が自由落下し、スーが浮かび上がる?

 最初はこの流れを考えたんですが、これだと3でスーが浮かび上がらない気がしました。やはり木箱は合計してスーの体重以上か? となると、こう??

<B>
1、浮いていない木箱(合計してスーの体重以上)に付けたロープ(フックを通さない)を剛力で引っ張り、穴から前へと木箱を出す
2、木箱x2(合計してスーの体重以上)が自由落下し、スーが浮かび上がる

 これだと、スーが恐ろしい怪力の持ち主であれば成立するかと思われます。実際にサルサさんから大剣を簡単に奪い取るくらいの腕力があるため、こちらの方が可能性としては高いか。スーが怪力だとすれば、スーの斬撃を止めたミスリルガントレットの凄さ描写にもなる?? どちらにしろ、映像的には普通に上から木箱が落ちてきているだけなので、その下に突っ込んだバツボロさんは頭がちょっと……。


★宣伝:菊池くんが自伝を出すみたいなので宣伝しろと言われました。


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