・仏と王の相似性
お釈迦さまの誕生時にオヤジが占い師に占わせたら、「この子は三十二相を備えているよ。王になったら転輪聖王、出家したら『目覚めた者(仏陀)』になれるよ」といわれた。
・三十二相
大人物に備わっている『三十二の体の大きな特徴(相)』(『八十の体の小さな特徴(好)』もある。相好の語源)
⇒つまり、仏と王には身体的に似通った特徴があるということ。
○三十二相の例
・土踏まずがない(偏平足)
・足裏に輪形の相がある(足下二輪相)※参考
・指が長い
・手足が柔らかい
・足の甲が厚く盛り上がっている(仏像はみんなこうなってる)
・手が長い
・男根が体内に入っている(陰蔵相)
・毛上向相(うぶ毛が上になびいている、樹上生活者ではない、サルではない、ということ)
・体が金ピカ(なので仏像も金ピカになる)
・背が高い
・ガタイが良い
・歯並びが良くて白くい、歯が40本もある
・グルメで舌が肥えている
・舌が長い
・声が魅力的
・目が青い
・頭上に肉が隆起して髻の形を成している(頂髻相)
※他人と身体的特徴が異なると教祖になるチャンスかもしれない
・転輪聖王とは
古代インド思想(つまり仏教以前)には転輪聖王という理想的帝王が説かれていた。
転輪聖王には金輪王、銀輪王、銅輪王、鉄輪王の4種がいて、聖王の治世には7つの宝が現われるとされた(転輪七宝)
・転輪七宝
輪宝、珠宝、女宝、臣宝、象宝、馬宝、将軍宝
・珠宝⇒願いを全てかなえる(経済的繁栄)
・象宝、馬宝、将軍宝⇒聖王は四兵(人、馬、像、戦車)を持つが、これらは軍事力を意味する
・女宝⇒よい妃
・臣宝⇒よい大臣(つまり、周りの人にも恵まれるということ)
※七宝のうちこの六つで、「経済」「軍事」「人事」をカヴァー。
他にも準七宝みたいなものもあって、季節を問わずに一枚で過ごせる服や、勝手に戦ってくれる剣や、海中で呼吸できる竜の皮とからしい。※RPGのエンチャントアイテムみたい
・輪宝
⇒転輪聖王の語源ともなった宝でいちばん大事。転輪聖王の誕生と共に天から下りてきて、他国を勝手に支配してくれるらしい。
金輪王⇒全世界征服
銀輪王⇒3/4征服
銅輪王⇒2/4征服
鉄輪王⇒1/4征服
金輪王⇒出陣せずとも相手が降伏する
銀輪王⇒自ら戦地に出向くと相手が降伏する
銅輪王⇒布陣しただけで相手が降伏する
鉄輪王⇒武器を振り上げただけで相手が降伏する
※つまり、徳が高ければ武力を用いずとも世界を征服できるということ
・太陽が万物を圧倒的な光で護り育むように、転輪聖王もその徳によって臣民を護り育む。(太陽王のイメージは堯、ファラオ、ルイ14世など一般的なもの)
⇒太陽はあるのが当たり前で、太陽のおかげで非常に助かっているけど特に誰も太陽に感謝はしていない。このように、王は支配していることを人民に感じさせないくらいがベスト(cf.鼓腹撃壌)。ここで王と太陽が繋がる。
・一方、仏教では欲望のままに生きている状態を無明という。その語の通り、無明は「暗い」。で、悟りは「明るい」。釈迦は悟りをもたらしてくれる(明るくしてくれる)。この点で釈迦も太陽のイメージと繋がり、王と仏に相似性が生まれる。
・また、仏の足の裏には転宝輪がある。宝輪は「回るイメージ」、つまり、「移動する」イメージ。仏教は武力(戦争)ではなく自発的に広がっていく。この点も転輪聖王の「戦争をせず徳によって世界を征服する」イメージと繋がる。
・《まとめ》仏と転輪聖王の相似点
1、両者ともに太陽を象徴するシンボルを輪に持つ
転輪聖王⇒輪宝
仏法⇒法輪
2、武力を用いずして世界を平和に統治する
※この点で仏と王は機能的に似ているが、転輪聖王が経済的繁栄と軍事的秩序は完璧ながらもそれ以上の幸福は与えられないのに対し、仏は心に平和と安寧をもたらし、真の幸福を与え得るため、仏の方がずっと上と考えられている。