【11/18】2008年51号のジャンプ感想(2)


バクマン

 服部さんはイイ人だなー。「編集部が『天才高校生』で売りたいだけだ」ってところにすごくそれを感じました。高校生の頃から、そんなガムシャラに仕事する必要ないと僕も思いますしね。

 新妻くんはあれはある種の変人で、恋だとか青春だとか、そういう一般的な思春期少年が経るものにハナから関心がないというか。そういう世捨て人的変人だからこそ可能なことであって、恋もデートもしてるサイコー&シュージンは普通に高校生活を送るべきだと思うんだ。第一、仕事なんて高校卒業後も死ぬまで出来るんだし。

 しかし、僕も大人になってみればこんなことを思うものですが、リアル中学生の頃は新聞配達してる同級生を憧れの眼差しで見てましたし、バクマン読んでるリアル中学生には「高校生で連載」とか、すっごく魅力的に映るんだろうなあ。「ちょっと高級な食事、本気の打ち合わせ、タクシー帰り。もう中学生じゃない。そんな錯覚がした」というサイコーのモノローグは、そんな読者感情をモロに反映してるんじゃないかと思いました。

 ですが、そんな「一刻も早く連載を」というある種の呪いも今週の亜豆ちゃんの「ずっと待ってる」で解かれた訳で、これでサイコーも服部さんの勧めどおり、3年かけて実力を養っての、ある意味、健康的な漫画描きライフを送れるようになるんでしょうかね。同人誌即売会とかもやればいいと思うな。


・服部「真城くんはこのマンガのポイントはキャラの表情で心情をどこまで出せるかだと思って描いてほしい」

 あー、デスノートだなー、と思いました。顔芸、顔芸。


ネウロ

 これはすごいわー。

>>  しかし、共闘の流れで本城さんのところに行ったのかと思わせておいてのこの展開は流石。でも、動機の面で(本城さんは娘さんを殺されてるからね)本城裏切り説は弱い気がするので、本城さんは笹塚さんを利用してシックスを殺させようと考えていたけれど、実は本城さん自身がシックスに利用されていたとか、そういう展開じゃなかろうか。日記の件は素でボケてただけってことで。

 前回の僕のぬるーい予想をハナで笑うかのようなヘビーでハードでダークな展開。

 これに関しては前回の感想スレで予想していた人はいたんだけど、

>> こんな感じじゃないですかね。
>> 「教授。貴方は有能ですから、奴隷になって下さい。
>> ついては、お嬢さんを実験台にさせて下さい。
>> 物凄く苦しんで死ぬことになると思います。
>> それを見て苦しむ貴方が愉快です。
>> ですから、差し出して下さい。
>> この病原体を貴方がお嬢さんに盛って下さい。
>> 何の証拠も残りません。
>> お厭でしたら、貴方も、勿論貴方のお嬢さんも、
>> 貴方がたの親しい方々も、全員、徹底的に苦しんで死んで貰います。
>>
>> さ、お嬢さんを差し出すと、言って下さい」
(掲示板より)

 しかし、この方にしても、「自分と周囲の人間を人質に取られているから」という本城博士のための言い訳を用意していたわけでして。今回のように本城博士が、まるでヤク中のごとく純粋にシックスの悪の魅力に憑りつかれていたというのは、うん、想像はできてもなかなかそこまで踏み込めないっていうか。僕らの側ですら躊躇してしまう。それをやっちゃったんだから、いやー、こりゃすごいっすわー。

 今回はもう本当に松井先生を誉める気しかないんですが、これほどムチャな思想で押し切りながらも、最後に本城博士の懺悔と悔恨を示すことで読者に歩み寄り、ギリギリの範囲で共感可能なレベルに持ってきたあたりが本当に見事だったと思います。

 この「ギリギリの範囲で共感可能」ってのが重要なところでして、シックスの悪のカリスマが僕たちのような一般人にも「もしかして作用しうるのかも」と思わせる説得力を持ったわけですよ。今までの血族はシックスを持ち上げておきながらも、なぜそれほどまでにシックスにゾッコンなのか(理屈の上では理解できても)いまいち共感し辛いところがあったのですが、今回は(理屈の上では理解できないけれど)共感できるようにしてあるわけで、それはひとえに、本城博士が僕たち一般人と同じ感性を共有していることが明かされたからなんですね。ジェニュインやDRの感情は推し量れないけれど、(天才ではあるものの)子を思う親である本城博士の感情なら多少は共有できるわけです。それで今週を読んで感じたのは、シックスの悪のカリスマってのは、例えるならば麻薬なのだなあ、と。

 また、展開的に言うならば、笹塚さんの死という、衝撃的ではあるけれど、どこか他人事のような、アッサリしすぎていて空虚にすら感じたあの笹塚さんの死を、本城博士の死というさらに衝撃的な展開に繋げた点が素晴らしい。連続して二人ものレギュラーキャラが消えたことで、「弥子の周りから人がいなくなっている」という事実がガツンと響いてきたのです。なんといいますか、ただキャラクターが消費されたというだけではなく、主人公の周囲の状況が確実に変化しているという、そういう実感があったんですよね。この二人の喪失により、物語が佳境に入ったことがハッキリと分かったんです。

 さらに言うなれば、笹塚さんの死で周囲が、特に主人公であり最もショックを受けた一人である弥子がお通夜ムードに入らずに、ネウロの力も借りず一人でアクションを起こした点を評価したいです。本来は絶望すべき場面での女子高生弥子の活躍は、彼女が主人公たるべくしてこの漫画の主人公をしているのだなと強く思わされました。今回はHAL編の暗号解読のようなワンポイントの活躍ではなくて、彼女が物語を大きく動かした感があります。弥子はやっぱり普通の子じゃないんだよ! 魔人ネウロに並ぶ人物なんだよ!

 いやはや、笹塚さんの死からここまでの緊張感は本当にスゴイ。物語完結後にもっかいアニメ化しねーかなー。


To LOVEる

 やってることは大長編ドラえもんと同じなのに、ドラえもんが壊れる代わりに女の子が全裸になる……。さすがはTo LOVEるだぜ…………。モモは植物の発する悪意に驚いてたけど、僕たちは長谷見&矢吹先生の発する狂気に怯えざるをえないな。

 あと、セリーヌにすっかり情の移ってるリトくんを見て、真のハーレム漫画の主人公たるもの、こうあるべきだなと思いました。いや、だって、彼は巨大な宇宙植物からも好かれるんですよ? そりゃあ、人間の女の子になんて当然好かれますよ。あたりまえじゃないですか。ハーレム漫画の主人公としては十分な説得力ですよ。

※横島忠夫のことはとりあえず忘れて下さい。


ジャガー

 これは一番悲惨なのは、周りから勝手に持ち上げられた挙句に、さっと引かれてしまった不動くんではなかろうか。ある意味ハマー以上のピエロだよ、彼は。本人に自覚がないのがせめてもの救いか……。


賢い犬リリエンタール

 おお、ROOM303の人か。期待して読んでみたところ期待通りの面白さでした。みんないい人で、なんとなーく丸く収まる、こういうゆるーい感じのお話、僕はとっても好き。全体的に粗もなく特にケチの付けようがないです。

 が、しかし、これは地味だなあ。いや、この地味さが逆に好印象なんですけど(ほんわかするしね)、これはジャンプで受けるんだろうか、大丈夫なんだろうかと他人事ながら心配になっちゃう。まあ、これだけ話のクオリティが高けりゃ問題ないのかな~。そう信じたい。

 どのくらい地味かって、一番キャラが立ってるのはいわずもがな紳士強盗で、一番見せ場があったのも紳士強盗。でも、その紳士強盗にしてもまだキャラが弱いんだよね。あと、キャラの強弱とは関係なく気になって仕方ないのはローライズ・ロンリー・ロン毛。あの半ケツっぷりには刺々森くんもタジタジじゃないかな。


 ***

 来週は、ポセ学大江先生の読切…だと…?(ゴクリ

 …………あんま読みたくねえなあ。しかし、名前だけでこれほど身構えてしまうとは、大江先生は逆にすごいのではなかろうか。


ブリーチ

「どうかしはりました?」
「何でもない。取るに足りないことだよ」

 冒頭、雛森の登場に乗じて着実にOSRを稼いだ藍染さま。彼はこういうところが流石ですよね。稼げる時を逃さずに確実に稼いできます。こういう堅実な積み重ねがいまの藍染さまの実力となっているのでしょう。

 一方、駆けつけた雛森は松本とトークし、お互いにOSRを高めあいます。敵を目前にしてのOSRアップ行動は相手としても止めようがありませんので実に有効な戦術です。現に従属官のパフュームトリオは「終わりましたか? つまらないお喋りは」と相手のOSRアップ行動が終わるまで傍観せざるを得ませんでした。

 本来3対1でOSR面では絶対的に不利だったパフュームトリオ(少人数の方がOSRでは有利ですからね)。相手に援軍が来たことで少しは持ち直せるかと思いましたが、残念ながら援軍は副隊長一人でした。副隊長二人では三人組のパフュームトリオの不利は変わりません。

「副隊長二人じゃ、3対1と大差ねえぞ(せめてあと一人来てくれればOSR面で互角に戦えるのに、くそう)」

 と、パフュームは焦りを見せます。そして、焦った彼女達はもっとも愚かな戦術を取ってしまったのです。本気を出した上に三人同時攻撃。こんなことをしてしまえば、彼らのOSRが地に落ちるのは言うまでもありません。ほら、いわんこっちゃない。雛森の罠に容易に捕らえられてしまったではないですか!


 …………ですが、まだパフュームにも逆転の目があります。今週の雛森の行動はOSR的にかなりマズイものだったからです。先週の不意打ちに続いての今週のトラップ。そんな戦術がこの漫画で許されるはずがありません。これが許されるなら、相手のトーク中はちゃんと待ってあげて、戦闘再開する時も「お喋りは終わりましたか?」と気を遣ってくれたパフュームの立場がないじゃないですか。

 おそらく来週の雛森には(何らかの形でOSR補給をしない限り)戦えるような余力は残っていないでしょう。パフューム三人組が今週の攻撃を耐え切っていれば、もしかすると逆転の目もありえるかもしれません!

私立ポセイドン学園高等部 1 (1) (ジャンプコミックス)
私立ポセイドン学園高等部 1 (1) (ジャンプコミックス)大江 慎一郎

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