祭囃し編のネタバレ感想です。
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ドラクエというやつは大抵レベル40前後でクリアーできるようになってるゲームな訳ですが、ではレベル40くらいのパーティで大魔王ゾーマに挑んだとして、ゾーマが明らかに規格外の圧倒的暴力で勇者パーティをブチ殺したらどう思うでしょうか。「なんだこのバランスは、ふざけるな！」と、きっとそう思うことでしょう。
ですが、ゾーマに若い頃があればどうでしょうか。勇者たちがアリアハンを旅立ち、スライムを殴ったり、大ガラスを殴ったりして少しずつ強くなってきたように、ゾーマもベビーサタンから出発して、メラミやザラキを覚え、キングトロールを打ち負かし、バラモスを屈服させ、そういった努力の果てに、ついに手にした大魔王の地位だとしたらどうでしょうか。「ゾーマ！ なんという規格外の強さ！ だが、オレは知っている！ ゾーマのやろうが大魔王に至るまで、どれほどの努力を積み重ね、鉄の意志を貫いてきたかを！ いいだろう、ゾーマ。貴様は最終バトルに相応しい相手だ！ オレたちは全力で貴様を打ち破ってみせるぞ！」と、きっとこう思うことでしょう。
ひぐらしもそれと同じです。皆殺し編において、部活メンバーは鷹野率いる自衛隊特殊部隊中隊にブチ殺されますが、祭囃し編で語られるように、鷹野は圭一たちがこれまで少しずつ成長し築き上げてきた、鉄の意志や諦めない心などを既に獲得している人物です。主人公たちも成長してきた、しかし、敵はその成長をずっと前に終わらせていた。だから、主人公より強い。主人公より圧倒的な実力を持っている。当然です。彼女にはそれだけの強さを持つ必然性があるのだから。
祭囃しは前半で鷹野がなぜ強いのかを描写したのが巧かったと思います。皆殺し編ラストではあれだけ圧倒的にブチ殺されたけれど、敵は最初から大魔王なのではなく、努力と忍耐の末に勝ち取った大魔王だと分かれば、それは「理不尽な強敵」ではなく、「相応しいラスボス」になるのです。鷹野は、まさにラスボスに相応しい風格と実力の持ち主だったと思います。そこらへんにいる普通の少女一人（ただし人生リセットが使える）で自衛隊特殊部隊一個中隊を迎撃しろとか、まったくムチャクチャな話な訳ですが、鷹野のバックボーンがあったからこそ、「立ち向かってやるぜ、くそったれ」となるわけですね。このラスボス描写は良かったと思います。
ラストの総力戦は普通に面白かったです。赤坂はもちろん、葛西の参戦が特に嬉しかったかな。あえて言うなら、富田、岡村、校長先生辺りにも活躍して欲しかったなー。赤坂と校長が一緒に戦うシーンを最後まで期待しちゃったぜ。すごく初期の方で「犯人は校長。圧倒的な武の力で不可能を可能にしている」と推理した時に、コメントで「どこがどうとはいえないけど、その推理はイイ線いってる」といわれたけど、なるほど、赤坂や部活メンバーのことだったのですねー。
