「皇国の守護者」打ち切りでファンはガッカリの佐藤大輔先生原作、学園ゾンビ漫画です。
ゾンビたちは力は強いけど、動きが遅く、単体ではたいして強くない。乗り物で移動中はゾンビもほとんど障害にならないけれど、止まるとすぐに囲まれちゃう。安全地帯に立てこもれば今度はゾンビより人間が怖い。ここら辺は「ちゃんとゾンビやってるなあ」という印象。屋内で強固に守りを固めてもライフライン(水道、電力など)が長続きしないという認識や、右翼団体が治安維持と安全確保に強かったという展開など、ちょこちょことリアリティがあってパニック物としても面白いです。
登場人物たちが(高校生にも関わらず)実践で人を殺せるほどの剣術の使い手であったり、いきなりヘッドショットできる程のスナイパーであることは出来すぎてますが、まあ、その辺りはご愛嬌。「そういうやつらだ」ということはちゃんと説明されてるので、逆に言うと、こんくらいできる奴らじゃないと、ここまで生き残れなかったってことなんでしょうね。そんなやつらでも、車から落ちて背中を打ったら、痛くて動けなくなるんだぜ。
ちょっと微妙な点は、登場人物たちの心の動きが読みにくいところ。どいつもこいつも突然キレます。本当に突然怒り出すので、読者としても付いていけません。意味が分かりません。「こいつら情緒不安定なんじゃねーの」とか思いますが、でもまあ、本当に情緒不安定なのかもしれません。突然、世界が荒廃して、ゾンビがウヨウヨ歩いて、死者や、時には生者をもブッ殺しながら駆け抜けてるので、情緒不安定になって当然といえば当然だし、通常の精神を持つ読者が彼らの思考を追えないのも当然なのかもしれません。でも、やっぱり読んでて「はにゃー?」となるよ。
ゾンビから逃れて篭城中に裸エプロンで料理を作るセンスに対してはノーコメントで。