・王権は神からもらうもの。先王の意志は関係ない。たとえばアショーカ王の親父はアショーカの弟に王位を継がせようとしたが、アショーカが「私にその資格があれば冠をかぶらせたまえ」というと、アショーカの頭に天から冠が下りてきたりとか。
《灌頂儀礼》
・「灌頂」はサンスクリット語でアヴィシーカといい、「仏の力を授ける」仏教儀礼を指す。式中に導師が弟子を水によって清めるため、このような漢訳がなされた。
・阿闍梨(密教の先生)から灌頂を受けた弟子は、密教の修行を始めてもよい器となる。しかし、灌頂を受けないものが修行を行うならば、弟子も阿闍梨も地獄に落ちるとされる。(⇒つまり灌頂は密教の修行に入るための入門儀礼)
《灌頂儀礼の特徴》
a,最終日、つまりハイライトの日が満月になるよう行われる
b,すべての灌頂はその冒頭に水のイニシエーションを含む
c,本尊が真の主催者である。本尊の力は導師を通して発現する。
d,儀式の要所でマントラが唱えられる
e,宝冠のイニシエーションで弟子は導師によって戴冠される
f,名前のイニシエーション(腕輪を授かる際に名前を授かる)において、密名を授かる(ex.空海の灌頂名は遍照金剛/遍照は大日如来)
《カーラチャクラ灌頂儀礼の略プロセス》
1、弟子は師(本尊)にマンダラ(全世界の象徴)を捧げる……砂マンダラなど。もしくは指を組んでその形を作ったり。
2、弟子は師(本尊)に灌頂を授けて下さいと祈願する……釈迦もブラフマーにお願いされないと教える気になれなかったくらいだから、お願いしないと教えてくれない。
3、弟子は灌頂を授けてくれる諸仏(本尊の分身)を勧請(召喚)し、供養(おもてなし)する。
4、この諸仏に灌頂を授けて下さいと祈願する。
5、諸仏が灌頂を授けようという意志を起こす。
6、その幸いなることを称えて、花の雨が降る。
7、本尊の力を体現した師が灌頂の小道具をもって弟子の身体の五箇所(頭頂、左右の肩、左右上腕部、両太股、両腰)に触れて、最後にそれを身につけさせる。
8、弟子と本尊の意識が一体化する。
これを小道具と浄化対象を変えて7回繰り返す。以下、小道具の流れ。カッコ内は浄化される部分
1、水(五大:地水火風空/肉とか地とか腸とか、肉体レベル)
2、宝冠(五蘊:色受想行識/肉体+意識)
3、五色の絹リボン(十風:体内の十種の不可視エネルギー)
4、金剛杵・金剛鈴(二脈管:身体の中にある二つの生命エネルギー通路)
5、指輪(十二処:眼、耳、花、舌、身、意/五官+意識:色、声、香、味、触、法/五官の対象)
6、腕輪(六つの感覚器官とその機能)
7、五佛を象徴する持ち物(大楽の大と蘊/悟りの境地の感覚)
これらを身につけていくごとに身体のこれらの部分が清められていく。浄化される部分は肉体的なレベルから精神的なレベルに移っていく。
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