【11/7】まとめ「図解雑学キリスト教」


 まとめー。

キリスト教 (図解雑学)キリスト教 (図解雑学)
挽地 茂男

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イエスの辺り

・イエスは12歳の時にエルサレム神殿で大人相手に問答してた(イエスは子供の頃から頭良かった描写)
・イエスは30過ぎまで父親の仕事(大工)を手伝ってた(「親の家業手伝ってます。ニートじゃないっす」)
・ヨハネはイエスに洗礼を授ける時、「自分よりも優れた者」に洗礼を与えることを躊躇した(実際にはそんなことはなかったと思うけど、教祖は以前にどこかの教団に入ってた場合は、「向こうの教祖はオレのことにビビってたけどね」と言うと良い)
・「三つの誘惑」。悪魔「ここから飛び降りて神が助けてくれるかどうか試してみよ」⇒イエス「神を試してはならない」(アンチからムチャ振りされた時に使える言葉)
・イエスは、イスラエルの民の理想郷としての「神の国」のヴィジョンを、「現実世界において神の働きかけに対して自己を徹底して開くことができる世界」くらいのニュアンスに捉え直した。困っている人を見て、助けてあげようと思ったときに素直に助けてあげる(=愛)ことができる世界くらいの意味か。
・弟子たちにとってはイエスの死が屈辱的な刑死であってはならなかった。なので、神の計画の中に最初からあった救いの出来事として理解しなおした(教祖が死んだことを認めないというのはクリスチャン・サイエンスや真言宗の即身仏にも通じるような)


イエス死後、原始キリスト教

・初代教会はペトロやパウロたちによってバリバリ布教されたが、その原動力になったのは「世の終わりの到来が切迫している」という終末思想だったらしい(明日にでも大変革が起こるのだと思ったら、確かにそういうエネルギーが沸いてくるのかもしれない。言い方が悪いが一種の集団ヒステリーとも感じる)
・パウロは「律法で規定された行い」(ユダヤ的)によって救われるのではなく、「神の愛を信じる信仰」によって救われると考えた(行為ではなく信仰によって救われるというアイデアは浄土真宗に近い)
・原始キリスト教はユダヤ的伝統を重んじる立場(ペテロ)と、比較的自由な態度を取る立場(パウロ)に分かれたが(特に割礼など)、話し合いにより異邦人には律法に対して自由な態度を取る方向にする(割礼はニューカマーに厳しいからね。宗教の刷新運動をする時は、それまでの「厳しい制約」を取っ払ってしまうのもいいかも)
・↑の前者(伝統を重んじる立場)はユダヤ戦争で壊滅したので、後者が中心になった。


初期の異端のみなさん

・グノーシス主義。霊的世界と物質界に分ける二元論で、物質界は悪。なので、こんな世界を作った旧約聖書の神は至高神に敵対する悪神。キリストは霊的世界からやってきた救済者。これだとキリストがイエスという肉(物質界のもの)を仮にまとっただけ(仮現論)となるので困っちゃうので(正統信仰ではイエスは完全な神であり完全な人なので)異端。
・マルキオン。旧約聖書の神を劣った神として、新約聖書の愛の神とは別物とした。(うん、まあ、正直そう思うよね。どー考えても別物だよね)
・モンタノス派。聖霊が憑依して神がかりになって預言したりとか。終末思想を煽ったり。原始キリスト教のエネルギーを取り戻そうという運動。(これが150年ごろのこと。宗教団体が制度化してくると、かつてのエネルギーを取り戻そうとする動きが出るものだが、言い換えればキリスト教もわずか120年ほどで大分制度化してたと言える)
・アリウス派。三位一体の父と子の本質はよく似てるけど別物(類似本質)。これはおそらく、「父が一番最初に生んだ自分と同じくらい神聖を持つ別物が子」という意味だろう。正統派(アタナシオス派)は父と子の本質はまったく同じ(同一本質)なので異端。ただし、しばらくの間は皇帝が代わるごとに異端になったり正統になったりした。


公認の歴史

・キリスト教が迫害にもめげずに組織力を持ってきたので、皇帝はあくまで武力で屈服させるか(迫害)、教会と結んで利用するか(融和政策)の選択を迫られた。(キリスト教は教えがどうこうより武力が大きくなったから国教化した感じ。やっぱ武力は大事だよね)
・コンスタンティヌス帝は独裁的に帝国を運営するため、キリスト教をローマ帝国の公認宗教とすることでイデオロギーの統一を図った。このため対外的には教会の権威を高め、内部的には教会内の異端、分派をガンガン処罰した(キリスト教の内部が一枚岩でないと困るので)。
・なので、異端は政治的な面が強い。アリウス派とアタナシオス派は皇帝が代わるごとに正統になったり異端になったりした。


教義あれこれ

・三位一体論。父・子・聖霊という3つの位格は一つの神の3つの側面。三角形のそれぞれの辺のようなもので、辺は3つあるが総体としては「1つの三角形」である。「最初は父で、次に子になって、今は聖霊で……」というのは異端(サベリオス派)。「神は父と子と聖霊が同時に権限してるよ」というのも異端(三神論)。
・イエスは「完全な人であり」(つまり我々と何ら変わらぬ人であり)「完全な神である」。「神性」と「人性」は並存している(両性論)。キリストは受肉後、「人性」が「神性」に吸収され区別がなくなったと考えるのは異端(単性論)。
・ペラギウスが「人間には意志の自由と責任がある」と言ったのに対し、アウグスティヌスは「人間は自分の意志ではなく、神の絶対的恩恵によって救われる」(恩恵論)とした。(これがプロテスタントのルターやカルヴァンなどに繋がる。カルヴァンの「予定説」(救われる人間と救われない人間は神によりあらかじめ決まっていて、救われる人間は放っといても善行をするが、救われない人間はどんなに説いても悪行をする)もおそらくこの流れか)
・↑なお、その救いをもたらす唯一の機関が教会なんだってさ。おいおい、神だけじゃねーのかよ。(ここの理屈は良く分からない。要考察)


中世の異端のみなさん

・ネストリオス派。「マリアだけどさ、キリストには神性と人性があるんだから神性ばかりを強調する『神の母』より『キリストの母』の呼び方の方が良くね?」って言ったら異端になった。(傍から見ると本当にくだらない言い合いに見えるが、神性と人性を区別するか、一致させるかという見解の論争でもある。が、これもまた傍から見るとくだらない)
・さすがにこれは「これで異端はねーよ」と思った人が多かったらしく、ネストリオス派は集団で移動。中国にも伝わって景教となった。日本に初めて(中国経由で)伝来したキリスト教がこの景教。現在でもイラン・イラク中心に五万人の信徒がいる。(異端認定しても、このくらい微妙な(≒くだらない)問題だと生き残るという例)
・単性論派やネストリオス派は『東方諸教会』を形成する。
・ちなみに単性論派の人たちは「オリエンタル・オーソドクス」(オレたちこそ正統)と自称している。
・カタリ派(アルビ派)。グノーシス的な二元論的世界観で、キリストは救済を告げた天使の一人に過ぎないとする。十字軍とか異端審問で絶滅。


教皇領とか東西分裂

・王様が教皇に土地を提供(「ピピンの寄進」)。これが教皇領のはじまり。
・神聖ローマ皇帝オットーが聖職者を政治に利用。保護する代わりに任命権を握った(仏教に対する徳川幕府みたいだ)。
・コンスタンティノポリス(東)とローマ(西)をそれぞれの盟主として東西教会は対立していた。
・西方教会が「聖霊は子からも出る」と言ったことで、東方教会が西方教会を異端宣告。後に相互破門し、東方正教会とローマ・カトリック教会に分裂。(正統の支柱たる両者が相互破門する辺りからも、他に対する異端宣告がどれほど無意味なものか分かるなあ。しかし、過激派の内ゲバのようだ)
・なので、「西方ローマ・カトリック教会」「東方正教会(ギリシア正教会)」「東方諸教会」の3派がある。
・東方正教会は「正統性」を意味し、カトリックは「普遍性」を意味する。要するにお互い自分が正統だと言ってる。
・11世紀、ローマ教皇が強くなる。聖職者の叙任権を教皇が取り戻す。皇帝が教皇を廃位しようとすると、逆に教皇が皇帝を破門して、皇帝は3日間も許しを乞うた。教皇完全勝利。ローマ皇帝涙目。(カノッサの屈辱)
・この後、十字軍失敗などで立場が逆転し、15世紀には教皇が3人も出たりして混乱する。

修道会

・3世紀くらいにキリスト教が政治に左右されるようになったので、砂漠で祈りと修行に励む人が出てくる。
・孤立した修行は弊害があるので、そういう人たちが共同生活を送るようになり、修道院ができる。
・途中で修道院が変質してきたのでクリュニー修道院が刷新運動を行い、クリュニー会という修道会ができる。(つまり、独立して営まれていた修道院が組織化されたのが修道会)
・教皇と修道院の関係は、江戸時代で言うところの将軍と旗本の関係。大名に当たるのは各地の司教。修道院は司教の影響力の及ばぬ独立した存在。
・ドミニコ会。托鉢修道会であり、通常の修道院が自給自足生活をする一方、信者から喜捨を貰い、労働時間を布教と神学研究に当てる。
・フランシスコ会。平和運動やハンセン病患者救済など。殉教者を出しながらエルサレムに留まって現在も教皇庁から維持を託されているらしい。


宗教改革

・教皇が弱体化し混乱したので、ローマ・カトリック教会批判が始まる。ジョン・ウィクリフ(「教皇は反キリスト」)、ヤン・フス(ファッキン免罪符)、ジョルダーノ・サヴォナローラ(ファッキンメディチ家)など。もちろん全員火刑。ルターやカルヴァンはこの後。(フスは大学総長、サヴォナローラはドミニコ会修道院長で、どいつも大物)
・プロテスタントの三大原理は「信仰のみ(善行ではなく神の恩恵によってのみ救われる)」「聖書のみ(教会ではなく聖書だけが信仰と生活の規範)」「万人祭司(神の前ではだれもが祭司)」。
・プロテスタントでは修道院が廃止、聖職者の位階制が簡素に、あらゆる職業を神の与えたものとして再評価、すべての信徒が聖書を読めるように一般初等教育の実践、礼拝で母国語が使われるようになった(カトリックはラテン語のみ)。
・宗教改革はルター派、改革派、急進派がある。
・ルター。免罪符に抗議。新約聖書のドイツ語訳を出版。ルター派。
・エラスムスとルターによる自由意志論争。救いは神によって一方的に人間に与えられる恩恵なのか、それとも人間の自由意志は救いに関与しうるのか。ルターは原罪により人間の意志はまったく無力とした。プロテスタントはこの「恩恵のみ」の方向。
・カルヴァン。二重予定説など。改革派。
・イギリスはヘンリー8世が離婚したいのに教皇が認めてくれないので、勝手に英国国教会を作った。これは中途半端なプロテスタントだったので、もっと徹底して改革しろ、とピューリタンがぷりぷりしてピューリタン革命に繋がる。
・再洗礼派。「幼児洗礼って聖書にないから、成人してから洗礼受けなおすべきじゃね?」っていう派。当時は幼児洗礼が義務化されており、再洗礼は反社会的な犯罪だったので、「なんて反社会的なやつらだ」とカトリック、プロテスタントどちらからも迫害された。急進派。(「反社会的宗教」のレッテル張りの好例といえる)
・これに対し、カトリックも宗教改革する。反動的な宗教改革で、プロテスタントの言うことには何でも反対の立場を取った。(例:プロテスタント「信仰だけでしか救われません」、カトリック「善行でも救われます」)
・カトリック宗教改革によりイエズス会ができて東洋伝道とかし始めた。
・カトリックとプロテスタントはユグノー戦争(フランス)や三十年戦争(ドイツ)などでバリバリ殺しあう。(キリスト教は本当に内ゲバが大好きだな)


近代以降のキリスト教

・理神論。神は世界の創造主だが時計職人のようなもので、いったん作った世界は勝手に動くから神の奇跡が介入する余地はない。科学的合理性との調和が目指されている。
・理神論により合理的でない信仰が軽視されるようになったので、逆に信仰復興運動が起こる(メソジスト運動)。野外説教で集団的に高揚したり情緒的に興奮しながら回心を表明したりしたみたい。この情緒的な高揚感を重視する礼拝スタイルがテレビ説教師に受け継がれる。
・カトリックは保守的になって、反近代主義の立場を取る。なので近代ヨーロッパではほとんど影響力を持たなくなった。
・シュライエルマッハーは啓蒙主義に対して、宗教の本質を「絶対依存の感情」と規定する。(宗教の本質を知識ではなく感情であるとする)
・聖書を歴史的に研究したりすると破門される(A・ロアジー)。20世紀初頭。
・ブルトマンが聖書の「非神話化」と「実存論的解釈」を提唱する(1941)。聖書の処女懐胎や復活などの神話的表層を取り除き、実存論的解釈により、現代人へのメッセージとして再解釈する。その解釈は主体的なものにならざるをえないので、それこそが信仰となる。(A・ロアジーも30年後なら破門されなかっただろうにね)
・1870年、イタリア王国が統合され、教皇領はヴァチカンだけになった。それからムッソリーニ政権と条約締結し、国家主権が承認されてヴァチカン市国が誕生。
・1962年の第二ヴァチカン公会議でカトリックもやっと丸くなった。ユダヤ人への偏見を改めたり、他宗教と対話し始めたり、典礼でラテン語ではなく母国語が使えるよう規制緩和をし始めたり。他のキリスト教派と協力しはじめたり(エキュメニカル運動への参加)。


その他メモ

・東方教会におけるイコンは、見えるもの(図像)を通して、見えないもの(神やその世界)へと人間を導くことを目的としており、芸術としての宗教画とは異なる。
・起源1000年に終末が到来するという俗信があったらしい(こりゃー3000年にも絶対来るね)

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