【7/14】2014年33号のジャンプ感想(『三ツ首コンドル』新連載&読切『ブラジルなう』『それいけ!融合くん』掲載&『ステルス交境曲』打ち切り号)


三ツ首コンドル

 グ、グワーッ! これはダメだ……。久しぶりにこのレベルの作品を読んでしまったぞ……。読みながら三回くらい「うわぁ……」って声に出た。これはひどい。

 先に良かったところから挙げましょうか。世界観は悪く無いです。ステルスの「竜の遺産」もだけど、古代のマジックアイテムの発掘、奪い合いというテーマには心躍るものがありますね。この世界観には、結構、刺激された。今回の新アイテム攻略が、既に入手済みのアイテムを使ってのものだったのも、ゲームにおける成長要素のようで胸が踊ります。

 …………骨格は悪くないんですよ。とかく肉付けが拙すぎるだけで。

 最初にまず頭を抱えたのが、ヒロインが主人公の入った宝箱を殴打しているといつの間にやら宝箱もろとも魔宮の階段を転げ落ちていたシーンで、これ見た瞬間1分くらい考え込みました。この時、いかなる神秘的物理現象が働いたのだろうか、と。魔宮の入り口周辺は動く歩道的なオートメーション機構になっていて、侵入を企むものがいれば自動で魔宮の中に取り込むのだろうかとか、そんなことを真剣に考えた。だって、そうとでも考えないと理解できないんだもん。

 ……これちょっとねぇ。幾らなんでも……仕事が雑過ぎるよ……。百歩譲ってヒロインが驚きのあまり後退し過ぎて、足を踏み外して魔宮に落ちたのは認めるとしましょう。じゃあ、主人公は何してるの? そもそもあの箱詰め状態で移動できるの? できたとして、ヒロインが殴打しながら後退し続けているのを、殴打される距離を保ちながら前進して行き、ヒロインが足を踏み外したと同時に自分から前方にジャンプして階段を転がり落ちたの……?? それは何が何だか分からないよ……。

 少々の漫画的ご都合主義はツッコミは入れても基本は流すつもりで読んではいるけれど、これは余りに酷すぎる……。一時が万事と言いますか、ここでこんなに酷い手抜き(or考え無し)をするのなら、他の部分も同じような手抜きで作られた作品なんだろうな、って思っちゃう。面白い、面白くないじゃなくて、作品に対する姿勢のレベルで見下げてしまう。「ジャンプという晴れ舞台に立つんだから全力出せよ、手抜きとかするなよ」って久しぶりに思った。そう考えると最近の新人たちはそれぞれ相応に頑張っていたんだよな、久しくそんな気持ちにならなかったもん。

 この後も順番に見ていくと、まずヒロインがマシマロに対して「イメージと違う」と落ち込むのも危機感がなさすぎる。相手は盗奪目的の同業者。いわばライバルなわけで、さらに彼女は「悪魔のような盗賊」だと思ってるのだから、むしろ自分の命の心配をすべき状況。「イメージと違う」からガッカリして落ち込むよりも、むしろホッとすべき状況では? ヒロインのキャラクター、訳が分からないよ。魔宮の入り口でビビって引き返すくらいの危機感はあるのに、マシマロに対してこの反応は奇妙過ぎる。よくあるパターンだと「こんなのが本物のマシマロなわけない」「マシマロの名を騙るニセモノ」みたいに勘違いする方向だけど、そういう訳でもないんだよな。相手を大物だと認識した上で、完全ビギナーのヒロインがまるで物怖じせず、足手まといになることを恐れもせず、それでいて大胆に足手まといしている。実際にこんな女いたらキチガイですよ。でも意図して頭のネジが外れたキャラを描いてるわけではなくて、巧く描けてないだけなんだろうなこれ。

「30分後――」の対比もなんかの冗談かと思ってしまう1コマ。ヒロインの表情と右目の縦線と、周囲に漂うよく分からない雰囲気アイコン3つで、「大量のトラップに疲弊困憊するヒロイン」と「全てのトラップを何なく切り抜けたマシマロ」の対比が描けていると本気で思ってるの? これ、漫画が巧いとか下手とかそういうレベルじゃない気がするなぁ。服をちょっと破くとか、姿勢を崩すとか、息を荒らげさせるとか、何も考えてなくても、もうちょっとなんかデフォルメするでしょ普通は。担当もなんで何も言ってあげないの? どうしてこれで良しとしちゃったの??

 BBDが主人公を天井?に押し付けてガガガガってやるシーンも残念。上からコロっと落ちてきて、それでも主人公は立ち上がりました、って「彼はタフです」というだけの話にしかならないんだよな。あんな「よく分からない黒い塊が落ちてきた」描写をされたら、読者は「落ちたのは主人公ではなくてBBDの一部なのでは?」「単に落ちただけではなくBBDの弱点的なものをもぎ取ってきたのでは?」くらいまでは想像するのに、「単に落ちただけですが意外とタフでした」ってのは想像の斜め下。「読者の考えるスゴイ主人公」を下回っちゃうんですよ。

 そして、そのタフさにも理由がない。「全身が機械化されていてタフでした」とか「ウィッチ・アイで回避してました」とかでもない。「なんか平気だった」だけしかない。今後「なぜ平気だったか」が語られるのかもしれないけど、現時点で読者はこの描写に主人公のスゴさを感じられないわけです。精神力で踏ん張って立ち上がった訳でもないんですよね。「気圧される程の宝への執着」を見せて傷を押して立ち上がったというならそれでもいいんだけど、にしては無傷だしなー。ここ、一体何がしたくてこの描写なの?

 最後にダイヤが落ちて村の窮状が救われるのも何なんですかね……。何で落ちるんだろう。BBDは常にダイヤを落としながら飛行する宝なんでしょうか。それならそれで面白くていいんだけど(必ず逃走経路を辿られてしまうリスク付き脱出アイテム)、だとしたらマシマロはあんな顔しないだろうしなぁ。何なんですかね……。物語上の都合以外にダイヤが落ちた理由あるんすかね。


 ***

 骨組みは悪くないんですよね。ただ、肉付けが下手すぎた。とにかく「拙い」の一言に尽きる。「ごく平均的な漫画家」が当たり前にできそうなことが全然出来てない。前の読切版はこんなに拙いイメージはなかったのにどうしたんだろう。担当が変わったのかな。ちょっと言えば幾らでも直りそうなものが放置されている。なんで言ってあげないんだろう。20点のものを80点にはできなくても、45点くらいにはできそうなものなのに。まあ、これは20点です。参考までに言うとファントムルージュは15点。

 石山先生は新人だろうから、もう漫画が拙いのはどうにもならない、仕方がないものとして、むしろ最低限の助言をすべきはずの担当の怠慢の方が気になってくる。この漫画の問題点に担当が気付かないなんてありえるの?? ……や、無数にある問題点を可能な限り潰した結果、生み出された「一番マシな形」がこれなのかもしれないけれど。噂に聞く話では、ファントムルージュも汚泥の如きものを何度も作り直させた結果が、あのゴミだったらしいしなぁ……。


ハンター

「まずは7ページの「ヘルベル」から説明します」


 おおっ! 厄災の詳細説明が……


「――という訳で」


 (´・ω・`)


 ……ま、まあ、現地で実際に巻き込まれた時に、「あの時説明したとおり~」で詳細公開する展開の方がいいですもんね、うん……。黒子のバスケは「おまえ対戦相手のキセキの能力は事前ミーティングで説明しとけよ」って思うけど、ハンターは一応ちゃんと説明したのね。


ミザイ「まあ…そこが魅力だったわけだが」

 とか言ってるミザイさんも十分にクレイジーなのでは……。思った以上にネテロ会長がガチキチだ……。これが本当に政府とキメラアント討伐の狭間で悩まされていた人なのだろうか。「面白いと思ったら何でもする」というか単にドMな気さえするんですが。薔薇とかどういう心境だったんだろうね。人類の命運を賭けた戦いに最側近の十二支んを連れていけない状況に懊悩しながら命がけの特攻作戦だったのか、「ワシを倒したと思ったら化学兵器が爆発するとか面白くね?」みたいな感じでノリノリでセッティングしたのか。

「あんた何なら知ってるの?」「何ハンター?」と言われていたカンザイさんがトレジャーハンターであったことが判明。ウソだろ……。トレジャーハンターとかアホには務まらない気がするんですが。だってあれでしょう。ダンジョンの仕組みを理解してリフトを動かしたり、入手済みのアイテムを組み合わせて凹みにハメたりして先に進んでいくお仕事でしょう。カンザイさんは最初の謎解きでいきなり詰まりそうな気がする。

 あと、クラピカって一応まだノストラード組に所属してたのね。じゃあ、こないだの用心棒仕事とかもファミリーのシノギの一環だったんだろうか。ノストラード組崩壊後にリンセンを引き抜いて仕事してたのかと思ったけど、一応ノストラードの下で働いてたのかね。……ボディーガードを解雇(?)されて若頭になったということは、つまり、給金を貰う立場からノストラードさんに上納金を差し出す立場になったわけで、親父としては「娘の護衛にカネを出す気はもうない」状態になったわけか。で、クビになった状態で、なんでクラピカが今度は子分としてノストラードの下で働いてるのかはよく分からないなー。ノストラードをバックに付ける必要性もあんまり感じないし……。どこに利用価値があったんだろう? あれからも緋の眼回収はしてたわけだから、ネオンの人体収集家コネクションがまだ生きていたんだろうか。

 ウサメーンさんはジンとの初対面があれだったのに、今は「俺の方がペン回しはすごいもんねー」とか自慢するような間柄になったのか。なんだこのかわいい人は。素直に驚いてキャッキャしてる三人もな! そして、ミュヘルさんもこれはすぐに転ぶな……。そういうオーラが出ている……。


相撲

 沙田くんの葛藤、どっかで見たことあると思ったら、こりゃあれだ、黒子のキセキたちだ。相手の最重量キャラが始まる前から心折れてるのとか青峰くんっぽかった。

 前にも似た話はありましたけど、川田先生は相撲が一般的にどう見られているか(「フンドシ」「裸」「カッコワルイ」)ちゃんと理解していて、そこのフォローに結構なエネルギーを割いてますね。読者(特に小学生)とかはやっぱりそこが引っかかるポイントだと思うので、ここを丁寧にやるのは正解だと思うし好感持てます。イケメンでスポーツ万能の小学生が、周りから「エー」って言われながらも「相撲カッコイイ」と表明することで、読者の小学生も共感を得やすくなった……んじゃないかな……ん……実際どうなんだろ……。川田先生は最善手打ってると思うけど、小学生とか「言うてもフンドシだしー」ってな感じかもしれない。


ナルト

「おっ、今週は珍しく読んで直ぐに理解できるなー」と悲しい感想を抱きながら読んでいたのですが、最後で引っかかった。ナルト分身が消えてないのはこれは来週が解答編なんですかね? そうだとは思うんだけれど、さんざん「読んでてもよく分からない」をやられたせいで、いまいち見分けが付かないぞ……。

 しかしなんだかこのボスバトルは4部以降のジョジョのボスバトルみたいですね。時空間を超えた先で時空間を超えるとか何かもうちんぷんかんぷん。


僕のヒーローアカデミア

 ああ……うん。力を譲渡ね……。


 ま、まあ、いいんじゃないですか。期待は裏切られたけど二話は面白かったと思いますよ……。うん、なんかもっと新しいものを見てみたかったけど、今回の、別に悪くはなかったですし……。うん。いいんじゃ……ないです、か……。


 んんんー、とは言うもののやっぱり残念な気持ちの方が強いな、正直! まぁこれが正解なんでしょうけどね! でも、優等生的な回答は求めてなかったというか。第一話で感じた「このウンコちゃんがこれからどうやって頑張っていくの!?」的なドキドキ感は、明確な道が示されたことでキレイさっぱり吹き飛んでしまいました。いや、方向性の話さえ横に置けば、今回の2話はよく頑張ってたとは思うんです。きっと正解なんでしょうこれが。それは分かるんだけど、でもすごく残念だ。いろんな可能性の中でかなり安易な道を選んでしまった気がする。バルジの二の舞いにならないか不安で仕方ない。


ニセコイ

 頭に皿を載せている……。いや、おそらくグルグルメガネなんだろうけど、メガネをかけている絵が一枚もないし、メガネにしても異様な姿だし、皿の可能性も10%くらいは残っているのでは……。唐突にこれを机の上に並べて和菓子とか置いて、「メガネじゃなかったの!?」展開もあり得ると思うんだ。卍丸先輩のモヒカンがブーメランである可能性くらいには可能性あると思うんだ。


ソーマ

 余っているのは唯一オリーブオイルのみ……。もこみち……まさかのもこみちなのか……??


こち亀

 はいはい、イケメンは強くてかっこいいです。


ワールドトリガー

 出水さんのアステロイドの弾数に驚く → 修くんの貧弱なアステロイド → 千佳ちゃんと合体してすごいアステロイドで出水さんビックリ

 この流れ巧いなあ。キャラの凄さ表現として「既に格のあるキャラに驚かせる」ってのがあるわけですが、三段論法的にそれをこなしてる。教科書みたいな流れでした。

 しかし、目の前で相対しているラービットを放っといて、別のラービットを狙撃する流れはややいただけないぞう。目の前のラービットが警戒して距離を取ったからこそできた状況判断といえばそうなんだろうけど。


イリーガルレア

 小指で抜いた刀を親指で持ってるぞ……。椎橋先生、こういう小さいところを気にしてくれないんだよな……。読んでて結構気持ち悪いんだけど。

 そして何だか妙なばかりの戦闘シーンでした。足で刀を抜いて、一本足で移動して、手に持った十字架を差し込むとか、なんだこのヘンテコな動きは。いや、一応足で持った刀はロマンスの冷凍攻撃を切り裂いてはいるのか。……にしても手で持って足二本で走れよ。今週のデルメザさん、遠くから見てたら相当にギャグみたいな動きしてると思うよ。

 No.2のフレイアさんが見せていた余裕も、「後で私より強い味方が来るから今ボコられてても大丈夫なんですぅー」以上の理由はなかったようでなんだかなー。ていうか、それなら最初からデルメザさん投入すればいいじゃん。遅れて来た理由はなんなの。何だかよく分かんないし、よく分かんないからデルメザさんカッコ良くないし、足で刀持って変な動きをする変な人以上の印象が持てないよ。


ブラジルなう

 なんか最近、よく旅行行ってますよねジャンプ編集部。なんなんだろう、福利厚生の一環なのかな? 漫画は全く面白くなかったし興味も持てないし、たとえサッカー好きな人とかワールドカップを楽しんだ人たちであっても、これを読んで共感を得られるのかも怪しい作品でした。何なんだろうなこれ。経費で旅行に行くためのアリバイ作りみたいな感を受けるけど、これも何らか商業的意図あっての掲載なの?


融合くん

 マリッジブルーx将棋の長考と、騎馬戦x寿司が良かったです! 感想書きづらいな!!

 掲示板の方でもほとんど全く肯定的な意見を見なかった三週連続掲載だけれど、僕は概ね面白かった……。「ゴリラxメス」が白眉かなー。あれはいいセンスだったと思うんだけれど。


ステルス

 先週の首ちょんぱが本当に首ちょんぱで、一応の主人公(?)が死んで終わるという、なかなかハードな作品ではあったんですが……。院長先生の「飼い犬に手を噛まれまくり」「舐めプしてたらえらいことになりまくり」があまりにてんどん過ぎてギャグにしか見えなかった……。彼女の格が地の底深くに下降していった。スライスさんの落とし所とかは悪くなかったんですが、それにしても彼ももう少し細かく描いてくれないと、院長先生との関係性とかもピンと来ないし、土壇場での裏切り(?)もうまく飲み込めない。まあ尺が足りなかったんでしょう。

 色々やりたいことは伝わってきたし、小説とかで読めばもっと面白い話だったのかもしれませんが、「巧く出来なかった」印象の強い作品でした。スケールは大きかったし、登場人物の心情も交差してたんだろうけど、どれも描写不足で、背後にある設定を感じながらもそれが表に出てこないうちに物事がグングン進み過ぎちゃった感じ。総評的には、面白くはなかったし、失敗作と言わざるをえないんでしょうが、それでも、気持ちは伝わったので読後感はそんなに悪くなかったです。志はあったと思うんですよ。


★宣伝:くろはのやろうが、「20回宣伝しろ」と言ってたので、まあ3回くらいは宣伝してやる。

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くろは
スクウェア・エニックス (2013-12-21)

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