【5/4】ヒンドゥーお勉強会


 ravenさんとかがみでお送りします。興味ある人はどうぞ。

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掲示板:http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/comic/4841/1209877858/

<レジュメ> 見難いのはすいません。

開祖 いない。
特定の預言者や教祖によるものではなく成立。いつの間にか、成り行きで。
(…それって宗教か?)

歴史・発祥 語源など ペルシア人が「Sindhu川の向こうに住んでいる非イスラム」
と呼んだのが、なまった。
早い話がバルバロイみたいなことであり、大雑把。
(その中でも当然、色んな宗教や民族があったようだが、それらが合流したりして現在の姿に
こういう経緯なので、ヒンドゥー教徒は自分たちをヒンドゥーとは呼ばない。
サナータナ・ダルマsanatana-dharmaと呼ぶ。永遠の法、とかそんな意味。


歴史・発祥/詳しく ①インダス川に文明がおこる。(BC3000くらい?)
レンガと牧畜と農耕の文明。モヘンジョ・ダロ。
計画性のある都市文明。←指導者階級の存在
大浴場の存在→衛生がとても重視されていたらしい、これは後にも受け継がれる
当時の神像は大地母神→農耕社会だから、豊穣さは大事
雄牛→男性、性の象徴
↑この当時は性の象徴に人間を使うのはしなかったらしい
雄牛→のちのシヴァ神信仰
シヴァは豊穣の神であり男性の性の神。角がある
②アーリア人侵入。(BC1500くらい?)
アフガン辺りから侵入。
二輪戦車、遊牧、青銅武器。建築はたいしたことない
文字を作ったのは侵入より後
→『ヴェーダ』の成立(でも口伝の神話であって、文字表記は好まれなかったらしい
神像は男性神。家父長制。
インドラ、ヴァルナ、アグニなどがメイン。→太陽と結びつく男性神、戦神
ヴェーダが出来たころだから、ヴェーダ期。

教典など バイブルやコーランのような中心的な啓典はない。
多神教なので異端も正統も概念的にありえない。
ヴェーダの中の、しいていうならバガヴァッド・ギーター、テキストとしてはマヌ法典か。
区別としては二つ。①シュルティと、②スムリティ
①シュルティ
(天啓による聖典) 神(ブラフマン)から霊感を受けて、
Sruti リシ(仙人みたいなものらしい)が人類に伝えたもの。
最古のテキスト、編集合戦で年代はわからず。
a.ヴェーダ ヴェーダ - Wikipedia
4つある。 神々の讃歌、詠唱
儀礼や祭祀について
祝福や呪いについて
詠唱の旋律について
本来は口承による。文字表記だとニュアンスが曲がるらしい
bウパニシャッド ウパニシャッド - Wikipedia
BC700~ (グルの)近くに座る、くらいの意味
学生と師匠の対話形式
ヒンドゥー思想の中心、16世紀くらいに書かれたものも
カルマ 業
サンサーラ 輪廻
モークシャ 解脱
アートマン 個我(人間の魂
ブラフマン 梵我(宇宙の魂
②スムリティ
(聖伝文学) ヴェーダとウパニシャッド以外の聖典
Smrti シュルティのほうがより神聖。各論のようなものか
a叙事詩
a-1マハーバーラタ
賢者ヴィヤーサがガネーシャに口述筆記させたもの。
バガヴァッド・ギーター(クリシュナの話)含む。
a-2ラーマーヤナ(BC350~
ヴィシュヌの化身の一つ、ラーマの話。
結婚、兄弟、信義などがテーマ。
bプラーナ(庶民のヴェーダ)
サンスクリット語の詩をあつめたもの。意味は『古い』。
メジャーな神々や英雄、天地創造、この世の終わりなどを扱う神話。
マヌーという半神の治世も書いてある
③バクティ
(信愛の讃歌) 番外。
神への帰依と、神の愛を歌う、庶民の歌
いまも新作が作られている
言語 とくに断りが無ければ、サンスクリット語。
バクティのみは庶民のものなので口語もある。
サンスクリット語→前400くらいに学者パーニニが創始した人造言語。
論理的ブレがない。(≒日用語ではない)
紀元前から現在まで殆ど内容が変わっていないのもそのため。

食事の禁忌など 肉類全般が原則的に忌避される。
もちろん多神教なので(統一的なドグマがないので)一概には言えないが、
ヴィシュヌの聖獣たる牛は殺せない。
でも水牛はOK。ヴィシュヌの化身も水牛の悪魔は殺していた。
牛乳、バターはOK。お供え(後述)にもよく登場する。

カースト バラモン 司祭
(バラモン教) クシャトリヤ 戦士、貴族
ヴァイシャ 庶民
シュードラ 奴隷

バラモンはヴェーダの知識を独占する。
祭祀を執り行えるのはバラモンのみ。
(推論;↑つまり法律貴族みたいなものか?)

(推論;アーリア人がインダス文明に侵入したとき、土着の被支配者に対して
正統性を確保するドグマとしての神話が必要だったはず。
それがバラモン教の起こりなのでは?
社会に階級を作り出し、固定化したのではなかろうか)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%9E
カルマkarmanの説明、その階層に生まれるということは前世にその理由がある
ヴェーダ期のカルマ概念→ウパニシャッド期のカルマ概念への
移行期として考えても概ね合致する。
(推論;聖典は膨大かつ複雑、煩瑣。バラモンが独占→庶民には浸透しない→宗教であるのに、社会全体に共有される紐帯として機能しなくなっていく?)
上層3カーストの男子の一生は4期に分けられる
その時期に応じた課題がある
学生期 師匠の元でヴェーダの研究
家長期 家庭生活
林住期 森林にくらす(?)
遊行期 世俗を離れて放浪する(?)

(メモ;よくわからぬ。とくに下2段。社会の構成員が全部世捨て人になってどうしよってんだ?)
(追記。どうやら後の二段は六師外道や仏教対策の後付けらしい。ふつうの人は家長期までで、今生でどうしてもアガリにしたい人だけがチャレンジするのが後ふたつ)

BC300~
(社会は安定し、各地に都市国家ができ、王権が成立するように。)
(神の権威と王の権威の抗争の時期でもあったのではなかろうか。)
(…で、それを背景として、宗教的権威たるバラモンを侵すものがクシャトリヤに現れる)


ブッダ クシャトリヤの中から出た出家たち
六師外道 シュラマナ(沙門)、ヴェーダに権威を認めぬものたち
いわゆる自由思想家たち、クシャトリヤから出たものが多い

BC300~は、またマウリヤ王朝の成立期。
インド全体を実効支配する王朝(他の王国を支配する王国であって帝国ではない)
バラモン教にはスートラ(要綱)も出てくる
が、べつに優遇されてたわけでもないようだ
むしろ上代に比べて相対的に地位が落ちている
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A6%E3%83%AA%E3%83%A4%E6%9C%9D
マウリヤ朝の王としては、仏法に帰依したアショーカ王がある。


この頃形成されたのがヒンドゥー教
バラモンがベース、ヴェーダの権威を認める(沙門たちとの違い)
土着のいろんな宗教との交雑(バラモンが陥った、カーストによる自縄自縛からの開放
↑アショーカ王その他のように、非バラモンの勢力が台頭してきたことへの反動で形成されたと見れる


バラモン教 バラモン教の祭祀は複雑さがその特徴。「正しい供犠の方法」
(ヒンドゥー前夜) 祭神はおもにソーマ、アグニ→神と人との仲立ちをする神(司祭の神)
神々もまた供犠を行う、その司祭を祭るという祭り
1.シュラウタ(天啓祭事) 手順が超複雑、バラモンでないと把握も遂行も不可能。知の独占、力の獲得
2.グリヒヤ(家庭祭事) かんたん。家長が取り仕切る。当初はバラモンがとりしきることも。2000年間変わってない

リグ・ヴェーダ(一番ふるいヴェーダ)のうちの「原人讃歌」
神の営む供犠の最大のもの、すべての供犠はこの模倣
世界は、原人Puruhaを供犠として、その屍から創り出される
(いわゆる巨人創世神話類型というやつ)

「ブラーフマナ」儀式、供犠の手順をまとめた祭儀書、マニュアル
「アーラニヤカ」儀式の意義を補足する祭儀書、森林書


バラモン教のミソは複雑さだったわけだが、その複雑さが庶民からの乖離をうむ。幻滅。
もう巨人神話なんて信じちゃくれない→ヴェーダ後期、ウパニシャッド期へ

かの唯一なるものtad ekam
(神々の生まれる以前、原初状態への関心)
ウパニシャッドが生まれる

ウパニシャッド期 ヴェーダーンタ(最後のヴェーダ)
(BC800-450) バラモンたちのような複雑な儀式、ひいてはそれに象徴される社会、
(森林学派) 生活に背を向けて森に入った隠遁者たち、苦行者tapasが編纂したもの。
tapasは熱のことであり、原初の宇宙で最初に生まれた動きのこと、そこに近づくための営為。
tapasは神すら焼き殺す。

ウパニシャッドの特徴
対話形式である。 →もともと隠者たちが対話で成した思想なので、そのリプレイ。
ウパニシャッドとは近くに座する、の意味であり、グルの近くに座して教えをこうのだ。
身分に自由 →バラモンでないカーストにも、知識が開かれている。

テキスト Brhadarnyka-Upanishad
Chandogya-Upanishad (一番古いウパニシャッドのテキスト)
『全存在の実相をなす唯一者の本質とは何か?』
をテーマとする。

テーマ 重要なのは儀式そのものではない、その背景にある精神である
苦行とは献身、自らを供犠として神にささげる行為
本来の自己を探す行為とは?という探求

唯一者 ブラフマンbrahman(梵我)
宇宙の本質であり、究極の実在
個我であるアートマンatmanは、そこから分かたれたもの。
(いわゆる「梵我一如」のこと)
アートマンはブラフマンと別個に存在してはきたが、
モークシャ(解脱)に達すればアートマンはブラフマンと一体化できる。
tat tvam asi「汝はそれなり」という単語が頻出する。
個人と宇宙の間には何の違いもない、とする。
汝(個人の魂)は、それ(宇宙の本質)なり。

輪廻・業・解脱 生まれ変わりの輪廻。
それは業karmanによって決定される。善行は善に、悪行は悪に
因果はめぐる。倫理的な結果が将来の生まれ方を決定する
→このサイクルからの開放、輪廻と業の果てに至る最高の境地が解脱。
解脱moksa、モークシャ。よい精神生活を送ること、ブラフマンと一体化すること

このあたりの概念はヒンドゥーの骨子になる。
exヨーガ学派
肉体の鍛錬と克己によって、自己と肉体の区別を知る。
そしてその最奥にあるブラフマンを発見するのだ。
exヴェーダーンタ学派
あらゆる実在には一つの共通する統一が潜む。
人間誰しもが宇宙の本質を担うのだ、が
それを阻むものもまたある。マーヤーmayaである。

ウパニシャッドその後 ウパニシャッドの中心は、俗世を離れた隠者たち。
BC300くらい 教説も哲学的で先鋭的。民衆には理解しがたかった。
いっぽう、やはりアウトサイダーだった仏教や六師外道は
物語やたとえ話を通してわかりやすく伝道を始める。
この流れは、じつはバラモンすらも例外ではなかったようで
道徳律や宗教的教訓をこの方式で広め始める。
なので、このタイミングで書かれた文献も多い。
「ラーマーヤナ」「マハーバーラタ」にも大幅に加筆修正。
シヴァやヴィシュヌの性格付けが成立するのもこの頃。
これは「プラーナ」に受け継がれる。
こうして高踏的なバラモンはヒンドゥーとなっていく。


神々について ヒンドゥーとなるにあたって要求されたのが、民衆への接近。
民衆側にもバクティ、神への熱烈な献身という運動が起こる
これに伴って土着の信仰との同化が起きる
exアーリア人の神々では(初期ヴェーダでは)、ルドラが大事だった
ルドラは暴風と嵐の神であり、荒神。これを崇拝すると破壊から守ってくれる

インダス文明の雄牛の神。名前不詳(インダス文字は未解明なので)。
性欲とその抑制、豊穣と命の神、性器崇拝を伴う

ヒンドゥーにおけるシヴァの成立

三大教派 ①シヴァ派
①シヴァ派、 こういう経緯で成立したので、シヴァは複数の要素をそれぞれ象徴する姿で表現される。
②ヴィシュヌ派、 テキストは叙事詩と、プラーナ。
③シャクティ派 時代や教派によっても変わってくる
シヴァはヨーガの神でもあるので、苦行者はシヴァ派。
たとえば苦行者が髪の毛をもじゃもじゃにするのは、シヴァがインダス川の重みを受け止めた
という故事に由来する。
「マハーバーラタ」では、シヴァは宇宙創造の神であり、父性を備えた家庭の神。
妻のパールバティ、息子のガネーシャとスカンダ(別名カルティケーヤ)
乗り物はナンディ(聖なる牛)←男性の性の力の象徴

異相が多くある。(多神教だしこういう成立だから)
神像についてるアイコンをいくつか列挙。
三日月 月の満ち欠け、性愛と若返り
ガンジス川 (頭髪の分かれ目にあるらしい)もじゃもじゃの髪の毛
ドクロ 嘲笑、真実を知らぬものへの嘲笑
蛇 腕ないし首に巻きつけている。
最も恐ろしい獣である蛇をも御する、シヴァが獣の王であること
脱皮を繰り返して成長する蛇は輪廻転生の象徴
首にあるのは、たぶん乳海攪拌のときの話(毒をみずから飲んで青くなる)
太鼓と炎 太鼓は、踊って世界を作り変える創造の力。
炎は、宇宙暦の終わるときに踊って、清める破壊の力。
イヤリング 左に女のイヤリング、右に男のイヤリング。
それぞれ男女の性を象徴し、その結合をあらわす

シヴァ派は性のシンボルで色んなものを説明する。
ブラフマンすらも、光の柱と黄金の卵であらわす。
母なる大地と父なる天空→やっぱり性器
供犠では祭火がリンガ(男根)、炉がヨーニ(女陰)

ヨーガの神であり苦行者の神、一家でヒマラヤの山中に住むという。

②ヴィシュヌ派
ヴェーダの頃(アーリア人の頃)は従属的な役割。メッセンジャーでありトリックスター。
叙事詩の頃になって三大神のひとつに。
世界を維持するもの、神々の王、正義、うんぬん。
王衣をまとう青年の神像。大蛇アナンタ(首がいっぱいある、原初の蛇)
のとぐろの上に寝そべっている。傍らには王妃ラクシュミー。
四つの手には、ほら貝、チャクラム、棍棒、蓮の葉。
乗り物はガルーダ。いわゆる金翅鳥王。
住居は架空の山、メール山にある天上都市、ヴァイクンタ。

ロウフルなもので、この世の善悪のバランスを保つ維持者。
ときに世が乱れ悪がまさったときに、化身となって現れては悪を討つ。
(トリックスター)
化身が10ある。ブッダも居たりする。
10体の最後はいまだに現れていないカルキという化身で、終末のときに現れるらしい。
メジャーなのは7番目と8番目の化身。
aラーマbクリシュナのふたつ。
aラーマ
叙事詩「ラーマーヤナ」の主人公。
不死身の魔王ラーヴァナを、ヴィシュヌの化身である英雄王ラーマが倒す話。
(ラーヴァナが不死身なのは苦行者としてブラフマーに熱心に献身したのが認められたから。
行いが正しければ結果は返ってくるのだということか?その後ラーヴァナは天界に攻め込んだりしてるが)
ラーマーヤナは冒険と戦争の物語であり、登場人物はみんなクシャトリヤ。
(当時のクシャトリヤ勢力の台頭からか?
(この頃、インドには強い王朝が生まれ始めているのも無関係ではないだろう。
bクリシュナ
「マハーバーラタ」の主人公。
トリックスターらしく様々なキャラクターを発揮する。
少年期 いろんな娘さんと交尾。
神であるクリシュナを通じてブラフマンと一体化するアートマン、
という仕組みらしい。
青年期 魔王カンサは陰謀によってクリシュナを脅かすが、果たせず、死ぬ。
この辺の危機を乗り越えるプロセスまでが青年期。
壮年期 マハーバーラタの戦争に参加する。
両陣営ともクリシュナの身内なので、クリシュナは積極的には加担しない。
王子アルジュナの御者として相談に乗るというスタンス。
アルジュナは同族どうしでの殺し合いに疑問を抱く。
クリシュナはこれに対して応える。
この問答が「バガヴァッド・ギーター」。
バガヴァッド・ギーター 宗教的義務や神への献身についての物語。
この世の事柄を越えて、より高い秩序に従えと説く。
つまりはカーストの義務(この場合クシャトリヤ)に従うこと。
それが魂の義務であり、肉体的つながりよりも大事であると。
カーストの存在意義や、それに従うことの重要さを説き、
ヒンドゥー教としての中心教義ともいえる。
ここに想定されている、神への帰依に対して因果を返す守護神が
クリシュナであり、ヴィシュヌである。
こういうカーストや、クシャトリヤによる階級支配を
補強するためのドグマとして機能していること、
その理由付けなどが明確であることから、ヒンドゥーにおける中心教義とも言える。


③シャクティ派
大女神(マハーディーヴィ)シャクティを崇拝する派。
ヴェーダの頃、アーリア人の頃から原型はあった。
全ての女神のアーキタイプとしての神。
サラスヴァティも、パールヴァティもラクシュミも、シャクティのとる化身である。
ある意味、究極の実在といえるやもしれぬ。
どの側面を強調するかによって、シヴァの嫁さんだったりヴィシュヌのかみさんだったりするのだ。
(僕の理解がいまいち及んでないが、どうも土着の女神を崇拝する色々なマイナー宗派を
(ひっくるめて、まとめて「シャクティ派」としてるような気がする)
(上の二者にくらべて陰がうすいというか、中心教義らしきものがない)
(たぶん様々な民族や異教を吸収する中で自生して行ったんだろう)

(なぜ三大神と三大教派が対応してないのか?)
(ブラフマーはブラフマンであり、各教派が前提ないし目的としているから?)
(「創造神は木偶の棒」なぜなら、因果応報が存在する以上、唯一にして最高の存在やその意思、能力はないも同然)
(全てが人間原理で説明できちゃうなら、しぜんにそうなる。人間が苦しむのは人間のため。神ではない)
(ならばブラフマーを崇拝する理由などない。苦行者の神や社会秩序の神の出番だ)
(ブラフマーが宇宙を創造することにも理由はない。無謬であり完全であるなら目的もまた存在しないのだ)
(人の救いは人によるものでしかない。世界を創造する最高の神とはたんなる原理原則であって、虫けら一匹救いはしない)


バクティ運動 バクティは庶民のヴェーダ。
サンスクリット語(エリート言語)でない、ふつうの口語で語られる。
神への讃歌を唱える。ヴェーダの権威を否定するわけではないが、
その司祭や権威者は否定する。救済とは結局のところ、神への帰依によって
(≒献身、≒自分自身を供犠とすること)でしかもたらされない。
生まれもカーストも関係ない、ただ熱烈な神への愛のみが重要であるとする。
この場合、苦行者たちと違うのは
目指すものがブラフマンとの同一化に無いこと。
神への帰依はあくまでも別個の存在として。
「砂糖になるのでなく、砂糖をあじわうこと」を目指す。

ここまでのまとめ 基本的に、ヒンドゥーでは物質的な欲求を無価値とする。
(自分の推論ふくむ) 幸福は肉体を離れた開放にあるのであるから
この世をみんなで住みやすい場所にしようとか、努力とか資本の蓄積とか、そういう発想はない。
受容と内省(諦めかもしれない)の宗教であり、神話をもってその説明原理としているようだ。
関心は社会にも、宗教の改革にもなく、自分の内側にある。
極度に現状維持的であり、秩序とか義務とかを重んずるようだ。

イスラムが来る
AC800~ 8世紀ごろから流入。ヒンドゥーという名称もこの頃にできた。
13世紀には完全に覇権を握った。
16世紀のムガル帝国がその頂点。
この900年くらいの間、インドは政治的にも文化的にもイスラムに支配される。
改宗者は続出する、偶像は破壊される、人頭税は課されると、ヒンドゥー受難の時代。
改宗者とヒンドゥー教徒の間には猛烈な対立が生まれることにもなったが
草の根での交流はなくもない。

exスーフィーとバクティの接近
イスラムの神秘主義と、民衆による神への献身運動
神との(司祭によらない)直接の人格的接触を重視する、
オーソドキシーとは距離がある、個人主義
などなどの共通点があったようだ

アクバル帝は他の宗教にも寛容で、
人頭税も廃止するしキリスト教の伝道(フランシスコザビエル!)もゆるした。
…が、後継者アウランゼーブは税を復活する。

イギリスも来る (だいたいこの辺の時期にシク教がはじまった)
AC1800~


ムガル帝国が滅亡すると、
その跡地というか真空状態に色んな勢力が。
とくにイギリスは強くて、19世紀初頭には覇権を取っていた。
宗教によらない支配、すなわち政治と、経済と、ヨーロッパ的な経済。
どれも大きな変化をもたらす。
教育は識字率の向上をもたらす→バラモン以外にも知識がひらかれる
経済が入ってくる→カーストによる職業の固定から免れる
法律や行政、「ふつうの」秩序の入ってきたことは
ヒンドゥーの宗教的権威を相対的に低下させた。
東インド会社その他によって物流も活発化し、インド人にも好景気が。
商人階級がうまれ、強くなり、宗教をみずから選ぶように。
(ヨーロッパ風の教育は、イギリスにとって便利だから。
インド人はむやみに多いし、言語も大きく異なるしで不便だったのだ)

これにより伝統的なヒンドゥーの倫理観や宗教観が大きく変わることに。
exヒンドゥーの風習
幼児結婚 幼児でも婚姻させるし、夫を亡くした妻に再婚の機会はない。
サティsati 寡婦焚死とも。夫を亡くした妻を、夫の火葬の薪に投げ込んで焼き殺す習慣。
カースト 身分差別の代名詞。ヒューマニズム(基本的に人間に差異を認めない)思想とは相容れない
女性蔑視 当然のようにある。

この辺を、近代科学の目にさらされて相対化されてしまう。


リナッジメントとナショナリズム
19世紀以後 英語教育を受けたインド人によるもの。
ヒンドゥーの原初状態に帰れといい、精神の支柱を再建しようとするもの
イスラム時代に埋もれていた遺産、ヴェーダやウパニシャッドが
イギリスその他の考古学によって発見され、広まる。

ヒンドゥーにおける改革者というか、ルター的なものはいちおう現れた。
キリスト教をパクったようなもの、
既存のヒンドゥーの悪弊を改善しようとするもの、
ヒンドゥー原理主義で先鋭化をはかるもの、など方向性もまちまち。

ヒンドゥーには、聖者やら改革者やらがぽんぽん出現する伝統がある。
というのもヒンドゥーには、絶対に曲げられない教条とかドグマとかがあるわけではないので、
変化の余地はつねに存在する。良くも悪くもおおざぱ。
ヒンドゥーは議論により(ウパニシャッド)成立してきたという自負があるので
思想の自由は神聖。
だから抗争はあるかもしれないが、弾圧はない。差別はあるけど。


女性 蔑視。
通過儀礼(後述)を受けられない
ヴェーダを聞くことも、語ることも許されていない
期待される態度としては家長(父親、夫、息子)に対して黙々と服従すること。
サティも現代では法律で禁じられているが、再婚とかは一切しない。


祭礼、儀式、儀礼 プージャー
日々行われる、最も日常的な祭礼。
単位は個人(お寺にみんなで集まって行うものもなくはない
神像に対してお世話し、献身したりする。
神々を天界から勧請して供物を献ずる供犠の儀式がルーツ。らしい
①まず神像に拝観する。
②つぎに花、果物、ボーグ(供物)を捧げる
③おさがりを頂く(祝福された食べ物、プラサーダ)

寺院 プージャーを寺院で行う場合、バラモンが儀式の細部を手伝う。
聖域(子宮)の周りをまわる、などの家庭ではできないパートも入る。
基本的には家庭にある祭壇のでかいやつという認識。神の宿り。
家庭ではご光臨ください、という文言で勧請するが寺ではお目覚めください、という。

①信徒が神を見る、おなじく神が信徒を見る。
この拝観darsanaというパートがとても大事。
ヒンドゥーの神像に必ず大きな目があるのはこのため。
②③同じように、神を五感でもって知覚する。
見るばかりでなく聞く、味わう、嗅ぐ、触る。

社会的義務、通過儀礼 法。道徳律であり、義務であり宇宙的な秩序でもある。
ダルマdharmaについて 起源はヴェーダ期。
当初は宗教的な法則や道徳のみだったのが、社会的義務や紐帯を意味するようになった。
(つまり人間の振る舞いが宇宙すらゆるがせる)
ダルマは、ヒンドゥー世界を維持するための行動規則であり、
これが守られない(アダルマadharma、不法)なら、宇宙は非実在的なものに転じるだろう。

ダルマ シュルティ、スムリティとあわせて
ヴェーダ末期 経典スートラができる。
前200~200くらい 宗教的な(高踏的な)ものでなく倫理的な規範を示す。
倫理的な生活を送ることが宗教上の生活ともなる、とする。
これは注釈や解釈、実践へのテキストが加わってより広範かつ理解しやすくなるように。
最もメジャーなのが「マヌ法典」。ヒンドゥーの公的規範の完成。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%8C%E6%B3%95%E5%85%B8

カルマ、サンサーラ カルマはkarman、因果。
現在の行動がその未来を決定する。(≒現在の行動は過去が決める)
この辺の考え方がサンサーラsamsaraに繋がる
サンサーラは要求、結果、条件などが存在し
つねに変化し続ける世界観。つまり神々のような永遠性(無条件)とは対照的

モークシャ 解脱。Moksa
概念としてはヴェーダ的でない。ヴェーダはむしろ現世的。
アニミズムなので自然現象やなにやかやを神として祭っていた
現世を肯定するのなら、そこから開放されようなんて思わない。


ヴァルナーシュラ・ダルマ varnasrama-dharma
ヴァルナ(カーストなど社会的な規律)
アーシュラマ(人生における段階)
ダルマ
の、合成語。これらは相互に補完的な関係にある。

成立の経緯としては外来勢力への対抗であり、かつ内部の引き締め。


ヴァルナ マヌ法典はカーストを正当化するための背骨。
論拠としてはヴェーダにおける原人解体(プルシャの供犠)がある。
原人を解体して神々が人を作るとき、このパーツがバラモンに、これがクシャトリヤに…となる

カースト カーストは四姓に加え、不可触賤民(1億人から居る)
プラス、サブカテゴリであるジャーティがある
色々と身内の規則があり、違反すれば追放される
(≒アンタッチャブルにされる)
ヒンドゥーの自意識としては、ともかくヴァルナ制度に所属するのが
いちばん大事。その上で社会的な義務を果たしたりなんだりする。
高低は問題ではない。

シュードラ 非再生族。ウパナヤナ(聖紐の祝い)を受けられない
ヴェーダを語れない。ヴェーダを必要とする儀礼を行えない。
教育を受けられない。ヴァルナに入れない。

アーシュラマ 六師外道や仏教などの対抗馬に対し、
~6世紀くらい バラモンが自己正当化するために必要とした理論武装のひとつ。
(イスラム侵入直前) 苦行者や隠遁者を取り込めるようにした。
つまりそれ以前には学生期と家長期しかなかったのが、
森林と遊行を加えることにより、苦行者たちもまたバラモンの下におけるような世界観を作った。
(≒身内で解脱を目指すものが改宗しないようにするため)

通過儀礼 ①産前、②子供のとき③学生④結婚⑤火葬
…といったところが大事。
とくに②はイニシエイションなので大事。
「聖紐の祝い」→カーストの一員となる、生まれ変わりの儀式
これ以前は霊的には生まれていない状態。→シュードラと同じ状態で、神聖でない
この再生を行うことから上の3カーストは再生族という。


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