【11/6】「旧約聖書・創世記」感想


 本エントリーはけったグランプリエントリー用作品です。ただし、時間の都合により中途半端な作品となってしまいました。むねん。製作時間は(本エントリー執筆に限れば)3時間以内です。

 
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【創世記概要】神ヤハウェは天地を創造して人間も作ったけど、アダムとエバが神の言いつけを守らずに善悪を知る木の実を食べたから追い出されちゃった。アダムとエバの子孫たちは、人類初めての殺人をやったり、神と一緒に美人局をやったり、神と相撲を取ったり、時には大洪水で神に滅ぼされかかったりしつつも、カナンの地ですくすく育っていたが、飢饉が起こったのでエジプトに引っ越した。

※天地創造から始まる創世記だけど、実は「作りましたー」ってだけじゃなくて、人類の始祖アダムとエバが追放されてからの、子孫たちのあれやこれやも書かれてるんだよね。で、その子孫たちのストーリーはロクでもない話が多くて、大体身内で争ってるか、昼ドラみたいな愛憎劇やってるか。それか外でケンカしてるか。神ヤハウェもこの辺りではそこら辺のチンピラみたいなキャラ設定だったりする。


【ヤハウェの天地創造】(創世記1~2章)ヤハウェは宇宙をクリエイトする。作った順番は「光」→「蒼穹(天)」→「地と海」→「植物」→「太陽と月」→「動物」→「人」であり、神は人に対して「動物を支配せよ」と告げた。

※この「動物を支配せよ」の一言が元になって、ヘブライ一神教圏の自然観が成立してるって言うね。日本人とかだと「人と自然は共生するもの」っていう感覚だけど、西洋とかでは「自然は人間様がコントロールするもの」っていう。まあ、ホントかどうか知んねーけど。

 神の創造については問題があって、次の二章の記述といきなり矛盾してる。二章では神が作った順番が「人」→「植物」→「動物」になってんだよなー。こういう矛盾がポンと出てくるから聖書は普通に読んでると訳分かんない。「聖書に間違いはない」と信じてるクリスチャンはこれに理屈を付けて「実は矛盾ではないんですよー」って説明するんだけど、まあ、部外者はそれを鵜呑みにする必要はないね。で、普通に「矛盾してる」と考えた場合は、たとえばこういう説明ができるんだけど、元々二種類の異なる伝承があって、それがミックスされた結果こういう矛盾が生じたんだ、っていう。これが「五書資料説」って言って現代聖書学とかで言われてることなんだけど、これも仮説なんでホントかどうかは良く分かんない。ま、ここでのポイントとしては聖書には普通に矛盾点がある(可能性がある)ってことで。


【アダムとエバの追放】(創世記2~3章)神に造られた人類の始祖アダムとエバはエデンの園で幸せに暮らしていたが、蛇に誘惑され、神から唯一止められていた「善悪を知る木の実」を食べたため、エデンの園を追放されてしまう。

※この時のアダムとエバの裏切り行為が「原罪」であって、このご先祖様二人が罪を犯したせいで、僕たちは今苦しんでるらしいんだけど、そんなこと言われても知らねーよな。悪いことした自覚なんてねえから、「いまお前が苦しいのはお前のご先祖様の責任だ」とか言われても納得いかないよね。というか、アダムとエバは生まれて初めて誘惑行為を受けたわけだけど、いきなりそんなことされたら100人中100人が引っ掛かっちゃいそうなもんだけどなあ。それで追放ってなんかひどくね?

 あと、このエピソードは有名だから、なんとなく「これはこういうもんだ」って納得してるけど、江戸時代の元キリシタンである不干斎巴鼻庵なんかは「人類が天国へ行くか地獄に堕ちるかという一大事が、たかが甘柿を食べる食べないと、そんな下らないことで決められてたまるか」って言ってて、言われてみりゃホントその通りだよな。


【カインとアベル】(創世記4章)エデンの園を追放されたアダムとエバの間にできた二人の子供、兄カインと弟アベル。ある時、二人は神に捧げ物を送るが、兄カインの捧げた農作物を神は見向きもせず、弟アベルの捧げた羊にだけ目を留めたため、兄カインは怒りを覚えてアベルを殺害する。人類最初の殺人事件である。

※はい、有名な神のえこひいき事件です。聖書には特に理由が書かれてないから、読んでてポカーンとしちゃうところだね。神はよくこういう訳の分かんないことをすんだよな。で、クリスチャンはポカーンとだけはしてられないから、なんとかこれにも納得できる理屈をくっ付けるの。たとえば弟アベルは「よく肥えた羊の初子」を捧げたのに対し、兄カインは農作物を選り抜いてる描写がないから、「アベルは自分の持ち物の中でベストなものを選んで持ってきたからえらかった」とかって説明したりね。でも、それはそれで神はにっこりしてどっちからも受け取っとけば殺人事件は起こらなかったのに、とか思っちゃうよな。他にはこれを農耕民族と遊牧民族の確執の象徴と考える解釈もあるんだけど、それだと普通に農耕民族をえこひいきしたことになる。まー、この神を好きになるのは難しいねえ。やー、でも、クリスチャンとかは、ここの節から「神のすごい愛が感じられる」とか言うんだからスゲエもんだよなあ。ロクでもない話にしか思えないんだけど。


【ノアの洪水】(創世記6~10章)地上に人間が多くなり、人の間に悪がはびこりはじめていたのを見たヤハウェは後悔し、大洪水で全部なかったことにしようとする。しかし、義人であるノアだけは助けようと思い、「デカイ船を作って、家族と、動物を二匹ずつ入れなさい」と指示し、ノアの家族と動物たちは大洪水を生き延びる。

※ちょっとビックリするのが、ここで神は人間を見て、「ああ、こりゃダメだ」「ロクでもねーもん作ってしまった」と普通に後悔してるんだよね。キリスト教だと神は全知全能でなんでもできちゃう完全無欠なイメージだけど、この通り意外とそんなこともなくって、「ちょっとやってみたけど失敗した」とか普通にあったりする。先に挙げた「五書資料説」だと、ある伝承の中には神を「試行錯誤してみたり、巧く行かなくて後悔したりする」人間臭いキャラ設定にしてるものがあって(J資料と呼ばれる)、ここなんかはその伝承に基づいたものだと考えられてるみたい。ちなみに大洪水の後は「いやー、人間どもがロクでもねーからさー。大洪水とかやって全滅させてみたけど、人間の性根が腐ってんのは直らねえのな。もう大洪水とかやめるわー」とか言ってて、神のやろー、また失敗してんだよな。

 ところで良く分かんねーんだけど、ヤハウェは人間に呆れてエデンの園から追い出したと思ったのに、なんでノアが義人だからって助けようとするんだろう? そんなノアがイイ人なら、もっかいエデンの園に迎えてあげれば良さそうなもんだけどね。


【アブラムの神話級美人局】(創世記12章)大洪水が引けた後、ノアの一族は地上で繁栄して子孫を増やした。その一人であるアブラム(後にアブラハムに改名)は、カナンの地に飢饉が起こった際に、妻のサライ(後にサラに改名)とエジプトに行く。サライは美人であったため、アブラムが殺されて手篭めにされる恐れがあり、「アブラムの妹」と偽ることにする。エジプトでサライはファラオに見初められファラオの妻となるが、神が出てきてファラオを病気にする。

※これがまた酷い話なんだよなー。ファラオは全然悪くねえもん。アブラムが「私の妹です」っていうからファラオはサライと結婚して、兄(と思ってる)のアブラムにも財産をプレゼントしたところで、神がデロデロデ~ンと出てきて、「おい、おどりゃ、人妻に何しとんじゃ。殺すぞ、ワレ」とか言ってくるわけですよ。……って、こりゃ、美人局じゃねーか! 可愛い女の子に誘惑されてホイホイ付いて行ってセックスしたら奥からヤクザが出てきて、「おどりゃ、オレの女に何しといんじゃい。金出せや、コラ」ってのが美人局の手口だけど、ファラオの場合はヤクザの代わりに神が出てきたわけですよ。神話級のタチの悪さだよね。

 なお、この一件に味をしめたのか、後にアブラムはアビメレク王に対しても同じ手口で犯行に及ぶんだけど、この時はアビメレクが「待って下さい! 私、まだサライさんに手は出してません! というか、アブラムに騙された私は被害者なんですけど!」と正論を言ったにもかかわらず、ヤハウェは「グダグダ言ってんじゃねー! 金出せや!」とばかりに実力行使に出て、結局、王は金品を奪い取られるんだよな。酷い話もあったもんだぜ。後にアブラムの息子イサクもやはり同じ手口で犯行を繰り返すんだけど、その時はアビメレク王がすんでのところで気付いて事無きを得たので、「ああ、アビメレク王も学習したんだなぁ……」と思ったり。たぶんアブラム一家はもうブラックリストに入ってたんだと思うな。

 この辺り、ある牧師さんなんかは、「アブラハムは間違っていた」「でも、それでも神はアブラハムを守ってくれた」「それだけアブラハムを大切に思っていたんだ!」と言って、何とかこの無茶苦茶な話を受け入れようとしてるんだけどさー。それってアブラハムからすれば「神を私を大切に思ってくれている」かもしれないけど、アビメレク王からすれば「やつのバックにはヤバいヤクザが付いている」としか思えないよなー。この辺りのヤハウェはすごくチンピラっぽい。


【昼ドラ創世記】(創世記13章~):アブラムの妻サライは子供が生まれなかったため、仕え女のハガルとアブラムを交わらせ、その子供を自分の子として育てようとする。しかし、ハガルが妊娠するや否や態度が偉そうになったので、サライはハガルをいじめた。また、後に神の奇跡によりサライも妊娠するが、ハガルの子イシュマエルがサライの子イサクと遊んでいる(いじめている、という訳もあり)のを見たサライはイシュマエルとハガルを追放する。

 創世記のこの辺りはなんだか昼ドラみたいにドロドロしてて、正直読んでてゲッソリしてくる。まあ、サライさん、若い頃も美人局とかやってたしなー。しかし、若い頃は王を騙して、歳老いてからは仕え女をいじめるとか、ホント、サライさんはロクでもねえなあ。

 ちなみに、この時に追い出されたハガルとイシュマエルだけど、さすがに可哀想に思ったのか、二人はヤハウェが保護してあげてちゃんと子孫が繁栄すんだよね。イスラム教徒はこのイシュマエルの子孫であると自分たちを認識してるらしい。


「ソドムとゴモラ」(創世記18章):ヤハウェはソドムとゴモラの街を滅ぼそうとする。アブラムのとりなしにより、「街に10人善人がいたら滅ぼすのやめる」と約束したが、ソドムとゴモラはあまりにロクでもなかったので滅ぼしちゃった。ロトの一家だけは逃げ延びたが、途中で振り返ったロトの妻は塩の柱になった。

 ヤハウェがアブラハムに「おれ、ソドムとゴモラを滅ぼそうと思うんだー」って言ったら、この時、アブラハムが「いやいや、街には善人もいるでしょうに、悪人と一緒に滅ぼすのは乱暴じゃないっすか。あの町にも50人くらいは善人がいるでしょう。あなたは公正を行う神なんじゃねーの?」って言うんだよね。するとヤハウェも「それはそうだな」と思ったのか、じゃあ善人が50人いたらやめとくよ、ってなって、またアブラハムが「いや、45人かもしれないけど」と言って、ヤハウェは「じゃあ45人でもいいや」、アブラハムは「40人かも……」、ヤハウェは「40人でもいいや」……。と、こうして、最後は「10人でいいよ」ってとこまで神に譲歩させちゃう。ここで見られる神はアブラハムに「あんた公正の神なんじゃねーの?」と言われてやり込まれたり、交渉したら条件を変えてくれるような神であって、人間から絶対的にかけ離れている神のイメージではないっていう。キリスト教の絶対的な神イメージはここらへんをどう扱ってるんだろうね?

 ところで、結局、ソドムとゴモラはヤハウェによって滅ぼされちゃうんだよな。でも、これは仕方ない。ソドムの退廃っぷりはホント酷かったからなー。どのくらい酷いかって言うと、滅ぼす前に天使二人がソドムに下見に行ってロトのおうちに泊まったのですよ。すると、若者から老人まで町中の男たちがやってきてロトの家を取り囲んで言うんだよね。その内容がひどい。

「てめーのところに男が来たはずだー!」
「出せー! レイプさせろー!
「ホモセックスさせろー!」

 最悪だね。ソドムで唯一善人であったロトは「どうしてもというなら代わりにウチの娘をレイプしろー!」って言うんだけど、町の人たちは頭おかしいから、

「うおー! こうなったら、ロト、てめーをレイプしてやるー!」

 とか言って襲い掛かってくるの。いやもう世も末だね。そんなにホモセックスがしたいのか。結局、ロト一家を除きソドムとゴモラの町人全員が神の力で滅んだんだけど、今回に関しては滅ぼしたくなった神の気持ちが分からんでもない。確かにソドムはひどすぎる。

<途中ですが時間の都合によりここで終わります>

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