【2/5】2013年10号のジャンプ感想(『恋するエジソン』新連載&『烈!!!伊達先パイ』打ち切り号)


新テニス

 お、おう……(なんだこりゃあ) コートが謎の粉煙で包まれ、ギャラリーにも審判にもコート内の様子が見えないことを「すごい試合」描写と言い張るのは新しい……気が……する……。平等院さんは「パイレーツ・オブ・ジ・アメリカン」「ザ・スネーク・チャーマー・オブ・インディア」などの技名から察するに万国びっくりテニスの使い手なのだろうか。

 平等院さんの放つ謎の怪光は何なんだろう。ラケットの後ろの壁が割れたところから論理的に考えるなら、何らかのエネルギーをボールに乗せて運ぶ技なんだろうか(ボールはラケットで止まったがエネルギーは後ろの壁まで達した)。そう考えれば、これはもうボールという形を借りた戦争にほかならず直接打撃が導入されたことで「異次元の強さ」に至ったとも言える。ボールを使って一応ラリーはしているけれどメインはエネルギー波の攻防である英国式庭球のテニス概念に近付いたいというか。でも、それはそれでなんで鬼さんのガットが破れなかったのかちょっと疑問ではあるなあ。実際に鬼さんの顔は切れたわけで、あのボールの周辺には相応の攻撃力が残されてたわけだし、ガットも切れるんじゃないか。ううむ、よく分からん。あまり真面目に考えるようなもんでもない気がするが、あの謎エネルギーが体系化されて説明される日は来るのだろうか。


恋するエジソン

 新連載ということでよく練られていたのか実に面白いです。グリムの時も変態女子小学生のかぐやちゃんが一番人気だったようですが、今回は作者も自分の武器を把握して前面に押し出してきた感じですね。グリムもやってるうちに「あれ? これかぐやを主人公にした方が受けるんじゃ……」という思いがあったのかもしれませんね。

 発明の方も何気に面白い。満腹光線銃も、これ、ダイエット目的で適切に利用することを考えたらすごい発明品だよなあ。やりすぎてボコボコ死人が出そうだけど、実用化されたら100万円払ってでも買いたいって人はたくさん出てくるんじゃなかろうか。そんな妄想を掻き立てるあたり、「良いアイデア」だったと思うんですよ。人型ルンバのマナーモードもすごく面白かったです。ミスディレクション……!


ナルト

 かつて侵略した木の葉の里を、その元凶たる大蛇丸と、また国際的テロリストとして指名されているであろうサスケが歩いている、この空気感はもっといい感じで描けてもいい気がするんだけどなあ。いや、悪くはないんですけど、もうちょっといい感じになったような。僕のナルトへの思い入れが足りないのか、何らかの描写上の問題なのか。いやあまりに曖昧な物言いなので皆さんに伝わらないと思うんですが……。悪くはないんですよ。

 ともあれ今週のナルトは、戦争の裏側でのんびり行動していた大蛇丸一行の目的の一端がやっとこさ垣間見えたこともあり、またその手順がなかなか興味深いものだったこともあり、なかなか面白い一話でした。ナルトの屍鬼封尽って、あれ、ぽいぽい使ってるけどエグイ忍術だよなあ……と前々から思ってたので、一応解放される術もあると知ってちょっとホッとしたりも。あれって術者と対象者が死神に囚われて永遠に戦い続けるらしいんですぜ……。初代とか二代目とか安らかに死んでたら穢土転生で叩き起こされた上に永遠に戦わされるとかたまったもんじゃねえよな。


ワンピース

『フィルムZ』がクソ面白かったので僕の評価が大甘になってるのかもしれませんが今週のワンピースはすごく面白かった。

 前半のG-5の話がすごく良かった。僕はワンピースで感動とかほとんどしたことがないんですが、今回はグッと来ちゃった。これは『フィルムZ』のZジジイに通じるものがあると思うんですが、海軍が自らが掲げる「正義」を信じながらも、同時に自分たちの組織の正義とは言えない側面を目の当たりにし、その反動として海賊に敵意を向けようとする。けれど根っこでは分かってるからG-5もZジジイもその敵意はほとんど虚飾に近く、しかし虚飾ゆえにオーバーなまでに表現しようとしてしまう。その辺りが非常に巧く表現されてたと思います。

 尾田先生はやっぱりちびっこ読者への配慮が巧くて、今週は↑で書いたようなことを子供にも分かるように描いてるけど、映画版はそう言う意味での配慮はちょっと薄くて分かりにくい。でも今週の、この前半みたいな雰囲気にグッと来るなら『フィルムZ』は見る価値あると思うですよ。

 で、感動シーンになりそうなところで、「大人になったら僕たちきっと海賊になるよー!」「なるなァーッ!」とギャグを一つ挟んでクールダウンさせるバランス感覚がまたグッド。あのまま海軍が「海賊好きになったよ」ムードのまま別れちゃうと、それはそれでちょっと温すぎる話になっちゃうからねー。

 一転、後半のシリアス展開もクソ面白い。こっちはまるでハンターみたいなノリ。ルフィじゃなくてローが主導権を握るとここまで本格的な海賊モノになるのかー、って感じ。ドフラミンゴさんもカイドウに比べれば下位ポジションであり、また海軍大将たちを相手取って楽に凌げるような戦力ではないという描写は、これまで漂わせてきた底知れぬ大物感に水を差すかもしれませんが、そこが逆に良かった。ドフラミンゴさんくらいの格のキャラが、どちらに転んでもキツイ二択を迫られて顔色を変える展開がすごく面白い。

 それにしてもドフラミンゴさんが七武海を脱して一海賊に戻ることがどういう流れでカイドウ陥落に繋がるのだろう? ドフラさんは「ローも、シーザー殺しちゃえばいいのにね」って言ってたけど、ローが誘拐したのは、SMILE製造を止めるためではなく、ドフラさんの七武海脱退の方がメインの狙いだったから、と考えられる。仮にドフラさんが七武海を脱退し、その上でマスターを放さなければ、カイドウはドフラさんを攻撃し、さらに海軍大将もドフラさんを狙う。「ドフラさんを潰す」ことが目的ならこれでいいけど、しかし、カイドウ陥落に繋がらないんだよなあ。ドフラさんを潰すカイドウをその機に乗じて狙う、という形で活路を開くんだろうか。

 それにしても、ドフラさんがこれだけ焦るカイドウを、30%の可能性で落とせるというのは確かに分のいい賭けなのかもねえ。


斉木楠雄

 大安定の良回。予想は裏切らなかったが期待もバッチリ裏切らなかった感じ。先の読める話ではあったけど、読めたからなんだってくらい安心感のあるおもしろさだった。


ブリーチ

 おお、今週はブリーチも面白いなあ……。小説版(僕は読んでない)で描かれたという、剣八さんの「敵に合わせて自分の力をギリギリまで封じる」という設定が、とても説得力ある形で描かれてたと思います。なんでも久保先生が「成田先生スゴイ、絶対気付かれないように書いた伏線だったのにそこに気付くとは!」と褒めたらしくって、正直、「久保先生テキトーなこと言うなあ。小説見て良いアイデアだったから流用するんだろ?」くらいに思ってたんですが、今週のを見ると、確かに久保先生が前々から考えてたと言われても納得しちゃうくらい説得力のある作りでした。「私は絶望しました。貴方に力を封じさせてしまった己の腑甲斐無さに」はいいセリフだ。


黒子

 7点リードしてるのに「勝機はまだある!」ってすごい話だな……。

 しかし、今回もなかなかいい回答法を見つけてきましたね。藤巻先生、侮れぬ。確かに、黄瀬くんが様々なキセキ能力を使うにしても、火神ならそれぞれを一度は破ってるわけで、どのキセキかを限定できれば五分までは持っていけるってわけか。藤巻先生は敵を思いっきり強くして、描く自分のハードルを思いっきり高めてから、それを何とかかんとかして乗り越えようとする。その姿勢は評価できるなあ。


トリコ

 ジュンさまの仮面硬ぇーな、とか思いながら読んでたけど、一点物の兜だと知って納得(兜っつーか、面頬だと思うけど)。今までも純粋に防具として身につけてたのね、アレ。


ソーマ

 カラー扉絵で一色先輩が半裸になっているだけで、「もしや今後の一式先輩登場シーンは常に半裸なのでは……」と期待しただけに、次のページを開くと一色先輩がシャツを着ていて残念至極でした。正式な食戟ではちゃんと全裸で挑んで、「ぜ、全裸の貴公子、一式七席が参戦だー!」とかやって欲しいです。

 今週のリアクション、女性キャラだけではなく男女の別なくひん剥いていこう、という作者の真摯な気持ちが伝わったのは良かったですが、ちょっとあのリアクションでは分かりにくいか。「横綱の凄みに圧倒されているかのような――」というセリフはすごくいいので、これをちょっと取っておいて、「味の次元が違う、こ、これは」で次のページにまたいで、開いたらリアクションで「よ、横綱相撲!」の流れの方が良かったんじゃないかなー。ちゃんこ主将の表情も、もっと練って欲しかった。横綱との相撲対決だから、その圧倒的な実力差に押される気持ちと、同時に横綱に対する敬意、それに若干の謎のアヘ顔成分をミックスさせるともっといい感じになったんじゃなかろうか。この漫画のスピリットはすごく好きなのでもっともっと頑張って欲しいです。

 というわけで、期待感は膨らみながらも今週はイマイチかー、くらいの気持ちだったんですが、その後に出てきた「必殺料理」で吹いたので今週は概ね満足です。多くの必殺技に言えることですが料理で必殺すんなよ!


ニセコイ

 後半は悪くないんだけど、相変わらず導入がなぁ……。分刻みで予定の入っている社長が、秘書を3時間の買い物に走らせるって意味が分からない。秘書が複数いるわけでもないのにね。普通の作家なら「カードを持たせて無理難題を吹っかけることで、"お金を消費して目的を達する"ことを庶民感覚の楽に教え込もうとしている」という帝王学の一環として描くんだろうけど、古味先生は多分そういうの何も考えてないんだよな……。単なるドタバタの一幕として、あまり考えず描いてるんだろうな……。


ハイキュー

「お前がまだ戦うつもりで居て」「よかった」

 これいいセリフだなあ。「この勝利の裏側には裏方として菅原さんの活躍があったんですよ」で、読者に一回「コートに立たなくてもチームに貢献することはできるんだよな」くらいに思わせといて、実際は「いや、コートに立つことも全然諦めてないし、立てなかったのが悔しいよ」っていう。すごい積極性だ。毅然としている。細部にこういうのがあると、なんというか作品全体が前のめりになってる感じがして、とってもいいなと思いました。


めだか

 うーむ、物理的には荒唐無稽としか言い様がない……。いちいち突っ込まなくてもみなさん大丈夫ですよね? 途中まで「なるほど、なるほど」と読んでただけに始末が悪い。そして、物理的問題は脇に置いたとして、それはそれとして体重50キロ程の物体が超音速で命中しただけで、あの訳の分からないチートっぷりを誇った安心院さんですら倒せなかった言彦が倒せるというのは納得できるはずもない。倒されたのではなく半袖に肉体を乗り換えるために脱皮した(わざと負けた)くらいの説明が来週ないと納得しようもないぜ。それでもまあ、あの残念極まる決着で良かった良かったと終わらせなかったのは最後の良心か。


こち亀

 おいおい、秋本先生、ディズニーをネタにする気かよ……。え、これ、ヤバイんじゃねえの。と思ってたらマルシー見つけて、「ほう、よく許可がおりたなあ」と思ってたら、え、これ、ホントに発売するの……。ああいや、こういうチャレンジ精神、僕だいすきですけど。キティさんに続きミッキーも仕事を選んでられない時代が来たのか。

「アート」→「ナチュラルアート」の流れはちょっと往年のこち亀っぽかったです。


クロス・マネジ

 ば、馬鹿な……今週も不快感がない……。先週の流れが伏線になっている……キャラ立てが的確に行われている……。そんな……こ、これはクロスマネジじゃない……!


 真面目に書くと、小松さんの葛藤あたりは良くも悪くもありきたりで「ふつう」の域を出てませんでしたが、上に書いたとおり、「不快感がない」「伏線を活かしてる」というだけで普通に評価できます。もう一捻り欲しいけれど、これでも十分及第点に達してる。相変わらず会話を成立させない斎賀さんはウザイけど、今週のウザさは前向きだし、会話が成立しないマイナス点を小松さんが主人公にこっそりメール送ってることで話をちゃんと前に進めて読者のストレスも減らせている。斎賀さんはあれだなあ、彼女がギャーギャー騒ぐことで会話が成立しないところに不快感があるわけで、今週みたいに、斎賀さんは騒がせつつもちゃんとコミュニケーションが成立していればそこまで不快でもないんだな。

 しかし、本当に一体何があったのKAITO先生……。嬉しいはずなのに、なぜだか悲しい……。


伊達先パイ

 おおおおお、いい漫画じゃねえかああ。今までずっと嫌いじゃなかったけど、終わりがとても気持ちよく決まってたので最後で1ランク上がった感じでした。恋愛要素は巧く使うと無条件で面白みがアップするよなあ。霧子さんと伊達先パイのロマンスを最後に持ってきたのは「作者分かってんな」って感じ。巧いよ。

 このレベルの漫画が打ち切られるのかあ、という残念な思いと同時に、このレベルの漫画でも打ち切っていかざるを得ないのか、という「今のジャンプ頑張ってんな」的な気持ちにもなったり。キルコさんも十分いい漫画なんだけど、今のレベルだとちょっと生き残りは危ないかもねー。


★宣伝:おつかれさまでしたー。


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