【4/25】メモ「キリスト教史4」


キリスト教史〈4〉中世キリスト教の発展 (平凡社ライブラリー)
マイケル・デイヴィド ノウルズ ディミトリ オボレンスキー
平凡社
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 ↑これを読んでのメモ。

 
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P58 受肉についての考え方は、「①罪をすでに犯している人間は神に対して正当な罪の償いを果たすことはできず、神たる限りでの神でもそれはできなかったが、人性を取った神的『ペルソナ』にはそれができた」「②人間は十分な身代金による以外には買い戻すことのできない悪魔の奴隷」という二種類のアイデアがあったが、11世紀のアンセルムスは②を断固拒否した。

P221 ボゴミル派に対する当時の司祭の非難の言葉、「主人には従わないように教え、金持ちをののしり、年配者を嫌い、権勢ある人をばかにし、貴族を非難し、国の役人たちを神の目から見れば堕落した連中だといい、全ての農奴に対して地主のために働くことを禁じている」。(これって全てがそうとは言わないけど、大部分イエスがいいそうなことではある)

P230 1354年のセルビア国の公式文書ではローマ・カトリックが「ラテンの異端」呼ばわりされている。

P232 ロシア人の改宗は、野蛮国にキリスト教を受け入れさせる=野蛮国を皇帝の政治統権下に組み入れる、という趣旨で行われた。(ホントに戦略的に宣教してたんだな……)

P259 リヨン公会議でビザンツ皇帝が政治的目論見から教皇側におもねっても、国へ帰ったら正教会からボロクソに言われて、そんで皇帝が修道士を迫害したりして社会不安を呼んだりしている。

P261 フィレンツェ公会議でも西と東が一緒になろうと努力してるのに東側が折れた末に国に持って帰ったら猛反発されて終了、というパターン。


P306 フランシスコ会は創始者の聖フランチェスコがやたらと厳しかったので、後に続く人はなあなあになって、いや、ダメだろ、ちゃんと厳しくやろうぜ、という人と対立した。指導者層は、まあ程々に、の中道的な意見を提出している。厳格派は後に教皇から断罪されたり恩赦されたりした。(清貧論争はこの一環か)

P313 托鉢修道士があっちこっちいって宣教とかするので、役割と収入が脅かされていると感じた司教たちと縄張り争いが生じた。「修道士は司教の許可がないと説教しちゃダメ」などのルールが定められたりもしたが、結局は「修道士は司教の許可がないと活動しちゃダメ、でも、司教は提示された人名のうち何人かには許可を与えないとダメ」という形に落ち着いた。

P350 分派は経済的、社会的要因から生まれたものと分析する歴史家もいる。清貧は裕福な資本家に対する反動、反聖職者的、反秘跡的偏向は、強欲な下級聖職者や貴族的な司教などに対する事実上の批判。

P353 カタリ派はマニ教の名残で、善と悪、霊魂と物質の二元論。キリストは神によって子と認められた天使の中での最高の者。キリストの肉体と死は表面上のものであって、死ではなく教えによって人類を贖っている。カトリックは原初の純粋なものから堕落しており、教義は誤り、秘跡は空想によるもの、と考えている。

P357 異端審問が確立したのは1163年のトゥール教会会議。アルビ派は投獄と財産没収を受けた。司教たちも死刑とか厳しい肉体的処罰を嫌っていたらしい。異端者は世俗の権力に引き渡されたが、刑罰は特に定まっておらず、伝統的な投獄と財産没収を受けていた。焚刑が初めて出たのは1197年のペドロ二世の布告であると言われるが、11世紀から数名焚刑にされていた。

P362 異端審問のあのろくでもないイメージができるまえ、最初の異端審問制度の頃は、拷問からの保護とか色々被告側にも保護があったんだけど、それらがいずれなあなあにされて、あの異端審問のイメージに。教皇とかがもうちょっとなんとかしようと頑張ったけど無視された。

P364 11世紀~12世紀初頭の異端への攻撃は民間主導で、司教も国王も黙認しているだけ。迷信的で外国嫌いに近い、住民による異端への恐怖心によるもの。(これって、最初期にキリスト教徒が外国とかで迫害されたのと全く同じなのでは)

P365 異端審問のあのろくでもないイメージの形になるのは13世紀頃か。

P366 本書によれば異端者たちは、自らの理性や良心によって最善のものを選びとったというよりは、共通の信仰に反対したり、冒涜したりする人々だった、という(理性的な選択として異端思想を選んだと言うよりは、単なるアウトロー集団に近かった、というニュアンスか? しかし、本書のカトリックよりの姿勢は考慮すべきか)

P379 ユダヤ人のキリスト教への洗礼は歓迎されたが、キリスト教徒になった人もマラーノ(隠れユダヤ人)扱いされたりもした。ユダヤ人が迫害されたのは彼らのアイデンティティが強すぎたのと、高利貸しをやってて債権者から目の仇にされたのと(キリスト教側は金融業を原則的に禁じてた/後に緩くなってフランシスコ会も庶民相手の慈善質屋を開いたり)、異端への悪感情のとばっちりと、「あいつらはイエスさまを殺したんだぜ」的なイデオロギー的な問題。

P440 異端審問、徴税(官の強欲な横暴)、聖職叙任の濫用などでアヴィニョンに移った教皇庁は民衆から嫌われた。

P446 マルシリウスは教会の権威を一応は認めつつも、世俗の権力者のみに現実性を認め、地上の教会は国家の一部局か宗教ギルドと考えた。最高の権力を持つものは全体会議で、教皇はそこから権威を与えられるに過ぎないとする。この考え方は「大分裂」「ピューリタン革命」で再び取り上げられる。

P455 ウルバヌス6世に嫌気が差した枢機卿たちはローマを去ってクレメンス七世を擁立。両者とも新しく枢機卿を任命したり、反対陣営を破門したりした。

P465 二人の教皇が並立し、両者とも死後に別の教皇が継いでいたが、この状況に業を煮やした両派の枢機卿たちはパリで公会議を開いて、新しく教皇を選出した。こうして最大三人の教皇が並び立つことになった。

P468 結局、ジギスムント王が三人目の教皇を説得してコンスタンツ公会議を開かせて、教皇を一人ずつ退位させ、一人の教皇を選挙で選出して何とか一人の教皇に戻った。

P469 公会議の権威は直接キリストに由来し、教皇でさえも公会議に従わなければならない、という風潮も出てきた。

P476 この「公会議派」の意見が多数を占めたのは、それが魅力的だったからではなく、教皇並立の状況が他にどうしょうもなかったから。

P478 とはいえ、この状況は下級聖職者や民衆にとってはおそらくほとんど影響はなかった。中央集権的な組織を持つ修道院は影響を受けたけれど。

P494 アヴィニョンから帰った後の教皇領は、信仰上の性格とは関係なく、活発に外交する一個の国家のようになった。

P535 オッカムが断罪されなかったり、ブラッドウォーデンの正統性が疑問視されなかったこと自体が、この時代の神学的混乱を物語っている。裁判や破門は彼らほど難解ではなく、もっとあからさまにショッキングなウィクリフやロラード派、フス派などに対してだけ行われた。

P541 ウィクリフは聖別によってパンとぶどう酒の実体が変化することはありえないとし、聖体における現存は純粋に精神的なものであり、聖体を受ける側がそれに値しなければ現存はありえない、と主張した。(ちょっと分からない。実体が変化しなければ、受ける側がどうであれ現存しないんじゃね?)

P542 ウィクリフは聖体や聖者崇拝を攻撃し、秘跡や司祭などといった余計なものを除いた単純な、聖書のみに基づくキリスト教を説いた。ウィクリフは断罪された後も隠棲して普通に死んだっぽい。

P543 ウィクリフは中世末期のカトリック教会に対する民衆の攻撃がひとつに纏められてるし、初期のプロテスタントの主張のほとんどがここに見られる。

P547 ウィクリフの影響を受けたヤン・フスは免償状を攻撃したり、司祭による告解の罪の赦しの価値まで否定するに至る。ただし、聖職位階制そのものは否定していない。司教には破門され、進学者からは異端の攻撃を受けながらも、王と国民からは支持されるという状況。

P548 コンスタンツ公会議に出向いた時に、何度か自説を翻すように説得されつつも、フスは最後まで自説を貫いたために、皇帝ジギスムントの裏切りもあって(?)最後は焚刑で死んだ。(ウィクリフは普通に生きながらえてるのに違いはなんだろう?)。フスは公会議で「みんなを説得できるんじゃねえかな?」と思ってたけど、まあそんなことはなかった。

P552 フスの影響でベーメンは15世紀後半、信仰においても実践においても、西方キリスト教圏の他の地域から孤立していた。(宗教改革の先触れといった感じか?)

P560 教皇庁の権力と権威の低下は、教皇が二人になって分裂したことで、公会議至上主義の理論が騎乗の議論ではなく、必要に迫られて実際に政治を動かす力となったため。

P580 中世の教会の弊害は、①教会財産が増えすぎて清貧の精神が窒息した ②教皇領がひとつの国家化し、司教や修道院長が封建領主化した ③司祭は増えたにもかかわらず、十分な訓練を受けた聖職者が不足した、など。

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