【1/26】2011年8号のジャンプ感想(読切『改造人間ロギイ』掲載号)


エニグマ

 先週のこち亀を読んだ時のような亜空間体験。な、何を言っているんだ……。「ピットくんに変身すること」「夜になると月の住人になれること」この二項の間に関連性がないのと、そもそも「夜」と「月」の間の関連性も希薄なのが相まって、さらには最終ページの「やっほーっ」の躁的な大ゴマが見事に絡み合い、まるで狂人の見る幻覚のような不思議な気持ちを味わわせてくれました。「よく分からない二つの事項をナチュラルに繋ぎ合わせて」「明るく活動的な絵面で見せる」と、キチガイみたいに見えるんだなあ。勉強になった。

 これ、無理に辻褄を合わせて脳内補完するとすれば、ピットくんは「月面世界の住人で夜になると月にいた時と同じ身体能力を発揮する」という設定の警察のマスコットなのだろうか……。警察がマスコットにそんな設定を加える理由がさっぱり分からんけど。「警察は深夜になると見回りに6倍の人員を割くぞ」という方針を示唆しているのだろうか。

 あと、スミオの時はそれなりに離れた距離から頭が勝手にコロコロ転がって自分の手元に戻るのに、クリスの時はほんのすぐそこに頭があるのに逃げ出そうとはしなかったんだよなー。おかしな話だ。あえて補完するなら「頭が離れたことで意識を失ったのではなく、クリスの一撃で意識を失った」ということなのだろうか。また、スミオの「クリスは悪いやつじゃないのだ」でアルがあっさりクリスを許す辺りも意味が分からなくて、なぜアルは「スミオは騙されている」可能性を考えないのか。これもあえて補完するなら「口では巧いこと言っておきながらアルは実はスミオもクリスも信じていない」のかもしれないけれど……。さらに言えば、アルは「着ぐるみが脱げない」と言ってたのに、「実は才能でした」と言われて、なぜ解除しなかったのかをスミオが問いただす描写もない。あえて補完するなら……ん、これはなんだろう……。スミオも細かいことは忘れてたのかな……。いやはやホント引っかかる点の多い漫画だよなぁ。


ワンピース

 蟹手のジャイロさんは懸賞金的にも微妙でポッと出という、まさにと言った感じのかませ犬だったので、彼がやられたからと言って特にホーディ・ジョーンズの強さ描写にはなってない気がするなあ。船をバコバコ壊してたのだって、鷹の目でも同じことができるわけだし(船斬りTボーンでもできるんじゃねえの?)突出した強さ描写という感じはしなかったです。ここでルーキーズの一人でもかませにすればキャラはもっとグッと立ったんだろうけど、そのルーキーズ自身がかませにするには惜しいくらいにキャラ立ちしてるからね。ルフィたちのパワーアップ描写もあったことだし、今の時点ではホーディさんには全然脅威を感じられないや。今週見た感じじゃ大ボスの格ではないなあ。彼は空島におけるシャンディアのワイパーさんの立ち位置で、他に大ボスがいるっていう展開なら納得できるけど。

 ところで、今週のホーディさんが口だけで船を落とすシーンは、やっぱ映画「ジョーズ」を意識してんすかね。


銀魂

 ドッキリかー。別に悪くはないけど、すごく良いオチってわけでもないなー。確かに話はまとまったけど、あんまり面白いオチではない。ちょっと惰弱な感さえあるなぁ。


 ……なんて思ってたけど長谷川さんの大オチでとてもブラックな気持ちになったので良かったと思います。作中で公認カップリングができたわけだけど、腐女子さんはこれ喜ぶのかね?


ナルト

 先々週辺りも思ったことだけど、再不斬と白のエピソードはここまで湿っぽくやられるとしつこい感じがしてイヤだなー。ここにいないナルトをたびたびフィーチャーしてるのもナルト菌っぽくてイヤだけれど、それを置いといても、やっぱ再不斬と白はあの時のまま、そっとして置いて欲しかったなーと思います。あんまり感動アピールされると逆に醒めちゃう。それと、重症を負ったカカシ先生が再不斬相手に普通に勝ってるのもよく分からなかったです。「ノリで勝たせちゃった」ような気がする。


リボーン

 先週、掲示板にて「一体一体が鈴木さんと同じ強さなら、一瞬で7体吹っ飛ばした雲雀さんはシモンファミリー全員を一瞬で倒せる強さなんじゃね?」って言われてたけど、今週のこれは一体どうすりゃいいんだろうね……。雲雀さん強すぎだろう……。「こないだ言ったアレはウソでしたー!」って鈴木さんが泣いて謝らないと、もう両陣営のパワーバランスは戻らない気がする。ホント、シモンファミリーはあの時なんとしてでもボンゴレを殲滅して帰るべきだったよなー。


べるぜバブ

 これ、古市くんは、たかが人探しのために、人間を殺すことをなんとも思わん文字通りの悪魔との戦いに学友を巻き込んだんだよな…………、と思ったけど、まあ神崎さんや姫川さんなら別にいいか。「不良高校がケンカ売ってきた」ことと「子供を探してる」こととの関連性を誰も突っ込まない辺りもアレだけど、まあ神崎さんや姫川さんならしょうがないな。


改造人間ロギィ

 前半の「銃持った護衛」→「露払い二体」攻略まではサクサク進んでスピード感あるし、戦闘シーンもスタイリッシュで主人公の強さアピールにもなっててイイ感じなんですが、おねーちゃんとの戦闘シーンから突然ダサくなっちゃったのが残念。るろうに剣心で剣心と四乃森蒼紫がガトリングガンから逃げ惑ってるシーンもそうだったけど、遠距離攻撃持った相手から(距離を詰めるでも物陰に隠れるでもなく)ひたすら逃げ惑うのってカッコ良く描けないもんなんですね。

 主人公が改造人間ではない、というオチは確かに意外性はあったけど、同時に「じゃあ、何で人間が銃持った奴に勝てるの?」「なんで人間が電撃に撃たれて平気なの?」「なんで人間離れしたスピードと怪力持ってるの?」などなど、疑問点が噴出しちゃったのがネックだなー。人間が普通に改造人間に勝てたら、今週の武器商人さんとか存在意義ねえよな。バイオ4で「主人公がたった一人でゾンビ兵1000人を殺せるなら、アンブレラは一体何のためにゾンビを作ってたんだ……」って感じたのを思い出しました。


こち亀

「スカイツリーの撮り方」という点で各人各様のアイデアの出し方が競われた展開は面白かったんだけど、なんで最後に「地元民と一緒に映ってるから素晴らしい」って話になるのかなー? いやまあ、いいんですけどね。実際、見てみたら温かい感じがしてイイ作品なのかもしれませんけど。でもなー、なんか納得できないや。なんだろうね、この気持ち。「人情モノで締めたらお前ら納得するだろ?」的な。うーん……。

 ただまあ、マリアのはあくまで審査員特別賞で、優勝は部長だったって点はバランス良かった気がします。まあね。特別賞ならね。まあね。


保健室

 巻末コメントの縦派、横派というのはなんなのだろう……。本編の方は、なんだかまた長編シリアス化しそうな流れが残念なのと(基本的に一話完結の方が好きなので)、敵対組織的なものが出てきてジャンプ漫画的な展開になるんじゃないかと、その辺りが心配です……。しかしまあ、敵対組織(?)も行動原理的にはそんなステロタイプな悪役たちではないので、藍本先生らしく巧く転がしてくれるのかなぁ、と期待。

 ところで、彼らは「狂愛(マニア)」とか「友愛(ストーゲ)」とか呼び合ってて中二力高めですけど、あれは別にジュナスさんやドルキさんとかとは違って、自分たちに憑いてる病魔の名前で呼び合ってるんですかね? マリヤさんももう26歳らしいし、さすがに「カッコイイコードネームで呼び合いたいお年頃」ではないでしょうし。いや、ワイズの人たちはどうかしらんけど。


動物園

 逢魔ヶ刻動物園はこれまでの26話の歩みを全て体育の溝口先生に持って行かれてしまった気がする……。これまでの全てのキャラと全てのエピソードを足した分よりも、溝口先生の登場した2Pの方がインパクト大きかったです。なんだか僕はすごく剣頭吏を思い出してしまったんだ……。


ぬらりひょん

「大きな鋏を振るう」「顔を剥ぐ」「畏の世界に閉じ込める」などで巧妙にカモフラージュされているけど、相手の怖がる顔を見たいばかりに頑張ってる怪人とおりゃんせの行動原理は露出魔の人と何も変わらないよな……。


となりのマサミちゃん

 わ! すごい、面白い。なんだこれ……!

「僕はマサミちゃんのこと邪魔だとか消えてほしいとか思ってないよ」

 序盤のこの一言が決定的で、この一事をもって新感覚になっていたと思います。マサミちゃんのことが嫌いではない。でも、他に生きてる友達も欲しい。このバランス感覚はグッド! これが「生きてる彼女が欲しい」だと、マサミちゃんが嫉妬などして、また全然違う読後感になっちゃうので、この作品にヒロインを出さなかったのは英断。マサミちゃんも基本的には迷惑な存在だけど、「彼氏が友達を作ることすら許さない」ほど独占欲が強いわけでもないし、ギリギリで憎めないバランスをキープしてる。夜に一緒にPS3できる異性の幽霊は、自分の身に置き換えて考えてもギリギリで憎めないよなー。この「微妙に感情移入できる」バランスがすごく良かったです。

 主人公の平安貴族眉毛や級友の盛り塩などの小ネタも上々。昇竜拳でサガットと同じ傷を付けられた杉田くんなんかも面白かったし、久保先生が休んでくれたおかげで、こんな上質な代原が読めて今週はちょっとラッキーだったかな~。


めだかボックス

 いや、待ってくれ。先週引きのあの爆発で「実はフラグメント・グレネードでしたー!」はねえだろ、オイw あれはごく少量の火薬の爆発には見えなかったよ! そして、破砕手榴弾ならそれはそれでやっぱり人吉母や江迎さんの巻き添えを何も考えてなかったことになるんじゃなかろうか(破砕手榴弾は半径3メートルくらいまで死人・重傷者が出る)。ちなみに僕の大好きな科学実験番組「怪しい伝説」の実験によれば、破砕手榴弾に覆い被さって体で受け止めた場合、確かに周囲への影響は激減するけど(半径1.5メートルまでの下半身への軽傷くらいに軽減)、覆い被さった本人は腹がグチャグチャになるどころか、体が二つにちぎれてた。江迎ちゃん死ぬるwww

 しかしまあ、前回の引きからして、僕も含めほとんどの読者が今週は安心院、善吉、球磨川の絡みからスタートするだろうと思ってたでしょうから、この裏切りは巧かった気がします。江迎ちゃんの行動自体は言われてみれば納得できるしね(あの爆発量は納得できんけど)。話の方は、これまで取り付く島もなかった球磨川さんの「改心」に向けてアクセル踏み込みすぎな感もあるけれど、本人に「キャラが崩れた」とまで言われたら、読者としては納得せざるを得ないなー。急加速すぎる展開も、作中でそれを明言されたらそういうものになっちゃうもんな。ある意味、巧い。

「本当に怖いのは志布志さんではなくて蝶ヶ崎さんでした」「実はあの時僕らをやったのも蝶ヶ崎さんがメインでした」は相変わらずの西尾節。前半はまあいいにしても、後半はちゃぶ台返しな感が否めない。読者がすっかり腑に落ちていたポイント(「日之影先輩がスカーデッドに負けるのは仕方ないな、なるほど!」)をひっくり返すのはやめて欲しいんだけど、まあ、ここからさらに巧い説明が入るかも知れないし、そっちに期待しますかね。


黒子

「花宮くんショボイ……(´・ω・`)」と絶賛評価低下中の霧崎高校ですが、いや、やっぱりここまで体系化されたバトルバスケをされると僕は見所あると思うな。今週の「足払い」→「リバウンドエルボー」コンボとか笑っちゃったもん。彼らの今のプレイングは「汚さの中にも愛嬌があった」頃の外道高校と同じなので、数年後の彼らは試合中に火薬を使うようになると思います。花宮くんには早く外道高校監督のポジションに付いて欲しい。


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