《エドワード・B・タイラー》
⇒オックスフォード大学の博物館長に就任(1883)、人類学研究を指導
⇒オックスフォード大学の人類学初代教授に就任(1895)、サーの称号を授かる。
・人類学研究の対象を文化とした。
・現代の未開民族に現存する太古の文化要素から人類文化の再構成を試みた。
要するに文化人類学の祖といえる、すごいえらい人。
・「最初期の文化形態ってどんなだったんだろう??」
⇒遺跡とかの考古学的遺物を調べても分かることは限られている。
⇒そうだ、現代の未開民族を調べればイイんじゃね?(・∀・)
(↑昔の人(=原始人)は、現代の未開民族と同じだろう、という仮説に基づいている)
で、そこからタイラーは「アニミズム」という宗教現象を発見する。
《アニミズムとは何か?》
・アニミズムとは動植物、無生物(山とか、川とか)に至るまで、人間と同じようにそれ自身の霊魂を持っており、生きているとする考え。
※これの前提には「霊魂=人間の本質、人間の身体をもって行動せしめるもの」という西洋の人間観がある。プラトンのヌースの伝統を受けているもので、要するに「霊魂は当然あるよね」っていうのを前提として考えている。当たり前だけど人間はもちろん霊魂持ってるよね、でも、「無生物も霊魂を持っている」っていう宗教現象もあるんだよ、という感じ
『すべての自然現象が生きているという信仰であって、それが最高潮に達すると、自然現象を人格化させてしまう』
『これは原始の精神状態が、世界をことごとく人格的な、生命と意志との作用であると解釈することと、どうしても結びついている』(第七章 神話とアニミズム)
『アニミズムは強く人格化へと達したから、未開人は自ずから現象に一貫した生命を付した』』
⇒何かものが起こるのは、そこに意志があるから。人格化とは意志の主体であり、人格を持つものは、すなわち生きていることになる。
・それゆえに原始人や現代の未開人は自然物を信仰対象とする。(木に対して捧げものをしたり)
・自然物に宿る霊魂は人の霊魂と同じく、一時的、あるいは、永久にそのものを離れても独立して存在しうると考えられ、そこから人間の死者の霊と同じような精霊の観念が生じた(霊魂が独立して存在うんぬんというのは、人が死んだら魂がイデア界に帰るとか、そういうニュアンスっぽい)。ここでいう精霊とは「霊魂に特定の役割と機能を与えたもの」くらいのニュアンス。
※ちなみにカトリックでも祖先崇拝をするらしい。11/1の万聖節とか、11/2の万霊節とか。
・それぞれの領域を持った精霊は、領域毎に支配する自然神や人間の行為や運命を司る神々への信仰(多神教)へと進化し、最後は唯一神信仰(一神教)へといたる、というのがタイラーの『宗教進化論』。
《タイラーさんの考える宗教発展の過程》
1、霊的存在に対する信仰(原始人が「うおー、おっかあが死んだー」となった時、彼は生者と死者の間に何かの違いを見出す。何が違うのか? そうだ、死者には何かが欠けている。たぶん何か抜けていったんだろう。何か? んー、霊魂じゃないかなあ。……と、いう感じで原始人は霊魂を発見した。つまり、霊的存在があることに気付き、それを認める。これが「霊的存在に対する信仰」。これを「宗教の最小限の定義」とする)
2、霊的存在と幻の観念との結合(霊魂を発見した原始人さん。「じゃあ、霊魂は普段どうしてるんだろう」と考えてみる。そういえば寝ると(夢を見て)いきなり変なところにいたりするよね。じゃあ、寝ると霊魂は別の世界に旅をするんだろう。幻ってのは夢のこと。これで霊魂観念が成立したとタイラーさんは考える)
3、精霊観念が成立する(この1~3までがアニミズムのプロセス)
4、天神、地神、海神、太陽神などの自然神が生まれる(多神教I)
5、農耕、出産、死を司る神への信仰(多神教II)
6、一神教(ゴール!)
『宗教進化論』『宗教発展段階論』
タイラーは人類における宗教の歴史を、複層的な低級宗教から単系的な高等宗教へと発展せしめられていく歴史と考えた(人類が文明を発展させたのと同じく、宗教も発展するのだ)※いまから見るとツッコミどころの多い論だけど、当時は「ふーむ、なるほど!」な感じだったらしい
原始文化―神話・哲学・宗教・言語・芸能・風習に関する研究 (1962年) | |
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