サイレン
碓氷さんが政府の裏の人間だなんて設定でガッカリ……! 日頃は平凡なサラリーマンで、大切な会議中にいきなりネメシスQに呼び出され会社はクビ、ドリフト中に妻は間男と家出、また、ドリフトとは関係なく息子はオタクに娘はDQNになって、そんな世の中に絶望してネオ天草を目指すべく、ゲームクリア後はジャガイモの栽培に全力で取り組んでたと思ったのに!
ていうか、碓氷さんは「国家など縋る価値もないことにその時気付いたのさ」じゃないよね。どっちかというと縋る価値のない国家にしないよう頑張る立場なんだから、もうちょっと尽力しようぜ。この人、その気になれば人員を動員して上を説得して、WISEなんか数の力と国家権力でどうにかできる立場だったんじゃないのー? まあ、それがネメシスQのせいで出来なくなって、イライラして今の状況に至ったって可能性はあるけど。
しかし、こうなった以上は、アゲハたちが現世に帰還した際は、碓氷さんたちに何とかして接触し、彼らを説得。その後に協力してもらい政府上層部を説得、組織的にアマギミロクの居場所を漁って攻勢に出るって感じで動いて欲しいなあ。エルモアのばっちゃんもいるから、ネメシスQの口封じ問題さえ解決できれば話も通しやすいだろうし。そして、今回実際にネメシスQ本体と接触したことでその問題も解決されそうだしね。敵対してた相手と一緒に巨悪に攻め込むなんて燃えるぜ。
そして、その際には是非、いまだWISEに関わらず、そこらへんでただのDQNをやっている(もしくは落ちこぼれサラリーマンをやっている)ドルキさまも仲間にしてあげて欲しい。ありのままの事実を伝えてあげれば、「なん…だと…」「将来のオレは地域警備担当、だと……」ってなって仲間になってくれるんじゃないかな。
黒子
キター! これだよ、これ! 僕が黒子に求めてたのはこういう展開なんですよ! 今週の黒子はかなりテニスしてたと思います。やっぱりキセキの世代が出てくると違うなー!
まず緑間対策が素晴らしい。先週のは「ただの度肝を抜くプレイ」だと思っていたら、あれは能力対策だったんですね。もうー、そうならそうと早く言って下さいよー、藤巻先生ー。お人が悪いなあ。僕たち、こういうルールを絡めた能力バトルが大好きなんですから。
対する黒子対策もまた素晴らしい。部分ではなく全体を見るから大丈夫とか何を言ってるんだwwww このギリギリ納得できそうな詭弁っぷりが大好きです。これ、きっとラスボスは全員が悟っている禅寺高校だよ。全員が世界全体を認識してるから黒子の能力が効かないんだ。
「目を覚ましてやろう。黒子の知らない新しい能力で」
こらー、能力とかいうなー。否応なくドキドキしちゃうじゃないかー。
バクマン
なんだ、ハイドアウトドアはやっぱり殴る蹴るやってんのか。蒼樹さんには自分の道を信じて、殴る蹴るなしで有無を言わせぬクオリティを作って、それで結果を出して欲しかったなー。まあ、それはサイシューたちがやってることなんだけど。
中井さんの電話もあまりに夢がなくて残念。僕が中学、高校の頃だったら、「プロ意識があってカッコイイ」とか思ったんだろうけど、大人になってみると(プロになってみると?)逆にこういうのは残念に思えてきます。サイシューの職人魂もそうだけど、彼らはマーケットに合わせようとしすぎなんだよな。少年漫画で文学的な語りがあってもいいじゃない。ブリーチなんて訳の分からないオサレポエムが入ってるんだぜ? 読者に迎合する必要はなくて、ただ、読者に有無を言わせぬクオリティを示せばいいと思うんだけどねー。そういう意味ではやっぱりカラフジカルが一番好感が持てます。あれは結果が伴わなかったのでダメだったけれど。しかし、あれだけのクオリティで描いたフープメンでさえ結果を出せてないのが現実なんだよなあ。
ところで、「文学的な語りはいらない」の辺りは、これ、ガモウ先生がバクマンの序盤で言われたことなんじゃないかなあ。バクマンって最初の辺りは少女漫画だったからね。
フープメン
あえて言おう。これは短期集中連載であったと。
すごい。ホントにスゴイ漫画だった。最終回でその思いを強くしました。後半は毎週毎週が最終回レベルのクオリティだったんだけど、いや、これはホントにイイ漫画でした。
この漫画の基本(?)はジャンプスポーツ漫画に対するアンチテーゼで、かつ、リアルに、でも幻想的に(理想的に)青春を描ききったところにその真価があったと思います。これは前に掲示板で指摘されたことなんですが、ジャンプスポーツ漫画において主人公がスポーツを始めるきっかけは、大抵、主人公の何らかの力(そのスポーツ向きの)がクローズアップされることによるものです。しかし、この漫画ではきっかけが「通訳」。これによって、「特殊な才能を持たない主人公」が「スポーツを始める」という状況を整えたわけです。まず、この点が異色だった。「通訳」は「才能」ではなく、「きっかけ」に過ぎなかったんです。だから、ジョシュが日本語を覚えるのも当然の流れでした。
そして、「特殊な才能を持たない主人公」たるユーホくんも、実は「人より柔らかい手首」という才能を持っていたことが明らかにされますが、それも「重要なことではない」とあっさりと否定。スポーツ(≒青春)に必要なのは才能なんかじゃないと明言します。じゃあ、始めた後に、才能の代わりに必要なのは何かって、そりゃあ努力でしょっていう話。しかも、トラックを押しながらアメリカ横断とか、そういうキリキリした努力じゃなくて、あくまで「楽しんでする努力」。巧くなりたい、チームのみんなと頑張りたい、仲間に貢献したいという気持ちから、上達する楽しみを味わいながらの、「楽しんでする努力」。その練習量こそが、ユーホくんを「そこそこのシューター」に押し上げます。
しかし、彼の到達点が「そこそこのシューター」であったというのも逆に良い話で、重要なのは到達点ではなく、「そこに至るまでに獲得したモノ」なのです。彼は大学にスカウトされるようなスーパープレイヤーにはなれなかったけれど、彼が得たものは大学推薦なんてものじゃなく、為吉言うところの「心の栄養」。「これから強く生きていくぜ(笑)」なんてユーホくんは(笑)って付けてるけど、彼が得たものはそんな(笑)なんてもんじゃないんですよ。彼が得た「心の栄養」はもっと卑俗な言い方をすれば「勝ち癖」。勝ち癖が付いたんですよ、ユーホくんには。だから彼女だって出来ちゃうし、藤代のキャラを認める度量もある。己の努力の末に結果を得ることができると「確信」したユーホくんは、これからを己に対する自信の下に生きていくわけです。バスケを通して彼が得た財産は、大学への推薦とか、全国優勝とかそういうレベルのものではなく、この「確信」なのです。
最後のキスの相手がヒロインではなく篠田さんなのも同じで、到達点はスーパープレイヤーでも全国優勝でも女マネージャーでもなかったという話。先にも書いた通り、彼が得たものはその過程で得た「確信」なので、それに対する明確なご褒美などは必要なく、ただ、「確信」を得て成長した彼が自然体で得られるものが、あの充実した高校生活であり、その一環として篠田さんという彼女もできたということでしょう。おそらくですが、彼はこの「確信」により、受験勉強もカッチリと頑張り、それなりのハイレベルな大学に進学したことでしょうし、その後の人生も然りです。もちろんこんなのは僕の想像ですが、フープメンの最終回にはそれを感じさせるだけの情緒があったのです。
キョンが特段の努力もなく、ハルヒという奇跡的な僥倖により、恩恵の如くにリア充生活を満喫しているのに対し、ユーホくんの場合は自発的な意志と不断の努力によりリア充生活を手に入れたわけで、前者が僕たちに手の届かぬ夢の世界を与えてくれるのに対し、後者はあまりにも理想的すぎるけれど、でも現実的な、リアリティのある夢の世界を与えてくれたのだと思います。少年漫画のセオリーは全てガン無視していた。それでも、フープメンは子供たちに夢と希望を与える、立派な「少年漫画」だったと思います。
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