【12/9】「旧約聖書 モーセ五書」感想


 旧約聖書、モーセ五書の感想(ツイッターより転載)。読んだ本はこれ。

旧約聖書〈1〉律法―創世記・出エジプト記・レビ記・民数記・申命記
旧約聖書〈1〉律法―創世記・出エジプト記・レビ記・民数記・申命記旧約聖書翻訳委員会

岩波書店 2004-12
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創世記

・創世記一章からして良く分からんな。「はじめに神は天と地を創造した」ってあるのに、光を作った後に蒼穹(天蓋)を作って、その蒼穹を天と呼んでるんだから、文章を読む限りでは天と地を創造したのは光の後なんじゃねーの?(自己解決。この部分は「神が宇宙を作った」くらいのニュアンスのもの)

・「神は人を自分の似姿で作った」→「エジプトやメソポタミアでは王が神の似姿とされたが、ここでは人は誰しも神の似姿(岩波)」。ほへー。神の似姿は「人は神と形が似ているわけではなく、理性などの神の属性が似ている」という話は聞いたことがあるが、これは初めて見た。

・原初、人間も動物も菜食で、肉食になったのは洪水後、という思想がどうも創世記成立当時にあったらしい(今もあるの?)。

・んー、創世記は一章と二章でいきなり内容が矛盾してるなー。ググってみたら有名な問題らしい。こういう問題に対し、ヘブライ語なんか読めるわけない僕はどうやって落しどころを見つけるべきかなー。基本的には「そんな下らねえことどうでもいい」なんだけど。

・「(蛇が)賢い」と「裸である(アダムとイヴが気付く)」と「(蛇が)呪われる」は原語では語呂合わせなのか……。こんなん生まれて初めて知ったわ。聖書って結構、文学的なニュアンスがつえーんだな。

・創世記3-15の「女の子孫が蛇の頭を砕く」は、キリスト教側ではこれを「(女の子孫である)イエスが(蛇に象徴される)サタンを砕く」予言と解釈するのは知ってるんだけど、ユダヤ教がそう解釈するわけは当然ないんだよね。ユダヤ教側の解釈は何を読めば分かるのかすら分からない。

・<ユダヤ古代誌>「蛇は人の足を噛むし、人は蛇の頭を潰す」って解釈してる。確かにそのとおりだ……!

・<ユダヤ古代誌>アベルとカインの件は、「牧羊は自然の営みだが、農作は欲深い人間の公案で無理に作らせたものだから(ヤハウェは羊の方を取った)」と考えてるみたい。当時のユダヤ人が農耕民族を蔑視してたってことだろうか。あいつら遊牧民だもんな。

・エノクは「神が取り去った」らしいんだけど、これは「死ぬ」の婉曲表現らしい。それが後世、「神により死を経ずに天界に移された」と解釈されて、新約聖書はその解釈で書かれてるらしい。新約を前提に旧約を解釈すると、本来の旧約のニュアンスとは異なってくるという例に使えるかな。

・モーセ五書の成立は紀元前五世紀頃とされてるんだけど、エホバの証人の人なんかは「紀元前1500年くらい」ってしれっと言うんだよな(信仰的にはモーセが書いたとされているから)。信仰的には正しいし決して間違ってないんだけど、普通の人は混乱するだろーなー。

・「旧約聖書の誕生」によると、創世記1章2章の矛盾問題は「異なる資料が当時存在していたから」らしい(これ二年前に読んでるのに完璧に忘れてたな)。しかし、資料が二つあるからって、平気で合体させて矛盾した文章を作っちゃう気持ちはよく分からん。当時はそういうメンタリティだったのだろうか。

・ヤハウェ「いやー、人間どもがロクでもねーからさー。大洪水とかやって全滅させてみたけど、人間の性根が腐ってんのは直らねえのな。もう大洪水とかやめるわー」(創世記8-21~) あれ? 神、ナチュラルに失敗してね? がんばれよ、全能者。

・ありゃ? バベルの塔って崩れてねーじゃん。作るの途中止めしただけじゃん。一般に言う「バベルの塔が崩れた」ってのは一体何のことなんだ?? イメージが先行??

・<ユダヤ古代誌>ヨセフスはバベルの塔建設理由を「神が洪水を起こしても浸からないように」建てたと説明。創世記では特に理由は語られない。

・アブラム「この子は私の妹っすよ(ホントは妻だけど)」→ファラオ「ちょう美人じゃん。お嫁にきてよ。お兄ちゃんにもお金たくさんあげるね」→ヤハウェ「おいコラ、ワレ。人妻に何しとんじゃい、殺すぞ」→ファラオ「ヒイイィ……! すいません! 私が悪かったです!」 なにこの神話級美人局。

・神のムチャクチャも何とか解釈して納得しているキリスト教徒の皆さんも、この神話級美人局には困惑しているようだ。http://bit.ly/cRUw4M

・街に男が二人訪れたら、街中の男たちが老若集ってきてホモセックスに及ぼうとするとか、ソドム、マジハンパねえな。さすが神話級に堕落してるだけのことはあるぜ。こりゃあ、オレがヤハウェでもうっかり滅ぼしちゃうね。

・ヤハウェ「おい、アビメレク、てめー人妻に何しとんじゃい」→アビ「えっ、人妻!? 待って下さい、まだ手は出してません! ていうか、アブラハムに騙されたんすけど!」。ヤハウェ、美人局に失敗しとるwwww でも、結局、「サラに手を出してない証拠」とか言ってカネ取られてるから成功なのか?

・つーか、アビメレクがカネを払ったのは、ヤハウェがアビメレクの王宮の女性の子宮を閉ざしたからか。美人局に失敗して真っ向から正論言われたから実力行使に出たんだな。ひでえ話だぜ。マジでヤクザ以外の何者でもない。

・「どう考えてもアブラハムの方が悪いし、そんなアブラハムを味方する神も理不尽だが、だからこそ神がアブラハムを大切に思ってることが分かる。神の友であることは行いの立派さではなく、神から受ける恵みの大きさによって証明される」。牧師さん、ちょう頑張ってる。 http://bit.ly/daxmKe

・出たよ、サラの側室追放だよ。元々、自分が子供が産めないから側室に子を産ませて自分の子にしようとしたのに、自分に子ができたら「子と母親を(荒野に)追放しろ」と来たもんだよ。昼ドラかよ。前も側室をイジメてたし、サラってホントに性格ブスだよなー。美人局といい創世記はイヤな話が多いな。

・あ、サラが127歳で死んだ。ヤな人だったからなんかせいせいしたなー。しかし、いつの間に寿命がこんな減ったんだ? こないだまで1000年くらいみんな生きてたのに。アブラハムは法外な金を出して墓地を購入してるけど、悪いこと(美人局)して稼いだカネだからなんかヤな感じだなー。

・エサウ「うう、今日も一日狩りをがんばったが、ハラが減って死にそうだ。おお、弟よ、メシ作ってたのか。それくれよ」→ヤコブ「貴様の長子権をオレに譲り渡すならくれてやろう」→エサウ「ウギギ……、腹が減って死にそうだから仕方ない」。ホント、創世記はロクでもない話が多いな。

・「イサクが父アブラハムと同様の美人局をやろうとする」→「アブラハムに痛い目に遭わされた王アビメレクがすぐに気付いて対処する」。実際は単なる伝承の繰り返しなんだろうけど、アビメレクも学習したんだなーと脳内補完すると楽しい。そして、アブラハム家は一家揃って性根が腐ってる。

・うわー、嫁姑関係で骨肉どろどろの争いきたー。もうなんか読むのイヤになってくるな、生々しすぎて。出てくるやつらの大半が人間的に腐ってて、にもかかわらずヤハウェは庇護し続けるから読んでて嫌な感じしかしない。あと、ヤコブがさらりと偶像崇拝してる(創28-18)。

・ヤコブも叔父に騙されてる、ざまあああwww 人を騙すような下種が、また別の下種に騙されるとか胸がすくな!

・第一妻「夫とセックスしまくって子供がたくさんできたわ」→第二妻「私は子供ができないので、私の仕え女とセックスして子作りして下さい。うちの子にします」→第一妻「あら、それなら私の仕え女ともセックスを」→第二妻「媚薬のおかげで私もようやく子供ができましたわ」。また昼ドラ展開か……。

・ヤコブと叔父がまた狸と狐の化かし合いをしてる。ヤコブの妻(叔父の娘)が叔父の下から神の像(偶像崇拝じゃん?)を盗んで、叔父がそれを咎めに来たら妻は月経を理由に調査を拒否して、そんで(調査できないので)見つからなかったらヤコブはここぞとばかりに叔父を責め立てるんな。ヒデエ

・有名なヤコブと神の格闘シーンか。なにを神は普通に負けてるんだろうな、意味が分からん。

・ヤコブを許してあげるお兄ちゃんエサウのシーンは、ひょっとして初めてかもしれない創世記のイイ話だった。しかし、ヤハウェが庇護するのはアブラハムから庇護の契約を受け継いだ一人だけなんだな。ヤコブの叔父もヤハウェを崇拝してるはずなのに、ヤハウェがヤコブを贔屓するから損な目に遭っている。

・ヤコブ「ファック! オレの娘がレイプされた!」→相手「ホントすいません。でも好きなんです。嫁に下さい」→ヤコブの息子「チッ! 貴様らが割礼を受けるならやらんでもない」→相手「うぐぐ、ちんこ痛てー。でも、我慢だ」→ヤコブの息子「ヒャッハー! あいつらはちんこが痛くて動けねーぞ。殺せー!奪えー!」 ほんとひどい

・ヤコブの邪悪さ、非道さには一周回って清々しさすら感じてきた。創世記って実はピカレスクロマンなんじゃねーの?

・ああ、この後偶像を棄てたのか。しかし、元々その偶像は同じ神を崇拝してるはずの叔父のところから持ってきたものだったんだが、どういうことなんだ?

・もう、おれん中ではヤコブ=イスラエルのビジュアルイメージは完全にモヒカンザコになった。純朴な若者が、兄を騙し、叔父を出し抜きしているうちに悪に目覚めて、遂にはモヒカンザコになる話だったんだよ! (追記:これは僕の認識ミス。モヒカンザコはヤコブの息子たちであって、ヤコブではない)

・また身内で争ったり意地悪してんなー。基本的に創世記は身内でゴタゴタするか、外部とバタバタやるかで、どちらにしろ登場人物ほぼ全員の性格が悪く、誰かが嫌な目に遭ったり、酷い目に遭ったりしている。

・激しい感情を表現する慣用句として、「上着を引き裂く」というのが出てくるんだけど、ヤコブ=イスラエルのビジュアルイメージがモヒカンザコになったこともあって、もう創世記が北斗の拳にしか思えない。

・ヨセフと兄弟たちの再会は感動的エピソードとして語られているが、実際読んでみると、こりゃ壮大なドッキリじゃねーか。兄たちが「あひー」とか「うひー」とか言ってる様子を見てヨセフはゲラゲラ笑ってたとしか思えない。でも、この下りは喜劇として普通に面白いな。

・創世記終了。ちんこ虐殺事件や近親相姦なんかは、ちゃんと「よくなかったこと」として総括されるんだな。荒唐無稽で異常極まる話だと思ってキャッキャしてたのに、なんか残念だ。


出エジプト記

・「母がモーセを川に流す」→「ファラオの娘が拾う」→「モーセの姉が『あなたのために乳母を探してきましょう」→「母を連れてくる」→「ファラオの娘『ありがとう、ギャラも払いますよ』」。うーん……。なんか狡猾さを感じちゃうなあ。

・モーセ「神よ、あなたの名前はなんなの?」→神「わたしはなる、わたしがなるものに」。自分がなんであって何になるかは自分で決める(決めれる)って意味らしいが、とりあえず質問には答えてない気がする。

・神「あなたたちは立ち去るとき、手ぶらで立ち去ることはない」「あなたたちはエジプト人から剥ぎ取ることができる」。また略奪を示唆してるよ。相変わらず神はヤクザっぽいな~。

・モーゼがぐだぐだ言ってたら、ヤハウェがキレたwwwwww

・出た! 「ファラオの心を頑なにする→言う事聞かないから殺す」のヤハウェコンボ! いつ見てもヒデエ話だぜ!! もう最初から殺して奪う気満々だよな!! ヤハウェは美人局はするわ、突然キレるわ、失敗してガッカリするわで、なんつーか、「機嫌のいい時だけ面倒見の良いチンピラ」って感じだ。

・ググってみたところ、ヤハウェが「ファラオの心をかたくなにする」のは、かたくなにした、というよりは、かたくなになる選択の余地を残した、くらいのニュアンスだとエンファサイズド・バイブルにあるらしいが、そもそもエンファサイズド・バイブルってなんなんだぜ……。

・んー、でも、出エジプト10では「ファラオの心を頑なにしたのはこのオレ、ヤハウェだ、ゲヘヘーッ!」って言ってるなあ、どういうことなんだろう。

・「神がいきなりモーセを殺そうとする」→「モーセの妻が息子のちんこの皮を切る」→「妻がモーセのちんこを握る」→「解決」すごいな。事柄だけ抜き出すとさっぱり分からん。意味的には「モーセが割礼してなかったので神が怒ったけど、妻が息子を割礼してその血をちんこに塗ったら解決」って話らしい。

・出エジプト7がよくわかんねーな。モーセとアロンがナイル川を血に変えるんだけど、それに張りあってエジプト側の魔術師も同じことをやるんだよね。でも、川はもう血になってるわけだから張りあって何をしたのか分からないし、ファラオも自分の国土に惨禍をもたらしてどうする気なんだろう。

・「モーセが蛙の群れを陸上にあげて迷惑を掛ける」→「エジプトの魔術師が張りあって同じことをする」。どういうことなの? エジプトの魔術師はばかなの? しぬの?

・ヤハウェ「クククッ、フアァラオよ。ひと思いに殺してやっても良かったが、私は貴様を生かしておいた。何故だか分かるか? 私の力を人々が語り継ぐためだ」。ヤハウェのメンタリティが虎眼流と同じだ。やべえ、伊達にして帰される。

・美人局の件もだけど出エジプト記も「①現地で迷惑を掛ける」→「②頼むから出てってくれと言われる」→「③金品を貰って出て行く」のパターンだなぁ。これだけ抜き出すとヤクザの手口でしかないが、一応、「弱者は自分たちの方」という前提でやってるんだよね。まるでエセ同和問題……げふんごふんっ!

・エジプト脱出中にヤハウェが「過越祭への奴隷の参加条件」について言及してるんだけど、さっきまで奴隷だったイスラエル人が奴隷を所有してるとは思えないから、これは後世、奴隷を持つようになってから書かれたものなんだろうな。クリスチャンは「神は先のことまでお見通し」と考えるのかしら。

・モーセが海を割ったのってやり方がちゃんと書いてあるんだな。ヤハウェが風を吹かせて割ったらしい。そんな突風が吹いたら人も吹っ飛んでいきそうなもんだけど。

・えっ! ヤハウェが吹かせた風って、ヤハウェの鼻息なの!?

・ヤハウェが何か決定的なことをする時に人間はそれを見れないことになってるらしい。エジプト軍を殲滅するのは見てなくて、事が終わったあとにエジプト軍の死体だけ見た、というように。ソドムとゴモラの際にロトの妻が振り向いて塩の柱になったのも岩波はそれで説明してる(決定的な行為を見たから?)

・マナって昆虫の排泄物なのか……。ググってそれらしき画像を見てみたけど、確かに美味そうに見えんでもない。

・現地住民と戦争してんだけど、モーセが手を上げてる限り勝てるらしい。でも、ずっと上げてると疲れて手が下がっちゃって、すると負けそうになるから、周りで二人がかりで両手を支えてたらしい。なんか能力バトルみたいだ。

・ヤハウェがシナイ山に降りてくる時はフラッシュ(雷鳴)が起こり、スモークが焚かれ(火山現象?)、BGM(雄羊の角笛)が鳴り響くらしい。バブル時代の結婚式みたいだ……。

・パンピーがシナイ山に登ったらヤハウェが襲って殺しちゃうから、「パンピーを近付けるな」ってヤハウェ自身が言うんだけど、「っは・・・し、静まれ・・・俺の腕よ・・・怒りを静めろ!!」を感じてしまう。というか、そのくらい自制しようぜ、ヤハウェ……。

・ここまで読んだ感じ、「ヤハウェがファラオの心を頑なにした」は「ファラオが心を頑なにする余地を残した」という風には取れないなあ。「オレのスッゲー力を見せつけたいから頑なにした」「あいつらを海でトラップにかけるため頑なにした」って言ってるし、絶対わざとだよ。

・十戒に神の自己紹介があるんだけど、「妬みの神」とも「熱愛の神」とも訳せるらしい。その二つは全然違うから困っちゃうなあ。どっちにしろ自分を憎むものには酷いことをして、自分を愛するものには恵みを与えることは変わらないのだけど。愛ってなんなんだろうね。

・十戒の数え方は二通りある(2バージョンの十戒がある)。うん、これは前に気になった点だな。

・十戒の「あなたは殺してはならない」の「殺す」の原語は、動物を殺すことには使われず、また神を主語とした例もないらしい。「あなたは殺してはならない。動物は殺してもいいけど。あと、オレ(ヤハウェ)は殺すけど」ということだろうか。

・和解の供犠って共食儀礼(神と一緒にごはんを食べる)じゃん!! 全焼の供犠(全部燃やして神に届ける)の方が有名すぎて、ユダヤ教には共食儀礼ないのかと思い込んでたよ! あっぶねー、教祖マニュアルに書かなくて良かった……。

・「いいか、祭壇に登るときは丈の長いズボンを履くんだぞ。じゃないと、下からちんこ見えちゃうからな」みたいなことをヤハウェが言ってる。女子高生みたいだ。(ただし、出エジプト20-26は「『階段で』祭壇に登るな」か「(階段で)祭壇に登るな」か、どちらの意味か分からない)

・同族の男奴隷を買った場合は奴隷は7年後にフリーになるけど、主人が男奴隷に女をあてがって結婚させた場合、出ていく時に妻と子供は主人の下に残るらしい。なので、女子供と別れたくなければ自主的に奴隷でい続けろ、と。法令集も地味に面白いなー。これ、同族じゃない奴隷の場合はどうなんだろ。

・「自分の奴隷を意図的に殺した場合、主人は己の命で償わねばならない」。古代は奴隷なんて好きに扱ってそうなもんだけど、旧約は意外にも奴隷の人権が守られてる。エホバの証人が「神は奴隷の人権を~」「あの時代ではスゴイこと~」って言ってたけどコレは確かにそう。まあ過失致死なら無罪だけど。

・ただ、エホバの人は「妊娠中の女を流産させて、(子供が)無事だった場合は罰金だが、(子供が)が死んだら命で償う」として、「神は胎児も一つの命として尊重している」というけど岩波訳だとカッコ内は「女」を当てており、その解釈とは異なる。どっちが正しいかは知らんけど。

・「聖絶」って言葉が出てきた。敵を人も家畜も皆殺しにして神に捧げるんだって。旧約聖書だとカナン人とか他の神を祀ったやつらが聖絶されるらしい。これって宗教的大虐殺のことだよなー。コエエ……。漫画で敵のボスが「聖絶せよ!!」とか言いそう。僕もいつか小説で使おう。

・法律的な話が出てきて、弱者救済とかの話に及ぶと急に神が慈悲深くなったりした。これはおそらく社会システム上、強者を牽制するために神を弱者側に付けたからなんだろうな。創世記ではチンピラとしか思えなかった神のメンタリティが、ここでヤクザの親分くらいにイメージアップした。

・ヤハウェが聖櫃の作り方をモーセに教えてくれるんだけど、どう考えてもこの通りには作れない。神、ムチャ言わないでwww

・ヤハウェの指示する幕屋の作り方は学者でも何を言ってるのかよく分からんらしい。聖書で意味の分からない記述に出会ったとき、しばしばクリスチャンは「神のすることは人間には理解できない」と言うけど、大工仕事の設計図が分かりにくいのは、それは単に神の説明がヘタなだけではなかろうか。

・幕屋ってでかいんな。移動式神殿って言うから、なんとなく神輿的なものを想像してたけど、サイズ的にはどうも4.5mx13.5mっぽい(合ってる?)。こんなデカかったのか……。

・幕屋とか備品とか服とか祭司とか、とにかく油をかけまくってるんだが、近くで火も扱ってるってのに火事にならんかったんだろうか??

・ヤハウェは儀式のやり方をいろいろレクチャーしてくれるんだけど、守らなかったら直ちに殺しに来るんだよな……。エデンの園での一件といい、やっぱヤハウェは自分に逆らうやつには容赦しねえな。

・社会的弱者のためのおやすみであった安息日が、バビロン捕囚以降、アイデンティティ確立のためのものになって、「安息日に働く奴は死ね!」になったみたい。ユダヤ教の超正統派は安息日に働く救急車に石を投げつけるというけど、あれは石打ちによる死刑が前提になっているのかもしれない。

・しかし、ヤハウェはほんとに殺す気満々だな。イスラエル人以外はバンバン殺すけど、イスラエル人もちょっと自分の言うこと聞かなかったらやっぱりバンバン殺す。超こええ。そりゃデミウルゴスだとも考えるよ。

・ヤハウェ「あいつら仔牛の像拝んでる! 殺す! ブッ殺す!」モーセ「やめて下さい! それやっちゃうとエジプト人から『ヤハウェは皆殺しにするために民を連れだしたんだ』って言われちゃいますよ。それに、アブラハムに子孫を増やすって約束したじゃないですか」。ヤハウェ、またやりこめられてる。

・ゲーッ、ヤハウェの代わりにモーセが民を殺しまくったー! こええ。こええよ、イスラエル人。敵も味方もすぐに殺すなー……。

・ヤハウェ「おまえらと一緒にいたら、うっかりおまえら皆殺しにしちゃいそうだから、代理のやつに案内させるわ」。こええ! ヤハウェこええ!

・ヤハウェ「ヤハウェ、ヤハウェ、憐れみ深く慈しみ深い神、怒ること遅く、恵みと真実に富む神。いくつもの氏族に恵みを守る者、咎と背きと罪を許す者」。 な 、 何 を 言 っ て る ん だ … … 。

・cf.ジャイアン「俺はジャイアン ガキ大将 町一番の人気者 勉強 宿題 目じゃないよ 気はやさしくて力持ち 顔もスタイルも 抜群さ」

・聖書にコピペミスがあるらしいwww(出エジプト36-29) 正確には、前の段階で「これを将来やれ」と未完了形で言われたところを、やった後の箇所で(「これをやった」と完了形にすべきなのに、そのままコピペして)未完了形のままになってるw

・出エジプト記読了。戦慄するほどこええ。ヤハウェはDVヤクザみたいなイメージで、外のやつらは当たり前のように殺すけど愛人にだけは優しい。でも、ちょっと機嫌を損ねると、態度を一変させて愛人も殺す。優しい時がある分だけ、より恐怖が引き立っている。出エジって実はホラーなんじゃねえの?

・ヤハウェに宇宙的恐怖を感じちゃったけど、まあでも、出エジプト記は面白かったなー。物語を読んでこんな恐怖に駆られたことはここ一年ほどなかった気がする。ホラー小説として優秀。さてはて、悪化の一途をたどっていくヤハウェのイメージだが、果たしてこれからイメージアップするのだろうか?


レビ記

・供犠のやり方はいわばヤハウェによるバーベキュー講座だな。よく分かんねえんだけど、どうもヤハウェは酵母が嫌いらしい。酵母や蜂蜜を混ぜたら怒るらしい。食べ方に好みがあるんだろうか。全部に塩かけろって言ってるから塩味が好きなのかも知れない。酵母(腐敗)と塩(保存)の連想なんだろうけど。

・しかし、分かんねえのが、カインが植物を捧げた時は見向きもしなかったくせに、今度は植物を捧げるのもオッケーになったんだよね。なんだろう、歳を取って好き嫌いが減ったんだろうか。

・山岡「やれやれ、こんな全焼の供犠で満足してるようじゃ、いつになってもヤハウェの救いは実現されませんよ。明日もう一度ここに来て下さい。私が本当の全焼の供犠をご覧に入れますよ」←もし山岡士郎がモーセのレビ記を読んだら。

・栗田「はっ、この香りは……! 供犠に捧げた雄の羊の香りがヤハウェの鼻孔の中でシャッキリポンと踊るよう。まさか、これは……」山岡「そうです、塩です。ヤハウェが求めていたのは塩味だったんです」ヤハウェ「なんちゅうものを食わせてくれたんや、これに比べたらアベルの捧げた供犠はクズや!」

・注:供物に塩味を付けるのは穀物の供物のみ。家畜の供物は味付けなし?

・供犠はどうも、大昔は「燃やした家畜を神が食べる」というニュアンスだったのが、「神は燃やした匂いを嗅ぐ」くらいに変わって、キリ教徒は今では「(神がひとり子を犠牲にしたように)財産である家畜を犠牲にする行為」と捉えてる?「神がメシを食う」という概念を薄れさせていったと思われる。要考察 。

・あと、ヤハウェは脂身が好きらしい。「脂肪は全部オレのものだかんな。お前ら、ちょっとでも食ったら殺すからな」って言ってる。ヤハウェは二郎に並ぶべき。

・窃盗や詐欺は自首した場合、持ち主に125%にして返した上で、雄羊を連れて償いの供犠にすればいいらしい。自首じゃなくて捕まった場合は200~500%にして持ち主に帰すらしいので、自首の場合はすごく軽くなってるなー。

・毎日の全焼の供犠で朝晩に子羊一頭ずつ捧げてたらしい。つーことは、一年で730匹? ちょっとヤハウェ食い過ぎじゃね? いやしんぼさんめ! しかし、当時のイスラエル社会は年間730匹もの子羊を無駄にできるほどの生産性があったのだろうか?? 全焼の供犠の残り物は食ってなかった模様。

・「必ず死ななければならない」→「(イスラエル人に向かって)おい、お前ら、あいつを殺せ」/「一族の中から絶たれるであろう」→「オレ(ヤハウェ)が手ずから殺してやろう」。……という表現の違いがあるらしい。こんなん普通に読んでたらぜってー分かんねえよ。

・供犠の辺りを見た感じでは、家畜を解体して、血を振りまいて、炎で燃やして、ちょっと食べたりして、まったくもって「大昔の民族宗教」って感じだなあ。現代の洗練されたキリスト教のイメージとは大違いだ。すごく原始的な匂いがする。

・メモ:和解の供犠に供物(羊とする)を持っていった場合。脂肪→ヤハウェが食べる(全部燃やす)。モモ肉→その儀式を行った祭司が食べる。胸肉→祭司全体が食べる。その他→持ってきた人やその他の参加者が一緒に食べる。

・ヤハウェがこうしろっていうからそれをやる→やってる途中でミスる(意図的に? 酔っ払って?)→ヤハウェが直ちに殺す→モーセが被害者の弟に向かって「アニキが殺されたからって嘆き悲しんだりするなよ。お前も殺されるぞ」。ヤハウェが悪魔か邪神としか思えないんですけど……。

・「一方では人を愛し抜くヤハウェが、一方では正義そのものであるために二人を焼き殺さねばならなかった。そのヤハウェの悲しみと痛みはどれほどだろうか」http://bit.ly/c7vLQw キリスト教の新約フィルタを通せばここまで美化されるのか。普通に読んでたら愛なんか一切感じないよ

・ヤハウェ「野うさぎは反芻するけど、蹄が分かれてないから食べちゃダメ!(`・ω・´)」→「実際:うさぎは反芻しない」 全 知 全 能 、 間 違 っ て る じ ゃ ん 。

・野うさぎがうんこ食べる行為を事実上の反芻とする考え方もあるらしい。これ、キリスト教は、「ほーら、やっぱりだ。現代科学では知りえないことでも神は既にご存じなんだ」ってドヤ顔しそうだなあ、くそうw

・民を守護してやるが、民には常に捧げ物を要求し、自分の命じたことに少しでも逆らったら直ちに殺すって、これ、一般にイメージされる悪魔そのものじゃん。神と悪魔は何が違うんだぜ?

・ひょっとしてキリスト教の悪魔のイメージ(願いを叶えてやる代わりに犠牲を払え)は新約フィルタで抑圧された旧約のヤハウェのイメージそのままなんじゃなかろうか? 新約フィルタで覆いきれぬ神に対する恐怖が悪魔の姿を借りて浮かんでくるのでは……などと妄想しちゃうなぁ。

・レビ記に「もぐらやトカゲの死体が土器の中に落ちたら、その土器は穢れてるから壊さなきゃダメ」ってのがあって、これは実際的な衛生的問題にも思えるけど、その一方で、「水を集めた貯水槽の中に落ちてもオッケー、汚くないよ」って言ってるんだよな。何が違うんだろう? 煮沸が前提なのだろうか?

・というか、食べていい/悪いはともかく、動物や昆虫に聖なるもの/穢れているものの区別があるってのは一体どういうことなんだ?? 全部ヤハウェが作ったんじゃねーのかよ。穢れたもん作んなよ。。。

・出産した後、ヤハウェに浄罪の供犠を捧げなければならないらしい。どうも、出産時に伴う出血が「穢れ」と見なされるかららしいけど、ヤハウェも「産めよ、増えよ、地に満ちろ」と言っておきながら、実際産んだら「うわっ、なんか汚なっ!」とか言うんだから勝手なもんだよなあ。(エデン追放後に出産に苦しみが伴うことになったことから神学的には説明されるのか?)

・メモ:従来、らい病、ハンセン病と訳されてきた「ツァーラアト」は特定の病名ではなく、様々な皮膚疾患を宗教的視点から分類し、特定のものを「穢れたもの」として捉えたもので、明確に差別的なニュアンスを含む。

・ツァーラアトが生じた患者は穢れたものとして隔離されたりしたらしいけど、病状が進んで全身がその皮膚疾患に覆われた場合はなぜか清くなるらしい。ただ、これはあまりに意味不明なので学者もテキスト破損と考えてるみたい。慢性患者は隔離しないみたいだし、どうも衛生学的処置とは言いかねるような。慢性の場合は経過観察のため隔離しないのであって、最初から隔離するらしい。

・メモ:ツァーラアトが治ったら浄めの儀式を経て社会復帰する。儀式は完治者の浄めであり、治療行為ではない。(岩波では「脱呪術かしている」と書いてあるが、ユダヤ教に儀式的、呪術的な治療行為はない?? イエスは呪術的治療行為をしていたが……)

・ヤハウェ「わたしがツァーラアトの病を引き起こした場合……」 ま た お ま え の し わ ざ か (´・ω・`)

・ヤハウェ「夢精したらお風呂入れよ! あと、精液付いちゃったら服洗えよ!」 なんだかおかあさんみたい。

・しかし、この辺りの穢れがどうこうは完全に子供の「エンガチョ」の世界だなあ。穢れたものに触られたら穢れが移る。穢れたものが座ってた椅子も穢れる。穢れたものの唾も穢れてる。「うんこ踏んだ太郎くんに触られたら汚いのが伝染る」感覚なんだろうか。

・あれ? ヤハウェは儀式の際には「ちんこ隠せ」「長いズボン履いてちんこ見えないようにしろ」って何度も言うんだけど、よく考えたらエデンではアダムがちんこ隠したら怒ってなかったけ?? どういうことなんだ。ヤハウェはちんこ見たいのか、見たくないのか、どっちなんだぜ。

・メモ:旧約の人間論では霊と肉を区別していない。命は血の中にある?? 血を食べたやつは(ヤハウェが)殺す。エホバの証人が輸血でうんぬん言ってるのは確かこのへんだなー。

・ルだ):近親相姦禁止、親子丼禁止、妻の姉妹とのセックス禁止、生理中のセックス禁止、不倫禁止、ホモセックス禁止、獣姦禁止。「カナン人はこういうのバリバリやってるからブチ殺す!」って言ってる。気持ち悪いから殺すとかヤハウェはホントDQNだぜ。

・なんなんだろうな? 穢れの概念といい、イスラエル人は潔癖なんだろうか? ホモとか獣姦とか近親相姦とか自分に理解できない文化で気持ち悪いから殺す的な話をされると普通に嫌なんだけど、真面目な話。そんな性的に潔癖になる理由があったとも思えないんだがなあ。どうしたんだろう。

・「獣姦の禁止。牧畜文化圏では少なからぬ誘惑であったろう」←何を見たようなことを言ってるんですかww 「『前に立つ』とはリアルな表現! (女性が)動物と交接するなら当然後背位ということになろう」←!マークまで使って山我先生の興奮が読み取れる。

・ちなみにホモセックスは明確に禁じられているが、レズについては触れられていない。岩波は「レズもおそらく禁止だろう」と書いているが、ヤハウェも心情的にレズは禁じれなかったのだと考えると、少しだけヤハウェのことが好きになれる。

・異教の地に入って果樹を植えた場合、三年目まではキタナイもの扱いだそうだ。五年目から食えるらしい。ホントなんなんだろうな、この潔癖観念は。

・んー、なんというか。感覚的にキタナイとか、感覚的にキモチワルイこと全てをやっきになって封殺しようとしてるというか、「こんなことするなんて気持ち悪いザマス」っていうオバチャマを濃縮したみたいな、そんなイメージだなー。

・ヤハウェ「オレを裏切ってモレクに捧げ物をしたやつは死ぬべき」「おまえら、モレクに捧げ物するやついたらちゃんと殺せよ」「じゃないと、お前らごとオレが殺すよ?」 後で「何をしたらヤハウェに殺されるか一覧」を作りたい。生きるのが嫌になるくらい何やっても死ぬ事になりそう。

・ヤハウェ「障害者はオレに近づくな。オレを冒涜する気か」。愛の神、慈悲の神といったイメージからは遥か遠い台詞だよなー。テレビではいつも笑顔のアイドルに子供が駆け寄ったらガツンと殴られて、「オイ、クソガキ、鼻水垂らして近付いてくんじゃねえ、服が汚れるだろが」って言われるようなイメージ。

・仮庵の祭りという、7日間ほったて小屋で過ごすイベントがあるらしい。現代のユダヤ教徒は庭にダンボールハウスを作ってそこでメシ食ったりするんだとか。http://bit.ly/dBTYJr これがそうっぽい。イメージしてたより全然キレイだな……。

・ある男がケンカの弾みで(?)ヤハウェの名を誹謗した→監禁して神の裁きを待った→おれ「あーあ、かわいそうに。絶対殺されるよ。……いや、ひょっとして、ここで何らかの慈悲ある対応をして度量の広さを見せるのか??」→ヤハウェ「殺せ! 石打ちで殺せ!」。今日もヤハウェさんは通常運転です。

・ヤハウェははっきりと「イスラエル人はオレの奴隷」って言ってるな。ムスリムは「オレたちは神の奴隷」っていう感覚があるらしいけど、ユダヤ教徒もそうなんだろうか? キリスト教徒はどうなんだろう。なんか、あんまそういう感覚はなさそうだけど。

・ヤハウェ「イスラエル人どもがオレを軽視したらギッタギッタのボッコボッコにしてやるが、でも謝ってきたら許してやろう。皆殺しまではしないよ」。今までが今までだったから、「ヤハウェちょっと優しいじゃん!」と錯覚してしまった。

・ちなみにヤハウェによるギッタギッタのボッコボコの内訳は以下の通り。「衰弱、発熱、敵による蹂躙、被害妄想、食糧難、獣害、流産、家畜殺し、街路の荒廃、疫病、人肉食、街を廃墟に、聖所を破壊、土地の荒廃、パニック障害(でも皆殺しにはしないよ! 謝ってきたら許してあげる! byヤハウェ)」

・一方、ヤハウェに従うとこんな素晴らしい特典が!「降雨、収穫、食料の余剰、獣害の除去、侵略されない(?)、追撃戦での攻撃力アップ(敵兵士の20~100倍)、人口増加、そして何より、私 が お ま え た ち の 近 く に い て や る。 ど う だ う れ し い だ ろ う」

・「ヤハウェが愛の神だというなら、なぜそこまでひどいことができるのか?ヤハウェは愛そのものであると同時に、正義そのものだからです。"そむき"を放置することはできないのです。正義のない愛はただの甘やかしです。」クリスチャンのポジティブシンキングはほんとすごいな。

・レビ記終了。いやあ、今回もまた酷い話だった。現状、ヤハウェのイメージは恐ろしく暴力的で、自己中心的で、嫉妬深く、理不尽で、心が狭く、好き嫌いが多く、偏見に満ち、思いやりに欠け、強権的で、まったくロクでもないキャラクターなんだが、イエスはよくまあここから愛を読み取ったもんだな……。


民数記

・ヤハウェはエジプトでエジプト人の初子をブチ殺した時、イスラエル人の初子には手を出さなかったけど、あれは「この初子どもはおれのものだ」ということだったらしい。で、イスラエル人の中の初子を自分の物とする代わりにレビ人(祭司階級)を自分に仕えるものにしたんだって。

・十二部族の長子の代わりにレビ人を神のものとしたわけだけど、単純に「十二部族の長子」=「レビ人」というわけではなくて、「レビ人の総数」<「十二部族の長子の総数」の場合は、超過一人頭につき銀5シュケルを払えと言ってる。細かいなヤハウェ!

・ヤハウェが身内をブッ殺す時の傾向は分かってきたぞ。聖と俗だな。聖の領域を犯したやつはたちまちブッ殺してる。「汚え手でオレに触んな、ブッ殺すぞ」といった感覚。異常なまでに潔癖症なイメージ。

・妻に浮気の疑いがある時は、祭司の前で泥水を飲んで、「もし浮気してたら子供ができない」呪いをかけられるんだそうな。で、本当に子供ができなかったら浮気確定→死刑ってなるんだけど、それ、夫が種なしだった場合は、妻は死刑を避けるためにむしろ他の男と積極的にセックスすることにならね?

・ちなみにラビによれば、夫は妻に「お前、あいつと浮気してんじゃねーの? もうあいつと交際すんなよ」って言うことができたらしくて、この注意の後も交際を止めない場合に、さっきの呪いうんぬんをすることになったらしい。あまりにアレなせいか、ユダヤ人の間でも西暦後70年くらいに廃止されてる。

・民数記8章:ヤハウェ「レビ族(祭司階級・準祭司階級)の服務期間は25歳から50歳な」→民数記4章:ヤハウェ「レビ族の~30歳から50歳な」。ヤハウェ言うことコロコロ変わる。実際のユダヤ人はどうしてたんだろう。ちなみに8章から4章の劇中での時間経過は一ヶ月以上。話が途中で過去に遡る。

・しかし、言ってることはコロコロ変わるわ、いきなり過去に飛ぶわ、聖書ってやつは記述に矛盾のない理路整然としたテキストだと思って真面目に読むと、間違いなく混乱できる作りになってるな。矛盾に気付かないくらいテキトーに読んでいった方がちゃんと最後まで読めるものかもしれない。

・民「穢れてるとヤハウェに捧げ物できないってなんでー?」→僕「(や、やめろ! そんなこと言ったら即殺されっぞ!」→モーセ「ちょっと聞いてくるわ」→僕「(民死んだー!)」→ヤハウェ「ん? 一月遅れで捧げてもいいけど?」→僕「(た、助かったー!)」 なんという緊張感。これが旧約聖書か。

・「民が不平を言った」→「ヤハウェが怒り狂って焼き殺した」→「モーセが慌てて執り成した」→「殺すのやめてくれた」。この流れがわずか二節でスピーディに展開されるとなんだかドリフっぽいな……。

・民「マナ食べ飽きたー。肉食いたいー。ニラやタマネギも食べたい~」→ヤハウェ「ビキッ……!」→モーセ「(ヤッベ……)」→ヤハウェ「貴様らの鼻の穴から肉が溢れて、ゲロ吐くまで食わせてやるわ! それも一ヶ月毎日だ……!」→食い過ぎで多数死亡。ヤハウェのキレ芸が多彩になってきた。

・モーセの姉ちゃん(エジプトで生まれたばかりのモーセを逃がした)もモーセを非難したらヤハウェにより全身皮膚病にされた。でも、この時はモーセとアロンの執り成しで回復してる。確か最後はモーセも見捨てられる?し、アロンは子供を殺されるし、モーセ三姉弟はやっぱヤハウェに呪われてんじゃね?

・民「やだー、戦争怖いよー。もうエジプトに帰りたいよー」→ヤハウェ「キキキ……。オレを信じない民どもめ、全員コロス……」→モーセ「ちょ、あなた前に『怒ること遅く、慈しみに富む物』って言ってたじゃないすか!」 以前、おれが盛大に突っ込んだ箇所をモーセが言質取ってきたー!

・モーセ「あなた前に『怒ること遅く、慈しみに富む物』って言ってたじゃないすか!」→ヤハウェ「いや? オレはやるっつったらやるけど?」 話通じねー!!!!

・結局、「戦争こえー。荒野で野垂れ死んだ方がマシ」と言ってた民は40年荒野をさまようハメに陥り、全員野垂れ死にましたとさ。ヤハウェ「ま、20歳以下の子供はカナンに入れてやるよ。え? 子供を40年もさまよわせるのは酷くないかって?……親がオレに反抗したんだから子が苦しむのは当然だろ」

・モーセ・ヨシュア・カレブ「(えっ、オレたちも40年さまようの……??)」←ヤハウェに従ってた組の三人は愕然としただろうな、これ。

・ヤハウェのキレ芸が多彩になってきた。あと、昔はモーセに論理的にやり込められてたのが、ついに、「いや、お前の言ってること分かるけど、殺したいから殺すよ?」って開き直るようになった。それでも即座に殺す→40年荒野をさまよった末に死ぬ、くらいには減刑してくれたけど。

・どうも旧約聖書のここら辺は、あさま山荘事件とか山岳ベース事件とかの読書感覚に近い気がする。

・男が安息日に薪を拾った→モーセ「この場合はどうなんの?」→ヤハウェ「殺せ!」→みんなで石投げて殺した。うん、このくらいの流れは慣れてきたな。しかし、ヤハウェの下で生きるというのは、カイジの鉄骨渡りの如く一瞬も気が抜けないな。キリスト教の未来観では将来はこんな世界になるってのか……

・旧約聖書のこの辺りに感じる気持ち悪さは、イスラエル人が逆らえない圧制者に縛られながらも、そこから脱する人々を自ら処刑するところにあると思う。公務員に対して、「民間はこんなにキツイんだ、お前らもサービス残業しろ」というような。負のスパイラルを感じる。

・民「どうしてモーセとアロンだけが祭司なのだー。我々は神の前に平等であるべきではないのかー」「そうだー」→モーセ「神よ、アホどもが何か言っておりますが、どうしますか。グヘヘ」→ヤハウェ「そうだね。イスラエル人全員殺そう」→モーセ「え!? いや、全員はやりすぎかと……」

・結局、主導者三人とその家族と従った250人だけ殺されたんだけど、「あいつらに罰与えて下さいよ」とチクリに行ったモーセがドン引きする程のヤハウェのバイオレンス。「せんせー、太郎くんが消しゴム取ったー」「まあ、太郎くんってば。じゃあ、クラス全員100発ずつ殴ろっか」みたいな。ヤバイ。

・しかし、ブッ殺された彼らの「神の前では平等であるべき」ってプロテスタントの万人祭司の思想じゃねーの? プロテスタントの人たちはどうやって万人祭司とこれを両立させたんだぜ?

・(250人虐殺の続き)民「モーセにアロン! お前たちのせいで同胞が死んだんだー」→ヤハウェ「やあ、僕の親友モーセ君。困ってるようだね。でも大丈夫だよ。疫病を流行らせておいたから。あいつら、すぐ全滅するからね」→モーセ「ヤバイ、急げ!」→手遅れ、14700人(人口の2.5%)死亡。

・ホントにヤハウェは皆殺しにしたくてしょうがないんだな……。モーセは下(民衆)からは突き上げられるし、上(ヤハウェ)は直ちに皆殺しにしようとするし、本当に大変だ。民衆が突き上げるからヤハウェが殺して、それに対してまた民衆が突き上げるっていう。可哀想になってきた。

・「荒野の40年」が経過したけど、イスラエル人は40年前と比べてほとんど移動していないらしい。「40年さまよってた」というよりは「荒野で40年暮らした」ということなのか? しかし、何かとあればすぐに殺そうとするヤハウェの下にいて、よくまあ40年間も機嫌を損なわずに生きてこれたよな。

・民「おい、水がねーぞ!」→モーセ「(またか……)どうしましょ?」→ヤハウェ「杖持って水出ろって言ってみ。岩から水出るから」→モーセ「おーい、オレがお前たちのために水出してやるからなー。とりゃ、とりゃ」→ヤハウェ「? おい、何してんの? オレは水出ろって言えって命じたよね?(続」

・ヤハウェ「なんで杖で岩を打ってんの? それに何で二回も打ってんの? 一回じゃ水でないかもって不安だったの? オレのことナメてんの? あと、オレが水を出してやるとか言ってたよね? 違うよね? 水出してやるのはこのオレ、ヤハウェだよね? モーセ君が水出せるわけじゃないよね?(続」

・ヤハウェ「あーあ、モーセ君のこと見損なっちゃったー。40年も荒野で我慢したから蜜と乳の流れる土地に入れてあげようと思ってたけど、もう野垂れ死ぬしかないねー。ざーんねーん」。結局、最後にはモーセもこれだよ。つーか、モーセでさえミスるなら一体誰がヤハウェの機嫌を損ねずにいられるんだ?

・民「もうマナ飽きたー」→ヤハウェ「毒蛇送っといたよ!」→民多数死亡。ヤハウェの制裁手段が多彩になってきたなー。火だるまにしたり、地面に飲み込ませたり、病気にしたり、食い過ぎで殺したり。最近のヤハウェは命令するか、殺すか、飲食物を供給するかしかしてない。

・民数記22-22はまともに読むと訳が分からんな。占い師が王様に呼ばれたからヤハウェに行っていいか聞いてみたら、「行けばいいんじゃね?」って言われたので出発したらヤハウェが急にブチギレて天使を派遣し、事によっては殺そうとする話。クリスチャンはやっぱりがんばって解釈しているが。

・ヤハウェはあんだけイスラエル人はバリバリ殺しておいて、「私は彼らを祝福している」「イスラエルの内に何ら害悪を見出されない」とか、一体どの口が言ってやがるんだ。

・国王にイスラエル人呪詛を頼まれた占い師バラムは危険も顧みず、むしろイスラエル人を祝福したんだけど、ここまでやっても、後でイスラエル人にブッ殺されるらしい。どうもストーリーが混在しててバラムのキャラ設定が混乱してるためと考えられている模様。

・イスラエルの民が占領下の女に誘惑されてセックスして異教の神バアルを崇拝→ヤハウェ「民の頭領たちを杭に打ち付けて太陽に晒せ」→モーセ「バアル崇拝した男を殺せ」。ヤハウェは「(バアル崇拝者じゃなくて)リーダーを殺せ」って言ってるのにモーセが命令をねじ曲げてる。いいの?

・さっきの占い師バラムはこの一件の裏で手を引いてたことになったらしい。明らかにキャラ設定がブレている。

・あ、ヤハウェさん、さすがに戦争は強いです。今のところ連戦連勝。イメージ的にはヤハウェは常に暴虐の限りを尽くしてて、それが内に向かうか外に向かうかの違いだけだと思う。外に敵がいるとイスラエル人が殺される危険性が減るので戦争してる方がむしろ安全だったり。

・ヤハウェの統治下が劣悪な7つの理由:①捧げ物の強要(怠ると死)②徹底した管理社会(違反者は死)③恐怖政治(不満を述べると死)④固定化した階級社会(お気に入りの側近に文句を垂れると死)⑤絶対服従(反抗したら死)⑥異常な厳格性(職務上のミスは死)⑦閉鎖性(他民族と結婚したら死)

・これが神の国……。北朝鮮が天国に見えるぜ……。北朝鮮よりマシなのは最低限の食料が保証されてることだけではなかろうか。

・ヤハウェ「安息日には一切働くんじゃねえぞ。でも、オレのメシは忘れんなよ。いつもの二倍届けろよ」。よく分かんないんだけど、ヤハウェへメシを届ける(羊とパンケーキとワインを焼き尽くす)のは安息日で禁じられている「労働」には当たらないんだろうか。

・仮庵祭7+1日間の間にヤハウェが食べるメシ。雄牛58頭、雄羊15頭、子羊106頭、その他、穀物大量。ちなみにこれはお祭り気分で浮かれて食べる分で、朝メシ、晩メシは普段どおりに別に食べる。今さらだけどホントよく食うよな。

・イスラエル人vsミディアン人:ミディアン人の家畜、財産全て略奪、町全焼、男子と王族みな殺し、バラム(敵側にありながらイスラエルを祝福した人)もついでに殺して、女と子供を 捕虜にして帰ったらモーセが激怒して「オイ、女と子供も殺せ! 処女を残してな!」。相変わらずゆるぎねー。

・生き残った処女32000人は、どうもイスラエル人の妻にしたらしい。ちなみに戦勝品に関してはケツ持ちのヤハウェに上納金を収める必要があって、この時は処女352人をヤハウェに納めてる。食欲も性欲もお盛んですな!(なお、さすがに処女は焼き尽くさない。祭司階級の妻になる模様)

・処女たちは命こそ助かったわけだが、自分の家族をみな殺しにしたようなやつらに嫁がなきゃいけなかったんだからロクでもねえ話だよなあ。

・あと、処女じゃなかったら殺すとか処女厨にも程がある。

・民の一部「なー、ここ、結構イイ土地だし、神が用意してくれたカナンじゃねーけど、オレたちここに住んでもいいかな?」→モーセ「ば、ばかやろー! 勝手なこと言うんじゃねー! てめーらが勝手なこと言うと、またヤハウェがブチギレて一族全員皆殺しにされんだろーが!!」モーセ、ちょうびびってる。

・ちなみにこの一件は、交渉の末、「戦争自体は最後まで参加して、常に最前線で戦う」という条件で、カナン制圧後その土地に住みつくことが許されました。ただ、ここは怒るのも許すのもモーセだけで、ヤハウェ置いてけぼり。ヤハウェが聞いてたら、交渉うんぬんなしでいきなり殺しそうな気がする。

・「逃れの町」なる町が六ケ所にあって、過失致死を犯した者はその町に逃げ込めば被害者の家族から復讐されなくて済んだらしい。大体一日で逃げ込める範囲に散らばってあったみたい。故意の殺人者は受け入れてもらえない。

・よく分からないのが「逃れの町」で過失致死が認められた者も、大祭司が死ぬまでは逃れの町から出て生活できなかったこと。事実上の懲役刑なのか(大祭司が死ぬことで恩赦が与えられる)、ほとぼりが冷めるまで匿われてたのか、「おまえ、穢れてるから入ってくんな」なのかはよく分からないらしい。

・イスラエル人は12部族それぞれに土地が与えられることになったんだけど、女性が他の部族に嫁いだらその分の土地が減っちゃうということで、同じ部族間でしか結婚できなくなったらしい。土地問題により婚姻が制限されてるわけで、ヤハウェは土地なんかより、もっと人のことを考えてやれよと思う。

・というわけで民数記終了ー。ヤハウェのヤバさ、恐ろしさがさらに際立ったテキストだったと思います。もう、民がなんか言うたびに「死んだー!」って思っちゃうもん。


申命記

・ありゃ? モーセがさらっと人のせいにしてる。岩から水を出すときにヤハウェが「モーセ、てめえナメてんのか」ってキレたんだけど(あの理由も意味不明だったが)、モーセは民に向かって、「てめーらがヤハウェに従わねーからオレまで巻き添えだぜ!」とか言ってる。何言ってんの、この人。

・ヤハウェ「シホン王を殺せ! 戦争だ! 殺せ!」→モーセ「敬愛なるシホン王へ。私どもはただ領土を通らせて頂きたいだけです。平和的に行きましょ、ウヒヒ」→ヤハウェがシホン王を操作し戦争させる→ヤハウェ快勝、相手皆殺し。……なんという茶番。

・出エジプトのファラオの時もそうだったけど、タチが悪いのが、相手は和平とか協調路線を取ることさえできないことだよなー。ヤハウェが「あいつらをコロス!」って思ったらもうどうにもならん。話し合いや平和的解決は不可能で、ムリヤリ戦争させられて、戦端開いた以上は死に絶えるまでやられる。

・モーセ「ねー、ヤハウェさまー。そう言わずにオレもカナンの地に入れて下さいよ~」→ヤハウェ「お前さ、ピスガの頂に登ってみ? そっから東西南北を見渡してみ? 目の前にヨルダン河が見えるだろ?」→モーセ「はぁ……」→ヤハウェ「おめー、それ渡れねーから! アッヒャッヒャッヒャ!!!!」

・モーセ「(民に向かって)おめーらのせいだぞ! 全部おめーらのせいなんだからな!」 もうヤダ、この人たち……。

・注釈書では、モーセが民のせいにしてるところを、「十字架についたイエスと同じく罪のないモーセが民の代わりに罪を……」的なことが書いてあるけど、民のせいじゃないよね? モーセの行動にヤハウェがブチギレたんだよね?? 一体何を言ってるの……。

・ヤハウェが与える命令は知恵と良識らしい。「良かったな、てめーら。オレの命令が聞けて。お前らみたいな正しい掟と定めを持ってる国民、他にいないよ? いやー、良かったなー。あと、オレがいつも近くにいるとかホントラッキーだよな」 良識ってなんなんだろうな……。

・前々から思ってたんだけど、キリスト教の言う善とか良とかってのは突き詰めて考えるとヤハウェの圧倒的暴力に依るものなんじゃなかろうか。「ヤハウェが「これが善」って言う」→「善としないやつは殺される」→「それが善になる」的な。

・申命記4-30に「終わりの日」が出てくるなー。この時期にユダヤ人は終末観を持っていたのだろうか?? 口語訳では「後の日」と訳して、注釈書でも「単に将来の意味で終末観ではない」と書かれてある。新共同訳も「終わりの日」だなー。

・モーセ「てめーらがヤハウェを怒らせたら滅ぼし尽くされるだろう。でも、ちょっぴり生き残って離散し苦しむことになる。そうなってから神を頼っても、神は憐れみ深いから、てめーらを見捨てることはない」。それ、憐れみ深いんじゃなくて、思う存分罰を与えてるだけでは……。

・しかしまあ、怒ったからといって直ちに皆殺しにしないという意味では憐れみ深いと言えるかもしれない。他国民はバンバン皆殺しにしてるもんな。イスラエル人も何度となく皆殺しにされそうになってたけど。モーセの仲介なしに「皆殺しだけは勘弁してやる」ってのは、確かに憐れみ深くなったかも……。

・ユダヤ人は「神を全力で愛せ」という内容の申命記の一節を書いた羊皮紙を小さな箱に入れて、額と左腕に巻きつけているらしい。ちょっと見えづらいけど、こんな感じ。http://bit.ly/hrYv8K 呪文の入った小箱を腕に巻き付けるとか、中二センスをくすぐられるな。

・ヤハウェ「今からてめーらを約束の土地に連れて行くから、そこにいる先住民は①皆殺しにしろ②和解すんな③情けをかけるな④婚姻関係を築くな⑤やつらの聖所を破壊しつくせ」。こういうヤハウェの過激さには慣れてきた。しかし、①をしっかりやれば④は言う必要なさそうなもんだけどなー。

・ちなみに実際問題としては皆殺しなんてできなくって、カナン人たちは生き残っていったから、そこで「④婚姻関係を築くな」を言う必要が出たのだと思われる。

・ヤハウェがイスラエル人の先祖と交わした約束「カナンの地をてめーの子孫にやろう」のせいで、かわいそうにカナンの先住民たちはヤハウェとイスラエル人に蹂躙されることになるんだけど、元々、その約束はどっから始まったのかと振り返ってみると、創世記17章でアブラハムと約束してんのな。

・でも、そこを見てみると、あまり脈絡なく、かなり突発的にいきなりヤハウェが「てめーの子孫にカナンの地をやろう」って言い出してる。アブラハムが息子を犠牲に捧げようとする有名なエピソードはさらにその後(この行為の見返りとしてなら理解できるんだが……)。

・アブラハムからすれば「なんか分からんけどカナンもらえることになった。ラッキー」だけど(いや、本当にラッキーなのか?)、何も知らない他の民族からしてみれば、知らないところでいきなり自分たちの子孫の死が決定したわけで、こんな不条理な話はないよなぁ。

・逃げた敵、隠れてる敵に対してはヤハウェはスズメバチを操って殺すらしい。「恐怖を送る」とも訳せるらしいけど、隠れてる相手にはスズメバチを送る方がイメージしやすいな(隠れてる相手が恐怖で死ぬってのもホラーっぽくていいけど)。ま、ヤハウェのサブウェポンはスズメバチってことで。

・ヤハウェが直ちに敵を滅ぼし尽くさず、少しずつ減らして混乱させ殲滅させるのは、その土地の獣が多くなりすぎないようにするためらしい。すげーな、ヤハウェ。何も考えてないように見えて、あれで意外と生態系のバランスとか考えてんだな。ゆっくり苦しめられ殺されるカナン人はたまったもんじゃねーが。

・イスラエル人が荒野を40年間さまよってた間、足が腫れ上がったり、着物が擦り切れたりしなかったらしいので、肉体的には意外と平気だったのかもしれない。でも、「マナ食い飽きたー」とか言ってたし、毒蛇とかいたみたいだから楽ではなかったんだろうけど。

・でも、「40年間歩きまわってた」って言ってるけど、距離的には40年も歩きまわるほど移動してないよなー。どっかに定住してたとしか思えんのだけど。

・モーセ「てめーらが義(ただ)しいからヤハウェがカナン人を倒してくれるんじゃねーぞ。カナン人が邪悪だから倒してくれるだけだぞ。自惚れんじゃねーぞ」 少年漫画なら、ちゃんと悪役には倒されるべき理由が用意されるけど、ヤハウェのことだし、たぶん「オレを崇拝しない」とかそんな理由だろうな。

・ヤハウェの要求が分かったぞ。どうも、ヤハウェは「全身全霊で愛されたい」らしい。今までのムチャクチャも全部愛されたいがためで、少しでも愛に欠けるやつはブッ殺してたらしい。やっぱヤンデレだよな。ただ、社会的弱者であっても、全身全霊で愛してくれたらちゃんと応えるらしい。

・仏教では愛はネガティブなものとされていて、キリスト教が入ってきたことで日本語の愛のイメージもネガティブからポジティブに変わったらしいんだけど、(そのせいで現代において「仏教は愛を否定する」と言われると変な気がする)、ヤハウェの愛はまさに仏教が否定したところの愛そのものに見える。

・ヤハウェは残忍、酷薄、冷血、極悪ではあるが、自分を全身全霊で愛してくれる集団のメンバーに対しては、その中にいる弱者は救済する(その集団内での差別はしない??)。現状、旧約聖書から読み取れるヤハウェのポジティブな面はここだけだが、ヤハウェにも良いところが一つはあった。

・ヤクザにも猫をかわいがる愛はあるんだよ!

・カナン人はモレクに子供を犠牲に捧げてたから、あいつら邪悪だ、ヤハウェが嫌ってる、みたいな話になってるけど、ヤハウェだってイサクを犠牲にしろって言ってたじゃん。「いや、オレは寸止めだから」ってことなんだろうけど、「上から命じられたらやる」っていう人間側のメンタリティは同じなんじゃ?

・モーセ「奇跡を行う預言者が他の神に仕えることを勧めても従っちゃダメだぜ。それはヤハウェのテストだから」。なるほど、奇跡自体は自分のパワーということにしたいわけだな。しかし、テストならテストでいいんだけど、「その預言者は殺せ」って、テストに使われた預言者が可哀想だよな。

・モーセ「お前らの兄弟や息子や娘、妻や親友が他の神を勧めてきたら、みんなで石打ちにして殺せよ。絶対庇うな。まず、お前が最初に手を下すんだ」。まじカルト。

・モーセ「同胞への借金は7年ごとに帳消し(?)にしろよ。だからって貸し渋るんじゃねえぞ。ヤハウェが見てるかもしれねえぞ」。いくらなんでもこのとおり真面目にやってたとは思えない。ユダヤ人たちは現実にはどういう形でこれを運用してたんだ??

・神から遣わされた預言者が本物かどうか見極める基準は、「その預言者の語っていることが実現するか否か」らしい。ってことは、イエスはダメってことでFAじゃねえの? つーか、イエスってヤハウェの言葉に逆らいまくってるし、よくあれをヤハウェと同一視(のようなことを)できたもんだなあ。

・あれ? でもイエスが言って、それが「実現しなかったこと」って考えてみれば何があるっけな?? すぐには思い浮かばないぞ。

・旧約では「異教徒はブチ殺しましょう」って言ってるし、新約も書簡とかでは「異教徒と交わらないようにしましょう」的なのがあるんだけど、そういえば、イエスがそういうようなことを言ってた記憶がないぞ。ちょっと真面目に読んでみないと分からんけど、イエスはホントにピースな人なのかもしれん。

・「(戦争における)勝利は救済として理解されていた(岩波注より)」だと……!? おいおい、なんてキナくせえ概念だ。「神に救われた」といえば聞こえはいいが、「神の名の下に異教徒をブチ殺した」とイコールになるかもしれんのか。ここ、もうちょっと解説が欲しいなぁ。

・おっ。ありがとうございます。なんか楽しそうなタイトルですねw  RT @shinobuyoshi:その点に関しましては、G.フォン・ラート『古代イスラエルにおける聖戦』山吉智久訳、教文館 が参考になる、、、、かもしれません。

・戦争する時は最初に和平交渉しろ、ってヤハウェが言ってる。これまでも、ヤハウェが「殺せ!」って言って、モーセが最初に和平交渉し、ヤハウェが相手の王を操作して開戦させてから殺す、っていう茶番があったけど、これは「最初に和平交渉」というマイルールがあったせいなのかな?

・ちなみに相手が和平に応じたらそこの民全員を奴隷にしていいみたいです。さすが古代のやつらは野蛮だぜ。あと、ヤハウェはカナンの先住民に対しては、「契約を結ぶな!」「情けをかけるな!」とか言ってて、和平うんぬんとは矛盾してる気がする。

・おっと、失礼。直後に但し書きが出てきた。やっぱり、カナンの先住民に対しては基本皆殺しで交渉の余地一切なし。和平勧告から奴隷労働させる、という紳士的なやり方はカナン先住民以外に適用されるらしい。

・殺人事件が迷宮入りした際は雌牛の首を折って解決したらしい……。と言っても意味が分からんと思うが、どうも殺人事件が起こった→共同体全体が罪の状態になった→雌牛を殺して(犯人の?)身代わりにする、というロジックらしい。スケープゴートみたいなもんか? 被害者の身内はそれでいいんだろうか。

・戦争では処女以外は皆殺し……だったけど、その処女と結婚する場合は、一ヶ月間の気持ちを整理する時間が与えられたらしい。「家族をブチ殺した相手に嫁ぐとか可哀想」と思ったけど、一応、最低限そのくらいの配慮はあったんだなぁ。

・ちなみに妻にしたその処女が気に食わなかった場合、もちろん殺して構わない…………くらいのことをヤハウェは言いそうなもんだけど、なんと自由人として解放するらしい。奴隷にも戻さないんだって。どうしたんだ、ヤハウェ。悪いもんでも食ったか?

・息子がグレて反抗的になった場合は、両親が長老に「息子がグレた」って言うらしい。そんで、「ホンマにグレてるね」ってことになったら、町の男全員で石打ちにして殺すんだって……。十戒で「両親の言うこと聞こうね!」って言ってるけど、そりゃ聞かざるをえないだろ……。

・やっぱこの時代の親子関係とか家族愛って今と感覚が相当違うんじゃねかな。アブラハムがイサクを焼いて殺そうとしたのも、今の感覚だとスゲーことだけど、昔は結構普通にできることだったりすんのかも(?)(※注釈書によれば「当時もほとんどやってなかったのでは?」ということ。だが、やってたにしろやってなかったにしろ根拠薄弱と思われる)

・男装、女装をヤハウェが禁止してる。まったく、頭のかてーやろうだ。ただ、これは「なんか不自然で気持ち悪いからイヤ」なのか、周辺に男装や女装をする異教があったのかは分からないらしい。

・夫が「オレの妻が処女じゃなかった」って言い出して本当だったら妻は死刑(処女厨どもが!) 妻の父親は妻が処女である証拠の布(不明、初夜の血の付いたシーツか?)を提出して濡れ衣を晴らさなければならないらしい。常に破瓜の血が出るわけでもないらしいが、冤罪とか大丈夫だったんだろうか。

・戦陣でのうんこの仕方についてもヤハウェが直々に命令している。外に出て、穴掘って、うんこして、もっかい埋めろよ、とのこと。むき出しのうんこを見たら、ヤハウェどっか行っちゃうんだって。エホバの証人はこれを「この時代にはありえない衛生観念に関する(ry まさに神の(ry」って言ってた。

・「父はその子のゆえに、子はその父のゆえに、死に至らしめられてはならない」。なんでヤハウェはこういうことをさらっと言えるんだろうな。自分は歯向かってきたやつを当たり前のように家族ごとブッ殺してたのに。エデンの園追放だってアダムとイヴの罪を背負ってるようなもんじゃねーか。

・「男同士のケンカの際に、一方の妻がやってきて相手の男のちんこを掴んだら、妻はその腕を切り落とされなければならない」。なんだこれ……。ちんこ(というか子作り)が大事だったのか、慎みのないことが問題にされているのか。よく分からんがシュールな話だ……。

・「(敵対民族である)アマレクのことを記憶から消し去ることを、あなたは忘れてはならない」と、モーセ(ヤハウェ)がなんだかすごく頭の悪いことを言っている。実際、聖書に残さなきゃ現代人はアマレクのことなんかみんな忘れてただろうにね。

・ヤハウェに従えばどんな祝福があり、逆らうとどんな呪いがあるかの話で、呪いとして「老人や幼子に情けもかけないふてぶてしい国民が家畜や実りを奪い尽くし、あなたを殺し尽くす」的な事を言ってるんだけど、それ、全部イスラエル人がやってきたからね! 一応酷いことをしてた自覚はあるってことか? 

・愛が理性的なものだとは思えない。ヤハウェが殺せと言えば殺して、ヤハウェが死ねと言えば死ぬ。ヤハウェへの全身全霊の愛とはそういうものではなかろうか。しかし、ヤハウェが本当にそれを言っているのか、それとも有限である自分の妄念なのか。キリスト教徒はどうやってそれを分別してるんだろう。

・聖書に書いてあるったって、聖書なんざ幾らでも読み方があるし、矛盾もバンバンあるし、どう読んだって自分が認識する以上の読み方はできないわけだし、ローマ法王も所詮人間だし、いきなり自分に神が降りてきたって狂気と区別できないし、ううん、どうしてるんだろうね、ホントに。

・ヤハウェ「今日私があなたに命じるこの戒めは、あなたにとって難しすぎるものでなく、遠くかけ離れたものでもない」。ウソをつけww

・人間がヤハウェを愛する→ヤハウェが人間に命令する→有限の人間はヤハウェの命令を正確に受け取れない→人間はヤハウェを愛しつつヤハウェの命令と異なることをする→ヤハウェが怒って人間を殺す(?)→人間はヤハウェを愛しているからヤハウェに殺されても嬉しい(??) う~ん……??

・いや……、人間側の愛の定義が違う気もするな……。神への畏怖も愛に入ってるはずだから、「ヤハウェ、こええ」もたぶん愛なんだよな。とすると、ヤハウェを全身全霊で愛する、というのは、ヤハウェにマジビビリする、という意味でもあるから、ヤハウェに殺されるかもしれない恐怖も、また愛……?

・というわけで、キリスト教で言う愛ってやつはよく分からん、ということが、改めてわかった。のんびり考えよう。

・ヤハウェ「今から契約してやっけど、おまえらどうせオレを裏切るんだろ!?」モーセ「てめーらはヤハウェを裏切るに決まってる!!」 ヤハウェもモーセもイスラエル人を全く信じてねぇ……。「てめーらが裏切ってオレにギタギタにされる内容の歌を教えてやるから、証拠に書き残しとけ!」とも言ってる。

・その歌の内容がまた酷くて、①イスラエル人がヤハウェを裏切る→②ヤハウェがイスラエル人を(他の国民を使って)ギッタギタにする→③ヤハウェがさっき使った国民をボッコボコにして、イスラエル人のために「復讐してやる」→④これが神の義しい行為、救済だ! 頭がクラクラしてくるな……。

・詩形式になると途端に理解しにくくなるな……。文章で書かれてるところのが全然マシだ。

・申命記終了。最後にモーセが死んだ。振り返ってみると、殺人犯として手配され、ヤハウェに殺されかけ、エジプト軍には追われ、民からは突き上げられるし、すぐに民を殺そうとするヤハウェを必死になだめなきゃで、最後はヤハウェに捨てられて死んでいく……。苦労の絶えない一生だったな。R.I.P.

旧約聖書〈1〉律法―創世記・出エジプト記・レビ記・民数記・申命記
旧約聖書〈1〉律法―創世記・出エジプト記・レビ記・民数記・申命記旧約聖書翻訳委員会

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