【7/3】宗教学メモ(9)


共通して言えることは、宗教的象徴は規範的世界(コスモス)に住みたいという人間の欲求、「コスモス願望」から生じてくるということ。
※コスモス=秩序があり、安全で見渡しの効く世界。どのような世界であれば私たちによいのか?ということ。例えばアニミズムは内的世界と外的世界の調和を求めている点でコスモス願望と言える。コスモス願望は人間の根本欲求と(エリアーデは)考えている。


《宗教進化論の議論展開のまとめ》

「宗教の起源的形態は何か?」(これは思弁的なものであり、実証的な回答を得られないものである。つまり、原始人の宗教なんて十分な情報がないので、仮説を立てても「そうっぽい」で終わってしまい確実に確かめようがない。問いの立て方としてはいまいちよろしくない)

    ↓

「宗教はいかに機能しているか」
「宗教は個人または社会に対してどう働いているのか」(この二つは宗教が機能している現在を探るもの。こちらはより実証的といえる)

・宗教に対する問いは思弁的・実証的な回答を得るのは難しい。
・宗教を一つの所与(※現に目の前にある現象。観察し、記録できるもの)として認めた方が、実りある研究ができる(W.Richard.Comstock)


Rudolf Otto『聖なるもの』(1917)

・ルドルフ・オットー(1869-1937)の著作
・ドイツのプロテスタント神学者、宗教学者
・ゲッティンゲン大学を経てマールブルク大学神学部教授(ハイデガーとか影響を受けてる)

・著書のタイトル『聖なるもの』は原題で「Das Heilige」。heiligは「神」という意味だが「倫理的なもの、道徳的なもの」を連想させる言葉であり、ここでオットーが説こうとする神的なものは倫理、道徳とは関係がないので(宗教は本来的に倫理、道徳とは関係ないとオットーは考えているため)、「聖なるもの」を意味する言葉として、Das Heiligeはふさわしくない。なので、タイトルはDas Heiligeだけど、新しく「聖なるもの」に相応しいニュアンスの言葉をラテン語から造ることにした。ラテン語で「神性」を意味するnumenから、「Das Numinose」(ヌミノーゼ)とし、ヌミノーゼ(聖なるもの)とはどのようなものか、分析することにする。


《オットーの方法論》

・ヌミノーゼ(=聖なるもの)は宗教の第一カテゴリー
・宗教は感情的体験である(感情は我々一人一人が体験できる)
・ヌミノーゼによって引き起こされた感情(オットー自身の体験)を手がかりに、ヌミノーゼの分析をする
・言い換えれば、個人の宗教的感動(感動=強い心のゆさぶり)を手がかりにする

・ヌミノーゼによって初めに引き起こされる、最も直接的な、心の底から我々を強烈に揺さぶる宗教感情とは何か?(宗教的感情には色々なものがあるが、最も心を揺さぶるような、日常あまり体験しないような感情はなんだろう?)
・儀礼や祭儀の厳粛な気分の下で、あるいは、宗教的記念物、建築や、寺院、教会の中で我々を捉えるのはどんな感情か?

・シュライエル・マッハーの言う「絶対的依存の感情」だろうか?

⇒No. 以下の2点の問題がある。

①マッハーによって本来思い浮かべられた感情は、自然的意味での依存の感情ではない。自己の無力、無能、被制約を意味する日常的ない身での『依存の感情』とは質的に異なる(のに『依存』という言葉を使っているところに問題がある。たとえ『絶対』という言葉をつけても、日常的な意味での『依存』のニュアンスは払拭できず不徹底といえる)。たとえば、

「塵あくたにすぎないわたしですが、あえてわが主に申し上げます」(創世記18.27)

マッハーが「絶対的依存」と名付けようとした感覚がここにある。ここの「塵あくた」は「取るに足らない」の意味ではなく、「塵あくたからあなた(神)に作られた」という文字通りの意味である。ここに見られる「依存感」は、自然的な依存感以上のものであり、質的に別なものである。この時、アブラハムが感じていた感情を名付けるなら、「被造物感」の方が相応しい。一切の被造物に優越するもの(神)に直面して、自分自身が無であることへと沈み消えていく、被造物が抱く感情である。(ヌミノーゼの圧倒的な優位さから生じた徹底的な自己無化の感情)

②また依存の感情というのは「わたしが依存している」という感情であり、自分自身の感情であって、直接的なもの(ヌミノーゼ自身から直接引き起こされる感情ではない)。もっと直接的な体験があるはずである。絶対的依存感(被造物感)はある最も直接的な宗教感情の影として、随伴的なものである(被造物感情は直接的感情Xの二次的な感情である)。


では、その感情とは何か?

⇒ミステリウム・トレメンドゥム(mysterium tremendum)
『畏るべき神秘』という感情。(身の毛のよだつような得体のしれなさ)
(例えば、伊勢神宮などに立ったときに、まず、「ゾーッと」したとする。この得たいの知れない「ゾーッと」した感情が最も直接的な宗教感情。この感情は全ての宗教感情のうちで最も深いものであり、救いの信仰や信頼、(神の)愛以上のもの)

※なお、オットーは自分の感情の分析からこれらを言い切っている。特に論証はしていない。

聖なるもの―神的なものの観念における非合理的なもの、および合理的なものとそれとの関係について
聖なるもの―神的なものの観念における非合理的なもの、および合理的なものとそれとの関係についてルードルフ オットー

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