僕の家の本棚には野球漫画がたくさんあります。現実の野球は年間通して3分も見ませんが、野球漫画はたくさんあるのです。しかし、我が棚に並ぶ野球漫画は「アストロ球団」「地獄甲子園」「逆境ナイン」など。自分でも「ダンゲロス・ベースボール」を書いていることからも分かるとおり、そう、僕は頭のおかしい野球漫画が好きなのです!
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というわけで、読んでみました「レッドアローズ」。非合理的な熱血特訓系のプロ野球小説ということで、「選手の背中に丸太を打ち付ける特訓」(アストロ球団)のようなトンデモバカを期待してたのですが、そっちの方向では若干期待はずれ。しかし、別の方向で。能力バトル野球モノ、野球シミュレーションとして楽しめる作品でした。
主人公の属するレッドアローズの選手は、それぞれの選手にできること、できないことがはっきりしてるんですね。メンバーには侍、きこり、自衛官などがいるわけですが、たとえば「侍」の野球選手は送球能力はないけど、どんな球でもファールにできる(=四球で必ず出塁できる)。「きこり」は剛力で当たりさえすればホームラン。「自衛官」は打撃は素人だが、空間把握能力が高く飛球処理は完璧。と、このように一面では秀でた力を持つが、穴もある選手を使いつつ、球界最強の「シャイニングス」相手に、いかに選手の強い面だけを見せ、弱い面を隠しながら試合をしていくのか、という能力バトル&シミュレーション要素の強い作品となっています。
また、これはシャイニングス側の視点からも楽しめます。シャイニングスとの試合は四勝先取。高い実力を持ちながらも、「特殊能力を持たない一般人」であるシャイニングス陣は、レッドアローズに四本取られる前に敵の実力を見定め、攻略法を編み出していくことになります。この辺りは能力バトルモノで、謎の能力者相手に少しずつ情報を加えながら立ち向かっていくシーンに近いです。そして、僕たちボンクラ野球ファンにはおなじみの場外暗殺(※)もあります。
※イナズマイレブンの鉄骨落下や、テニス亜久津の暗殺などに見られる。「試合前に殺せば勝ちじゃね?」的思考。
とはいえ、全体的には意外と真面目に野球をしているので、「バカ」に振り切った作品ではないけれど、よく言えば「リアルさ」をギリギリで保っている作品なので、野球シミュレーションモノとして楽しめるかなー、と思います。
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