【11/10】2009年50号のジャンプ感想(まとめ)



 僕の新作が出たのでちょっくら宣伝です。ジャンプ感想は自著の宣伝のためにやってるところもあるので、興味なくても軽ーく宣伝に目を通してもらえると嬉しいな。

 で、今回の作品は「完全教祖マニュアル」。簡単に言うと、宗教から神秘的なヴェールを剥ぎ取って、僕たちパンピーにも理解可能なレベルにまで引き下げて解説している本です。なので、この本を読んでこの本の解釈を使うと、「宗教ってメチャクチャ素晴らしいものでもないけど、無闇に恐れるものでもないのね」って感じになると思います。中道、中道! 宗教知識の入門書としてもたぶん日本一分かりやすい本だと思うので、お気軽にご一読下さい! 価格は税込777円。お求めはアマゾン、もしくは全国書店にて!


ナルト

・土影「思い出したからじゃ……。頑固になる前の自分をな」

 物語上の感慨以前に、即座に「ナルト菌……!」と思ってしまう辺り、僕はこの漫画を楽しめなくなってるのではないかと不安になってくる。

 しかし、土影さまがあの一言で突然心を入れ替えたというのは信じがたいですが、それさえ置いとけば良いシーンと言え…………いや、やっぱりなんでアレで心を入れ替えたのか信じがたいよなあ。そうか、信じがたいからナルト菌だと思ってしまうのか。


・「オレの情念を思い知りなよっ!」「情念…こういう時に使うのか…。よし! オッケー!」

 これはすごく判断に悩むコマだ……。

①岸本先生の「情念」の使い方のセンスがおかしい
②サブちゃんの「情念」の使い方のセンスがおかしく、それを納得しているキラービーというギャグ
③「情念」の新しい使い方のセンスを学ぶキラービーの図
④「情念」の使い方のセンスは一般的にこれなのに気付かない僕

 いかんせんキラービーさま自体が「ラップが下手なラップキャラ」という微妙な位置付けなので、このコマもどういう狙いなのかさっぱり分からないや。


・頭八刀(ヘッドバット)

 最近の雷兄弟のプロレスシーンはナルトの中では鉄板だと思います。忍者が変な当て字のプロレス技を繰り出すというのは、岸本先生の芸歴の中でも突出した発明ですね。


ワンピース

「スクアードさんがガチ裏切りだとしたら、部下をまとめ切れてなかった白ひげさんの格が下がってしまうのではないか」との先週の憂慮は全く杞憂に終わりました。

 なるほど、「エースがロジャーの息子」というのは、確かにこの戦いが始まってから初めて明かされた情報。白ひげ海賊団+傘下はそれまでが一枚岩であったとしても、ここで動揺する者が現れるのも仕方なく、その時に最も動揺するであろうスクアードに狙いを絞ってのセンゴクさんの裏切り工作。これは確かに白ひげさんが言うようにセンゴクさんの力量勝ちかと。スクアードさんの一撃を避けれなかったのが病状の悪化というのも納得せざるをえない話。白ひげさんは力量があるし、人間味もある。それでも病気も老化も避けられない。だって人間だから。納得せざるをえない。

 今週は、ほとんど完全無欠の白ひげさんの、その数少ないウィークポイントを的確に突いて海軍が白ひげを崩しにかかってきたわけですから、実力者同士のバトルとしてはこの上ない出来だったと思います。どちらにも油断がなく、どちらも全力を尽くしている。「読者がどっちと戦っても勝てそうにない」感じがちゃんとします。

 伏兵のパシフィスタも単なる力押しではなく、謀略の演出として用いるのもすげー良かったです。演出だけど、もちろん力押しでもあるっていう一挙両得作戦。ここらの戦術描写はセンスあるなー。その上、白ひげ、スクアード絡みで感動展開もきちんとフォローして硬軟両方そろえてる。知略戦の妙味と人間ドラマをたった17Pでこれだけ表現できるとか、尾田先生は本当に週刊ペースで漫画を描いているのだろうか。とてもじゃないが真似できない。同じ人間とは思えない。


ブリーチ

 なるほど。主人公がラスボス戦に参加する理由にそこを持ってきましたか……。しかし、だとしたら、なんで山本の爺ちゃんたちは勝ち目がないと思いつつ現世で迎え撃とうとしていたんだろうか。久保先生、ノリで描いてるから、「織姫運搬役でいいかー」→「あれ? だとしたら卯ノ花いれば解決するよな……」→「そうだ、一護じゃないと鏡花水月破れないことにしよう。あいつ、確か視界の瞬間は見てなかったし」ってな感じでなあなあで決まってんじゃないかと疑ってしまう……。いやいや、普通に考えるなら伏線のはずなんだけどね。

 そういえば、平子さんって一護のこと「織姫運搬係」としか思ってないんだよな。

平子「おおっ、一護、来てくれたんか! 早う織姫ちゃんを……、おまえ、織姫ちゃんおらんがな! 何しとんねんアホが!」
一護「えっ!? い、いや……。ほら、代わりに卯ノ花さんいるからさ……」
平子「おお……、卯ノ花! 良かった。これでひよ里が助かるわ。一護、お前はもう帰って寝てええぞ」
一護「いや、オレしか藍染を倒せないらしいからオレが頑張るよ」
平子「何いうとんねん! 早うおうちに帰らんかい!」

 とりあえず、このくらいの意識の開きはあると思うんだよな。


ぬらりひょん

 羽衣狐さまがやや子を産むだって……!? ……しかし、子供を産むために霊力のある生き肝を食べるだなんて、なんというキメラキツネ編。いや、だが一体、誰が彼女に種を宿すというのだろう。清継くんなのか……? まさか清継くんだというのか……!? それは羨ましすぎるな畜生。しかし、清継くんなら仕方ない。……でも、相当の霊力を持つであろう秋房さんを放置したということは、人間相手に種をもらうわけでもないのかしら。

 ところで、敵本拠地に進めば進むほど仲間ユニットが手に入っていくって、なんだかゲームみたいですね。ていうか、「ワードナの逆襲」?


サイレン

 思った以上に面白いグラナvsミロク。バックボーンのある敵キャラ同士の戦いってすげーイイです。あと、基本二人とも悪役(?)なので、周りの迷惑とかあんまり考えないのもスッキリしていいですね。ドリフト中に出てきたグラナさんはちょっと強すぎだろうと思ったけど(なんでこんな強いやつがミロクさんの下に付いてるんだろう、とも)、なるほど実際に強くて、そして、ミロクさんはこんな強いやつを下して仲間にしてたんだなあ。ミロクさんも頑張ったなら(アゲハたちが苦戦するであろうことも)仕方ない。

 そして、「グレゴリ実験被験者は感情機能を著しく失う」との新情報。だからジュナスさんはあんなにもサクッと施設の人々を殺していたのであろうか。そして、リバースデイ以降もジュナスさんの感情機能は失われたまま、彼が唯一回復した感情が「ドルキさんをバカにすること」だったと思うと、なんだか感慨深い気がします。


リボーン

 これまでの僕たちの予想。

「パラレルワールドの自分と考えや知識を共有できるだって!? そんなの無敵じゃないか。仮にこの世界でツナたちが白蘭さんを倒せたとして、無限にある世界のうち、その一つの世界で白蘭さんを倒しただけで全く本質的な解決にならないよ! なんて凶悪なラスボスなんだ!」


 今週判明した新事実。

「パラレルワールドの自分と考えや知識を共有できるというのは、裏返せば全て繋がってて実体は一つということです。つまり、この世界で白蘭を倒せば全てのパラレルワールドの白蘭は消えます」


 う、うん……。なんだかどんどんと白蘭さんが気の毒になってきたんだ……。彼は一度でもミスしたら終了のゲームを8兆回もクリアしなければいけなかったのか。8兆回のうち1度でも交通事故に遭ったらアウト。1度でもインフルエンザが重篤化したらアウト。常人の8兆倍のリスクに晒されながら、1世界1年で征服するとしても合計8兆年に渡る戦いを繰り広げており、頼みの綱の共有能力もどんどん衰えて状況は悪くなるばかり。これは白蘭さん的にはとんだクソゲーだったんじゃなかろうか……。


ねこわっぱ

 なんというアラレちゃん。あと、オヤビンいい人。ところで最近の「悪そうなヤツは大体いいヤツ」は読んでてほっこりできて、「良さそうヤツは大体巨悪」よりも全然イイんですが、しかし、これもそろそろテンプレ化してきた気がしなくもないですね。いや、そんなこと考えているのは僕だけかな。まだまだこの流れは気持ちいいんだから、そんな批評家面して言うようなことではないですね。ちなみにオヤビンは子分を助けたところよりも、見ず知らずの子供の風船を取ってあげようとしたところの方が好感持てました。

 あと、これも本来は文句言うところじゃないんですが、誘拐犯が子供相手に銃をブッ放すとか、アジトにマシンガンを隠し持ってるとかは、あまりにリアリティがなくて大人読者的にはイマイチでした。いや、子供読者的には全く文句言うところじゃなくて、そしてジャンプは子供のための雑誌だからやっぱり文句言うところじゃないんですけどね。

「悪の組織」の実際における拳銃の扱い方はリリエンタールのサングラス組くらいがリアリティあると思うんですが、まあ、ねこわっぱみたいにブッ放した方がそりゃ派手だよなぁ。でも、絵柄が可愛いから誤魔化されてるけど、幼女相手にマシンガンはこの漫画の作風に合わないくらいガチな残酷描写だとも思うんだ。


保健室

 何があるのか分からないから裏を調べるってのは教育者としてまあいいとして、元凶が病魔かどうかも分からないのに、ハデス先生たちが虎穴に飛び込むのはどうなんでしょうか……。「子供たちが麻薬の取引に関ってるらしい」「それは囮捜査をするしかありますまいな」みたいな話に思えたんだけど……。

 ま、それはそれとして、次回の展開は普通に楽しみです。病魔にしてはデジタルっぽいし、全然毛色の違う病魔が出てくるのかなー?


べるぜバブ

 適当に殴り合って投げ技でエンド。ふつうだなー。なんかろくでなしBLUESでしばしばこういう展開を見てたような気がします。

 まあ、特に特殊能力を使うわけでもない普通の不良のケンカなんだから大技ったってバックドロップくらいがせいぜいだよな。仕方ないっちゃ仕方ないんですが。


わじマニア

 わじまさとし先生の成長が著しい! 巨大ぶどうのドライフルーツとかすげー笑った! そりゃそうだよな! 干せばいいよな、確かに!


リリエンタール

 は、は、は、は、は……。リリエンタールの順位が落ちておる……。な、なんてこったい……。

「ユンボル」の時は、「クオリティ高いなあ。クオリティ高いけど、これ、打ち切りだろうなあ」と思ってたし、実際に打ち切りになっても「まあ打ち切りだよなあ。クオリティ高かったけど」と思ったものですが……。リリエンタールは「確かにジャンプにそぐわない」「でも、クオリティは高い」「これがジャンプ読者に通用して欲しい」という戦いをしていて、しかし、実際に通用しそうにないという現実。厳しい。あまりに厳しいぜ……。ここから巻き返してくんねえかなあ……。

 今週の話も幽霊はケーキの幽霊を食べるとか、発想はすごく面白いと思うんですけどね。その分、後半はそのネタで通しちゃってるので、てつことリリエンタールたちの間の微妙な空気感の推移を楽しめなければ見所がないとも言えるのはネックだけれど。いや、しかし、これは個人的なことですが、僕はゆきちゃんのことが大好きになったので今週はホントごちそうさまでした。幽体離脱という何の安全も保証されない怪奇現象に「なんだか楽しそうだから」というだけで軽く一歩を踏み出せる精神性がステキ。惚れた。


鍵人

「ツバメよ、お前は私を倒すのに『マスターキー』が必要だと思っているようだが、別になくても倒せる」

 即死攻撃がニコ・ルーラーにもたまたまヒットしてたら実は勝負アリでしたーってのは面白かったです。てか、シリウスさんって、ひょっとしてクーデターの最大のチャンスだったんじゃないの? あそこでニコさん殺ってたら詰みだよね? いや、その気がなかったなら別にいいんですけど。


バクマン

・シュージン「東大!? すっげーっ!!」

 あ、あれ……? こいつ、昔、「東大出身の漫画家はカッコ悪い」とか言ってなかったっけ……。あ、そうですね……! 成長なされたんですね……! いつまでも中ニのままじゃないってことですよね。


・シュージン「でも男なんてそんなもんですよ。もちろん相手が許容範囲で好意の持てる人ならですけど」

 リアルすぎるwwwwww


・蒼樹「理想的な恋愛だと思います」

 ねーよwwwwwww 
 
 
 いかんいかん、見え透いたツッコミどころにまんまと突っ込んでしまった。いや、しかし、ここの蒼樹さんは面白かったなー。


・岩瀬「どう考えても文化として上ですよね?」

 岩瀬さんSUGEEEEE!!!!!  この子、「どう見ても朝鮮人より欧米人の方が上ですよね」とか言いそうだぜ……!

 ちなみに僕は、

映画・ドラマ<アニメ<演劇=音楽<ゲーム<漫画<小説

 だと思ってます。といっても、別に文化としてのランク付けじゃなくて費用対効果の話ですが。だって小説って、一人が2~3ヶ月かけて作った作品で消費者は一人あたり2~6時間くらい楽しめるわけですよ。その点、映画は何十人も何百人もが何ヶ月も費やして作って、それで一人あたり2時間程度しか楽しめないんですから費用対効果は低いと思うんですよねー。ま、別にだからって小説がイイとか映画が悪いとか言うわけじゃないんですが。読むのに時間の掛かる難解な小説がいいってわけでもないですしね。ただ、人間が「小説でも映画でも同程度の感興を得られる」のだと仮定すれば、小説の方が効率的とは思います。

 あと、クオリティに関して理念的に言うなれば、

映画・ドラマ<アニメ<音楽=ゲーム<演劇<漫画<小説<<(超えられない壁)<<同人小説、同人漫画、同人音楽、同人ゲーム

 くらいだと思ってます。これは純粋に「自由にやれる度合いの差」で、とにかく間に人の手と規制とスポンサーの事情が入れば入るほど個人の才能は潰されていくので、理念的に言えば商業作品が同人作品に勝てるはずがありません。「無尽蔵の資金と傑出した才能の持ち主が、売れることを一切考えずに全力を出し切った同人作品」が、おそらく「全世界の人間の0.0000...1%くらいにとって」最高の作品になると思います。

 ま、それはそれとして、蒼樹さんにとってはあまり面白くないであろう岩瀬さんを、蒼樹さんが一つの人間類型として自己の作品の参考にしようとしているところは良かったです。これ、蒼樹さんは「自分の作品のため」というクッションを挟んではいるけど、他者評価を相対化し始めてるよね。気に食わない岩瀬さんのことも、「気に食わない女性キャラ」として受け入れているということです。これは一種の成長ではなかろうか。


・「自分から見せてきたりはダメです。自然に偶然に見えるのがいいです」「でも、風でっていうのもワンパターンだし……」


 ↑模範解答


 ***


 サイコーの表情がいやらしかったので、セリフをちょっといじってみた。


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