【11/17】2010年50号のジャンプ感想(読切『KINTOKI』掲載号)


【業務連絡】「ぶかつどう」「ヒッサツ!」などの作品を描いた漫画家、伊藤清順先生と繋がりがある人おられましたら、ご連絡頂けませんでしょうか。ビジネスのおはなしです。


ワンピース

 おおっと! これはイイ肩透かし!! カリブーさんはまともにやったらかませ犬にしかならないので、この展開は巧かったと思います。緊迫した状況下にモームの下りが挿入されるリズムの悪さは否めないものの、他に描きようもないんだから仕方ないかー。これまでの不気味で恐ろしい海兵殺しキャラを返上し、一転してネタキャラに成り下がったカリブーさんだけど、しかし、話の都合上とはいえ、部下に先立って自分で突入する辺りはちょっと男らしいなと思ったりw

 あと、あれだけ不敵だったカリブーさんが「1対9では分が悪すぎる」ってのも良かったです。数の力が感じられると僕はグッと来ちゃうんだ。カリブーさんはすっかりネタキャラ扱いになってるけど、まだコリブーさんもいることだし、後々に合流して改めて戦うことになるのかなー。そうなるとドン・クリーク戦みたいにグダグダしちゃうんで、もう彼はクラーケンの下りで心折れちゃったことにして、「あ、スンマセン。迎えが来たみたいなんでおうち帰っていいすか」「あ、兄助ーっ!??」ってな感じで退場すればいいと思うんだ。もういっそのこと仲間になってもいいかも(常駐メンバーではなく、麦わら傘下的な感じで)。命を狙いに来たやつが感銘を受けて仲間になる、ってのもよくある話だしね。


ナルト

 前半の流れは「逆口寄せ巧く使えばスグ帰れるんじゃね?」と思いながらも面白く読んでたのに、後半、ナルト菌が一斉に拡散し罹患し始めた辺りで「ウエェ……」って気持ちになっちゃった。我愛羅の演説はひどいなー。ひどいよー。こういう大舞台で私情を交えて熱弁されると萎えちゃうぜ。ていうのも、あれは所詮感情論だからさ。ウオオオとか言ってるやつらの横で3割くらいのやつらは「ハァ?」って思ってて当然だと思うんだ(けど、それが描かれないから「ナルト菌」に見えちゃうんだよな)。しっかし、こうして友情だーとか言って一丸となって気勢を上げてるのを見ると、うん、確かに気持ち悪いや。白ひげ海賊団を前にした黄猿の「気味が悪いねェ~~」もきっとこんな感じだったんだろうな。


バクマン

 地雷臭漂うラブフェスタ漫画群の中で平丸さんのネームにはホッと癒されてしまう。サイコーとか蒼樹さんとかの本気で読みたくない作品の中にこういうのがポンとあると本当に救われるな~。新妻先生のやつ(並の人間ではできないことを「好きだから」で何でもやってしまう)はなんだか西森博之っぽい気がするので、うまくやったらちゃんと面白くなるんじゃなかろうか。

 今週ラストの「よく分からない理由で関係がギクシャクして、読者もよく分かんないうちにピンチっぽい引きで来週へ続く」の終わらせ方は、悪い意味でバクマンのお家芸になってきたなーと思います。ジャンプ連載という山場の作りにくい話でやってるからしょうがないんだろうけど、彼らは常に読者が感情移入できない世界でドタバタしてる。


ブリーチ

 何でも屋の店長、正体気になってたのに新キャラだったー\(^o^)/


めだかボックス

 おおー、スカーデッドは巧いなあ。マイナスの特性である「何の有効活用もできない」という特徴をちゃんと踏まえながら(江迎さんの「腐敗」はごみ処理に使えそうでイマイチだった)、前回ボコボコにされた日之影さんの株も下げなかったよ。スカーデッドは本当に有効活用できないよな。納得のマイナス。「何の有効活用もできない」という縛りだけでもたいがい難しいのに、よくこんな納得のいくアンサーを持ってきたもんだなあ、西尾先生スゲエや。

 ……しかし、こうなると気になるのが処女膜の問題ですね。仮に名瀬さんが非処女であったとして、この場合、処女膜は一体どうなってしまうのだろうか。単にもう一度裂けて(処女膜がもう一度裂けるってどういうことだ……?)血が出るだけなのか? いや、名瀬さんはこの時にもう一度処女膜が貫かれる感覚を体験していると考えるべきなのか? また、志布志さんの近くにいるだけで心の傷が開くということは、江迎さんは日常的に変態教師の靴の味を思い起こしているのだろうか。ううむ、やっぱりめだかボックスは変態すなあ。新しい能力が出るたびにいつも変態的な妄想が膨らんでくる。これが西尾先生の人気の秘密なのだろうか。


KINTOKI

 ううむ、面白い……。面白いわー……。

 やってることはネコマジンとほとんど同じだし、続きが気になるかと言えば別にならないし、今まで培ってきたセンスと技量だけで手なりで描いたとしか思えないんだけど、それでも面白い。話の安定感もスゴイし、敵キャラの側近は全員キャラ立ってるし(31Pの読切で手下4人のキャラが立つとか!)、「おいしい天ぷら定食をごちそうしてやろう」的な全体に漂うほんわかセンスもすごくいい。あと、雷龍を撃つ時の一瞬のタメというか時間経過描写も良かったです。一応緊迫した場面なのに、この一瞬のタメを作ることで主人公の余裕というか思慮深さが感じられちゃう。読者的にも「あの、まだ撃たないんですか?」って思ったところを、「いま落っことしたらあいつも死んじゃうよ」と言われて、「そりゃそうだな」って思わされちゃう。うん、全体的に巧いっスね。それしか言うことねえや、あはは。


 ***

 というわけで、スーパーレジェンド6作品が出揃ったので、総評的なものを書いてみよう。まずは個人的な「面白かった順」。


KINTOKI(鳥山)>Moon Walker LTD(許斐)>ばんからさん(空知)=ポー(うすた)>>>SUCCEED(秋本)=ベンチ(岸本)


ベンチ:悪くはなかったが、鼻以外に特筆すべきものがなかった。
SUCCEED:話としてはつまらなかったが、構成は挑戦的だった。
ポー:全体的に面白かったがオチが残念。不条理ギャグもリズムを悪くしてた。
ばんからさん:構成は高水準で優れた作品だが、詰め込みすぎで読んでて疲れた。
Moon Walker LTD:信者補正抜きでもよくできてたと思う。何をやってるのか良く分からない戦闘シーンは欠点と取るべきか許斐節と見るべきか。
KINTOKI:圧倒的安定感。地力だけで作品を作っちゃって、それでも十分面白い。

「ベンチ」は「悪くないけど面白くもない」で、「SUCCEED」は「挑戦的だが面白くはない」。この二作品は「結局、面白くはなかった」で括られる感じ。それでも事前の予想では「岸本>>秋本」くらいだったので秋本先生が意外と良かったことにびっくりしました。

「ポー」と「ばんからさん」はどちらも高水準ながら、どちらも残念なポイントがあった。特にばんからさんは「読んでて疲れる」点さえなければダントツでトップに立てる構成の上手さなので本当に残念。これは製作過程で編集が指摘すべきだったんじゃないかなあ。

「Moon Walker LTD」は普通に順当によく出来ている。「KINTOKI」はそれをさらに安定度上げた感じ。上位ニ作品は優等生的な作品なので、個人的には「SUCCEED」みたいな挑戦的作品がちゃんとエンターテイメントできてればベストだったんだけど。「SUCCEED」はいかんせんつまんなかったからなぁ。ちなみに、その意味では……、

ROOM303(葦原)>KINTOKI(鳥山)>Moon Walker LTD(許斐)>ばんからさん(空知)=ポー(うすた)>>>SUCCEED(秋本)=ベンチ(岸本)

「ROOM303」を入れてみたらこんな順位になる。あれは挑戦的でありながらきちんとエンターテイメントしていて、両要素を高いレベルで両立してたと思うなー。

 総じて6作品ともさすがはベテランの仕事で、「SUCCEED」や「ベンチ」でさえも大抵の新人の読切よりは良かったと思う(もっとも新人が「SUCCEED」を出してきたら編集は絶対に蹴ると思うけど)。でも、全体的に大人しい作品が多かったので、期待してたほど面白いイベントでもなかった感じ。ド安定で優等生的な作品の「KINTOKI」が「まあ、この中じゃ真ん中くらいかなー」っていうイベントなら良かったのだけど。


銀魂

 そういえば鼻の下の溝って何のために付いてるんだろう……。僕の鼻の下には確かに溝があるけど、あれはかわいい女の子の鼻の下にも付いてるのかな?と思って、グラビアアイドルの写真を10分ほど見てみたけど、ホントだ、誰の鼻の下にも付いてる。なんなんだ、あれ。



 調べてみたところ、どうも理屈的には↑に近いものらしい。ラストの「チョコレート工場」パロは、ネタ元でも子供たちが酷い目に遭ってたことを考えると、銀魂になるとどれほどハードな目に遭うのか、怖い物見たさでちょっと楽しみだったりする。


べるぜバブ

 出馬くんは突然現れた第三者に横からど突かれる芸が板についてきたね。


こち亀

 おお、こち亀のオチで笑った……。こち亀のオチで笑えたなんていつぶりだろう……!

 アメリカ人が肩にラジカセを担いでるのは、あれは一体何なんだろうね? 僕が初めてあの文化を知ったのは、確か島本先生の「無謀キャプテン」なんだけど(敵の柔道部員がなぜか肩にラジカセを担いで主人公の学校に乗り込んでくる)、初めて見た時は意味が分からなすぎて凄まじく前衛的なギャグに思えたもんだよな。確か昔調べた限りでは、あれはHIPHOP文化の関係で、みんなで踊るために音源を担いで移動してたような記憶があるんだけど、実際のところどうなんだろう? しかし、「ラジカセを肩に担ぐ」→「ラジカセが巨大化する」→「ラジカセが神輿になる」の流れは、今週は本当に巧いと思ったよ。その発想はなかったなぁ。HIPHOPマニュアルで使いたかった。


いぬまる

 ボタンを押せばたまこ先生のどうでもいい人生を聞かせてもらえる携帯…だと…。たまこ先生の酸いも甘いも全てが僕の掌の中に……! そ、それはヤバイな……。ヤバすぎるだろう……。噂によると大石先生は保母さんのことが大好きで、己の性的情熱の赴くままにたまこ先生をクリエイトしたと聞いているので(※)、そんな携帯があったら一番欲しいと思うのはきっと大石先生なんだろうな。

※出所不明


ぬらりひょん

 あー。やっぱり山ン本だったのかー。しかも1/100山ン本ということで、あっさりやられても格は落ちない。でも、山ン本だから、他の妖怪たちが洗脳されてても納得できる。うん、先週からの謎解き展開はパワーバランス的にちゃんと納得できるものになってると思います。「現世では鏖地蔵~」って言ってたから、山ン本本体は2代目にやられてまだ地獄(死んでる最中)なのかね。すると1/100とはいえ、なんで現世に出てきたのか良く分からんけど。キン肉マンみたいに労働してたら現世に帰れるシステムなんだろうか。

 ところで、土蜘蛛さんは地獄に引っ張られてっちゃったけど、まさかあれでおしまいなの? まだまだ戦えそうな感じだったから、あれでリングアウト負けになったとしたら残念だなー。


保健室

 うおおおぉぉ、花巻父になりたいっ! なりたいぜええっつ!! いや、それは決して両手をロープで縛り付けて花巻さんの後ろから密着したいとかそういう不純な動機ではなくって、そそっかしい母や無自覚ドジの息子やあがり症の娘を完璧にカバーしながらも、自分は朝刊を読みつつコーヒーをすするような、そういう余裕のある大人になりたいという意味であって、もちろんその延長上として、一人ではおふろにも入れないであろう花巻さんを手取り足取り世話焼きながら一緒にぽかぽかしたいという意味もあるのだけれど、だって、僕は娘が生まれたら何としても高校生まで一緒におふろに入りたいのです。くそったれ!


サイレン

 ミスラさんはあんまキャラが立たないうちに脱人間しちゃって死んじゃったので、なんだか微妙ですね。どうしてミスラさんがウロボロスを求めていたのかさっぱり分からないので、いまいち物語に入り込めないや。


SWOT

 具現化した時点でもう言うのも野暮な感じはあるけれど、目玉が爆発するとか巨大な石柱が現れるとか、そんな現象を体内電流で説明しようとしたすぎたんはナチュラルにスゴすぎるな……。これはもう小学ニ年生くらいから首を傾げるレベルだと思う。(cf.僕の従兄弟のりょうくんは小学五年生の時点で「遊戯王のやつら頭おかしいよ。あいつら命かけてカードゲームやってるんだぜ」って言ってた。そんなりょうくんも今はイケメン大学生……)


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