妹の家に絵本があったので、読んでみたらすごかった。
・「おばけのきもち」
ストーリーは簡単。女の子の後ろからクマのぬいぐるみを持ったお化けが追いかけてきます。女の子は叫んで逃げ惑い、そこに友達が駆けつけてくれたおかげで、お化けは消えますが、続いて、友達はお化けが何をしていたのか、分析を始めます。彼らいわく、
友達A「あのお化けは優しい顔をしていた。キミの落としたぬいぐるみを届けてくれたのだよ」
友達B「いや、あのお化けはずる賢い顔をしていた。ぬいぐるみを届けて感謝させ、何かお礼を貰おうと考えていたのではないか」
友達C「いやいや、あのお化けは恐ろしい顔をしていた。ぬいぐるみで油断させたところで、キミを食べてしまうつもりだったに違いない」
友達D「どれも違うな。あれはお化けの卒業試験だったんだよ。他にもお化けたちが隠れていて、ちゃんと人間を脅かすことができるかテストしていたんだ」
彼らはこのようにして議論した挙句、「結局、おばけのきもちはわかりません。おうちに帰りました」というオチがつきます。あまりに投げっぱなしなオチではありますが、しかし、この作品は「幽霊というものは、幽霊が何を考えているのか分からないから怖いのだ」ということを示しており、幽霊という存在を語る上でかなり本質的なところまで踏み込んでいるなと思いました。
ヴィレッジブックス
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・せんたくかあちゃん
おそらくワンピースのおつるさんの元ネタとなった絵本。久しぶりに読んでみたらすごかった。かあちゃんが「何でもいいから洗濯するものを持ってこい」と子供に命じると、それを聞いた家具や犬やネコが一斉に逃げ出しますが、母ちゃんの一声で全ての動きが封じられ、子供も家具も犬もネコも何もかも洗濯されて干されてしまいます。そして、落ちてきた雷さまも「小汚いから」という理由で洗濯されて顔面をデリートされ、新たに顔をマジックで書き加えられると、雷さまの性格さえ変わってしまいます。
これを能力者バトルとして見るなら、せんたくかあちゃんには三種類の能力があることが分かりますね。
1、行動停止能力(一声で全ての動きを止める)
2、強制洗濯能力(あらゆる抵抗を封じて洗濯する)
3、性格変更能力(顔を書き換えることで性格を変更する)
特に3などは岸辺露伴先生のヘブンズドアを彷彿とさせるものであり、2の強制洗濯能力で干されている家具や動物や子供たちの図はジョジョに出てきてもおかしくない程のシュールな絵面でした。ワンピースとかジョジョとかはこういうキャラがバトルロイヤルしてるのかと考えるとすごい話だよなー。僕たちが子供の頃に接していた絵本の主人公レベルのやつらが、互いの能力にビビリながら戦ってるんですよ。
福音館書店
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親子で楽しめる本
その豪快さ、素敵です。
思い出深い一冊!
これが理想のかあちゃんバイ。親としてこげんなりたか。
・はなくそ
タイトルからして異常ですが中身も異常。月に一度しか風呂に入らず全身から異臭を放つ不潔な子豚のジュールは、かわいい子豚のジュリーに恋をしていましたが、「あんた臭いし汚いからイヤ」と嫌われます。
と、そこに現れたのが大狼。二人はさらわれてしまい、食べられそうになりますが、ジュールは狼の目の前でハナクソをほじくりだして、それを美味しそうに食べます。それを見た狼は気分が悪くなって家を飛び出し、二人の子豚の命は救われるのでした。そして、風呂に入ったジュールは改めてジュリーを助け出し、ジュリーの好意を得るのでした。「どうやって狼を倒したの?」「なに、鼻に指をつっこんだだけさ」。
これは、狼にとって豚は食材であるけれど、豚を食べるということは豚に含まれるハナクソをも食べるということなのだな、と思わされました。狼が豚を食べる過程で豚のハナクソを食べる可能性はあっても、その豚自身が目の前で自身のハナクソを食べていると、それに気付かされて狼もまた豚食を忌避するという、僕たちが日常平然と行っている食に対する問題提起だな、と思いました。「ハナクソを含む豚」は食べれても、「自身のハナクソを食べる豚」は食べたくないというか。
パロル舎
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子供には大受け
小学校のおはなし会で・・・
ただのシモネタうけねらいでは・・・ない
ブサかわいいー!
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「おばけのきもち」にしても、「はなくそ」にしてもそうですが、絵本ってのは大人が読んでも色々気付かされるもんだなー、と思った次第です。ま、考えすぎかもしれないけどな!