【3/16】2009年16号のジャンプ感想(1)


サイレン

 ドルキさまぁぁぁ!!!!


・ドルキ「貴様を殺すだけなら方法は幾つかある。だが、小細工を弄した勝利なんざ何の価値も無え……!」

 生まれて初めてドルキさまのことカッコイイと思ったよ! 追い詰められて命懸けになったわけじゃなくて、プライドのために命懸けになるなんてカッコイイじゃないですか! そして、漫画技法的に言っても、「おいおい、アゲハ殺すだけなら他にも方法あるんじゃね? 命まで賭けちゃってバカじゃないの、プッ」というツッコミへの牽制にもなっています。物語展開上に生じた非合理をキャラの個性、ひいては魅力に還元した今回のテクは大したもんですよ。まさかドルキさまをカッコイイと思う日が来ようとはな……!


・シャイナ「ドルキさんに殺される程度の人間をグラナさんの前に連れて行っても仕方が無いので( ^ω^)」

 が、それはそれとして、外部評価がコレなのが、やっぱりドルキさまだなあ、と安心したり。まあでも、今回のシャイナさんみたいに「愚かなことをしたものです( ^ω^)」と冷静に突っ込める人がいないとWISEは組織として機能しないだろうからね。

グラナ「うおおお、ドルキ! お前の男気に感動したぜ! オレもイルミナもう一つ付けてやる! ウギャアアア、拒否反応が――!!!!」

 ↑こんな人ばっかりだったら、放っといても全滅しちゃうしね。あえて難しく言うなら、展開の非合理をキャラの個性で乗り切った後、その個性を否定することで全体としての非合理を許さないって感じ?


・ドルキ「貴様の力は狙撃にしか使えない」

 おおー、なんかちゃんと能力者バトルになってますねー。前のバトル(子供たち)があんまりにもしょっぱかったので、サイレンの能力バトルには全く期待してなかったんですが、「相手の能力を把握」→「対抗策を練る」→「有利な状況でバトル開始」→「一方的にボコボコ」と、こちらはちゃんと頭を使って能力バトルしてるよ! ドルキさまって何気にエルモアウッドの子供たちなんてメじゃないくらい頭もキレるんじゃなかろうか。

 しかし、ドルキさまは囮PSI波動という、こんな簡単・確実な攻略法を知りながらも、寿命を縮めてまで二度目のイルミナ・フォージに手を出したのか……。

ドルキ「黒いバースト使いは囮PSI波動で倒せることが分かったぞ! だが、それはそれとして力で捻じ伏せてこそ俺だから、危険を承知で二度目のイルミナ・フォージをするぜ!」

 うん、まあ、カッコイイと言えばカッコイイし、シャイナにおばかさん扱いされるのも仕方ないと言えば仕方ない感じ。


ナルト

 ナルトは本当にメンタル面の修行をすべきだったと改めて思いました。ノータイムだよ! 一時も躊躇うことなく、言われるままに九尾に身を預けようとしてたよ! 


側近1「六代目火影様! 砂と雲に不穏な動きがあります。ここは牽制のためにも四個小隊を偵察に送りこむべきでは!?」
側近2「いえ、火影様! そのような不確かな情報に貴重な上忍を割いてはいけません。大名達からも依頼が殺到しています。今は依頼を確実にこなしていくことこそが里の復旧への近道です!」
側近3「火影様、それよりも地下にもぐったダンゾウ一派の方が危険です。砂と雲は外交努力で解決し、先にダンゾウ一派の粛清を優先すべきでは!?」
ナルト「分からねェ!! オレってばどうすりゃいい!? もう何も分からねェ!」
側近達「ほ、火影様……??」
ナルト「誰か助けてくれ! 答えを教えてくれ!」
九尾「((全てを壊せ、苦しむもの全てをなくせ))」
側近達「ほ、火影様っ……! 落ち着いて下っ、ギャアアア!!!!」

 うん、やっぱりナルトは火影にすべきじゃないな、とも思いました。そういえば、相談役のジイさんバアさんたちがナルトを里に呼び戻すのを渋ったのも、この結果を見る限り妥当でしたね。今回の躊躇いのない身の預けっぷりを見ると、そりゃあナルトを信じらんないよ。


ワンピース

 終盤の展開は良かったけれど、納得いかないというか、残念なのがハンニャバルさんの扱い。開始早々、バギー&Mr.3をラクラク迎撃してる辺りはスゲー良かったんだけど(ポジション的に当然の結果だし、何より展開が速い)、しかし、Mr.2相手だと負けた(?)ってのはどうなんだ?? それだとちょっとハンニャバルさん弱すぎるような……。署長責任うんぬんのためにMr.2と口裏を合わせているという可能性はあるけど、でも、そこまでやったら署長責任どうこうじゃなくて、純然たる利敵行為だしなあ。

 まーでも、良く考えたら、Mr.2の能力を使えば毒を飲ませるなり、不意打ちするなりできるわけだし、ハンニャバルさんを無傷で倒せても、そうおかしな話ではないのかも。それに服のスペアさえ手に入るなら、倒さなくても、「マゼラン署長から伝令です。急ぎレベル1へ向かえとのことです!」って伝えるだけもいいのか。


トリコ

 すげー! オブサウルス生きてたー!!!! 「忠誠心…」のところで、当然テリーを意識させておいてオブサウルスとはな! もう完璧に忘れてたよ、ごめんねオブサウルス! しかし、この漫画はリーガルマンモスの重量でも押し潰れないヘビークリフとかもそうですが、野生動物を適当にインフレさせてるように見えて、ちゃんと捕獲レベルに見合った格は保ってんだなーと思いました。その一方で、「リーガルマンモス? どんなにデカくても、ココの毒もちゃんと効くよ」って辺りが誠実でイイ感じ。

 ココvs巨大GTロボは、普通に考えて毒は効かないだろうからGTロボが圧倒的に有利なはずですが、しかし、あえてココを一人残したということは毒もちゃんと効くってことですかね。味も本人に伝えると言ってたし、それを考えると確かに効きそうなもんですが。とりあえず、ココの毒が効くかどうかで、スタージュンさまが怪鳥ルバンダを倒したのは実力だったのか、それともルパンダの幻術が効かなかっただけなのか分かりそうです。


ぬらりひょん

 んー、想定通りの展開。予想が当たって嬉しいような、予想通りで残念なような。この結末はあんまり深みがないよなー。しかしまあ、これ以上深くても子供が付いて来れないか。

 が、それとは別に、今週はちょっと納得しにくい点がいくつか。

1、神主さんは式神なんて使えるのに、邪魅の存在は信じないの?
2、明鏡止水・桜を喰らった神主さんは、翌日焼死体で発見されるの?
3、すごい忠誠心だって言っておきながら、主君を乗り換えさせるの?

 一番気になったのが3点目かな。当然、邪魅は断るもんだと思ってたから、すんなり杯受けちゃってびっくり。忠誠心というキーワードでここまで引っ張ってきたのに、最後のこの変節は微妙な気がしました。「主君の子孫にお礼言われたから、私の忠誠心もここらで一区切りしよう」って感じなんだろうか。


ベルゼばぶ

 うーん、なんか良く分かんないなー。

 ベル坊は強くて凶悪な育て親を探しているわけで、いわば強さ&凶悪さの絶対値を計るスカウター的存在だと思うんですが。んで、今回の男鹿の行動は主人公的には正しいものの、しかし、凶悪さの絶対値だけで言うなら神崎さんのが上なわけで、なんだかそこらへんにブレが生じているというか……。「最強&最凶のワルを探す」という目標が少し不明瞭になった気がしました。最後にベル坊がおたけびを挙げたのは、凶悪な神崎さんを男鹿が倒したためではなく、神崎さんがブッ飛んでいった様子が面白かったという、それだけのことだと考えれば、まだ納得できますけど。(ベル坊の設定的にも「人が窓から落ちたから面白い」とはしゃぐのは理解できるけど、悪人を倒して快哉を挙げるのは理解できない)

 うーん、要するに問題は、設定上、男鹿は凶悪でなければいけないのだけど、でも、本気で凶悪に描くことはできないっていうジレンマじゃないかなー。主人公が神崎さんより凶悪だったら、やっぱり読んでて引くもんな。それを考えると、悪役に本気で凶悪な人を出しちゃったのが間違いだったんじゃ? 「強さ」はともかく、「凶悪さ」において男鹿が(神崎さんと比べて)一歩引いちゃったのが残念。しかし、どちらにせよ主人公の凶悪さはガチで描けないんだから、「凶悪さ」に関してはもっとギャグ的に

「ゲーッ、こいつ、学校にエロ本とタバコを持ってきてやがる! 凶悪だー!」
「ダーブー!」
「おお、ベル坊も喜んでいる!」
「いや、だが、あいつを見ろ!」
「な、なにーっ、チェーンソーを学校へ持参だとー!」
「なんという凶悪さだー!!!」
「ダーブー!!!」
「フッ、一年坊どもが騒ぎおって……! おい、3-Aの神崎さんを見ろ!」
「ゲ、ゲェー! く、熊に乗って登校してやがるー!!!!」
「通行人が襲われても見向きもしねえ、なんて凶悪さだ!!!」
「カ、カツアゲした金で生肉を買い……、熊を餌付けしやがったー!!!!」
「ダーブー!!! ダーブー!!!」
「さすが三年生! ハンパねえ凶悪さだぜ!!」

 ↑こんな感じで扱った方が良かったんじゃないかあ、と思ったりしました。クロマティ高校になるけど。


銀魂

 ギャグとしては成り立ってるけど、リアルに考えると笑えない話だよな……。


バクマン

 冒頭のカラーページ見て改めて思ったけど、こいつらホント高校辞めればいいのにね。本気で高校行く意味ねーよ。こういう不要なところにコストをかける姿勢がどうにも好きになれない。漫画家に挫折したら改めて高校通えばいいだけじゃね? クソー、こいつらいつか後悔しねーかなー。

 まー、しかし、そんなことも大人になったから言えることで、僕も高校の時分は、高校に通うのは当たり前のことのように感じてたからなぁ。ここでスッパリと高校を辞めるのも、それはそれでリアリティがないかもしれない。しかし、彼らは漫画の中のヒーローなのだから、そのくらいの「常人を絶した気概」があっても良い気はします。彼らの漫画に対する気概は大したものなのに、なぜ高校に関しては卑小なレベルでこだわるかなー。


・カラー見開き

 前のカラーで邪神の如く描かれた新妻先生に比べると、今回のサイコーは「まあ、人間にしちゃ頑張ってるな」くらいのイメージですが、しかし、それはそれとして、このカラーはすごくイイ。サイコーのこと全然好きじゃないけど、飾りたくなるくらいカッコイイ。


・中井さん

 中井さん、なんか若返ってね? 

 今の中井さんはどう客観的に見てもキモイけれど、蒼樹さんも蒼樹さんで十分浮世離れしてそうなので、中井さんが少々キモくてもへっちゃらな気がしました。

中井「あ、あの……! 勇気を出して言います! ずっと、あなたのことが好きでしたっ!」
蒼樹「私はあなたに性的魅力を覚えたことはありません。それで、次の作品ですが、まず、キャラクター造形から入りたいと思います。その次に試しにネームを~~」
中井「……(´・ω・`)」

 みたいな感じで、中井さんのキモさは総スルーしながら着実に仕事を進めそうな、良いコンビだと思いました。


・KOOGYさん

 ああ、こういう人、僕は好き。「アンケートが必要なの? ふうん、じゃあ組織票使うよ。オレ、有名人だし」みたいな。自分の欲望のために合法的な範囲で手段を選ばない人は好感が持てる。こういうね、ガツガツしたやつが僕は大好きなんだ。矢吹先生も本当に女子高巡りしてたら尊敬したのに。(※)

 話題作り(ジャンプの宣伝になる)という意味でジャンプ編集部とウィン・ウィンの関係に持ち込んで、編集者の協力を内々で取り付けているのも素晴らしいです。KOOGYさんは編集部に無理難題を押し付けてるわけでもないし、あからさまな反則をしているわけでもないからなー。経済的にも道義的にもOKと言わざるをえないですからね。漫画の良し悪しはともかく、人間としての総合力ではエントリー作家の中で彼が一番レベル高いんじゃないかな? 個人的には、意味もなく高校行ってるような甘ったれたサイシューには負けて欲しくないぜ。

 しかし、彼の誤算はファンが組織票を入れてくれると考えているところで、これが音楽活動と平行しての漫画家活動なら票を投じてくれるかもしれないけど、ミュージシャンとしての彼が好きなファンは、むしろ漫画家になって欲しくないだろうからアンケ入れてくれないんじゃないかなあ、と未来予想してみる。というわけで、「KOOGYだと知った時はビビったけど、なぜか相手にもならなかったな」「なんだったんだろうな、一体」展開だと思いました。

※「あんなつまらない黒猫が終わらないのは矢吹が女子高の漫研を巡って組織票を稼いでいるからだ」という都市伝説が昔あったのですよ。

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