【5/14】2013年24号のジャンプ感想(『SOUL CATHER(S)』新連載号&読切『キングダム』掲載号)


 SQのマリオとMoonWalkerLTDの感想も混じってます。


ソウルキャッチャーズ

 え、これ、主人公の能力変わってるよね……。途中から心の状況を見る能力から、心を風景化した状況を見とる能力及びそれの解説能力になってるよね。あのハイテンションな解説っぷりにはちょっとスピードワゴンを感じたぜ……。

 まあでも、その辺は神海先生のハッタリ能力も合わさって概ね巧く行ってたような気がします。何が何やらよく分からないハイテンションぶりには吹奏楽漫画とは思えない異様な盛り上がりがあって、この「何かがおかしい」感じは実に神海先生らしい感じでした。題材が題材なので僕はまだ今のところあまり乗りきれていないのだけれど、『LIGHT WING』のようなノリでガンガンテンションアップしていけば、この「何かがおかしい」感じが一線突き抜けて快感になるんじゃねーかなーと期待。ライトウイングも序盤は神海先生のノリが理解できなくて面白いと思えなかったんだよなあ。あんな感じで化けるといいな。


ワンピース

「もう、何だよ、放っといてくれ!!」

 まさかルフィの口からこんな言葉を聞く日が来ようとはな……!!! いつものローさんやウソップの立場を少しは体験してみるがいいさ!


SQマリオ

 ナルトを読んでも何も思うところがなかったので、SQで岸本先生が描いてる「マリオ」を読んでみた。


 ……ああ、うん。こりゃあ週刊ジャンプに載ってた4P読切のマリオと全く同じだ。「ハードな物語が描きたいんだなあ、ということはひしひしと伝わってくるぞう。伝わることは伝わってくるぞう」というアレ。「ううーん、一歩間違えればカッコイイはずなんだけど、カッコイイことをやろうとしている、というのが伝わるだけだなあ」っていう。まあでも、それは物語がハードだから岸本先生の肌に合わずに失敗しているというわけではなくて、ナルトでも同じで、岸本先生は「やりたいことは分かるけど上手くいかない」作家だからなあ。主人公が口汚く金に汚いとか、こういう善人から程遠いキャラ作りをするあたりからも「ハードな作品にするぞ!」という気合はひしひし感じるんだけど……。うーん、やっぱり感じるだけだ。終盤のシーソーの演出もいかにも岸本先生がやりそうなことで、狙いはちゃんと分かるし、伏線もしっかり張られてて、理屈的には何の問題もないんだけど心にさっぱり響かない。ビミョーに外してるんだよなあ。なんだかなあ、実に岸本先生だ。主人公のグラフィックは「読んでみたい」と思わせるだけの力を持っていただけに残念というか。いや、残念って感じも違うな……。「期待してたけど、まあ岸本先生ってこんなんだよな」みたいな妙な納得感というか。

 作劇面で突っ込むと、前半でマリオが「オレ…必要だった? コレ…」と言ってるけど、これはまさに後半にこそ当てはまるセリフで、フィリッポ・マンチーニさんのところにサオリを連れて行くのが謀略のポイントなわけだけなら、ここでマリオを噛ませる意味は全くないよね……。


トリコ

 輪廻おろし、何の意味があるんだそれはww 数世代にもわたって傷が遺伝するということは、その場で敵を倒せなかったか倒さなかったということであり、倒せないようなら、そんな子孫のこととか考えてないで目の前の敵をちゃんと倒せといいたいし、倒さなかったということなら生かしておくことに意味があるから倒さなかったわけで、そうなると傷が遺伝する(治らない?)のはデメリットでしかないと思うんだけど……。「いやー鍛えすぎちゃいましてー。すごい斬撃できたのはいいんですけど、遺伝子にまで傷が刻まれちゃってかなわんのですよー」という奥義なんだろうか。

 今週明らかになったのはNEOも決して美食會と共闘路線にあるわけではないということですね。光才老のカロリー喰いもセツさんに大して効いてなかったことから「即効性に欠ける搦め手なのかな?」くらいの印象でしたけど、千代さんクラスにしっかり止めを刺せるのなら、なるほどグルメ界クラスって感じ。しかし、セツさんサイドって栗坊がおっさんなだけで、後は全員じいさんばあさんなんだよな。なんて平均年齢の高い戦いなんだ。

 木っ端微塵鞭の人って第三支部長のジェリーボーイだよね。今回が初の戦闘参加で戦力初お披露目だってのにこんな扱いなのか……。まあ第三支部長だし、数字的にもこの辺って感じではあるが。リモンがザコ相手に無双し、ユーが同じくザコ相手には無双しつつもネームドコックには対策されてることを考えると、ジェリーボーイがネームドヤクザとネームドナイトに反撃を受けるのも妥当な気がしなくもなし。


暗殺教室

 いや、殺し屋の才能って、リアルに考えるとマジ使えねえよな……。暗殺教室の殺し屋は大分ファンタジー入ってるけど、おそらくリアルの殺し屋って、あれでしょう、ヤクザの鉄砲玉くらいのもんでしょう。現実の「殺し屋」がどうか分からないけど、おそらく一人殺ったら普通に捕まって10年くらいブチ込まれるんじゃないですかね。で、10年に1度、一人を殺す才能に優れていた、としても、うん、使えねえよなあ……。ヤクザなら出所後にある程度の地位を得られるのかもしれないけど、渚くんは別に部下を使ったり、利権を巻き上げたり、パンピーを脅したりする才能があるわけじゃなくて、殺しの才能一点特化でしょう。うん、伸ばしちゃいけないと思うな、その才能……。


追記)ググってたらこんなのが見つかった。え、マジでいるの、殺し屋って……。まあでも、捕まってるってことはやっぱり最大の敵は官憲なのではなかろうか。


SQ Moon Walker LTD.

 なにこれwww 凶暴化した巨大モモンガと空中戦wwww

 週刊に載ったやつより短いけどこっちの方が遥かに面白かったです。実に許斐先生らしいセンスで大爆笑できました。


黒子

 白金監督の「一見優しそうだけど実は怖い」のネタばらしが「ただただ鬼のようにきびしい」というのは、アイデア上の手抜きと言われかねないやり方だけれど(僕こういうシンプルなの好きですけどね)、「若いうちは何をやっても死なん」の一言でキャラ立ててるのが上手いなあと思いました。これなかったら手抜き感が目立ってたけど、この一言が強烈なんでこれで成り立ってる感じ。

 いや、しかし、2階から知らないおっさんが常に見ていたら、あれは誰なのかと普通疑問に思わないだろうか……。


斉木楠雄

 漫画の内容は別としまして、わたくし、声を大にして言いたいことがあるのですが、昨今のゲームによくあるあのQTEというやつは、あれは誰か楽しんでやっているのでしょうか。個人的にはスーパーいらないのですが。ムービーくらいのんびり見させてくれよと思う。戦闘中に突然ボタン押しを要求されるのもあんまり好きではない……。GOD OF WARもQTEさえなければもっと何度もやりたいゲームなんだけどなぁ……。


ソーマ

 この漫画で一番かわいいのは乾先輩ではなかろうか……。今回ほとんどまともにツラが描かれてないけれど、四宮さんにアイアンクローされてる時の乾先輩の可愛らしさときたら! しかもレズでしょう。最高じゃないですか。

 田所さんも乾さんの口から「美味しい」という言葉が出たことで、今回でついに、今までのお荷物キャラ、コバンザメキャラから脱して、グルメ戦士として一人立ちできたような気がします。今までの田所さんは自分の足で土俵に立ってた気がしなかったので、今回の乾さんの高評価と次週からの田所さん自身のがんばりで完全に持ち直すのかなー。

 しかし、最後の条件「田所さんがメインで調理」というのは、これはこれで堂島さんも無茶を言うなあ、という感じ。そりゃあ「田所さんを生き残らせるかどうか」の問題だから、彼女の実力をメインで計るというのは合理的だけど、でも今回の食戟はソーマくんが言い出したことで、ソーマくんが自分のクビを餌に始めたことだからね。これはソーマくん、愕然とする展開じゃなかろうか。「自分の力で同級生を救うぜー、そのためにはオレのクビを賭けることすら厭わないぜー」と思ってたら、「よし、お前のクビはクビとして賭けろー。それはそれとして実力が要求されるのは田所なー」という。ひどいはなしだよ。


P284 めだかボックス ベスト名ゼリフ決定戦

 前回だっけ、最終回を迎えためだかボックスで、掲示板でも「いくつか台詞が心に残っている」といった書き込みがあったけれど、実は僕は全くセリフが心に残っていない……。シーンシーンで記憶に残るものはあるけれど、セリフで記憶に残っているものは特にない。言われてみればそんなのもあったなあ、と思い出す程度。なので、こういう企画が立って、この漫画は「決め台詞が重要な漫画」だという認識が少なからず共有されているということにちょっとびっくりした。でも、こういうの見てもあんまりピンと来ないんだよな。……と思ってたら、あ、僕でも覚えてたセリフあった!


「このジープは新車のようだな……新しい!」


 これだ!!!


キングダム

 ふーむ、名前だけ知ってたけどこういう漫画なのか。今回の一話を読んだだけでは何とも言えないなー。出張読切ということで、よくまとまってはいるけれど、ドラマ性とかはそれなりですね。いろいろ妥当すぎてあんまり言うことがない……。

 翡翠さま、基本的に可愛かったけど泣き顔に迫力がありすぎてちょっと……。


スケットダンス

 まあ、漫画だからいいんだけど、あまりに漫画的な急造改革だなあ。確かに開盟は教師、生徒共にクズが集まりやすい体質の学校なので、個性云々は別として何らかの改善に乗り出すのはもっともだと思う。新理事長も過去の校内問題事案を列挙して、この点きちんと強調すりゃいいのにね……。そうすりゃボッスンたちも「やりすぎはやりすぎだと思うけど、うちの学校、冷静に考えたらおかしいから、確かに何か手は入れるべきだよな……」ってなってもっと建設的な話ができそうな気がする。

 ところで、個性うんぬんは教育方針だから善し悪しは別としてですね、例えばボッスンたちが入学した時の開盟が「自主性を重んじる自由な校風が特徴」とか謳って生徒を集めてたとするじゃないですか。理事長がいるということは私立高校だとしまして、ということは、経営的にはその謳い文句で客(生徒)を集めてたってことになるわけですよね。それが、ボッスンたちが卒業した後ならともかく、在学中に以前の売り文句と違う校風にしてしまうのは、これはどうなんでしょう。客(生徒)からすると「騙された」「金返せ」と大っぴらに抗議していい事案な気がするんですが。


こち亀

 僕は昔から電車内でメシを食ってはいけないという風潮が気に食わなかったので、今回はなかなか痛快な話でした。基本的に非合理な決まりは大嫌いなんだ。

 昔の電車の中で行商のおばあちゃんが弁当を食べるのは良くて、現代の電車で若者がポテトを食べるのがダメとか理解できないし、隣に座ってる客がメシを食おうが化粧をしようが困ったことなど一度もない。そりゃまあ満員電車で汁気たっぷりのラーメンとか食ってたら危ねーし、二郎とか食ってたらニンニクくせーと思うけど、あのくらいスペースが空いてる中で牛丼食うぐらい何の問題もない。こういう「常識的によくない」「自分の家じゃない」とか、当たり前のような顔をして自分の常識を人に押し付けてくるやつが一番気に食わないぜ。何かをダメだと言う時は、常識的にどうのこうの言うのではなくもっと功利的な判断を行うべきだ。「電車内での飲食にはこれこれこういう現実的な問題点があるため一定のルールを設けるべきです」なら話を聞こうという気になるが、「常識的にダメだ」では話をする気になれない。まあ、JRが運営している電車なので、JRのハウスルールで「やめて下さい」と言われりゃやめるしかないんだけど、にしてもそれはきちんと明文化して欲しいところである。駅弁も売るな。

 というわけで、今回の「電車内でメシを食わないのが"常識"という風潮になっていてそれを強制されるくらいなら、電車内でメシを食うのが"常識"という風潮を作ろう」という試みはなかなか面白かったです。皆がよくわからん常識を持ってるなら塗り替えればいい。部長から訳の分からんことを言われた時の両さんの対応策としては適切だったと思います。また、可能かどうかは全く別の問題として、仕事帰りのサラリーマンが酒を飲める車両があれば、帰宅もちょっと楽しくなるし、とてもいい気がしますね! 街で飲むのと比べて目的地に着いたら降りざるを得ないのだから、帰宅時間も早くなって家族も喜ぶんじゃなかろうか。しかし、今回の話、秋本先生は車内飲食肯定派とも否定派ともどちらとも取れる描き方をしていて、変なところで上手いな。


エジソン

 ドスケベグラスSUGEEEEE!!!! これは思春期の少年少女の間では取り合いになる一品ではなかろうか。担当編集の最後のアオリに頷かざるを得ない。1000円でこれは絶対安い……! でも、この異様な形状はあまりに目立つし、やはりこのグラスで見たいのは近しい女子だろうけど、でも近しい女子にはこのグラスが何なのか一目で分かってしまい変態扱いされるという弱点ががが。


 しかしまあ、なんだな。少し引いて見ると、これはエロシーンを入れて順位を盛り上げようという渡邉先生の苦肉の策なんだろうな。ああ、いや、こんな邪念は捨てよう……。


ハングリージョーカー

 進化して最適化する敵の能力に対する答えが、「進化する能力とか、そういうのもひっくるめて全部能力を吸収する能力なんですぅ~」というのは、能力バトルの解法としてはあんまり美しくない。


 作品の総評としては、序盤で明かされた「歴史上の科学的大発見を特殊能力として戦うバトル」というコンセプト自体はスゲー面白かったです。これはグッときた。ただ、残念だったのは作者の田畠先生に科学的な素養があまりに足りなかったこと。この素材を扱って十分に使いこなすだけの科学に対する熱量がなかった。なので、「科学上の発見で行う能力バトル」という大変面白いアイデアも、単にそれだけで終わってしまい、凡百のバトル漫画を構成する能力要素に微かに色付けがされただけに終わっていたのが残念です。

 光線発射能力を例に挙げると、あれは光線は光速でもなければ不可視でもなかった。この辺、田畠先生に科学的な素養があれば、光線能力はちゃんと光速で敵を貫き不可視の攻撃になっていただろうし、そのことを(ある程度でいいのだけれど)科学的なうんちくで補強できたはず。最低限そこまではしないと、「あ、この漫画は科学を題材に据えた能力バトル漫画なんだな」と思えなくて、先に書いたとおり、「科学を表面上ちょろっと使っただけの凡百のバトル漫画」という評価にならざるを得ない。後半はむしろこの設定が足枷になっていた感すらある。

 まあね、このレベルのアイデアを思いついたらそりゃあ使いたくなるよ。気持ちは分かる。しかし、使うならもうちょっと勉強を重ねるとか、周りの頭の良いやつにブレインになってもらうとかなんかすべきだった。いやまあ、後半はたぶん打ち切り回避に必死で、そんなところに割くリソースはなかったんだろうけど。担当さんももうちょっとしっかり事前に準備させてからスタートすれば良かったのに……。

 その点を差し引いても、4話目以降辺りからは本当に「凡百のバトル漫画」といった感じで面白いところがまるでなかったのも困りもの。3話までは話の内容は別としてもアクション描写を相応に頑張ってた記憶があります。「話自体は面白くないけど、新人がこれだけの描写ができるんだからやっぱジャンプはレベル高えなー」と思ったもの。しかし、それも3話目くらいまでで、描写的にも目を引くところがその先全くなかった。3話までは予め作りこんでたんだろうな、という感じ。

 ストーリー的には全く浅く、何ら心躍る展開はなくて、キャラクターにも引き込まれるものはなかったです。もうちょっとこう、ダイナミックに話を展開すればいいのに、と。マブロも能力が局地破壊的なものばかりなので、世界を揺るがす規模の実力を見せつけて欲しかった。いやまあ、その規模の大破壊能力は「エウレカが組み合わさった時」の惨劇なんだろうけど、2つエウレカを持ってる人とか出てきたんだから、彼なんかは単独でそんくらいやっちゃってもいいんじゃないの。マブロ陣営の破壊規模が小さいせいで、マブロのキャラクターに脅威を感じられず、物語に緊張感はもたらされず、それに相対するホワイトジョーカーの面々も輝かなかった感じ。

 というわけで、設定倒れ、話に面白味なし、キャラの魅力なしと、まさに凡百の能力バトルで、設定の秀逸さの割には全体的にガッカリな漫画でした。せめて設定のワンアイデアだけでも最後までしっかり活かしてれば論ずるに値する漫画になったんだろうけど……。次は田畠先生がもっと得意な、自家薬籠中なジャンルで勝負するといいんじゃないかなー。


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