【5/20】メモ「キリスト教史7」


キリスト教史 (7) (平凡社ライブラリー (192))
L.J.ロジエ
平凡社
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 ↑これを読んでのメモ。

 
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P25 「ヨーロッパ精神の危機」と呼ばれる時代は一種独特の懐疑主義を特徴としており、ピエール・ベールは科学と信仰を、超えることのできない絶対の二律背反と主張し、理性は宗教の教えることを虚偽として投げ捨てねばならないと結論した。(この頃から宗教と科学の対比が公になってきた)

P25ベールは宗教と道徳の本来的な結び付きを全面的に否定し、「無神論は必ずしも道徳的退廃をもたらさない」とした。その裏には「神を信じない社会もキリスト教社会以上に道徳的でありうる」という観念があったか。(逆に言えば、キリスト教徒=道徳的という観念があったということか)

P27 信者たちは聖職者はくだらねー問題をいつまでも議論してて福音をのべることを忘れてるぜ、って思ってたし、教皇ベネディクトゥス十四世なんかも、そういう風潮にうんざりしてた。

P30 ニュートンの引力理論は「物質のすべてに引力っていう神秘的な力が働いてるらしい。神が宇宙に絶えず働きかけてる証拠だ!」と、一部の神学者は頼みの綱のように思っていたし、ニュートンも無神論者に対する一つの武器と考えていたが、だとしても学問と信仰の調和は啓示を抜きにしてのものであった。「自然的理性はただ自然を研究するだけで、一切の啓示なしに、神の存在を結論しうる」というアイデア。

P33 ジョン・ロックによれば、キリスト教の教えは理性によって証明しうるとされ、啓示と伝承はもはや無用とされた(「キリスト教の合理主義的性格」に関する説)。トーランドは「宗教においては理性を超えるようなことは一切主張されるべきではない」「教義のいかなる点にも神秘があってはならない」と証明しようとした。

P38 名誉革命後、イギリスのカトリック信者は様々な不平等により苦しんできたが(他のプロテスタント諸派などが何かと宗教的権利を認められたのに対し、カトリックはそうではなかった)、だんだんゆるくなってきて1730年頃にはミサとかも普通に開いていた。

P46 教会に対し喧嘩腰だったヴォルテールも最終的には無神論者だったかもしれないが、途中までは理神論者でありひとつの神を信じていた。その神のイメージとは、このすごい世界を作って、人間に自由意志を与え、後は人間の自由に任せて身を隠した偉大な時計技師のイメージ。後年になると「もし神が存在しないなら、それを創りださねばならないだろう」とまで語っており(この時点になると神の存在への確信は失われている)、不信仰は一部のエリートだけのもので、パンピーどもには宗教を道徳と秩序の守護神として維持していこうという考えが見える。

P59 フリーメーソンをカトリックは禁じたが(ベネディクトゥス十四世も追認している)、その理由はフリーメーソンが宗教の違いを問わないという性格を持っていたため(カトリックはこういう相対的な観点を認めない傾向にある)。しかし、カトリック側のこの動きのせいで、フリーメーソンは教会の敵が集結する場所となった。(いらんことをして敵を増やした感じ?)

P96 各国の君主が教皇選挙に口を出したせいで、各々の妥協の結果として、教皇には活気のない人物や死にかけのじいさんが選ばれたりすることになって、18世紀の教皇たちはぼんやりした人が増えた。ただし、各々妥協し合った結果、無難な人物に落ち着くことが多かったため、みんな敬虔で道徳的ではあった。

P118 ベネディクトゥス十四世は、宗教改革が地域的には成功を収めていることを拒否する今までの方針(これのせいで法の現実にあった修正が妨げられてきた)を覆して、その既成事実を認めることにした。ここでようやく宗教改革の現実を教皇庁が認めた(そんなベネディクトゥス十四世にしてもフリーメーソンにはあの仕打ちだったりする)。

P178 イエズス会の秘密結社がジャンセニズムを、虚偽や中傷も交えたやり方で攻撃してたらしい(イエズス会もあんまり品が良いわけではないのね)。

P203 イエズス会の威信低下は、会員の著書ではジャンセニストと啓蒙思想家の陰謀のせいとされているが、イエズス会が絶対主義への堅い忠誠心を持ち、民主主義に頑強に反対したために、専制的な王権の衰退と運命を共にしたと本書は分析。具体的には君主の聴罪司祭、諸侯や有力な政治家の教育者として、イエズス会士は個人に権力が集中している体制の構造の中に座を占めていた。

P205 またイエズス会は自分たちを教会のエリートだと考えており、実際に学問、教育、論争、伝道などで首位を占めていたが、この自信過剰が羨望と憎悪の的となった。

P264 司祭で大学教授のフランツ・ベルクは、キリスト教の超自然的性格をもはやほとんど信じておらず、秘跡や聖体にさえ象徴しか見ていない。宗教は「徳を高める手段」にすぎないと明言し、「公益」が宗教の唯一の存在理由とした。(これはカトリック啓蒙運動の極端な事例だそうな。ともあれ18世紀の終わり頃にはそういう風潮になってたようだ)

P343 離散したカトリック信徒の諸教会(プロテスタント国家で迫害下にあったカトリックなど)は今では一般的である宗教的な相対主義を初めて成熟させた人たち。国家から見ればどの宗教団体も同等の権利しか持たないという状況を受容した。たとえば、自身の財産で教会が自活し、国家に対しては、ただ圧迫を加えないことのみを要求するなど。

P344 離散地のカトリック信徒は当然周りに違う信仰の信者と暮らしていたため、彼らの存在に慣れて、宗教的寛容を善とみなした。すべての宗教を対等に扱う相互平等という状態を好ましいと考えたが、一方、南ヨーロッパのカトリック教徒は、それを屈服であり重大な危機であると考えていた(19世紀になった頃にようやく彼らも離散地寄りの意見となっていく)。カトリックを国教としていた諸国では、カトリック信徒はプロテスタント諸派に権利が認められるのを阻止するために闘い、「誤謬は真理の傍らに座を占める資格をなんらもたない」という原則を宣言して執拗にこだわった。(ヘルシングに出てくるカトリックのイメージやね)

P382 アメリカにおける教会は、教会の保護者(王)に従属しており、教皇の影響力で王権を制限できず、王自身が教会迫害を行った時でさえ手出しできなかったし、教会は植民地化される弊害から原住民を守れなくなった。教会は本国政府と同一視されて、植民地主義の化身のように思われるようになっていった。

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