【3/18】まとめ「はじめてのインド哲学」


はじめてのインド哲学 (講談社現代新書)はじめてのインド哲学 (講談社現代新書)

講談社 1992-11-17
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 お仕事メモです。

・それまでのバラモンは「死後に天界に生まれ変わるよー」「現世利益あるよー」で顧客を得ていたが、顧客の要望がそれだけに留まらず、「宇宙の根本原因」とか「人間の精神的追求」に移って行き、それに応えるべくウパニシャッドが登場! ヴェーダの儀礼中心主義からウパニシャッドの儀礼の内化へ。

・バラモンの哲学者たちはブラフマンとアートマンの相即において世界を見ていた。これがそれまでの伝統。釈迦の斬新なところはブラフマンとアートマンの相即ではなく、自己とその「周囲世界」の考察から始めたところ。釈迦は自己の「周囲世界」以外の世界を認めない。アートマンが存在しなければブラフマンもありえない。ここらへんがウパニシャッドに対するアンチテーゼだった。

・「ていうか、宇宙の根本原理とかどうでもよくね? ブラフマンと自己との同一体験とかより縁起を理解し実践する方が良くね?」というのが釈迦の態度らしい。(でも、縁起もブラフマンも似たようなもんだと思うんだが……)

・釈迦の唱えた縁起説がどんなものかは良く分かってない。後世、さまざまに変形、整備されている。十二支縁起はその中の最も良く知られたもの。(つまり、釈迦が十二支縁起をいったかどうかは怪しい)

・縁起は縁りて生起することだが、龍樹は「縁起は生じないものだ」と主張した。これによって縁起思想と空思想という、それまでは一応別の伝統であった二つの思想を統一した。(※縁起と空は別だったらしい。縁起と空が同じようなバージョンしか知らないのでどうも良く分からない)

・「すべての言葉の多元性が死滅に導かれたとき、そこにはわれわれの日常的な概念作用によってはとらえられない真実がわれわれを待っている。龍樹はこれを「空性」あるいは「縁起」と呼ぶ。しかし、この「縁起」は言葉を越えており、明大における主語と述語とによって表現される縁起とは異なる。龍樹は、言葉の多元性というすがたの「俗なる」縁起と、多元性の死滅した「聖なる」縁起との両者を「縁起」という言葉で呼んでいる」

・言葉の世界を否定し、言葉を超えた縁起の世界に至るのは虚無へと陥ることなのか? 龍樹によれば、一度否定された縁起(言葉)はよみがえるのだという。蘇った世界を「仮説」と呼ぶ。実在ではないが、言葉によって仮に成立したもの。

・世間の声「おめーらの言ってることは分かったけど、で、世界の構造はどうなってんだよ」→上座部「ううーん。こうこうこうなって、つまりアビダルマで……」→龍樹「ファック! アビダルマ、ファック!」→世間「龍樹が全部ブチ壊したけど、結局、世界の構造はどうなってんだよ」→唯識「オーケー、オーケー。オレが龍樹が言いたかったことをアビダルマのシステムを使って説明してやるよ」

・唯識はアビダルマの世界観をそっくり観念論、あるいは唯心論的に読みかえたもの。

・「唯識哲学は、一人の個体の認識からとらえられた世界――自己空間と自己時間の世界――が、無意識の次元をも含んですべて認識であるという。その認識の内容・表象がすべて死滅したとき、かたちや表象作用をもたない認識作用そのものが残り、その表象を伴わない認識は、一種のヨーガによって浄められ、やがて知恵となる」

・仏教の「不二」は「二つのものがない」。この「二つのもの」とは「客観と主観」「能動と受動」「有と無」など。仏教はこれらのものが共になくなった境地――空――を目指す。(※この二つのものがある世界は言語により仮説された俗なる縁起ってことか?)

・昔は一切皆苦とか言ってたインド人もだんだん生産活動とかにポジティブな意味合いを与えるようになっていった。現象世界、あるいは行為の寂滅を旨とする仏教が、11~12世紀のインドで勢力を失ったのにはそういう面もある。※仏教っていうとなんだか辛気臭えイメージがあるし、「そんなやる気ねえ教えでどうすんの?」という気がして現代の時勢とマッチしないような気もするが、現代っつーか大昔でもそうだったということ)

・紀元前7~8世紀にはインド人たちは特殊な精神生理学的な訓練によって、ある種の神秘的体験を得ることが可能だと知っていたらしい。(※超重要。『ヨーガの哲学』の16Pに詳しいらしい)

・「大宇宙と小宇宙あるいは宇宙原理と自己の合一を、人間という場において可能ならしめるのがマンダラ観想法(マンダラ・ヨーガ)である。マンダラを前にして、行者たちは観想法によってマンダラに描かれた通りの宇宙図を、自らの眼球から眼前のスクリーンに射影する。このようにして顕現した「聖なる」宇宙は、観想法の力によってケシの実ほどの大きさになり、さらに空なるものとなる。つまり、儀礼的に「死ぬ」のである。そのようにして行者と一体となったまま、すなわち行者は世界を見ているという意識をもつことがないまま、宇宙は次の瞬間、再び外に向かって大きくなっていく。つまり、再生する。このようにマンダラとは、個体という小宇宙において、しかも個体が追体験できる時間の中で、宇宙の死と再生が繰り返される擬似空間なのである」


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