【5/28】2013年26号のジャンプ感想(新連載『スモーキーB.B.』読切『終わりのセラフ』『磯部磯兵衛物語』掲載号)


スモーキーB.B.

 ヤクザが草野球チームを相手に恐喝まがいの賭博試合、か……。ヤクザが甲冑を着けて街を練り歩くニンジャスレイヤーに誰も文句を付けないように、少年漫画のファンタジーヤクザに文句を言っても仕方ないとは思うのだけど、しかし、あんまりにもリアリティがないなぁ……。子供相手の商売であることにあぐらをかかずに、もうちょっと「大人も騙そう」という気概を持って欲しいなあと、最近ジャンプを読んでて思うのです。

 まあ、それは置いとくにしても、主人公側が一方的にヤクザに暴力を振るってるのがスゲエなと思いました。あの、暴力は暴力なんですよ……。ヤクザさんでさえ、そう簡単に暴力は振るえないから脅したりなんだりしてるわけで。「ちょっと視界が悪くなったから」という理由で気軽にヤクザに暴力振るう主人公はスゲエよ。

 セリフ回しなんかは「主人公が皮肉屋」という点を強調したいんでしょうね。巧くいってるのもあれば、「巧く言おうとしてるのは分かるけど……」という岸本テイストもあって、バランス的には半々くらいか。どちらかと言えば、若干わざとらしさが鼻につく……。

 と、こういったもろもろの気になる点を除けば、流れ自体は良かった気がします。特に最後のダーティーな展開が良かった。主人公はなんのかんのあって心変わりとかして金をつき返したりせずに、最後まできっちりちゃっかりと懐に汚れたカネを納めて欲しいですね!


磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~

 あ、これは面白い。やってることは「思春期の少年なら誰しも一度ならず経験があるアレ」だけれど、絵が浮世絵風味というだけで十分面白い。終盤の1ページずつ使ったあれもすごくセンスある。ワンピースがなくてションボリした気持ちを十分にカバーしてくれた良い読切。


無刀ブラック

 ううん……。一話同様に「体裁はちゃんと整えましたね」的な話だなぁ。面白くはない。事前準備がなされている二話の時点で「整ってはいるが面白くはない」レベルだと、こりゃ四話以降はムリじゃねーかなー。

 一応整ってはいるので、どこがダメとはっきり言える感じではないんだけど、色々と気になるというか。武術を学ばんと志した継春少年が、あの基礎的な動作の修練を嫌がる時点でまずどうも引っかかる。あれだけ特徴的な動作を叩き込まれたら、ずぶの素人でも「これは大事な基礎なんだな」って思いそうなものだけれど。まあ、それは右も左も分からぬ子供のことだから良しとして、後は町民に笑われた浪人たちが、笑った町民を斬るならともかく、店の女の子を人質にして立て篭もるというのもよく分からない。まあ、これも作中で仄めかされているとおり、本人たちも混乱してて何がなんだか分かってなかった、ということで一応の説明は付くのだけど。「理解できなくはないが色々引っかかる」んだよなぁ。

 良かった点もあって、一話の道場主と違って相手側に明確な敵対理由がなかったこと。この漫画の大原則である「主人公は敵を傷付けない」が、今回に限っては有効に機能していたんですね。自暴自棄になって暴れてる人を押さえこむのには最適な武術かもしれない。

 一方、前回もよく分からなかった新月国の設定だけれど、今回は「改易で国を追われた」という新設定がそこに追加されました。整理すると、地理的には会津藩の中にある小国で、会津藩の中にあるにもかかわらず武力をもって会津藩、徳川家のどちらにも逆らい、しかし、最終的には徳川家の武力に破れて改易させられた、ということでしょうか。要するに、「俺たちにはつええ武術もあるから負けないぜ。会津藩も徳川家も知ったことかよ」とぶいぶい言わせてたら徳川家が本気になっちゃってどうにもならず潰されちゃいました、という国……というか地方の一豪族なのだろうか。


ナルト

 マダラさんが楽しそうで何よりです! スゲー笑った!! これが噂のヤンデレ一族か!!

 マダラさんは今回ですっかりギャグ要員になっちゃったし、オビトさんはしばらく前からカカシ先生相手にうじうじうじうじしてるだけなので、ボス側のメンツにまるで凄みが感じられなくなったんですが、これ、大丈夫なんでしょうか。火影も勢揃いし、ナルトとサスケの友情パワーもこれからだし、もうマダラ側には善戦さえできそうもない感じなんだけど。


ソーマ

 えっ、水原さん女性だったのか! クッキングレイプが始まると同時に胸が強調されたから、「はっ! まさか今回のクッキングレイプはトランスセクシャル!?」と思ったけど、どうも考えてみれば最初から女性だったような気もする。ああいや、待てよ。「地鶏胸肉の詰め物」と直後に出てくるから、やはりこれも「胸に詰め物をした」というクッキングレイプの一環なのか……? たとえ女性であったにせよ「本来のものよりも強調された」ということかもしれない。


黒子

「それにどうせ、青峰君よりすごい人なんてすぐ現れますよ」

 これが現れなかったわけですね。なんだかライトウイングの「全国優勝してしまった!」みたいだなぁ。


ソウルキャッチャーズ

 何がなんだか分からないのはこれまでと同じだけど、訳分かんないけどこれまでで一番おもしろかったです。なんだろう、演奏という前提からほとんど乖離しちゃってるからかな。吹奏楽漫画を読んでいるという気は一切しない。そこに楽器があるというだけで、やってる内容は明らかに別の漫画だ。じゃあなに漫画だ、と言われてもよく分からないけれど。


斉木楠雄

 ここしばらくちょっとパワーダウンしてたこの漫画だけど、今週は久しぶりに爆笑。元ホストすげえな。でも、ラブコメ主人公の方だと顕著だけど、あれはイタ子ちゃんのちょろイン属性が大きかった気がする。今回のって、超能力者、霊能力者、ホスト、ラブコメ主人公、ちょろインという、言ってみれば五つの異能力者による複合バトルみたいなもんだったよな。メタ的な意味でも興味深い一話でした。


ブリーチ

 何が何だか全く分からねえ……。そもそも回想編が長すぎたせいで、一護にどのような問題点があって、何を解決するために現世に一時帰国したのか、その記憶が定かでないのだけど、現世で父ちゃん母ちゃんの馴れ初めを聞いたことで何がどう解決に繋がったんだ……。ええと、何だったっけ? 浅打人間の群れと戦って一護が負けちゃったんだっけ。それがどうして今回やつらは平伏してるんだろう。自分が死神の血を引いてることも自覚してないようなやつは、なんかイラつくから全力で殴っちゃろうとか、そんな話だったんだろうか。よく分からんな……。

 最後の煽りの「厭う――巨躯。」って、要は「でかいわんこがだらけてた」ってことだよね。


終わりのセラフ

 これ、今回のカラー扉もですけど、SQで始まった時にビジュアルイメージがすごくグッと来たんですよね。で、キャッキャと思いながら読んでみたら、もう今となっては内容も思い出せないんですけど、なんか別に読まなくてもいいかな……という感じでそれからずっと読んでなくて、今回の読切も「おおっ、カラー扉かっこいいな!」と思って、「こんなカッコイイ漫画を今までSQでスルーしてたなんて大損害だったのではなかろうか」などと思いながら読み始め、読み終わった頃にはやっぱり読まなくてよかったな、と思い至るような、そんな漫画でした……。ビジュアルはこんなにかっこいいのにねえ。本編は全然スタイリッシュじゃないんだよな。


トレジャー新人漫画賞

久保帯人先生に特別インタビュー!!
A:「魅力的なキャラ」を描くコツがあれば教えてください
Q:好きなように描くことです

 う、うん……。非常に的確なアドバイスだとは思う……。まず自分がそのキャラを気に入ってないと、他人にも魅力を伝えられないだろうしね……。でも、新人の助言にはならない気がするぞう……。許斐先生の伝説的アドバイス、「煮詰まった時はどうすればいいですか?」「煮詰まるな!」程ではないにせよ。


ニセコイ

 先週辺りだったかな。掲示板で誰かが「ニセコイも二年生かぁ……。そろそろ新ヒロインとして一年生が追加されるのかな。小野寺さんの妹だったりして」とか言ってたとかと思ったら、今週はまるでなぞったかのような展開でしたね……。

 しかし、主人公の目の前でいきなり気絶するとか、風が吹いてぱんつが見えるとか、この子にはちょろインの天稟がある喃……。


ハイキュー

 ふー、毎週毎週正攻法で面白い。今週も文句の付けようがない出来だ。「日向活躍」→「囮に使って他の選手が決める」という烏野の基本戦術が示されただけなんだけど、途中でスタミナに言及し、「サボるなんて一切頭に無い奴も居る」で、日向くんの存在にググーッとクローズアップしてからの囮だからなぁ。読んでる方としても影山くんの「!」顔が出てくるまで、「日向が打つと思っちゃったよ」状態で読んでしまう。作中人物は動きで釣られてるんだろうけど、読者は表現上のテクで釣られていたというか、ともかく、こういったテクを用いたりして劇中人物の心理を追体験させてくれる手法は大変上手かったなと思いました。いやー面白いな。ハイキューは小説版が出るらしいけど、こんな面白い漫画、どうやって小説書くんだろうな。書き手も大変だ。


クロスマネジ

 よく分からないけど、嫌われてる真琴ちゃんが可哀想だなぁと思いました。国内トップクラスで頑張ってる女子運動部の中でも、選手一人一人を見れば、やっぱり個人個人の好き嫌いはあるんだなあという、まあ当たり前の話ではあるんだけど、こうやってポンと出てくると、現実を突きつけられたような気がしてちょっと悲しいですね。トップクラスの女子運動部、なんてのには、特に漫画であればなおさら、僕たちはそこに幻影を見てしまうのかもしれない。

 彼女たちの関係性が事前にもっと掘り下げてあれば、今週のあの描写は「敵チームも一人一人の関係性が描けててキャラが活きてるな」という感じになるんだけど、おそらくは今週のあのワンプレーのためだけの設定で、このまま掘り下げられることはないのだろうなあ。


目次ページのマンギリ!!

 あ。これ、面白いと思うな……。素朴な少年たちは「45年後まで大事に保管するんだい!」って言って、でもお母さんは「そんな仕掛けあるわけないでしょ!」ってゴミの日に捨てちゃうんだ。子供は大泣きするんだけど、次第にこのことも忘れて、45年後、中堅サラリーマンとして退職間際となった時に、ふとその時ことを思い出してネットで検索したら、いろんなジャンプファンが「浮かび上がったよ!」「やっぱり本当だったんだ!!」とか言ってて、おっさんは集英社のイリュージョンに涙しながら屋台で酒を飲むんだよ。イイハナシダナー。

 真面目な話、45年後なら何らかのテクノロジーでそれなりに実現できそうな気がするし(今でもAR使えばやれそう)、子供たちは瞳をキラキラ輝かせるだろうし、いい歳こいた僕たちおっさんも「なんじゃこりゃww」ってキャッキャして宣伝効果もバッチリだろうし、面白い発想だと思うな。


★宣伝:よく死ぬ。えらい死ぬ。ザコに2回殴られたら死ぬ。

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