【7/15】2013年33号のジャンプ感想(『銀河パトロールジャコ』新連載号)


ジャコ

 主人公が元妻帯者のじじい……。少年誌とは思えないこんな設定で連載開始できるのは大御所の特権か。

 内容的には、とにかくバランス感覚の良い作品だなと思いました。肩の力の抜けた作風で特に盛り上がりとかもないんですが、キャラクターの感情とか、置かれた立場とか、リアクションとかにきちんと納得できてつまづかないと言いますか。若手、特にデビューしたての作家との明らかな違いはここだなあ、って感じ。「いやその反応はおかしい」とか「その展開は無理があるだろう」とか、そういう感じが全然ないんですよね(まあ若手でも葦原先生はちょっと別なんですが)。

 オバケ鮫を倒した時の「…ふん、ジャマなヤツは退治というのは野蛮な考えだ」「……まあ、たしかにちょっと助かるが……」なんて台詞が顕著なんですが、

①オーモリは確かに夜に船が出せないという不便さを感じている
②しかし、夜に船を出さない、という点を注意すれば危険なオバケ鮫とも一応共存はできている
③そういった共存関係を破壊したことを、「野蛮な考え」と断じる
④けど、それはそれとして便利になったから「ちょっと助かる」という本音

 このくらいのことが1コマに盛り込まれているわけで、特に①~②あたりのバランス感覚がいい。こなれていない作家であれば、同じことを描いても③あたりをもっとしつこく説教じみた描き方にしてしまい、④でバランスを取ることも忘れてしまいそうなもの。これをさらっとできるのは、鳥山先生がやっぱり歳を取ってるからだろうなあ、という気もしますが。老成してんなあって感じ。

 オーモリがジャコの言語ではハナクソってシーンの「よくそんなどうでもいい単語があるな」なんてツッコミも言語学に関心がなければ浮かばない気がするし、先生自身が歳を取って知識が増えバランス感覚が磨かれた故の高レベルな作劇だなあと思いました。レベルは普通に高いと思うんだけど、でも、こういうのって受けるのかな? 読者の反応も合わせて興味深い。


ワンピース

 ジョーラさんの能力はワンピの能力では久しぶりに面白いなと思いました。オブジェクトを岡本太郎的に変化させる能力か……。仮に、現実世界の風景を自らの感性で表現するのが芸術だとするならば、彼女の能力は現実世界の風景を自らの感性で芸術的に変化させることにより、現実世界の機能を破壊してるわけですね。芸術性は現実の機能性を破壊するというか、これはなんとも面白い発想だと思いました。まあ、アイデアの発想自体は絵画とか見てて、「こんなグニグニしてる***は、***として使いづらそうだな」というくらいの感じなのでしょうが。

 で、ルフィパートのこの牛は一体なんなの……? この牛もまたメラメラを狙って参加した参加者なの……??


ナルト

 相変わらずよく分からないんだけど、マダラさんは自分が生き返るために、オビトさんに生き返りの術をさせてたんだよね? それが、なぜか知らないけどオビトさんはマダラさんのコントロールを振り切ってて、意に反して人柱力になるための印をやってたってことなのかな。ダメだ、よく分からん。先週からずっと同じようなこと言ってるな、僕は。よく分からん。

 そして、「歴代火影にサスケまで加わって、もうマダラオビト側勝てる気しねーわ」と読者が思ってる中、「オビトさんが人柱力になったから歴代火影でも一蹴できるくらい強くなったんです!」と言われても、そうなのかーとは思いにくいな……。そもそも十尾にそこまで強いイメージがないし……。いや、確かに八尾、九尾が一緒にかかってもキツイみたいな描写があったし、強いことは強いんだろうけど。初代火影にサクッと動きを封じられたり、忍連合軍が頑張ったらそれなりに何とかなったりしてたせいだな。


ニセコイ

 先週の掲示板で「大宇宙ポイント」という視点をもらったのに、今週は強引なご都合展開がなくて歯噛みをしています。何やってんのよ古味先生! でも、最後の最後で、冒頭で泣きついてきたキョーコ先生が全く手伝う素振りも見せずに皆を上から眺めている辺りで、「あ、ニセコイだ」ってちょっとだけホッとしました。


トリコ

 最近のトリコの展開には(特にvsスタージュン)辟易気味だったんですが、それでもジョアの正体が気になって最初に読んでしまうくらいの魅力はあって…………でもでも、今週もまだジョアの正体は明かされないのかぁ。ジョアが丁寧語を使ってるのは中身が女性というミスリードなんでしょうかね。でも、今週の引きがアレだと、そのまんま中身がフローゼさまってのもなさそうだよなあ。いきなりポンと「ジョアの正体はフローゼさま」って感じだったら相当驚きがあったと思うんだけど。


ソーマ

「3つの形状の卵プレート」は面白いとは思うけど、あんまり食欲はそそられないな……。ホテルの立食パーティーとかだと、「あ、かわいいな」「おしゃれだな」とは思っても、先に肉っけのあるものとか食ってたらお腹いっぱいになって結局スルーしちゃうタイプのアレだ。まあでも、朝ごはんだったら違うのかもしれない。この手のビュッフェだと、何のかんの言ってある程度味の想像がしやすいパッと見で「うまそうなもの」に飛びついちゃうから、僕は実際、ロコモコ丼をまず食べそうな気がするなあ。

 ソーマくんのスフレは、これまたホテルの立食パーティーだと、オムレツは料理人の人がその場で焼いてくれて、客は列を作って待ってて焼きたてを取って行ってますねえ。今回もその方式だったら特に問題はなさそうなもんだけどなぁ。ああやって並べなきゃいけない理由があったのだろうか。今回ちょっとよく分かってないんだけど、「200食作る」「200食平らげてもらう」のどっちが合格基準なんだろう。前者ならとりあえず数をこなさなきゃいけないから、ガンガン焼いてバンバン並べていくのも分かるんだけど。最初の説明は前者っぽかったけど、なんかいま後者っぽい話になってるよね。


黒子

 流れ自体は予想通りだったけど、ここはちょっと駆け足展開のような……。赤司一度負ける→覚醒→ボコボコにやり返す、くらいのスパンで描いても良かったんじゃないかなあ。「負けない」というキャラ性の赤司くんに土を付けるのが嫌だったんでしょうか。しかし、1on1の短い試合中にあれだけのスキル変化と人格変化が起こると、読者的にはどうも唐突さが否めない。これまでもちょこちょこ「そっちの面」を見せてはいたから、全くの唐突というわけではもちろんないのだけれど、それでも「紫原くんと対戦したら苦戦した」というだけでは覚醒のフリとしては弱い。やっぱり「突然変わったな」という印象が拭えないや。まあでも、他のキセキ連中もみんな唐突に変わったわけだし、他に合わせるとしたらやっぱりこんなものか。


ソウルキャッチャーズ

 あ、演奏してたのはやっぱりテンライなのね。で、指揮者が竹風の生徒だった、と。

 最終ページの気が狂ったとしか思えない訳の分からない神峰のノリにイチョウさんが異様な反応で返す辺りが滅茶苦茶面白くて爆笑しました。ホントこの漫画は何が面白いのか分からないけど妙なテンションに笑える。


スモーキーB.B.

 なんじゃこりゃ、凄まじい茶番だな。

 先週までは「主人公の格落ちが酷い」というのが主な問題点だったけど、今週は一話まるまる茶番だったのがダメダメでした。主人公が突然足を痛めてる辺りとか(ピンチ!)、手を抜く守備とか(絶望!)、そこから突然思い直しての仲間化とか(ユウジョウ!)、一つ一つの要素にいちいち茶番を感じてしまう……。最初のファールフライとか主将は「いや、今の普通にアウトだろ。俺が守備しろって言ってんのに何やってんだよ、真面目にやれよ、アウトで終わりなー」とか言えばいいのにって思っちゃうし、先週のクロスファイアも何がどうすごいのかさっぱり分からないので、北里さんが思い直したのも全く共感できない。唐突に発生したピンチに苛まれ、唐突に味方が増えて乗り切った辺りに茶番臭が生まれているのでしょうか。

 これ、来週で「北里さんもグルだった。全ては天邪鬼な虎谷主将をその気にさせるために皆で仕組んだ茶番だったのだ」くらいの種明かしをしてくれねえかな。9OUT始まってからこの漫画急速につまんなくなったぞう。


無刀ブラック

 よくある展開ではあるけど、こういうのよく分かんないな……。「一緒に**を倒しに行こう」「でも、お前は今すっかりぬるくなってるから昔のお前を取り戻せよー」「そのために本気で俺を殺してみろー」って、手段と目的を取り違えてるよね。兄ちゃんのそのやり方、目的に達する前に手段の段階で自滅すっからね! もっと長期的視点で計画立てようね! まあ兄ちゃんは公認キチガイキャラで「あの人はちょっとイッっちゃってて、先が見えなくなって訳の分からないことばかり言っちゃうんだ」「人を壊す武術ばかりやってちゃダメですね」ていう流れなのかもしれないけれど。お兄ちゃんが何したいのかよく分からなくて頭ん中ハテナで埋まっちゃったので今週はイマイチ。


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