暇潰し編終了までの推理メモ。僕はネタバレするけど、みんなはしちゃダメよ。
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フ、フ、フ……。
手のひらで転がされるのも三度目となると、むしろ快感だぜ……。前回の推理で「選択肢がないことがキーではないか」と考えたけれど、
「人生に選択肢なんてあると思う?」
早速出てきやがったぜ、コナクソー。人が推理したものが、即、次のシナリオで出てきちゃうなんて見事に踊らされてるなあ。奇術にかけられているようだぜ。ジョセフ・ジョースターを相手にしているようだぜ。
しかし、暇潰し編ラストで「劇中劇ではないか」という考えは強化されました。「ひぐらしのなく頃に」は大石刑事と赤坂刑事の共著ということで、ベーシックバージョンとして、この原著「ひぐらしのなく頃に」があり、様々な脚色が入った後代のバージョンが「鬼隠し編」「綿流し編」「祟殺し編」ではないでしょうか。
劇中で梨花がたびたび口にする「運命は決まっている」という未来予知の如きセリフは、他の物語が「ある決定された結末」に向かって進んでいることを示すのでは? 無論、そうすると、大石&赤坂がこの謎の事件を書籍化する必要もないわけで、となると、つまり…………、「この事件に謎はなかった」。
整理しましょう。発端は無名の作家コンビ、大石&赤坂の記した小説「ひぐらしのなく頃に」です。内容は、架空の村、雛見沢での村民の日常と、ガス発生による惨劇。内容的にはパニック小説のようなものです。その中には、もしかすると幾つかの(あまりミステリアスでない)殺人事件も含まれていたかもしれません。
しかし、「村民全滅により廃村となった死の村」という杉沢村のような設定は読者の心をガッチリとキープ。みんな、「雛見沢っていう地図にない村の話を知ってる?」とか言い出して、あたかも雛身沢は本当に存在したかの如く語られるようになります。そして、そのうち雛身沢は半ば都市伝説化しました。
また、原著で少しだけ触れられた「オヤシロさま」に関するエピソードが、皆の想像力を膨らませ、「ガス事件はオヤシロさまの祟り」という、なんとなくの総意が生まれます。これに付随し、「オヤシロさまの祟り」的な演出を加えるため、「死人が甦る」だの、「喉をかきむしっての自殺」だの、様々な怪奇事件がいろいろな人の手で付け加えられていき、物語はバージョン違いの亜種を生み出しながら枝割れしていきます。さらに、時代は空前の萌えブーム。世間のニーズに合わせるかのように、美少女やロリ少女の出番が増えていき、そうして出来上がった幾つかのストーリーが……
「鬼隠し編」
「綿流し編」
「祟殺し編」
最後に、物語の出自に神秘性を加えるため、大石&赤坂を実在する刑事に設定して描いたのが「暇潰し編」。これにより、どっかの無名の作家が作った創作物語は、事件の渦中にいた刑事二人の語るノンフィクションに化けるのです。つまり、「ひぐらしのなく頃に」とは、ある架空世界において発生した都市伝説ストーリー、というメタ構造。……うん、辻褄は合うけど、この推理、全然面白くないぞ。
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あとね、「そもそも何を推理するのか?」という問題があるんだけど、「犯人が誰なのか?」ではなく、「どうすれば平和な日常が保てるのか?」という点を推理する見方もあると、ふと思ったんだ。これの答えは簡潔明快なのが用意されていて、「途中でゲームを中断する」なんだけど、それじゃあんまりだよなあ。
それとこれはただの感想なんだけど、知恵先生が一番かわいい。