【8/30】2011年38号のジャンプ感想(2)


 トップページの新刊発売欄を更新しましたー。

<9月2日発売>(amazon)

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銀魂 <41>
スケットダンス <20>
ぬらりひょんの孫 <18>
トリコ <16>
いぬまるだしっ <8>
べるぜバブ <13>
メルヘン王子グリム <2>
マジコ <2>
戦国ARMORS <2>
奇怪噺 花咲一休 <1>
べるぜバブ魔王外伝
新テニスの王子様 <6>


WOLF×RED

 世界観と設定と主人公のドMプレイは良かったけれど、他全てが残念。もったいない作品でした。

 冒頭も主人公たちの登場と「ブラックグリムス!!」までは良かったのに、その後、犯人を無視して公開SMプレイを始めたことで緊張感が台無しに。たぶん作者としては「SMプレイに没頭しながらも犯人は逃がさない余裕のある実力描写」のつもりなんだろうけど、それなら切り裂きジャックが凄まじい勢いで遁走して、「バカどもめ、余裕ぶっこきおって……」くらいのところで、当たり前のように先回りして……くらいはやんないと、単にだらだらしてるだけにしか見えないですよ(この点、今週のブリーチは余裕描写が巧くできてた)。

 中盤。神父が犯人……なのはもういいです。諦めました。どうせみなさんこれしかできないんですよね。でもそれなら、せめて「神父だけではなく警官もグルで街全体が吸血鬼の支配下」→「主人公が圧倒的実力で全て粉砕」くらいすれば読者の意表を突けるのに……。ま、もういいや。テンプレはもう諦めるとして、問題は女の子の回想で、「神父様が人殺しをするわけなかろうがっ!!」と回想中で言わせておいて、にもかかわらず神父が出た時に「テ、テメェは――!! 神父!!」だなんて派手に驚かれても、ねぇ……。いや、そりゃ確かに少女の回想のセリフは主人公たちに聞こえてませんよ。ませんけど、読者にはもうカラクリは解けてるわけですから、そういう反応されても寒いっすよ。この辺はテンプレがどうこうというより、おそらくただの調整不足。もしくは不注意。せっかくのハレの舞台なのに、こういう凡ミスを残しちゃうのは僕は好きになれないなー。

 あと、これは個人的な好き嫌いですが、三日月ハジキがカッコ悪かったです。先週のトリコのW釘パンチといい、両手を同時に突き出すポーズってなんだかすごくカッコ悪い気がするのは僕だけでしょうか……。

 というわけで総評としては、非常にもったいない作品。主人公が飼い主の想い人とSMプレイをしながら捜査をする、という設定は非常に良かった。フリークスが溢れている世界観も十分に発揮されたとは言えないが目の付け所は良かったと思う。しかし、それらの長所を認めながらも、全体的なテンポの微妙さ(遅いわけではないが)、緊張感の欠如、単純な展開などなどで、とても面白い漫画と褒めるわけにはいかない感じ。これが連載されると「設定は面白いんだけど、面白い漫画にはならなかった」というムヒョみたいな感じになるんじゃないかなあ。アイデアと全体の枠組みは良かっただけにとても残念。もったいない。でも、箸にも棒にも……って感じでもないので、もっと工夫して洗練させて次の作品で化けて欲しいな。


 ***

 金未来杯、私的順位。


叢鋼>タカマガハラ>>HUNGRY JOKER>WOLF×RED>>SINS>ツキミのソバ


 叢鋼は一番ソツがなかったと思う。キャラの立て方も巧かった。敵役を最後にブレさせたのが残念だけれど、多分あれがジャンプの読切の限界なんでしょう。タカマガハラは細部に若干問題を感じたが、総じて良好。ゲルニカの一点だけでも個性は見せた。ただメッセージ性はほぼ皆無なので、そこをどう評価するかで好みが分かれる気がする。個人的には皮相的なメッセージを入れるくらいなら何もない方が遥かにマシ。……と、ここまでが「面白い」の壁。その下のHUNGRY JOKERは決して悪くはないんだけど、気になる点が多すぎてイマイチ乗りきれない感じ。WOLF×REDは気になる点がさらに増えて楽しめなかったけれど、でも世界観など見るべき点はあった。ここまでが「見るべき点はある」の壁。その下二つは積極的に評価すべき点が特に見当たらない。「ToLoveるによくある強引なお色気展開をパロった」という点で若干SINSの方が上か?という程度。

 優勝は叢鋼と予想。対抗は特種エロ枠のWOLF×RED。小中高生男子のドM心を刺激できればありうると思う。タカマガハラは個人的には好きなんだけど、票が取れる類の漫画ではない気がするなぁ。


バクマン

 相変わらずサイシューがカネ、カネ言ってることを除けば、意外と悪くない展開……。七峰くんも今回は編集部にもちゃんと伝えるみたいだしね。会社が渡してきた作品をそのまま別の会社の雑誌で掲載するという形なら、確かに編集部はいらないなあ。正確に言えば今までの編集部の作業の多くが必要なくなる(マンガ家と担当の共同作業、というよりは、会社と会社の打ち合わせ、という形に近くなるか。本来の編集者との関係はむしろこうあるべきと言えるかもしれない)。今回のシステムは仁義にもとるところもないし、いいんじゃなかろうか。

 終盤の「ポイ捨てはダメ」展開は、ああ、なるほど、今回はこれで悪のマンガ家にするのね……、というかんじ。でも、これ、問題があるのは七峰くんが私怨でPCPを基準にしてる点だけですね。「亜城木夢叶以下はいらない」と言えば、なんじゃそりゃ、って感じだけれど、ある程度以下の結果は切る(たとえば5位以下)というのは悪くない。むしろ本気でビジネスをやる気がある、という点ではプラスですらある。七峰ドットコムはコストの掛かる作り方をしてるんだから、見切りをつけるなら早めに切った方がいいわけです。このタイミングで切れるのはむしろ七峰くんの優秀さと言ってもいいくらい(初期投資をもったいないと感じてだらだら続けて結局大損……というのが最悪なので)。ただ、問題はサイシューを基準にしてるのが彼の私怨という点ですよね。いや、高確率で大ヒット作を生み出す必要のある七峰ドットコムからすれば、今いる人気作家の誰それを基準として、これを上回れなければ切りますよ、というのはアリっちゃアリなんだけれど。まあ、もっと言えば七峰くんのカネでやってるんだから、七峰くんが私怨を晴らすためにやっても別に悪くはないんですけどね……。実は八薙先生も何も損したわけではないし。

 ところで最後のコマは、「冷酷ッ!!」なんて煽りが付いてるけど、別の仕事まで世話してくれるというのは、むしろ七峰くんの暖かさではなかろうか? あの顔芸で言ってるからなんか冷酷な気がするけど、普通にかしこまって、「うちの経営的に先生は戦力外通知とさせて頂きますが、他に仕事はありますので良かったらこちらを」なら、特に冷酷とは感じないはず。まあ、それができないのが七峰くんなのだけれど。しかし、ここまで考えると、七峰くんのやってるのってまさにミニジャンプだよなあ。ジャンプ本誌よりもデビュー条件が厳しくて、ジャンプ本誌よりも冷酷に切られて、ジャンプ同様に読者意見を重視し、アシを紹介してくれるのもジャンプ編集部と同じ、っていう。でも、皮肉にもジャンプ本誌よりも売ることを真剣に考えていて、教育もしっかりしている。


いぬまる

 浅野犬壱、逮捕されたーっ! 大石先生のことだから、このネタはいつか回収してくれると信じてる……!!


ぬらりひょん

 清継くん……! 清継くんが立った――!!! なにこの展開アツイんすけど。この漫画の初期の牽引役、僕らの清継くんがついに動いたか!って感じ。しかし、欲を言えば、ここで清継くんが動き出して別の展開を挟むんじゃなくて、いきなり清継くんが結果を出してから、振り返ってこのエピソードに繋げて欲しかったかなー。つまり、一週で清継くんの活躍を描いてカタルシスを与えて欲しかった。次に彼が決定的な活躍をした頃には、今回の話の印象はたぶん薄れているだろうから。まあ単行本で読む分には問題ないのかもしれませんが。最高のカードだけれど、最高の切り方ではなかったかな、という印象。とはいえ、これからの描き方次第か?


ブリーチ

 先週、「ここで銀城さんに直撃させない一護はチョコラテだよなー」などと言われてましたが、なんと、普通に当たらなかっただけというww しかし、銀城さんの過去が明らかになったのはいいけれど、ここまで銀城さんのショボイ描写をしておいて、いまさら初代死神代行だと言われても、「はぁ。それで……?」という感じしかしないなあ。てっきりここで見開き登場するのは月島さんだと思ってたから、すごく複雑な気持ちになりました。銀城さんが死神代行だから一体何だと言うのー?


マジコ

 最近、すっかり迷走していたマジコがあるべき方向に戻ろうとして、ちょっと行き過ぎちゃった感もあるけれど(だって、大会の趣旨もおそらく「公衆の面前で夫婦が色んな意味でイチャイチャする」というものでしょう?)、それでも読者としては嬉しい類の軌道修正。しかし、ついにマイホーム獲得に乗り出しましたか……。今週でぐっと所帯染みてきやがったな……。もう少ししたら、「時間労働儀(パートタイマー)」とか言って、エマがスーパーでレジ打つ話とか入るんじゃなかろうか。


花咲一休

 うーん……。なんなんだろうな。この漫画は。一回一回のとんちは一応ちゃんと成立してたし、考えて描いてることは伝わってたんですが、どうにも面白くなかった。今週のも「おお、なるほどな」とちゃんと思ったけれど、でも、面白くはなかった。なんなんだろうね、一体何が足りなかったんだろうね。誰かこれが面白くならなかった理由をうまく説明して欲しいです。何がいけなかったのか分からないけれど、確かに面白くなかった。


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