【5/18】2010年24号のジャンプ感想(2)


スケット

 いろいろ置いといてスイッチ無責任じゃねえの……。無責任な気がするぜ……。


 いや、でも、スイッチが責任負う必要もねえんだもんなあ……。


 ***

 本編は何だかスゲーどうでもいい感じです。他人の恋愛とかホント興味湧かねーなー。バクマンの恋愛描写くらい興味ない。ああでも、もて王の木嶋×吉下は普通にスゲー気になったんだよね。一体何が違うんだろう。木嶋くんには、本当に、すごく、幸せになって欲しかった。ボッスンのことは決して嫌いじゃないのにホントに何が違うんだろう。


めだか

 いろいろ置いといて、拘束された女子高生の側頭部にハイキックをかます善吉くんが何だかすごいと思いました。来週からは拘束された女子高生とバトルするのか……??

 しかし、善吉くんの「お前の言葉に重みなんか感じねーよ!!」って、それ、能力原理違うよね。都城先輩のは電磁波による身体操作能力であって、「言葉の重み」はある種のミスリードだったって話だよね? しかし、西尾先生がノリだけでこれをやっちゃったとも思えないので、「言葉の重み」にはもうちょっと秘密があるような気もするなぁ。


こち亀

 おおお……。こち亀が珍しく面白い……。人の手柄を無駄に貶める麗子の人格が腐っていることや(気持ちは分からんでもないが…)、ある程度真面目に職務を遂行した両さんがロクでもない目に遭って救いもない辺りはアレだけれど。とはいえ、被害に遭ったのが両さんだけではなく署の職員や部長までやられている辺り、ピカレスクロマンとまでは言わないまでも一種の爽快さがあった気がします。反権力は常に幾許かの爽快さを持つよね!

 まあでも、粗というか納得のいかないところも多々ありますけどね。毎月15万円仕送りは多すぎるだろとか、なんで刑が確定する前に常習犯であることが知られてないんだとか。「娘に15万仕送りするためにスリをしました」は僕なら呆れるけどな……。多すぎるだろう、常識的に考えて。

追記:ふと思ったのだけど、愛人と娘で、お金を送る対象が違うことで印象がここまで異なってくるのは考えてみれば不思議な話かもしれない。写真が娘だとしても明らかに成人しているわけで、言ってみれば愛人と条件は変わらない。愛人の方にどんな事情があるのか分からない以上(可能性としては何らかの不幸に見舞われた行きずりの女性を助けた結果、彼女に好意を持たれたということもありうる)、むしろ肉親の情にとらわれず他人を助けられる精神性を評価する向きがあっても良いのではなかろうか。もちろん今回のこち亀にそういった含意がないことは承知の上だけれど、僕たちが「娘」と「愛人」と聞いたときに感じる、その無批判的な印象の違いを少し脳裏に留めておきたい。


ロックオン

 いまだにこの位置にあることが正直理解できなくなってきたこの漫画ですが、今週に限って言えばそれなりのクオリティだったと思います。大和くんが、まあ想像通りではあったけれど、ちゃんと好感の持てる振る舞いをしてくれたのが大きいですね。あと、悪役もこのくらい同情の余地なく描いてくれれば清々しくていい感じ。100%の悪役ってリアリティ感じなくてあんまり好きじゃないんだけど、このくらい突き抜けてると記号的に美しいね。漫画としては正解だと思う。


メタリカメタルカ

 んああぁ……。くそおぉ……。

 これを「残念だ」と言ってしまうのは至極簡単なんだけど、最近、漫画の仕事をしていることもあって作者の気持ちが本当に良く分かってしまう。あああああ……。もう本当に残念なのはウォードさんの扱いで、登場と同時に彼が黒幕だと思わされてしまって、その予想を裏切られなかったのがなぁ。もったいない。実にもったいない。

 っていうのも、ウォードさんの立ち位置って非常に絶妙だったんですよね。「新参者ではあるが、自分も毒に犯されながらも人の子を助けて連れ帰る」っていう。「新参者」「人助け」「人のうちの子」と、どう転がしても面白い要素ばかり揃ってるんですよ。「新参者なのに人助けできる」でも「主人公じゃない端役なのに命がけで人助け」でも「(自分の子のためではなく)人の子のために動いた」でも、どれを取り上げても美味しいキャラクターに育つ。そんなウォードさんのもっとももったいない使い方が、まさに「ウォードさんを黒幕にする」だったんだよなぁ。

 でも、これって逆に言えば、ウォードさんの絶妙さは彼が黒幕であることからの逆算とも言えるんですよね。「新参者なのに人助けできる」「主人公じゃない端役なのに命がけで人助け」「(自分の子のためではなく)人の子のために動ける」。この三点の絶妙さは全て、「非論理的であるから」成り立つことなんですよ。ベテランが人助けするのは読者もすんなり納得できる。主人公が人助けするのも納得できる。自分の子供を命懸けで救うのも納得できる。でも、ウォードさんのやったことは(彼が善人だとすれば)すんなりと納得できることじゃないんです。しかし、だからこそウォードさんが(善人だったとすれば)輝くんです。そこに単純な論理ではない人間の奥深さが垣間見えるから。ウォードさんが悪役ってのは一番納得できる回答です。でも、「残念」なんです。とても論理的だけれど、そこに描かれた人間は浅いから。

 この「納得いかなさ」と、それゆえに「輝く」ところをいかに調和させて爽やかな話にできるか。そこがポイントだと思うんです。リリエンタールの第一話はそれができてた。そこらのおっさんもバスの乗客もみんながイイ人で読者もちゃんと納得できて爽やかだった。……でも、リリエンタールは打ち切りなんだ! 打ち切りなんだよ! 今週のウォードさんの扱いは本っっ当に残念だけど、でもこれが「正解」なんだよなぁ~~。どう考えても「正解」。それが悲しい。やりきれない。だって、ウォードさんをそんな奥深く描いたら主人公霞むもんなぁ。メイン読者のちびっこたちはそんな深いキャラ造形は読み取れないしなぁ。できる限り単純化を目指すはずだよ。常識的な編集者であれば絶対にこの形に落ち着けさせるし、常識的に考えてもこれが正解。シンプルな悪役とそれを倒す主人公の構図は実に分かりやすい。でも、それが僕のような人間にとっては没個性的な漫画にしか映らないんだよなぁ……。もったいない。だが、もったいないけれど、これしか出来なかったのだろう。それが分かるだけに悲しい。


 ***

 その一方で、「純粋に」読者の納得が得られない描写もあり、そちらは単純な意味で残念。たとえばウォードさんによる明らかに必然性のないシエラさん誘拐は「お話の都合上」以上のものは感じられず、この辺は単なる努力不足というか、作者が試行錯誤を投げ出しちゃっただけとしか思えないのでちゃんと詰めていって欲しいですね。シエラさんがルカを追っていったらたまたま坑道に入る裏道を見つけて、「行方不明者が出ると仕事がやりにくくなるが……」「まァ、知られたからにゃ生かしちゃおけねえな」くらいの描写が入るだけでも全然リアリティが違ってくると思うんですけど。

 後半の甘いところを列挙するなら、

・ロクに検査もせず村の主幹事業を閉鎖に追い込む協会(ただし、伏線の可能性アリ)。
・村人に行方不明者が出たら周囲一帯が捜索されるかもしれないのに、やり過ごそうともせず積極的に殺人を企む。
・寝たきりと思われてるウォードさんが元気に活動してるのに、その姿を見かけたこともない村人。
・そして、自分の弟が助けられたにも関わらず、ウォードさんの見舞いにもいかず気にも掛けないシエラさん。

 ……といった辺りでしょうか。まぁ、どれもなぁ……。今回のような「とりあえず主人公を活躍させる話」を作るにあたっては無視していいことばかりではあるんだよなぁ……。大人が読むと気になっちゃうだけで。あらゆる問題点を潰していくとそれはそれでテンポが崩れるのもまた事実……。


 ***

 ちょっと否定的なところばかり取り上げちゃったので肯定的な面も見ておきましょう。主人公の能力には「ゲットしたレアメタルの効果を使う」ドラえもん的側面と「鉱物操作」の固有能力の側面があるわけですが、このうちドラえもんの方は今後の展開に期待が持てます。というのも、今後自分で新しくゲットした鉱物次第では、主人公の能力が少しずつ増えていくと言えるからです。たとえば、五週くらい使って描いた長編シリーズの末に獲得したレアメタルが、その後の展開のちょっとしたところで使われるようになるとか。そういう感じになったら熱いんじゃないっすかね。言ってみれば、G.I.編で手に入れた「真実の剣」をキメラアント編で使いこなすゴンキルみたいな。道具が揃って、それらを使う応用力も増すに従ってさらに高度なレアメタル探索に乗り出すとかすれば、読者にも妄想の余地が増えて面白いと思います。設定はホントにいいと思うんで、今後の展開を頑張って欲しいなあ。


保健室

 今週のジャンプの白眉。春ということで露出狂になる中学生たちは、バレンタインということで学園がラブホテルになったToLoveるに通じるものがあったと思います。

「先生、あなたの趣向を否定するつもりはないのよ…でも」

 今週の保健室は台詞回しがいちいち神がかってたと思いますが、ギャグという意味ではなくて普通に深かったのがみのり先生のこの台詞。うん、これが言える先生は本当に立派だと思う。衣服の脱着が恥ずかしい恥ずかしくないってのは文化の問題だからなあ。共同体の秩序という意味ではともかく、個人の趣向を否定する権限は確かに先生にはないんだよね。まぁ、その直後で錯乱扱いしてるけど!

「イケメンがアア、寝ボケたこと言ってっとブッ飛ばすぞ」

 一方、純粋にギャグとして素晴らしかったのはこちら。安田くんがすげーかっこいい。「女子が気の毒」という読者も当然感じる思いを安田くんが粉砕してくれました。僕たちも自分の気持ちに素直になっていいんですね、安田くん! いや、安田先生!! 先生の不愉快なポーズも最高でしたッ!!

 ちなみに僕が聞いた話だと、春になると露出狂が増えるのは単純に暖かいからだそうです。露出狂だって冬は寒いんだって。


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