1~27巻まで読んだー。なのでキャラ別感想。
バガボンド―原作吉川英治「宮本武蔵」より (1) (モーニングKC (619)) 井上 雄彦 講談社 1999-03 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
宮本 武蔵
あっちこっちで人を斬りまくる剣豪。最初は木刀を持ったサルみたいな感じだったが、最近はしばしば精神世界に入り浸る。日頃は雪だるまを作ったりしてる。主人公だが、丸々一巻分木に吊るされたりと扱いは悪い。友人が本位田又八という時点で運が悪く、不幸な星の下に生まれたと言える。
佐々木小次郎
本作ではなぜか聾唖者というキャラ付け。読みながら「アウー」とか、「アウアー」とかいうと、佐々木小次郎のモノマネをしてる気分になれる。武蔵と同じか、それ以上に生活能力がなさそうだが、天性のヒモ体質なのかいつも誰かに養ってもらってる。酒も飲むし、娘っこも引っ張りこむ。スカトロをして、おなかを壊したりもする。
本位田又八
宮本武蔵の同郷の友人にして、本作における一服の清涼剤のような人物。暑苦しいキャラたちに疲れた頃になると投入され、その圧倒的なヘタレっぷりで読者に安らぎを与えてくれる。1巻で野武士を斬ったあたりが活躍のピークで、後はヘタレてヘタレまくるのみ。ヘタレのピークは武蔵が吉岡道場に勝負を挑んでる最中、道場に潜り込んで酒を飲み、「武蔵! オレも(酒を盗み飲むことで吉岡と)戦っているぞ!」というシーンで、あまりの情けなさに心が洗われる。その後も、ちょっと持ち上げて(活躍させて)は突き落とす、という井上先生による又八いじめが頻繁に繰り返される。
おつう
武蔵、又八と同郷の幼馴染で又八の許婚(いいなずけ)だったが武蔵に惚れており、村を飛び出す。なぜ、おつうが武蔵を好きなのかはいまいちハッキリせず、「村中での選択肢が武蔵と又八の二択なら、そりゃ確かに武蔵だろうけど……」という消極的理由しか思いつかない。まあ、実際にいまの又八の体たらくと武蔵の高名を考えれば、おつうの直感は正しかったということになる訳だが。一応本作の正ヒロインのはずだが、あんまり登場しないし、ガツガツと武蔵を追いかけるわけでもなし、偉い人に後見されてるから生活に困るでもなし、と、ヒロインとしての魅力と存在感は薄い。
辻風黄平
なんだかいろいろあったが最後はロリコンに落ち着いた。「殺し合いの螺旋」から降りて幼女とイチャイチャしながら暮らす黄平は明らかに勝ち組である。
鐘巻自斎
弟子の伊藤一刀斎にバカにされたり、必死に育てた可愛い小次郎を持っていかれたりする可哀想な人。当初はたびたび育児放棄を繰り返すダメ親父だったが、不動戦を乗り越えて村民の尊敬を獲得した。ある意味、「肝心なところでやる気を見せた又八」キャラであり、彼の活躍を見てると、「又八もこのくらいがんばればいいのになあ」と思えてくる。個人的には彼の活躍がこの作品で一番面白い。
草薙天鬼
佐々木小次郎の親友。中条流の印可を小次郎に届ける目的もあって武者修行の旅に出る。小次郎と共に不動と戦うなどキャラも十分に立ち、実力的にも一角の武芸者であったが、「又八に関わる」という致命的なミスにより非業の死を遂げる。ホント、又八に関わるとロクなことがねえな。
伊藤一刀斎
鐘巻自斎の下に現れ、佐々木小次郎の剣の才を見抜いて武芸者の道へと誘い、スパルタ方式で小次郎を鍛え上げた小次郎第二の師。――と、言えば聞こえはいいが、平和に暮らしてた自斎と小次郎の生活を破綻させ、「よろしく頼まれても不器用だから」と小次郎を戦場に置き去りにするなど、その傍迷惑さとロクでもなさは、実は又八と並ぶものがある。
夢想権之助
なんと、あの神道夢想流の夢想権之助が登場――! あまり強いイメージのない権之助だけど、初登場時は15歳、まだ杖術にも目覚めていない頃で、作中でもやっぱり弱い。弱すぎる。しかし、夢想権之助が弱いとなんだか安心してしまうのはなぜなんだろう。たぶんこの小説のせいだと思うけど……。
吉岡伝七郎
本作の正ヒロイン。初登場時は実力では一段劣るものの、それなりの実力者として威厳と共に登場したが、兄の清十郎が敗れて以来、武蔵と再戦するまでの間、誰もが認める正ヒロインとして吉岡一門に愛されまくった。兄を失い失意に沈む伝七郎をみんなが励まし、伝七郎が熱を出したらみんなであたふたし、試合中もみんなが必死に応援してくれた。負けて死んだ後も、70人のナイトが伝七郎の敵討ちに奮起するなど、死してなお正ヒロインであった。しかし、兄に愛され、パパに愛され、門下生全員に愛されまくった伝七郎も、肝心の武蔵には「約束したから付き合ってあげるだけなんだからっ!」「ホントに興味があるのは、あなたじゃなくて、あなたのお兄さんなんだからねっ!」という態度を取られてションボリである。
吉岡清十郎
謹厳実直で生真面目な弟伝七郎とは対照的に、色町通いにうつつを抜かす優男のお兄ちゃん。でも、実力は伝七郎を遥かに凌ぎ、かつては武蔵を鎧袖一触するほどの実力差があった。伝七郎のことが大好きで、弟がヤバそうな相手と戦う時はいつも事前に闇討ちしてたらしい。色町の娘、朱美と仲が良く、好いていたが、愛というには一歩及ばぬ関係であった。じゃあ、清十郎が本当に愛していたのは誰かというと、もちろん吉岡伝七郎である。
植田良平
吉岡清十郎、伝七郎亡き後、吉岡道場を継ぐ。伝七郎のことが大好きで大好きで、あまりの伝七郎ラブに鉄砲を持って飛び出すなど、しばしば暴走する。結果、ついには伝七郎から破門されるが、これは伝七郎のツンデレなので後から呼び戻された。伝七郎の死後は門下生全員を率いて伝七郎の敵討ちに出るが、武蔵に返り討ちにされる。
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