【2/21】2011年12号のジャンプ感想(1)


ライトウイング

 ちょ、ここでのドラゴンボールは卑怯だなああ。すげええなあ、ドラゴンボール歌いながら眼に見えない羽をぶちぶち引っこ抜くのはすごいわあ。これ、羽が見えてない観客たちは一体何を思ってこの試合を見てるんだろうな。どうやら審判には見えてなかったようだけれど。

 しかし、最終回に入って、作者ももうやりたいことやりまくりでノンストップ歯止めなしでやっちゃってる感じですよね。その場にいるメンツを見て、能力名(?)が分かるとか。「狂人日記」とかどういうサッカーなんだぜ……。シアンくんは「狂人日記」を見て一体何を悟ったというのだww 今まではまだギリギリ「象徴表現」レベルで止めていたのを一線超えちゃったから、僕らなんかにはナンセンスギャグ的にすっげー面白く思えるんだけど、小中学生とかは「なにこれ、意味ワカンネー」みたいな感じになっちゃうのかなあ。確かに不自然この上ないんだけど、でも理屈を一歩超えてるからこそ面白いんだよな。ここらへんはテニスと一緒だよね。

「あの人」のゴボゴボもさっぱり分かんねーな。この表現技法が有効に機能してるのかもどうかもよく分かんないw でも、面白いwww いやー、この表現は見たことないなあ。ホント成功してんのかどうかもよく分っかんねーけど、でも、見たことないことやってくれるのはうれしいな。

 ところで、この試合、完全に「心の折りあい」になってますよね。最初はあっさりとボールを奪われたリヒトくんが、宇宙規模の羽を生やしたらシアンくんをあっさり下してるもん。本来は「圧倒的実力差により心を折る」はずだったのに、いつの間にか志だけで強弱が逆転してる。精神攻撃メインで勝敗が決る辺りはまるでカブトボーグ。

 しかもこれ、精神攻撃除いて考えれば、「シアンくんがボールを奪った」→「奪われたリヒトが膝をついた」→「スタンド席と会話した」→「シアンくんがリヒトにボールを返した」→「棒立ちのシアンくんの横をリヒトが駆け抜けて得点した」→「シアンくんが尻餅ついた」なんだよね。羽が見えない観客や審判なんかはキョトンとしただろうな。「なにこいつらのサッカー? つか、これサッカーなの?」みたいな。テニスの「手塚vs真田」戦くらいキョトンとする試合だったと思う。「手塚vs真田」も傍から見れば、真田がまともなリターンを返せないだけのクソ試合だからね……!


 ***

 ライトウイング、おつかれさまー。なんだかんだ言って面白かったです。始まった当初は佐治さんのあまりのクソ人間っぷりに、「こりゃダメだ」と思ってたけど、うん、なかなかどうして化けた感がありますな。「リヒトvs100人」も、最初の方はどちらかと言えば白けムードだったんだけど、それはたぶんライトウイングのセンスに僕が乗れてなかったからなんだろうな。何度も繰り返されて、「こういうセンスなんだ」と分かってからは素直にキャッキャできたし。たぶん、いま「リヒトvs100人」やってくれたらスッゲー楽しめると思うんだけどね。そう考えると、開始直後にああいうネタをバーンと振っちゃうのもリスキーなのかもしれない。テニスだって、最初はごく順当な立ち上がりから始まって、いつの間にかキチガイになってたわけだし。第一話から田仁志さま出されても僕も困惑しただけだろうしね。いや、それでも1話の佐治さんの嫌なヤツ描写がもう少し控え目だったらなぁ……、と思ったり。うーん、まあ、次回作に期待ですねー。次はどういう方向で作品作るんだろ。


ナルト

「一定時間黙ってても吸い込まれる」は巧いアンサーだったと思います。能力がバレても、なお伏線として機能するとか、この忍具作った人はよく考えてるなーと。しかも、あんまり焦らさずに今週開幕でポンと答えを出してくれたのも良かった。あんま焦らすとハードルが無駄に上がっちゃうからね。ポンと出されたから「スゲーなー」って思えた面もあると思う。でも、担当さん、「部隊長ダルイの壮絶知力戦!!」とかはちょっとやめてあげて下さいよ……。ハードルが……岸本先生のハードルが上がる……。

 ……と、立ち上がりは良かった今週のナルトだけど、一方、「だ類」はビミョー……。いや、この手の「文章のケツと頭を繋げたらうっかりその単語になっちゃったぜ!」はまあ良いと思うんだけど(これも納得いかない感は残るけど)、「類似品」というよく分からない表現を出してきたのが残念なんだよね。いや、こんな不自然な会話ないでしょうよ。これがせめて「金角・銀角は相手にNGワードを踏ませるため、あえて会話の中によく似た単語を織り交ぜている」という戦術が前提ならまだ分かるんだけど、今週のは単に不自然な例を出したら、不自然に回答しちゃっただけにしか見えないんだよなぁ……。岸本先生の日本語センスの残念さがモロに出ちゃった感がある。(でも、岸本先生は普段から日本語センスが謎なので、今回は台詞中で「だるい」と繋げなければならなかったことを考えれば、「いつもと同じレベルを保った」ということで、むしろよくがんばってるのかもしれない)

 一方、「だるい」→「すみません」は、これもこれでイマイチ納得はいかないけれど、それでもなかなか優れたアンサーだった気がします。「すみませんって言って1位が入れ替わったなら、その『すみません』でやっぱ吸い込まれるんじゃね?」とか思わんでもないけど……! いや、でも、結構良かったと思うんだ……!!

 しかし、「壮絶知力戦」って最初の謎解きだけで、後は拾った武器を活用してたら相手が自滅してただけだったよな……。


バクマン

 あやややや……。こりゃいよいよ気持ちの悪い展開になってきたなぁ……。読者の感覚と作中人物の感覚の乖離はこの漫画の一番のウィークポイント(ガモウ先生はひょっとして自覚的にやってんじゃないかという気がしなくもないが)だと思ってるんだけど、今回の展開はモロにそれが出てきた感じ。いやはや……むうう……。

 僕がどうにも納得いかない点は、ガモウ先生が「七峰くんの態度の悪さ」と「七峰メソッドの手段としてのまずさ」を意図的に読者に混同させようとしている風に見えることなんですよね。客観的に言って、まあ、七峰くんは態度悪いですよ。しかも、今週で急激に態度悪くなった。で、七峰メソッドの方も、これまではサイシューこそぶつくさ言ってたものの見吉は興味を示していたし、実際、七峰メソッドは結果を出してた。それが、七峰メソッドの良し悪し自体はまだニュートラルだったのが、今週になって急に「おぞましい」なんて言われるようになっちゃってる。しかも、「絶対にやっちゃいけないやり方とも言い切れない」→「いや、少なくとも前もってわかっていれば連載会議で通ってはいないだろう」と、これも(よく分からないけれど)何故か編集部的にも公にアウトということになっちゃった。

 で、ここらへんは感情論とかなんでスルーするとして、七峰メソッドの現実的問題点は今週服部さんが挙げてて、それが「台詞や話作りに一貫性がない」なんだよね。でも、そこに問題があるとすれば編集部が問題点を指摘するか、読者がそっぽを向くかするわけで、実際にそれがないということは現状で問題ないってことになる(まあ、問題はこれから出てくるのかもしれないけど)。で、七峰メソッドの否定要素は「一貫性がない」「おぞましい」「連載会議に通らない(集英社的に認められない)」なんだけど、……うん、これ、説得力ないと思うんだ。で、否定要素に説得力がない代わりに、七峰くん自体の否定要素(態度が悪い)は今週過度に強調されてる。これって思うに、ガモウ先生は巧く説得力のある七峰メソッド否定要素を見つけられなかったから、七峰くんの態度の悪さを強調して、「ほら、こんなロクでもない子なんですよ。こんなロクでもない子がやる手段なんだから、もちろんロクでもないと思うよね?」って方向に誘導してるように見えるんだよな。ラストのサイシューの精神論も勢いでごまかしてるだけに思える。

 別に七峰メソッドを否定するのはイイんだけど、「なんとなくおぞましい」とか「精神論」とかじゃなくて、もっと納得のいくアンサーが欲しかったですね。今まではある程度バランス取ろうとしてきて、読者的にも「半々くらいでアリだと思える感じ」を狙ってたんだから(今までのバクマンは「七峰メソッド、アリじゃね?」層が読者の中にできるよう意図して調整されてた)、そこまでやったなら責任持って、その「アリじゃね?」層を納得させられるカッチリしたアンサーが欲しかったところ。七峰くんの態度の悪さでごまかしちゃうのは、正直、逃げだと思うなぁ。まあ、これからの描写で、そこら辺は「単なる精神論」に終わらないよう説得力を持たせていくのかもだけど。

 加えて言うなら、七峰くんが「台詞や話作りに一貫性を保てない」ほど才能がないというのもすごく納得し辛いです。百歩譲って話作りで一貫性が保てないのはよしとしましょう。しかし、台詞に一貫性が保てないって、それ、七峰くんが元老院から提出された台詞をそのまま原稿に書き殴ってるってことなんじゃないの? いや、そこは普通、一度自分のフィルターを通して自分ナイズすることで一貫性を保つでしょう。その程度のバランス感覚さえ持たない七峰くんが編集部や読者に受け入れられたとは思えないな。それに、それが出来なきゃ、担当から言われたことだってコピペするだけじゃん。

 七峰くんの作品が「継ぎ接ぎ」だってんなら、それでもいいんだけど、そのくせに結果を出してるってのが理解できないんですよね。「継ぎ目の見えないよく出来た継ぎ接ぎ」じゃないと結果も出ないんじゃないの? 七峰くんはコピペしてるだけのバカなのか。それとも雑多な意見を取り入れて物語を作れる新時代の作家なのか。これまでの描写は明らかに後者だったはずなんだけど、どうも今週から突然前者を強調し始めた気がする。それに、たとえ前者だったとしても、それは七峰くんがバカなだけであって、七峰メソッド自体の否定にはならないんじゃねーかなー。

 あと、もう一つ加えて言うなら、漫画に一貫性がないからダメなんて言ったら…………うん。ねえ。一貫性なくても売れてる人もいるじゃない。というか、担当のせいで一貫性が崩れたと思われるケースもあるような気がするんだけど。


ワンピース

 ブルック、かっこいいなー! 「ちょっと何するんですか、アナタ~~!!!」なんて言いながらも、しっかり斬り捨ててる……。ザコのモブ相手でもこういう描写なら強さが引き立つんだなーという好例ですね。メモメモ。しかし、他のメンバーはともかく、ブルックは二年の間にどうして強くなったんだ? 歌は巧くなったと思うが、なぜ強くなったんだ??

 ハチさんは確かにヘタレすぎるんで、ホーディさんが怒ったのも仕方ない気がしました。「自分たちがやってみてダメだったから、お前たちもやめろ」とか言われても「コイツ、老いぼれたなあ」としか思えないですよね。「おい、ホーディ、これじゃ死んでしまう!! デッケンを止めてくれ!!!」に至っては情け無さ炸裂ですよ。子供の頃の憧れの剣士が、「うひー、死んじゃう!」「タスケテー」だもんなぁ。この時のハチの最大瞬間ヘタレはヤムチャに肉薄していたと思うし、うん、これはホーディさんの「腰抜け野郎」呼ばわりもしょうがないよ……。なんというか、ホーディさんは本当にハチに憧れていたからこそ、本当に目障りに感じたんじゃなかろうか。子供の頃に好きだったミュージシャンを、大人になって趣味が変わるとどうしても受け入れられないようにさ。


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