るろうに剣心
「サムライ」に対するドリーミングとオリエンタリズムは良かったです。後はまあ、普通かなあ。話の流れも、エルダーさんのキャラクターも、仮面の謎も、敵キャラのキャラ立てや悪党っぷりなんかも、ベテランらしく実に安定感のある作りではあったけれど、ま、そんなに面白いものでもない。でもまあ1話限りの読切で、映画の宣伝も兼ねて初見の人にあらましを伝える意味もあるとすれば、こんな感じかなあ、というなんかそんな感じ。「和月先生はさすがはプロだなあ。商業的要請に応えて出版社が求める仕事を安定したクオリティでこなしたなあ」と、そういう感想が出てくる、そんな感じの読切でした。
こち亀
ぱらっとジャンプを開いたら、手榴弾をパターで打とうとしている場面が目に入って「ぶふっ!」と吹いちゃったんだけど、いやはや、今週のこち亀は面白かったー。冒頭の軍隊ゴルフのノリが最高だったけど、平賀源内の広告チラシのそれっぽさとか、和風ゴルフコース、芸者キャディなど、秋本先生の「それっぽい方向性での過度な描写」が久しぶりにまとまりのある形で表現されてたなあ、と思いました。クリーンヒットした回だっただけに、オチももうちょっと頑張って欲しかったけど、まあまあ、これだけ満足できればいいや。こち亀が面白いととても得した気分になれるね。
べるぜバブ
「もらすぞ」
いろいろ置いといて、すごいなこの脅し文句。確かに冷静に考えてみれば、「もらすぞ」というのはかなり破壊力のある脅し文句ではあります。たとえ少女のおもらしであっても継続して興奮できるのは一部のハイレベルな人間だけであって、ごくノーマルな善男善女であれば一度は興奮するものの、繰り返されれば「うわあ、片付け面倒くさい」となってしまうことでしょう。しかし、このような屋外で、自分とは何の関わりもない少女がもらしたところで、残るのは少女のおまたの不快感だけで、そんな状況にもかかわらずこの脅し文句が成立するのはあれですかね、海馬社長の「お前がゲームに勝ったらオレは自殺する」的なアレなんですかね。「もらしてみなさいよ」と言われて、実際にもらしたあとの、微妙な空気感のまま流れる数瞬に思いを馳せたい。
めだか
何が何だかさっぱり分からない。本気で匙を投げたくなるくらい分からない。このしりとり対決は一体何が面白い点だったの? 補足でまとめるので、皆さんの意見をどうぞよろしくお願いします。僕にはお手上げです。なにこれ。
…………と思ったけど、悔しいので「一体何が面白いことになっているのか」を真面目に考えてみた。そしたら、一応理解できた。
これ、もともとはあの幼女が「時間を忘れさせる話術」を使ってたのだけれど、めだかさんはそれに対抗して「文字を忘れさせる話術」をその場の全員に使ってて、幼女はなんか知らんけど、「アタイの話術よりスゴイわー」となって心が折れて負けたってことか。「降参」だの「公算」だの「高山」だのは関係ない。途中でのたびたびの離席は単にフェイントで揺さぶってただけ。小細工だけれど、大筋の「話術で勝つ」という点ではストレートだったから「戦いに誠実」と、そういう話らしい。これがさっぱり面白いと思えないのは明らかに「時間を忘れさせる話術」と「文字を忘れさせる話術」に具体性がないからで、「イヤ無理だろ、それ」って感じ。無茶な話なら無茶なりに理屈を付けるか「そういう特殊能力です」ということで読者を騙して欲しいんだけど、「そういう話術です」とだけ言われたら、「うん、無理だよね」で終わっちゃう。
「うわぁー、今までの会話は本当に全部「う」「さ」「ん」が使われてないぞ~! こんなプロットを書くなんて西尾先生はなんてスゴイんだ~~!!!」と思えた読者のみが今回の結末にビックリできたんじゃないかなあ。僕にはとてもそうは思えなかったし、そこに「驚いてくれる」と望みを託したのは、ちょっと西尾先生、甘甘じゃないかなーと思うけど。なんというか、漫画の面白さじゃなくて、「おれはこんなところに時間をかけて偏執狂的なプロットを書いたんですよ、どうです、すごいでしょう、びっくりしてもいいんですよ」的な。西尾先生のこういう企みは、いつも失敗してるとは言わないけど、今回は見事に滑っちゃってるなあ。
今回のシリーズ、冒頭の安心院さん無双が一番輝いてた印象。安心院さん参戦の瞬間から思っていた、「安心院さんいるから楽勝じゃない?」が最後までその通りだったという。まあある意味ウソはついてない展開ではあったけど、盛り上がりはしなかったな~。
バルジ
「まじで侵略者全部倒して…、なぁ姉ちゃんもよ!! 敵討ってくれるぜ、きっと!!」
「(それで私は…素直にありがとうって笑えるか?)」
普通の漫画であれば、「私のお父さんが殺されたからって、誰彼となく虐殺していいはずがない!」「それでは侵略者たちと何も変わらない!」「彼らを止めないと!」となるところだろうけど、バルジだから「私も一緒になってブッ殺さないと!」っていう展開だろうなあ、という謎の信頼感。
★宣伝:思い出したようにダンゲロスの宣伝。
講談社 (2012-06-06)
講談社
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