ごく短い感想。
***
うーん、微妙。確かに赤影は容赦ないし、敵は全員手裏剣に毒を塗ってるけど、それでもバビル2世のような圧倒的な殺る気は感じられない。ハードな殺し合いをしているはずなのに、どこか緊張感に欠けるのは何故だろう?
この作品で特筆すべきは、むしろ敵忍者たちの恐ろしいほどの運の悪さで、木に同化して隠れたら落雷が当たって死に、土に潜って隠れたら山犬の群れに襲われて死ぬなど、事故死したケースが記憶にある限りでも4件あります。そもそもラスボスにしても、主人公側本拠地に乗り込んできたはいいが、罠に掛かって死ぬという幕引き。呆気ないラストだったけど、でも横山先生はこれを「ラスボスの敗因は自信過剰であった」と言って結んでいるので、ホントに呆気ないけどすごく納得はできるんだよなー。
横山先生の番長もの。横山先生は現代が舞台のファンタジーではない物語も描けるんだな、とちょっとびっくり。しかもキャラ立ちが巧くて結構面白い。基本的な展開としては、「天童が普通にしている」→「不良が天童に絡む」→「天童を慕う不良が勝手にケンカを買う」→「抗争に発展する」→「天童がなんとかする」っていうものなんだけど、最後の「天童がなんとかする」シークエンスがファンタジーすぎることを除いては、他はハードで面白いです。天童はなんか操作系能力でも持ってるんじゃねーかってくらい「紛争をなんとなくまとめる」からなあ。あまりに不良たちが天童にどんどん心酔していくので、この点にリアリティがなく白々しい感じがすることさえ除けば名作。