【12/10】ダンゲロス著作権まわりに関する現状認識

　
<前提>

・ダンゲロス著作権ルール（ダンゲロス参加時の契約）……ダンゲロスに投稿されたキャラクターは第三者による二次創作作品に無断、無償で利用される可能性がある。また、その際に改変を伴う場合もありうる。※ダンゲロスのストーリーやゲームルールなどに関しても同じ著作権ルールが適用されるのかは（文面からは）読み取れないが、とりあえず適用されるものと見なして話を進める。

・ダンゲロス著作権ルールは、一般的な「著作権」から一部の権利を差し引いたものである（「一般的な著作権の一部に関して、著作権を行使しないことを契約で確認する」）。

<著作権一般>

著作権①―著作権②（著作者の権利）―人格権
　　　　｜　 　　　　　　　　　　　　　　　　　∟著作権③（財産権）
　　　　｜
　　　　∟著作隣接権（伝達者の権利）―人格権（実演者のみ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∟財産権

・「文書、講演、詩歌、台本、音楽、振付、絵画、彫刻、マンガ、芸術的建築物、地図、設計図、写真、動画コンテンツ、コンピュータ・プログラム、データベース」などは著作権②で他者の無断利用から保護される。（ダンゲロスで言えば、キャラをモチーフにしたイラスト、マンガ、アニメ、音楽、映画などが保護対象となる。「ゲームシステム」や「キャラクター」の「アイデア」はおそらく対象とならない/後述）

・著作隣接権に関しては、たとえばダンゲロスをモチーフとした音楽を歌番組が勝手に流したとして、その歌番組を誰かが勝手にコピーして販売した場合は、「音楽の作り手」が「歌番組の作り手」を訴えることができ（著作権②）、「歌番組の作り手」は「コピー商品の作り手」を訴えることができる（著作隣接権）。ダンゲロスの現状ルールは「二次創作フリー」なため、歌番組が音楽を「カヴァーする」場合は問題ない（訴えない）。「そのまま流す」場合はおそらく「無断で『公衆への伝達』をされない権利」によりアウトとなる（訴えることが「可能」。これに関しては後述）。（厳密に言えば、ダンゲロスプレイヤーの誰かが作ったダンゲロス用のBGMをダンゲロス中のネットラジオで無断で流すのも「著作権侵害」となる）

・「人格権」は著作者の心を守るもの。「著作者をムカつかせないようにするための権利」。「著作権③」は著作者の財布を守るもの。「著作者が損をしないようにするための権利」。（ダンゲロスのルールは「人格権」を一部行使しないことで「ある程度までムカつくのをガマンする」ものであり、「著作権③」を一部行使しないことで「ある程度の損を許容する」ものである。ガマンし、損をする代わりに「より広く流通させる（みんなで遊ぶ）」という意図による）

・データベース（たとえばダンゲロスwikiのキャラクター一覧など）は編集した人間に「編集著作権」がある。また、データベースの個々の部品（一人一人のキャラクター）にも著作者がいるため、このデータベースを丸ごとコピーする場合は（基本的には）「データベースを編集した人」「キャラを作った一人一人」の承諾がいることになる。※ダンゲロス著作権ルールにおいて、データベースがどう扱われるかは不明。

・著作権で保護されるのは「表現」であり「アイデア」ではない。たとえばダンゲロスのゲームルールが記されているページをそっくりそのままコピーするのは著作権侵害となるが、「ダンゲロスのルールを使ってコンピューター・ゲームを作る」のは（ダンゲロス著作権ルールどうこうとは関係なく）著作権侵害とはならない。また、ダンゲロスでは二次創作が許容されているため、ダンゲロスのルールを適宜変更（二次創作）して自分のサイトにアップする、などは許可される。

・同様にキャラクターについても保護されるのは「表現」であり「アイデア」ではない（と思われる）。

鏡子
性別：女
所持武器：鏡
攻撃力：0　　防御力：0　　体力：8　　精神力：2　　豊富な経験：20

キャラクターの説明：
三つ編み眼鏡の気弱色白根暗無口。制服は校則通りの膝丈きっちり。眼鏡を外すと美人だとかそうでないとか。

　たとえば上記のキャラクター「鏡子」の説明文をそっくりそのままコピーするのは著作権侵害だが、「三つ編み眼鏡のビッチな女キャラ」を「鏡子」という名前で、小説、アニメ、映画などに登場させることは（ダンゲロス著作権ルール以前の問題で）著作権侵害とはならない。ただし、ダンゲロス著作権ルールでは二次創作を認めているため、上記の説明文も少しでも変更すれば「二次創作」と見なされ許可されるのかもしれない（この辺り良く分からない）。また、「少しでも変更する」というのが実質上「ほとんど変更しない」も含むのであれば、「そのままコピー」も許容されることになるのかもしれない。※ただし、小説などを丸々コピーされては流石にたまらない。この辺りの線引きはどうすべきか？

・イラストに関しては「アイデア」ではないので保護される。鏡子のイラストが描かれた場合、その「デザイン」をたとえばフィギュアにする場合は本来は著作権侵害となるが、ダンゲロスでは二次創作と見なされて許可される（ただし、商業出版に付けられたイラストに関しても「二次創作が許可」されることになる）。

・創作性のないものは著作権で保護されない。本や映画の題名など短いものは「創作性を発揮する余地がない」とされ、一般には著作権がないとされる。（鏡子の「ぴちぴちビッチ」は明らかに「ぴちぴちピッチ」のパロディだが、「ぴちぴちピッチ」のタイトルに著作権がないならば問題なし？　※商標が絡んでくるとどうなるのか不明）

<人格権>

・「人格権（著作者をムカつかせないための権利）」は移転できない。

・「無断で『改変』されない権利」は、ダンゲロスでは二次創作が許容されているために、「基本的には行使しない」（人格権は移転できないため「権利を持ちつつも行使しない」（ことを参加時に契約した）形になる）。ただし、「絶対に」行使しない場合は、「小説のオチを出版社が勝手に変える」「イラストを出版社が勝手に塗り足す」などが可能となってしまう。（二次創作と「その他の改変」を区別すべきか？）

・タイトルの「改変」にもこの権利は及ぶため、「ぴちぴちピッチ」を「ぴちぴちビッチ」へと変えることは、もしかするとこの点で問題になるかもしれない？

・二次創作（二次的著作物）には以下のようなものがある。「翻訳」「編曲（アレンジ）」「映画化」「要約」「子供向けの内容に変える」。さらに一般的な意味での「二次創作」であるゲーム化、同人誌化、パラレルワールドの物語など。これらは本来、著作者に許可（とそれに伴う使用料）が必要となるが、ダンゲロスでは二次創作は基本的にフリーとなる。ただし、「子供向けの内容に変える」などは元となった商品の商品価値を下げる可能性があるため要検討か（たとえば小説などが、ある程度子供向けにされた上で無断で他社から出版された場合、元となった小説が売れなくなる可能性がある）。

・「無断で『公表』されない権利」は、作品を公表「する」「しない」、また、「いつ公表するか」を著作者が決められる権利。また、自分の著作物が「原作」として、他人が二次創作を作った場合は、原作が公表されるまでの間は「二次創作をいつ公表するか」の権利を原作者が持つ。（ダンゲロスにおいてこの権利がどうなるのかはイメージできない）

・「無断で『名前の表示』を変えられない権利」は、自分が作った作品に「自分の名前を出す」権利。また、名前の表示方法に関する権利。たとえば「ペンネームで出版されるはずの本が本名で出版されてしまう」などが問題となる。ダンゲロスにおいても、自分の著作物に関してはこの権利は基本的には行使しうる。

・上記の権利は二次創作に関しても、通常は「自分の名前を出せ」と言える権利を持つが、ダンゲロスでは、おそらくこの権利については沈黙することになると思われる（ダンゲロス著作権ルールでは現状明確になっていない）。

<著作権③（財産権）>

・人格権と異なり、著作権③は移転できる。

・「無断で『コピー』されない権利」は、手段を問わず、結果として同じものができれば「コピー」とされる。先の鏡子のキャラ説明は「コピー＆ペースト」しても「無断でコピー」となり、一字一句タイピングしても「コピー」となり、メールでキャラ説明を誰かに送っても（メールの送信者が）コピーしたことになる。小説の出版の場合は、著作者の「無断で『コピー』されない権利」の一部を出版社に移転することになる（著者が他の出版社から同じ本を出さないように）。ダンゲロスにおいても、この権利は個々がキープする。

・「無断で『公衆への伝達』をされない権利」は、たとえばダンゲロスをモチーフとして作られた音楽を無断でクラブなどで流されない権利。この権利もダンゲロスでは保持される。ただし、その音楽を使用して第三者が映画を作った場合は、これは二次創作と見なされて、その映画の著作者が「音楽の入った映画」を上映することができるのかもしれない。（イラストや音楽を部品として使った場合の扱いについては良く分からない）

・「二次的著作物を無断で『作成』されない権利」「二次的著作物を無断で『利用』されない権利」に関して。まず前者は、たとえば小説を元（原作）にしたマンガを作る場合には小説の著作者に許可を求める必要があるが、ダンゲロスでは無断で構わない。そのマンガが出版される場合は、本来はマンガの著作権者と小説の著作権者の許可が必要となるが、ダンゲロスでは許可を要するのはマンガの著作権者だけとなる。

　＊＊＊

　以下、まとめ。

<ポイント>

・ダンゲロスキャラクターやストーリーなどの「アイデア」を二次創作に利用することは（ダンゲロス著作権ルールとは関係なく）可能。

<ダンゲロスと一般の著作権の違うところ>

・ダンゲロスでは「二次的著作物（二次創作作品）」を作る際に原作者の許可を求める必要がない（許可が必要ないため利用料なども必要ない）。
・「二次的著作物」を「利用」する場合も、原作者の「許可」は必要ない。
・「無断で『改変』されない権利」を「基本的には」行使しない。
・「無断で『名前の表示』を変えられない権利」を「基本的には」行使しない（自分の著作に関しては行使するが、二次創作に関しては行使しない……と思われる）。

<問題点>

・「ダンゲロスでは『二次的著作物（二次創作作品）』を作る際に原作者の許可を求める必要がない」が、どこからが「二次創作」なのかが曖昧。「ほんの少しだけ変えたもの」を二次創作とされて売り出されると原作の利益を損なう（売れなくなる）可能性がある。（ただし、キャラ設定やゲームルールなどは「ほんの少し」変えて利用する方が便利ということがある）
・「無断で『改変』されない権利」を完全に行使しない場合は、たとえば出版間際の作品のオチを出版社に改変されるなどがありうる。この権利を「どこまで行使しないか」の線引きが必要では？
・イラストや音楽を「部品」として創作された「二次創作」作品は、「イラスト」や「音楽」に関して「ダンゲロス著作権ルール」を適用して良いものか？（極端な話、映画監督が作曲家に曲を依頼しながら、その曲を「無料で」使用して「二次創作作品」を作ることも可能になると思われる）

<現状よく分からないこと>

・ダンゲロス著作権ルールは投稿されたキャラクターのみならずダンゲロスのストーリーやゲームルール、データベースに関しても適用されるのか？
・「ぴちぴちビッチ」は「ぴちぴちピッチ」の「無断で『改変』されない権利」に触れていないか？　もしくは商標の問題は？
・「無断で『公表』されない権利」はダンゲロスにおいてはどうなるのか？
・「無断で『名前の表示』を変えられない権利」は二次創作に関してどうなのか？

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