寂聴タンのケータイ小説「あしたの虹」読んだよー。
内容をかいつまむと、セックスしたら妊娠してイケメンが死んだ。寂聴タンは研究して書いたんだなあと思いました。しかし、イケメンの夢は墨絵師で、昔の女は修道女、ヒロインのバイト先は鰻割烹と、86歳のおばあちゃんらしいセンスも多分に混じっており、もちろん最後は法話っぽく締められてました。
正直、途中で止めたい感じの話でしたが、僕はこれまでケータイ小説を一本通しで読んだことがないので、これも経験だと思い、最後まで読み切ってみたのです。それで思ったのだけど、ケータイ小説というのはまゆたんの漫画と良く似ています。読んでいるとちょこちょこ笑っちゃうのだけど、それがまゆたんとかの、セックス多めの少女漫画を読んで笑うタイミングと同じなんですね。セックスしたら笑っちゃうし、暴漢と戦ったら笑っちゃうし、妊娠したら笑っちゃうし、イケメンが車に轢かれて死んだら笑っちゃう。
そう書くとずいぶん不謹慎な感じですが、要はある種のお約束へと向かうエネルギーが笑いへと転換されているのでしょう。時代劇で「本日の被害者」が殺されたり、悪代官と商人が密談してたら笑いが漏れますがそれと同じこと。ホラー映画でマリファナを吸いながらセックスしてるカップルが殺人鬼に殺されたら笑ってしまうのとも似ています。
そういえばホラー映画で思い出したけど、ヒロインとイケメンがセックスしてるところ、
>> このまま、剣でさし貫かれて殺されたら、どんなに幸せだろう。
これ、「13日の金曜日」でありましたよ。そう考えると13金もなかなかロマンチックなお話ですね。少女の夢を叶えてあげるジェイソンさん。13金はドラッグも出てくるし、意外とケータイ小説向きの題材かもしれません。
閑話休題。しかし、まゆたんの漫画と似ているということは、逆に言うと、ケータイ小説というのは少女漫画が醸成した文化の延長上ではないかと思うのですよ。ケータイ小説の読者も10代女性が多いようですし、ウケる要素というのは共通しているのではないでしょうか。そして、ロックをやりたい少年たちが技術も伴わぬまま始めたバンドがパンクとなったように、少女漫画を描けない少女たちがシンプルな文章で物語を綴ってみたのがケータイ小説ではないかなあと思いました。(と、結論付けるのも寂聴タンしか読んでないので危険な気はするが……)
あしたの虹 | |
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